第350回 福山市医師会循環器病研究会
<製品紹介>
<特別講演>
「心血管病の新たな危険因子~腎臓からの警鐘~」
K大学腎臓内科教授 K先生
1.生活習慣病診療において腎障害(CKD)は何を意味するか
2.慢性腎臓病(CKD)の成因は何か?
一般患者の9.2%、高血圧患者の35%、心不全患者の75%にCKD
3.慢性腎臓病(CKD)への対策
心血管イベントを抑制するために何ができるか
4.なぜ生活習慣病が増加しているのか?
GFR<60の心血管障害のリスク
脳卒中2倍に
CASE-J
心血管イベントの発現に影響した因子
・腎疾患関連危険因子は、ハザード比2.95
・CKDが最大の心血管危険因子である。
CKDの定義
1.腎障害の存在 -特に尿蛋白の存在が重要ー
2.GFR<60
1,2のいずれか又は両方が3ヶ月間以上持続
心血管病・腎不全の危険因子
・eGFR<60
・蛋白尿、アルブミン尿
CKD発症のリスク因子
・加齢
・血圧上昇(130/80以上)
・耐糖能障害、糖尿病
・肥満、BMI増大
・脂質代謝異常
・喫煙
重複するとリスクはさらに高まる。
最近は、IGTの段階から、既にアルブミン尿と言われている。
CKDは誰が診るのか? かかりつけ医
CKDに最初に気付いたのは、循環器内科医
腎専門医へ紹介するタイミング
1.尿蛋白2+以上
2.eGFR50未満
3.尿蛋白、血尿ともに+
1,2:将来腎不全になるリスク
3.IgA腎症のように、治療により寛解する病気があるため
高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満、加齢がCKD発生のリスクとなるのは、なぜか?
内圧は一定 ~50mmHg
輸入細動脈 自動調節能
筋原反応
尿細管糸球体 Feedback
交感神経活動
糖尿病腎糸球体
輸入細動脈拡張←高血糖の
輸出細動脈収縮←直接作用
正常では、自動調節能が働き、糸球体内圧一定だが、
高血糖、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、インスリン抵抗性があると、自動調節能が破綻し、全身血圧依存性糸球体高血圧となる。
糸球体高血圧を来しうる疾患
○輸入細動脈拡張
・高血糖
・高タンパク食摂取
・肥満
・高インスリン血症
・ネフロン数減少(低出生体重)
○輸出細動脈収縮
・RAS活性化
・インスリン抵抗性
・交感神経活性化
糸球体血圧を知りうるか?
→アルブミン尿が、糸球体血圧を反映する。
アルブミン尿を見る(動画)
正常 肥大糸球体
再吸収の閾値を超えたものが、アルブミン尿として出てくる。
アルブミン尿と蛋白尿は異なる。
アルブミン尿は、経度の蛋白尿ではない。
・質的に異なる
・出現機序が異なる。(アルブミン尿:内皮障害、蛋白尿:上皮基底膜障害)
・臨床的意義が異なる。(アルブミン尿=心血管病リスク、蛋白尿=心血管病+腎不全リスク)
微量アルブミン尿は、微量ではない。
さらに微量から心血管病リスクが上昇
アルブミン尿の程度による心血管病予後(HOPE試験)
→微量アルブミン尿の前段階からイベント増加
1.生活習慣病診療において腎障害(CKD)は何を意味するか
→心血管病の強力な危険因子である。
2.慢性腎臓病(CKD)の成因は何か?
