アリセプトTVシンポジウム
認知症治療の実際
講演1
「症例から学ぶアルツハイマー型認知症の診断と治療・対応の実際
~軽度・中等度の症例を中心に~」
Y病院神経内科部長 K先生
日常臨床における認知症診断の手順
診断の手順
患者さんの生活をよく知る家族からの病歴聴取
↓
患者さんの問診と診察
↓
簡単な心理学的検査
↓
↓←画像診断(CTで十分)
↓
正確な診断
アルツハイマー型認知症4つの早期症状
・物忘れ(記憶障害)
・日時の概念が混乱
・怒りっぽい(易怒性)
・自発性の低下、意欲の減退
日常臨床に役立つアルツハイマー型認知症の特徴
・周囲の人々がおかしいと感じるとき
・物忘れ(記憶障害)がみられること(早期症状)
・患者の示す症状によて、日常生活で支障をきたすこと
(支障の基準は?)
・1年前に比べて、症状が明らかに進行していること(周囲の情報から)
・患者さんに深刻感がない、気にしていない
物忘れ症状が明らかに進行している→アルツハイマー型認知症
進行していない、変わらない、あまり変化がない→年齢に伴う心配いらない物忘れ
症例
病歴は認知症+診断は認知症→診断は容易
病歴はあやふや+診断は認知症→診断は容易
病歴は非認知症+診断は非認知症→診断は容易
病歴は認知症+診断はしっかりしているよう→認知症を想定し、テスト式認知機能検査
病歴はあやふや+診断はしっかりしているよう→診断困難
病歴はあやふや+診断でもはっきりしない→診断困難
アリセプトで不穏などになったとき、考えること
・高齢の患者さん、低体重の患者さん
・投与前に不穏など元気な症状がみられる患者さん
・実は、レビー小体型認知症であった!
アリセプトで不穏、怒りっぽい、困った!!
→2つの対応
1)中止しよう
↓
中核症状の進展、周辺症状の増悪
↓
介護家族の負担
1)は、×
2)レスポンダーかも!
↓
投与の量や方法を工夫する
通常量からの減量、隔日投与
↓
薬効を期待できる
2)は、○
MMSEからみたアリセプトの長期効果
向精神薬と標的周辺症状
抗精神薬使用の実際
テグレトールが、易怒性に効果を示した事例
テグレトールを段々増やしていき、精神症状を安定させた後に、アリセプトを投与
病歴とテスト式認知機能検査の成績に剥離がみられるとき
病歴は、アルツハイマー型認知症+テストは正常
↓
・認知症だが、まだテスト式認知機能検査で、支障をきたしていない
or
・認知症に進展しておらず、家族が考えすぎ、生活能力が多少低下
↓
・SPECT検査をし、診断する
or
・経過観察:症状進展すれば、アルツハイマー型認知症と診断。症状非進展なら経過観察
アルツハイマー型認知症とうつ病・抑うつとの関係
抑肝散の使用を再考する
レビー小体型認知症
・抑肝散が、アルツハイマー型認知症に効果ありのエビデンスなし
・不安・落ち着きのなさ、焦燥などに効果を期待できる場合がある
・おとなしいタイプに使用すると、逆に押さえ込む。抑制的に働くので患者に害を及ぼす
・1日3包分3にこだわらない!! 1日1回、半包、頓服など
講演2
「抗認知症約の高用量投与ー高度のアルツハイマー病をどうとらえるかー」
S大学横浜市北部病院メンタルケアセンター准教授 H先生
アルツハイマー型認知症においては、Ach低下が示唆される
アリセプトの高用量投与は、アルツハイマー型認知症の軽度、中等度、高度のどの段階にも効果あり
アリセプトの高用量投与は、アルツハイマー型認知症の特に、軽度の段階で効果あり。
副作用で、10~15%は、投与断念
アリセプトは、特異的ChE阻害薬である
高度のアルツハイマー型認知症≠ADL低下や認知機能低下が高度
高度のアルツハイマー型認知症=Ach低下が高度
アリセプト5mg投与しても、尚、Ach低下が高度なら、アリセプト10mg投与する。
高度のアルツハイマー型認知症を、認知機能だけを指標に見るべきではない。
アルツハイマー型認知症において、抗コリン活性は、認知機能ではなく、行動、心理学的症候に出現しやすい
アパシー(自発性低下)を、Ach低下の指標として、用いる
認知機能の低下が軽度でも、注意・作業記憶・実行機能を指標に、高度のアルツハイマー型認知症がありうる
症例
アパシーは、記銘力低下に先行することあり
アパシーは、アルツハイマー型認知症の極初期から出現する症状
先生は、アルツハイマー型認知症の
境界にアリセプト5mg
軽度にアリセプト10mg
中等度、高度に次の新しい治療
と考えている
1.アリセプト投与開始時期を疑ったら、できるだけ早期に処方
2.アリセプト高用量開始も、あまりためらわない
アルツハイマー型認知症の境界~軽度の時期をできるだけ長くする。
今回は、お二人とも大変実践的な内容のご講演で、とても有意義でした。