第359回福山地区内科会学術講演会
■ 演題 「腎臓病をいかに早期に診断し治療に繋げるか」
■ 講師 T大学大学院医学系研究科附属創生応用医学研究センター トランスレーショナル医学研究分野教授 M先生
高齢化、糖尿病など生活習慣病の増加とともに慢性腎臓病(chronic kidney disease,CKD)患者が急増している。2007年日本腎臓学会慢性腎臓病対策委員会からの報告では、GFR(糸球体濾過量:Glomerular filtration rate)60ml/min以下の推計数(20才以上)は約1900万人強に至り、人口の18.7%に至る。現行の検尿や採血(血清クレアチニン)では腎臓機能を評価することは難しいので、これら患者は見過ごされている。最近では積極的にGFRを予測し、早期からの腎機能低下をいち早く検出する必要が指摘されている。 (抄録)
世界の人工透析患者の5人に1人は、日本
日本人の480万人は、GFR50未満。 腎機能低下の疑い(学会が推計)
(2005年6月24日朝日夕刊)
約2000万人は、GFR60未満
日本のCKD患者数(eGFR<60、20歳以上で推計数。)
は、約1926万人。人口の18.7%
(2006年6月第49回日本腎臓学会学術総会)
背景には、高齢化、生活習慣病
●Topic1:腎機能早期診断について
Q.採血で、腎機能は評価できますか? Cr1.0は正常ですか?
(血尿、蛋白尿は、腎臓の機能を評価するものではない。)
Cr1.0、体重50kg、80才女性は、CCr40
→NSAID、造影剤で腎機能悪化に注意
ポイント:血清Cr値は、早期腎機能低下の把握には役立たない。
GFRの推測が臨床的には重要!
(原因が何であれ、あらゆる腎障害は、糸球体濾過の機能が落ちる。)
腎血流量と尿量の関係
CO 心拍出量 5L/min
×0.2
RBF 腎血流量 1L/min
×0.5
RPF 腎血漿流量 500ml/min
×0.2(FF濾過率)
糸球体濾過量 GFR 100ml/min
クレアチニンクリアランス(24時間蓄尿)の問題点
・面倒くさい
・患者がしっかり蓄尿しない
・腎機能低下に伴い、過大評価になる。(もともと不正確な検査で、腎臓内科医もやってない。)
Q.血清Crから、簡単にGFRを推測できるか?
今年5月の日本腎臓学会総会で数式発表予定
2006年N.E.J.
蓄尿の時代は終わった。血清Crから、GFRを評価しよう
日本人版GFR換算式
Crは、酵素法の値をそのまま用いる
女性は、×0.739(女性係数)
学会ホームページに計算するソフトあり
製薬会社のGFRカリキュレーターが便利。10秒で結果がでる。
(厳密には、今年発表の式ではないが、これでO.K.)
先生の大学では、Cr、eGFRが、自動的に出てくる。
2、3年後にはeGFRが直接出る時代に
CCr(24時間蓄尿)VS eGFR
先生の患者163人では、eGFRとCCrは相関。
GFR60以下では、きれいに相関。
(もともとこの式は、GFR<60で、正確)
CKDの定義
CKDのステージは、GFRの値から
ステージ3~5は、eGFRでわかる
ステージ4、5は、Cr上昇でわかる
Crではこれまで3期がわからなかったが、eGFRにより、3期の患者を見つけることができる。
CKDは、CVD、死亡、入院の独立した危険因子
心腎連関
eGFRの臨床的有用性
・NSAIDs、造影剤投与時
・心血管系危険因子の予測
・腎臓排泄性の薬物投与量決定
●Topic2:治療についての現在の基本的な考え方:糸球体高血圧、ARB
重要:糸球体高血圧の概念
糸球体病変(原疾患にかかわらず)
↓
糸球体濾過面積(GFR)の減少
↓
単ネフロン濾過量(SNGFR)の増加
↓
糸球体高血圧の発症
糸球体高血圧による構造と機能の障害
Important
原疾患に関わらず、GFR低下に伴い生じてくる2次的な血行動態、形態、機能異常の進展をいかに阻止する?
重要:糸球体高血圧の治療
降圧療法
RA阻害薬
血糖コントロール(糖尿病例)
代謝症候群の改善
GFR<60→ARB
DOIT3
(2型糖尿病合併症を30%抑制する介入方法の研究)
目標は、
BMI<22
HbA1c<5.8
SBP<120、DBP<75
LDL-C<80
DOIT3で推奨されている血圧のコントロール
(3~6ヶ月で、120/75を目標)
ステップ1:ARB or ACE-Iを最大用量
ステップ2:Ca拮抗薬を追加
ステップ3:利尿薬、βブロッカー、αブロッカーを順に追加
増加する末期腎不全の背後には、膨大な予備軍が存在
腎専門医以外を受診している。
これらをCKDとして捉え、対応する必要あり
Crは、すぐに上昇しないので、早期腎機能評価に適さない
CrからeGFRを推測し、早期腎症患者を発見
高血圧、肥満、代謝症候群の除去(予防)
糸球体高血圧
→降圧(ARB)
血糖管理(糖尿病の場合)
質問コーナー
・若い方で、eGFR50以下を見逃すな
高齢者でeGFR低下の人を治療するかどうかは、今後の課題
ということで、とても有意義な講演会でした。
講演の詳細な内容のレジメの配布もありました。
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