→生活習慣病、メタボリックシンドローム等から、糸球体高血圧に
3.慢性腎臓病(CKD)への対策
→糸球体降圧療法
糸球体降圧療法
1.降圧 130/80未満
2.RAS阻害薬の使用
3.タンパク摂取量の適正化
4.体重適正化(内蔵肥満の改善)
5.糖代謝異常、インスリン抵抗性の是正
降圧目標
糖尿病、CKD→130/80未満に
Ca拮抗薬について考える
Ca拮抗薬
L型Caチャネルをブロックする。
L型Caチャネルは、上流にあり、下流にはない。
Ca拮抗薬投与により、輸入細動脈拡張、輸出細動脈収縮
Ca拮抗薬投与で、糸球体血圧上昇の可能性あり
SMART
血圧コントロール別にみた尿中アルブミンの経時的変化
アムロジピン使用で、血圧140くらいに下げると、アルブミン尿↑
血圧120以下にするとアルブミン尿増えない
Ca拮抗薬の強さに隠された宿命
Ca拮抗薬は、腎保護を苦手とする。
この課題を克服したCa拮抗薬が開発された
それが、カルブロック
カルブロック
1.交感神経活性化を抑制
2.抗酸化作用=NOの回復
カルブロックは、心拍数を下げるが、アムロジピンは、心拍数を上げる。
腎臓に対する交感神経の関与
他のCa拮抗薬
輸入細動脈拡張、輸出細動脈収縮→糸球体血圧上昇
カルブロック
輸入輸出細動脈とも拡張→糸球体血圧安定
慢性腎疾患合併高血圧患者に対するカルブロックの効果
・カルブロック:心拍数↓、尿蛋白下がる
・アムロジピン:心拍数↑、尿蛋白下がらない
カルブロック
Ca拮抗薬の宿命であった交感神経活性化を抑制
交感神経系を活性化しにくいアテレックもそう。
しかし、効果の差あり。
降圧力:アテレック△、カルブロック◎
作用持続時間:アテレック△、カルブロック◎
L型Caチャネル抑制:アテレック△、カルブロック◎
Ca拮抗薬の世代別分類
第3世代(a)長時間作用型のアムロジピン
第3世代(b)長時間作用型+付加価値のカルブロック
糸球体降圧作用を有するARB
腎保護を目的としたARBの使用を
1.用量設定
2.開始時期
3.いつまで使うか
ロサルタンの蛋白尿抑制効果
腎障害合併高血圧
オルメテック20処方
↓
血圧130/80
蛋白尿+なら
↓
ARB増量オルメテック40に
高用量のARBにより寛解を期待しうる
十分量のARBの投与により、組織学的回復を期待できる。
BENEDICT研究
RAS阻害薬は、糖尿病腎症の発症を抑制しうる。
腎を守るためのARB
早期から
十分量を
長く使う
ARBに関する誤解
・臓器保護薬だから、降圧力弱くてもよい
・臓器保護効果を期待して、少量を使用
CASE-J
ARBは、使えば使うほどいい。
CCBとARB
カルブロックは、心血管病リスクの基礎値を下げる。
オルメテックは、リスクの原因となる臓器障害を改善。
役割が異なる。
・目前の危険回避(脳卒中、心筋梗塞)には、CCBが必要
・臓器障害の予防・修復にはARB有効
軽度肥満でなぜ日本人は糖尿病になりやすいか
→人種差である。
先生は、イギリスでそのことを考えた。
The double puzzle of diabetes
人種差、肥満の程度は関係ない
なぜか?
50年間程度で急速に肥満の進行した地域で、急増している。
(肥満先進国イギリスでは、わずか2%)
ベテラン肥満→糖尿病2%
初心者肥満→糖尿病7~12%
ベテラン肥満:糖尿病2%
英国、ドイツ
初心者肥満:軽度肥満で、糖尿病発症。ARBの効果が期待できる。
日本、アジア、黒人、米国白人。糖尿病は、8~40%
数10年(世代単位)の環境変化
Genotype変化では適応できない。
世代間の環境変化に対する適応的変化
胎児サイズ、細胞数が、母胎の栄養状態の影響を受ける。
心筋細胞、膵β細胞、ネフロン数
胎児は、生後の環境に最適化され、出生する。
→想定外の生後の環境変化に総合
現在の中高年世代が出産した時期の栄養状態
出生時体重は減少しつつある。
ということで、有意義な講演でした。
固定リンク