第13回 備後糖尿病フォーラム
教育講演 (19:00~19:30)
『 糖尿病の3大合併症と大血管障害の違い 』
演者 Tクリニック副院長 F先生
特別講演 (19:30~20:30)
『 糖尿病治療のパラダイムシフト 』
演者 O大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学教授 I先生
先生は、前勤務先の時に、治療戦略を変え、アクトス使用量を増やした。
パラダイムシフト
糖尿病の3大合併症は、腎症、網膜症、神経障害だが、その前に心血管系事故を起こしてしまう。
糖尿病は、虚血性心疾患の重要な危険因子
Diabetes=2~4×IHD risk
従来のSU薬を中心とした治療により、心血管系事故を減らせるか!
ミクロ:増殖性変化(ゆっくり)
大血管障害の原因は、プラーク破綻と血栓性閉塞
プラーク破綻は、炎症に伴う線維性皮膜のひ薄化により生じる
糖尿病のコントロールを良くする
血圧を下げる
厳密な血圧管理させると、合併症を抑制できる。(UKPDS)
糖尿病患者は、血圧130/80を目標、厳格な降圧
ARBによる降圧は、従来療法でHbA1cを低下するよりも、心血管系事故を低下する。
(Challengeスタディ)
従来の糖尿病治療よりも、
スタチン、ACE-I、ARB、バイアスピリンの方が、
糖尿病患者の心血管系事故の予防に有効
アクトスは、血清脂質プロファイルを改善する
アクトスは、小型脂肪細胞の分化を促進し、大型脂肪細胞のアポトーシスを促進する。
(アクトス投与後の体質改善に、3~4ヶ月かかる)
PPARγアゴニスト(TZD)の作用
アクトスは、プラーク安定化作用を有する抗炎症作用
PROactive試験
心血管疾患合併のハイリスク2型糖尿病症例におけるアクトスの心血管イベント抑制効果
アクトスは、心血管系事故の二次予防に有効
1回の心血管系事故の裏には、多くの動脈硬化病変がある。
CHICAGOスタディ(一次予防)
SU剤 VS アクトス
SU剤:インスリン分泌を促進
アクトス:血中インスリン濃度を低下させることができる
インスリンは、細胞増殖因子である。
過剰なインスリン、Cペプチドは、平滑筋細胞の増殖を促進する
空腹時の高インスリン血症は、冠動脈病変の重症化に関連
CHICAGOスタディ
アクトス VS アマリール
→IMT増加をアクトスは抑制した
冠動脈プラークの退縮を図る
アマリール VS アクトス
アマリール:空腹時インスリン↑
アクトス:空腹時インスリン↓
→アクトスは、プラーク体積を↓
糖尿病症例には、インスリン抵抗性が必ずある
AMI症例のCCU搬送時診断
糖尿病31.1%、IGT35.4%
労作狭心症の一例:高インスリンで高血糖
IGTは、糖尿病の前段階?
2型糖尿病自然史
IGTみつけて治療介入を
付加試験でなければ、見逃す可能性が高い
SU薬は、SMの女王様のように、膵β細胞をたたく(例え)
SU薬は平均的に血糖値を下げる
低血糖になるので、食べ、太ってくる
SU剤の欠点
・低血糖のリスク
・SCDの原因
・早期介入できない
・β細胞が疲弊する
・食後高血糖が解消されない
アクトスで糖尿病の本態を治療する
アクトスは、HDL-Cを上昇させる
ACT NOW
アクトスが、IGT患者の2型糖尿病の発症を抑制
IGTから、42%が正常型に。
アクトスで体重が増える
・内臓脂肪が増える?
・浮腫=心不全?
アクトスによる肥満は、皮下脂肪の増加によるものである。
Epicardial fat pad
心臓脂肪は、心エコー検査で右室前面にecho free spaceとして認められる。
高リスクの内臓脂肪
女性、肥満、糖尿病で肥厚
心臓脂肪の厚さは、腹部内臓脂肪と相関
冠動脈硬化に関連し、ダイエットによって減少
アクトス投与で、心臓脂肪厚は19.6%有意に減少
NASHへのアクトス投与による肝脂肪量の減少
アクトスは、ALTを低下させる
アクトス投与で、血中FFA↓、皮下脂肪↑
PROactiveでは、アクトス群の心不全発症率がプラセボ群より多いことが報告されたが、心不全による入院後の死亡には有意義がなかった。
→心不全の定義に下腿浮腫を入れていたことの影響
アクトスによる浮腫は、腎臓におけるNa再吸収亢進によるもの
Na過剰摂取で生じる下腿浮腫を心不全と診断した可能性あり
ただし、Na過剰摂取によって心不全発症する症例は存在
AHA/ADAの勧告
・NYHAⅢ、Ⅳの心不全:アクトスを投与すべきでない。
・LVEF<40%:アクトスは慎重投与
心筋梗塞患者で、LVEF<40%となるのな、18.1%
→心筋梗塞患者でも、5人に4人はアクトス使用可能
アクトスとメトホルミンの違い
アクトスは、血中インスリン濃度を低下させる。
メトホルミンは、血中インスリン濃度を上昇させない。
食後高血糖を改善する。 DECODA試験
αーGI VS グリニド
血糖上昇とインスリン上昇のタイミングを合わせる
αーGI使用例は、和食(炭水化物)を
グリニドは、養殖でも和食でも
糖尿病治療のコペルニクス的転換
アクトス first
ビグアナイド、αーGI、グリニドを加えていって
SU剤 last
循環器医からみたアクトスの利点
・低血糖なし
・早期介入可能
・インスリン血中濃度を低下させることができる
馬車馬の例え 「ガンバレ」から「楽になった」へ
・心不全治療:強心薬から利尿薬、ARBへ
・糖尿病治療:SU薬からアクトスへ
アクトスの浮腫対策
・塩分制限
・アクトス半量投与
7.5mg朝or15mg隔日投与
・サイアザイド系利尿薬アルダクトン
・SU剤を減量or中止
SU剤使用中の症例では、
・HbA1c>7.0
→男性15mg、女性7.5mgでアクトスを開始
・HbA1c<7
→SU剤を半減or中止して、男性15mg、女性7.5mgでアクトスを開始
・アクトスの効果判定は、6ヶ月待つ
・アクトス開始前に空腹時血中インスリン測定
ということで、循環器内科医の立場からみた糖尿病治療ということで、大変有意義なご講演でした。
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