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ある日の午前、救急から緊急連絡が入りました。
「65才女性、自宅で意識消失し通報がありました、現在意識レベル100です。血圧140の75、呼吸25、SPO2 98%、です。受け入れよろしいですか?」
「どうぞ、どれくらいで到着しますか?」
「後5分くらいです。」
あぁ時間ないのに、と思いつつ点滴の用意や場合によっては蘇生も有り得るかと準備を始めたりしていたらピーポーと到着。
急いで救急室内に搬送し、バイタルチェック。
「血圧130の70、脈拍72、サチュレーション99%です。」
とテキパキと報告してくれるナースたちの声を聞きながら診察をしたところ、痛み刺激に少し反応するくらい。瞳孔縮小左右差なし、聴診上問題なし、左右両上肢・下肢の筋力低下、病的反射なし。
「・・・何だろう?脳幹部梗塞か???」
「ルート確保して、採血して緊急検査取って。」
「それから、MRI空いてるか聞いてみて。」
「はい。」
「家族の方は?」
「廊下にいます、息子さんです。」
「どんな様子でしたか?」
「朝起きてトイレに行ったところ急に倒れました。」
「今までにこんなことはありましたか?」
「ここ数年別に暮らしているのでよく解りませんが、多分ないと思います。昨日は久しぶりに家に帰ったもので・・・」
「おとうさんは?」
「2年前に心筋梗塞で亡くなりました。」
「診察したところ、脳梗塞それも脳幹部という一番深いところの梗塞の可能性があります。今からMRIで調べてみます。ここでもう少しお待ちください。」
救急室に戻ると・・・
「MRI準備できました。」
「じゃあ行こう、検査結果が出たらすぐ連絡を。」
で、MRIの前室で準備していたら、院内PHSが鳴り
「検査です。今の救急室からの××さん、血糖24です。」
「外に何か異常所見はありますか?」
「わかってる範囲ではありません。」「あがとう、」
と返事しすぐにPHS切る間もなく。
「すぐに、50%ブドウ糖もってきて静注!低血糖だぁ~~!もちろんMRI中止!」
バタバタ用意し、静注すると、半分も入ったころより急に意識レベルの回復がみられました。
「お名前は?」
「○○××です。ここは病院ですか??」
「ご自宅のトイレで倒れて、運ばれたのです。」
「そうですか、実は私、去年から糖が高くなって糖尿の薬を飲んでいるんです。」
「アァそうですか、ここんところ血糖はいかがでしたか?」
「少し低めと聞いてます。掛かり付けの先生に、低血糖に注意するようにといわれました。」
「血糖は24です。まさに低血糖です。」
それから様子観察のため入院とし、あわせて、教育入院とし糖尿病の勉強をしていただきました。
確かに教科書に、意識障害の原因のひとつに低血糖があります。基本なんですけどねぇ、つい後回しになってしまうのです。
それから「重症だ!」と叫んだ後実は・・・と話すのは何ともバツの悪いものです。でも患者さんも家族の人も穏やかなのか、今までクレームはこれといってありませんでした。
が、基本のきに立ち返ってみると反省しきりでした。
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