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2008.02.28 23:46 |  講演会  |  血液疾患  |  ちんすけ  | 推薦数 : 3

2/28多発性骨髄腫講演会

第30回備後血液疾患研究会

Ⅰ 情報提供  (18:45~19:00)

Ⅱ 会長挨拶

Ⅲ 特別講演
-骨髄腫の臨床-「診断と治療方針の決定」
K大学・血液内科教授  S先生

 

有意義でした。

多発性骨髄腫は高齢者に多く見られ、通常の化学療法では治癒が得られない難治性造血器腫瘍である。日常臨床の場でしばしば見逃され、骨病変のため寝たきりになったり、血液透析導入時に発見されることも稀ではない。しかし化学療法や造血幹細胞移植である程度の延命が得られるが、原則として生存曲線はプラトーとならない。また早期に治療を開始しても平均生存期間の延長は得られないことも判明している。したがって正確な診断と共に、治療すべき患者、時期を判断することが重要である。多発性骨髄腫の概要と診断、治療開始のための病期分類について概説したい。 (抄録)

・形質細胞が腫瘍化
・高齢者
・通常の化学療法では、治癒が得られない
・悪性腫瘍の死亡割合の1%(男女とも)

造血器腫瘍の死亡率の推移
CML↓
急性白血病↓
悪性リンパ腫~
多発性骨髄腫↑

年齢別罹患率
・圧倒的に高齢者に多い
・40歳以下は、極めてまれ

化学療法か造血肝細胞移植である程度の延命が得られるが、生存曲線はプラトーとならない治らない疾患

日本骨髄腫研究会登録症例の生存曲線(1292例)
50%生存率は、3.3年

化学療法と移植で、多少は延命えられるが、

早期に治療開始しても、平均生存期間の延長は得られない。

早期発見し、MP療法の早期治療しても、生存曲線に変化はない。

正確な診断とともに、治療すべき患者を判断することが重要

I.定義
多発性骨髄腫は、形質細胞の単クローン性腫瘍

・腫瘍による臨床像
・M蛋白、サイトカインに起因する臨床像

Ⅱ.疫学

60才代ピーク
40歳未満まれ

診断年齢の中央値
男性65才、女性67才

年齢階層別予後は同じ

男女差あり。女性は、予後多少いい

10万人あたりの死亡数は増加

臨床像

1)骨痛:腰背部痛

初診時の8割に骨病変あり

病的骨折約25%
圧迫骨折約50%

2)貧血

20%は、Hb12以上、80%に貧血あり

進行がゆっくりで、Hbの値ほど自覚症状なし

3)腎障害

BJP型、IgD型:発見の遅れ(10~15%)

4)高Ca血症

高Ca血症が初発症状となるのではない

まずは、骨痛を訴える患者が多い

検査所見

末梢血

貧血

Durin & Salmonの病期診断にも、貧血の程度のみが採用されている

白血球は、60%正常
血小板は、60%正常

赤血球連銭形成

骨髄
骨髄有核細胞における形質細胞の比率は診断上重要
診断:10%以上
10~30%、新診断基準でも、10%
(他の造血器腫瘍と違い、採取部位により異なる。)

骨髄腫細胞の割合が高いと予後不要

M蛋白
電気泳動でM蛋白

IgGタイプ
IgAタイプ
IgDタイプ
BJPタイプ

免疫電気泳動でM蛋白を最終確認

血清:Tp&Glb高値の頻度が多い。
尿:Tp&Glb低値のBence Jones型が見逃されることあり

BJPタイプ
全骨髄腫の15~20%

尿蛋白±(主にアルブミン測定)
尿蛋白定量200mg/dl(アルブミン以外も測定)
とギャップあれば、アルブミン以外の蛋白がたくさんあるということ

尿蛋白定性、蛋白定量
±     30未満
+     30~100
2+    100~300
3+    300以上

形質細胞性類白血病反応

M蛋白
微量M蛋白の検出には、免疫固定法が有効
(日本の日常臨床には、そぐわない。)

・M蛋白以外の免疫グロブリンの定量

・M蛋白の型での頻度
IgG 59%
IgA 21%
BJ 15~20%

M蛋白の型による予後
IgG型は、他のタイプよりはいい

生化学検査
アルブミン:低いほど予後悪い
LDH、Ca、Cr,β2MG:高いほど予後悪い

新病期分類(SWOG)
(β2MG、アルブミンで)

骨病変

(1)多発性骨打ち抜き像
Punched out lesion

(2)骨粗しょう症、圧迫骨折

(3)骨皮質膨隆型(tumorで骨を押し上げる)

(4)骨転移症例、(5)骨硬化型 (4)(5)はまれ。

多発性骨髄腫における多彩な病態

免疫表現型
CD19-、CD56+:骨髄腫の64%
CD19-、CD56-:骨髄腫の33%

染色体遺伝子
通常の方法では、metaphaseが得にくい

診断基準
・SWOGの診断基準
・新国際基準

鑑別すべき疾患

(1)MGUS
1%/1年で、悪性に移行。進行遅い。
M蛋白以外の免疫グロブリンの抑制があるかどうか?
確信もてない場合、1~2ヶ月経過観察
リスクファクター
1.Mプロティン>1.5g/dl
2.nonーIgGsubtype
3.abnormal FLC ratio
リスクが多いほど、多発性骨髄腫に移行しやすい

病期分類(Durine & Salmon)
問題点:ステージ1と2が重なってしまう

新病期分類(ISS)
1,2,3と層別化できる。(日本では、ステージ2と3が重なってしまう)

新病期分類(SWOG)
問題点:ステージ3,4が区別できない。

現在は、病期分類を併用して使用。

治療開始
Durine & SalmonのⅡ、Ⅲ
Iは、経過観察

Ⅱ、Ⅲで≦65才、Ⅱ、Ⅲで>65才
    ↓        ↓
幹細胞移植orMP  MP
    ↓  ↓    ↓
     サルベージ治療

生存曲線がプラトーになるような治療が出てくるようなら、早期治療開始が重要となる。

治療法、選択肢は増えた。

新規治療で確実に予後は改善している。

治るか?治らないか?   No

慢性疾患(?)として、患者も医療者もうまくつきあう。

経過観察を含めた治療方針を、個々の患者にうまく使う

ということで、とても有意義な講演でした。

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