18時半より松永沼隈地区医師会学術講演会
情報提供後、特別講演
演題:「見落としやすい肺ガンと診断のコツ」
講師:K大学胸部心臓血管外科教授N先生
とても有意義なご講演でした。
1980年以降、癌が死亡原因の1位
2人に1人は、一生に1回癌になり、
3人に1人は、癌で死亡。
肺癌
診断された人70619人/年(2001年)
亡くなった人62061人/年(2005年)
9分に1人、肺癌で亡くなる。
2020年の肺癌予想は、14万人/年
がん対策基本法(平成19年4月1日)
治療成績:日本は世界でトップクラス
1999年の13344例における5年生存率は、
IA 83.8%
IB 66.4%
ⅡA 60.1%
ⅡB 47.2%
ⅢA 32.8%
胸腔鏡手術は、IA期の患者に
4~6cmのaccess incision一ヶ所と、1cm程度のportが2~3ヶ所
胸腔内捜査は、開胸と同じ(ビデオ供覧)
メリット
・傷が目立たない
・痛みが軽い
・上肢の運動制限少ない
・早期退院、早期社会復帰
・術後の呼吸機能良好
胸腔鏡手術は、呼吸機能にやさしい。
侵襲の少ない胸腔鏡手術ですむためには、早期発見が重要
見落としやすい肺腫瘍とは
1.胸部単純レントゲンでは、見えにくい部位に存在する
2.炎症性病変と紛らわしい所見や長い経過
3.そもそも胸部単純レントゲンでは、見えない、写らない。
1.
肺野は、胸部単純レントゲンでは、7割しか写らない。
左右の比較
骨と重なる部分
シルエットサインに注意(下行大動脈、気管の辺縁が完全に追えるか)
過去のレントゲンとの比較
2.
症例:9年間フォローされていた癌
症例:4年間フォローされていた癌
症例:CTで5年間フォローされていた癌
高分化腺癌
細気管支肺胞上皮癌
極めて経過の遅いslow growingなものがある。
数年前からあるというだけで、癌は否定できない。
見落とさないためには、
・CTを撮る。
・過去のフイルムと比較
・その時点で増大傾向なくても、慎重に経過観察を続ける
3.
偶然撮った胸部CTで発見される肺腺癌
CTで発見される微小肺癌の特徴
限局性のスリガラス陰影
腺癌の多段階発育モデル(WHO分類)
異型腺腫様過形成、前癌病変、AAH
↓
細気管支肺胞上皮癌、非浸潤性腺癌、BAC、早期肺癌
↓
腺癌、浸潤性腺癌
腺癌の発育と画像所見
AAH:スリガラス陰影のみ
↓
BAC:スリガラス濃度内に充実性部分を有する。
↓
腺癌:充実部分が増え、収縮機転が始まる
HRCTによる腺癌の分類
・スリガラス濃度が50%以上:非侵潤性、AAH、BAC、早期高分化腺癌
・スリガラスが50%未満:高分化~中分化腺癌
・ほぼ全域が充実型:扁平上皮癌、腺癌
スリガラス陰影がすべて癌というわけではない。
CTで、限局性のスリガラス陰影を見たら、
まず3ヶ月後に再検
・消退経口にある場合→炎症性陰影
・変化のない場合→腫瘍性陰影
3ヶ月後に消えないスリガラス陰影はすべて悪性か?
1)ようするに、淡い濃度だけで(内部に濃い部分がない)、径が1.5cm以下なら、前癌病変もしくは非浸潤性腺癌
→経過観察でも可(6か月ごと)
2)内部に濃い部分があるor径が1.5cm以上の場合
→腺癌。生検、手術勧める。
スリガラス陰影を呈する腺癌は、多発しやすい。(9%は多発)
→複数の病変があるからといって、炎症と決めつけるのは危険
まぎらわしい肺腫瘍
CTで発見される充実性陰影
症例:大細胞癌
症例:肺内リンパ節
末梢の小型充実性陰影は、大部分が良性
(しかし、悪性腫瘍の可能性もあるので、その鑑別が難しい。)
悪性腫瘍/炎症性腫瘤それぞれの特徴
・辺縁:不明瞭/直線的
・内部濃度:不均一/濃く、均一
・notch、胸膜陥入/強い胸膜の引きつれ
・なんとなく柔らかい印象/全体に硬い印象
症例
大細胞癌、過誤腫、器質化肺炎、炎症性偽腫瘍、肺扁平上皮癌
結局は鑑別が難しい
・CTで微小充実性陰影みつけたら、多くは炎症性病変なので、まずが経過観察
・ただし充実性の悪性腫瘍は発育速度が速いので、あまり悠長にはしていられない。1~2ヶ月後には再検。
・わずかでも増大傾向があれば、生検もしくは手術を
結局、
肺腫瘍を見落とさないためには、
・すみずみまで見る
・必ず過去の写真と比較する
・適切な経過観察期間
スリガラス陰影は、1か月では消えないことあるので、3ヶ月後に再検
肺癌診療におけるPETの話
PET-CTの威力
ガイドラインでは、FDG-PETはグレードB
PETの診断能:感度97%、特異度78%
ただし、2cm以下は診断能が低下
偽陰性:肺胞上皮癌、カルチノイド
偽陽性:感染症、炎症病巣
高分化腺癌は、偽陰性になりやすい。
炎症病巣は偽陽性になりやすい
症例:非結核性抗酸菌症
病期診断、リンパ節転移の診断に役立つ
ガイドライン:転移診断にはFDG-PETなど総合的に
肺門リンパ節には自然集積する。特に、じん肺、結核の既往には要注意
PET-CT
・診断、病期診断
・治療効果の判定、フォローアップ
・早期発見には適さない
・偽陽性、偽陰性あり
・けっきょくはCTの読影が最も大事
最後のまとめ
・注意深く読む
・比較読影
・フォローアップ
・
質問コーナー
1.非喫煙者でも肺癌になる。特に、女性の腺癌
2.CEAは、感度低く、早期肺癌で10%陽性、進行癌でも4割程度陽性なので、早期診断には役立たない。
腫瘍マーカーは、治療後のフォローに
ただし、proGRPは、小細胞癌で7割の感度
ということで、単なる画像診断の講演ではなく、フォローの仕方についても詳しく説明され、とても有意義でした。
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