ASTHMA SYMPOSIUM 2007 in FUKUYAMA
「気管支喘息治療の今後の展開
PROGRAM
製品紹介 19:15 ~ 19:30
特別講演 19:30 ~ 20:30
「喘息ガイドライン2006と吸入ステロイド薬の有用性」
講師:S研究所代表 T先生
有意義でした。
喘息の基本病態
気道炎症
重症度別の喀痰中好酸球
ステップ1から有意に好酸球増加
喘息患者の気道炎症は、中枢気道でも末梢気道でも起こっている。
軽症でも気道リモデリングが認められる。
重症になるほど、基底膜の厚さ↑(2000Lancet)
喘息>咳喘息>健常人
気道炎症
・中枢気道Large airway→症状(+)→QOL質問票でわかる
・末梢気道Small airway→症状(-)サイレントゾーン→呼吸機能検査でわかる
喘息治療の基本的な考え方
喘息の増悪因子の排除
軽症喘息患者から気道炎症を抑制する
症状を消失させる治療を行い、その後症状を予防する抗炎症治療を継続する
吸入ステロイドの抗炎症効果
血中好酸球数:プラセボ>ロイコトリエン薬>吸入ステロイド
ステップ2以上の第一選択薬は、吸入ステロイド
喘息治療の基本
プライマリ医療機関を受診する全ての喘息患者は、持続性喘息
→早期から吸入ステロイドを第一選択薬とした抗炎症療法による継続的な治療
喘息症状とは、呼吸困難だけではなく、咳や痰、胸苦しさなども含まれ、こうした症状も改善する必要あり
喘息治療の現状
吸入ステロイドの普及とともに、喘息死亡数は減少している。
成人も小児も、日本は、外国に比べ、吸入ステロイド使用頻度が少ない。
日本の軽症患者は、欧米と比較して、コントロール状況が不十分
(ステップ2で比較)
軽症であっても、喘息死の可能性あり
東北6県の喘息発作死は、軽症21%、中等症45%、重症34%
(1992-2001年)
日本の喘息死は、吸入ステロイドの普及とともに減少
↓
しかし、他の先進諸国に比べ、吸入ステロイドの普及が遅れ、軽症でも喘息死あり。
↓
軽症喘息でも、early intervensionが必要
ステップ1・2、3、4の各吸入ステロイドの推奨用量は、
キュバール、フルタイド、オスベルコは、
100~200、200~400、400~800
パルミコートは、
200~400、400~800、800~1600
アドエアーは、
200、500、1000
最小有効量での効力比較:パルミコートVSフルタイドディスカス
パルミコート:フルタイドディスカスの効力比=1:1~1.5
→パルミコートの1日吸入量は、フルタイドディスカスの1.5倍量を選択すればよい。
Early Interventionの論文は、Pub Medを用いて検索すると、パルミコートのものが多い。
パルミコートによる早期からの継続治療は、多くの喘息患者にとって有効な治療法
吸入ステロイドの副作用は全て同じである→誤った考え
副作用の有無をEBMとして、発表することが責務である。
製薬会社の責務:安全性のEBMを確立
医療者側の責務:安全性の確立した吸入ステロイドを選択
パルミコートは、妊婦投与への影響が少なく、安全性の高い吸入ステロイドである。
FDAにおける妊婦への安全性ランクは、吸入ステロイドで唯一カテゴリーB(最も安全性の高い吸入ステロイド)
FDA薬剤胎児危険度分類によると、
カテゴリーB
ブデソニド、テルブタリン、DSCG、ザフィルルカスト、モンテルカスト
カテゴリーC
フルチカゾン、BDP、フルチカゾン/サルメテロール配合剤など
パルミコート長期投与と小児の成長
→パルミコートは身長の伸びには影響しないと証明された唯一の吸入ステロイド
パルミコートは、有用な治療法でもある。
パルミコートは、患者負担が少ない吸入ステロイド
次にオスベルコが安い。
キュバールは、かなり高い。
フルタイドはその中間。
アドエアーは、高い。
パルミコートは、有効性、安全性、早期治療、コストのEBMから、吸入ステロイドの第一選択薬
現在のEBMからは、パルミコートが第一選択薬
吸入ステロイド用量からみたステップ分類
先生の処方割合
パルミコート 80.4%
フルタイド 9.8%
キュバール 7.3%
吸入ステロイド(-) 2.2%
吸入ステロイドの認可状況
1978 BDP-CFC
1998 フルタイド
2002 パルミコート、キュバール
2006 パルミコート吸入懸濁液
(フルタイドが早く市場に出たために、好んで使われる傾向あり)
吸入ステロイドか、配合剤のアドエアか?
