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14時より嚥下障害勉強会
「高齢者肺炎の予防」~嚥下障害への包括的アプローチ~
M病院内科S先生
1)嚥下障害一般
高齢者肺炎の危険因子:全身的因子、局所的因子
肺炎の社会的背景
戦後60年間、高齢者の死亡原因の第4位に位置し、全く減っていない。抗菌薬の種類は増えているのに。
嚥下臓器の解剖
咽頭には食塊が残留しやすい。
・喉頭蓋谷(こうとうがいこく)
・梨状窩(りじょうか)
脳卒中では咽頭相障害が多い。
嚥下障害のプロセス
摂食の5相:認知相(先行期)→準備相(咀嚼期)→口腔相→咽頭相→食道相→胃
摂食・嚥下障害の症状
1.食事中のむせ
2.食事で喀痰がふえる
3.食後の声の変化
4.食べ方の変化
5.食事時間の延長
6.食事内容の変化:液体が食べられない。味噌汁だと具しか食べれない。
7.食物残留感:2つのポケット(喉頭蓋谷、梨状窩)にたまる。
8.食欲低下
9.体重減少
10.繰り返す発熱
慢性期病院における嚥下障害の原因
大部分の嚥下障害例において脳疾患がその原因となる。脳卒中が最も多い。認知症、脳変性疾患。
嚥下機能の客観的評価
1)VE 2)VF
VEの現場、VFの現場
嚥下訓練
1.直接的訓練:食物を経口摂取
2.間接的訓練
3.嚥下食
4.薬物療法
・咽頭相障害へのアプローチ
摂食時姿勢の調整
・頸部を上げる
・顎を引く
・ギャッチ30度による嚥下
横向き嚥下によるアプローチ
頸部を回旋させて横を向いて、嚥下する
開いている側の咽頭に食塊を通過させる
(左右どちらがいいかは、麻痺の左右には関係ない)
嚥下食
1.水様物には適切なとろみ(ポタージュスープくらい)をつけ、食形態は、半固形であることが基本。硬すぎるといけない。
2.食物の温度も関係。冷たい食物は嚥下しやすい。37℃は最も咽頭反射が出にくい。
3.味にもメリハリをつける。
4.食塊はバラバラにならないことが必要。キザミ食は嚥下食には不適当!
2)認知症と口腔機能障害
認知症による嚥下障害へのアプローチ
1.行動療法:具体的な指示、声かけ。うまく出来れば必ず誉める。
2.食事環境の改善:ホールで、他の患者といっしょに
超高齢者における嚥下障害の検討
(90歳以上の超高齢者12例におけるVF検査結果から)
→超高齢でも脳梗塞などの大きな脳疾患がなければ、嚥下は正常であることが多い。
3)胃食道逆流について
胃食道逆流症
・長期間傾向摂取をしていない
・経管栄養
・食道裂孔ヘルニア
・高齢者
・右側臥位で起こりやすい
胃食道逆流予防には、
1.摂食時、摂食後2時間の姿勢をギャッジアップ(70度程度)しておくと逆流が予防できる。しかし、ギャッジを弱くしたり、右側臥位にすると容易に逆流が起こりやすい。 姿勢を高くする。
2.投与速度の調整→ゆっくりと。
3.1日投与量の調整→減らす
4.腸管運動の調整:便秘すると逆流
5.注入食の半固形化(カンテンで固める。)
6.場合によっては、右側臥位をさける
4)口腔ケアの重要性
・厳格に口腔ケアをおこなうと、発熱、肺炎、肺炎に伴う死亡が従来の口腔ケアしかおこなっていない群に比べて50%減少する。
・口腔ケアの施行方法
1.毎食後歯ブラシで歯磨き(看護師、介護士による)
2.歯磨き後に1%ポピドンヨードにて咽頭の清拭
(イソジンガーグルは、7%溶液)
3.1週間に1回、歯科医or歯科衛生士によるアセスメントを行う。
誤嚥例(VF検査直後)
気管支がバリウムで造影されている
誤嚥すれば必ず肺炎になるというわけではない
口腔内の細菌を誤嚥することが原因
5)嚥下障害の薬物療法
・ACE阻害薬(特にタナトリル):肺炎を1/3に減らした。
・カプサイシン?(赤唐辛子辛み成分)
・ドパミン関連薬剤:塩酸アマンタジン(シンメトレル)
・半夏厚朴湯
・シロスタゾール(肺炎を、半分に減らした。)
市中肺炎に対する抗菌薬
スイッチング
1.発熱などの臨床症状が改善
2.白血球数の正常化
3.経口摂取ができるようになる。
が認められれば、内服薬に変更
しかし、必ずしも成功するわけではない
入院時の栄養状態(アルブミン)が関与
嚥下障害への包括的アプローチの手順
1.少しでも嚥下障害が疑われる場合には、速やかに客観的な嚥下評価を行う。先生は、VF検査をベストだと考えている。さらに詳しく見るには、VEを。VEは、鼻から内視鏡を入れているので、必ずしも生理的ではない。
2.VF、VE施行中に安全に食べられる方法を見つけて、実際に病室で食物を少しでも経口で食べていただく
3.嚥下訓練を継続しながら、VF、VE検査を
4.食形態を段々に上げていく。栄養評価のために、NST介入必要。
5.肺炎起こすと、嚥下訓練は断絶するので、肺炎を起こさないために、徹底した口腔ケアが重要
6.薬物療法
嚥下障害のアプローチには、看護師、介護士、歯科衛生士、栄養士、放射線技師、理学療法士、言語聴覚士、ケースワーカー、医師らによる連携が不可欠。
ACE-I(タナトリル)により、3ヵ月後、VF検査にて嚥下機能が改善
ACE-I(タナトリル)による高齢者肺炎の予防
→1/3に減少
とても有意義なご講演でした。