アドエア1剤で喘息のコントロールが可能
→喘息治療はシンプルになる。
その根拠は、GOALスタディ
GOALスタディでのコントロールの定義
(GINAの喘息治療目標を参考に作成)
GOALスタディでは、気道炎症や末梢気道の評価は全くしていない。
全ての使用患者群において、アドエアによるステップアップは、吸入ステロイド単独によるステップアップに比べ、コントロール達成率が高い。
しかし、配合剤でも70%は到達していない。
→1剤でコントロールできるというのは間違い
吸入ステロイドの平均粒子径
キュバール 1.1
パルミコート 2.6
フルタイドディスクヘラー 5.2
フルタイドディスカス 5.2
気管支喘息の末梢気道炎症に対するブデゾニド吸入による抑制効果
→症状が安定している喘息患者に対して、フルタイドからパルミコートへの切り替えで、末梢気道の炎症が改善した
吸入ステロイドによる副腎機能への影響
・フルタイドは影響が強い
(フルタイドは末梢気道には到達していないのでは?)
SMARTスタディにおける有害事象の発現頻度
喘息関連死亡:サルメテロール:プラセボ=13:3
(相対危険度4.4)
SABA(サルタノール)に対する抵抗性(4週間投与)
パルミコート>フルタイド>シンビコート>アドエア
パルミコート、フルタイド、シンビコードは、アドエアに対し、有意に高い
Masking of Airway Inflammation
サルメテロール50μg×2/日 VS プラセボ
増悪した前の日の誘発喀痰中の好酸球は、20% VS 10%
→サルメテロール群の方が、より重症の喘息発作になると推測される。
ステロイド薬とβ2刺激薬の相互作用
軽症喘息患者における吸入ステロイドの効果
パルミコート200 VS シンビコート(パルミコート200+ホルモテロール)
→効果に差はなかった。
→軽症患者では、パルミコート単独で十分な効果
アドエアに対する私の評価
・固定用量であり、用量調節できない
・剤形変更のステップダウンは、ステロイドの用量だけ
・フルタイド、セレベントの副作用は解決されてない
・早期治療介入の薬剤に相応しくない。
・吸入ステロイドとLABAの2剤形で、コンプライアンスの悪い患者には適する
喘息症状に応じた治療
→固定用量による治療ではなく、用量調節によるステップアップ、ステップダウン治療
喘息治療戦略
まず、悪化因子の除去
↓
パルミコート800μgで治療開始。長期管理のベース薬に。
正しい吸入手技の確認を
↓
①3か月症状安定なら、400~600μgにステップダウン
②重症例、コントロール不良なら、気管支拡張薬、ロイコトリエン薬追加
→②でもコントロール不良なら、パルミコート1600μgに変更
質問コーナー
1)パルミコートが既になくなっていても、振ると乾燥剤の音がして、まだあると思っている患者さんがいるので、注意
2)末梢気道の評価は、Vドット50、Vドット25、NOで
3)初回の呼吸機能検査では、正常でも、可逆性をみる
下に凸型は、できるだけ、吸入ステロイドを継続させる。
4)先生の吸入ステロイドの使い分け
・第一選択薬が、パルミコート
・使いやすさは、フルタイド
・フルタイドディスカスは2回吸わないと全部吸えない
・妊婦さん:EBMとしては、パルミコートだが、他の吸入ステロイドもおそらくO.K.
・授乳婦:アドエア、フルタイドは、授乳中には×
5)パルミコートの回数
・1600なら、朝2、昼2、夕2、夜2で
・800なら、朝2、夕2でよい。
・400なら、夜2でもO.K.
ということで、有意義な講演でした。
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