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2007.06.13 17:43 |  診療  |  講演会  |  ちんすけ  | 推薦数 : 1

6/12インスリン講演会(岡山市)

19時5分より岡山インスリン療法研究会

●一般演題
「2型糖尿病患者において強化インスリン療法からインスリンリスプロ50注カートを含めて3回注射療法に変更した症例における有効性」
O医療センター 糖尿病・代謝内科医長 H先生

世界で増え続ける糖尿病患者
10秒に2人の糖尿病患者が発生し、10秒に1人が糖尿病合併症で亡くなっている。

HbA1cのコントロールで、細小血管症の合併症は防げるが、食後の高血糖も抑えないと、大血管障害はコントロールできない。

強化療法151名のアンケート結果
→打ち忘れしやすいインスリンは、寝る前で。20.5%
平均月3回(1年間では、約1ヶ月間打ち忘れ)

先生は、寝る前のインスリンをなしにすることで、血糖コントロールを良くできないかと考えた。

7例:Q5、Q5、Q5、N10→mix50 10、Q5、mix50 10というふうに、Nを朝、夕に振り分けた群
7例:Q6、Q6、Q6、N6→Q6、Q6、mix50 12というふうに、Nを夕に振り分けた群
両群とも、HbA1cが有意に改善し、両群の結果を合わせると、HbA1c、1,5-A,Gとも有意に改善。

日本人は、インスリン追加分泌能が少ないので、追加分泌の多いmix50が適している。

●教育講演
「バイオ創薬と将来の糖尿病治療」
O大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学 講師  W先生

前半は、日本では未発売、または、開発中の糖尿病関連のバイオ創薬の話。
後半は、先生が研究されているVaspinバイオ創薬の話。

●特別講演
「外来インスリン導入は何回注射で始めるのがベストか? 」
J大学医学部内科学 助教授  H先生

先生は、N病院に勤務されていたが、J大学教授のK先生にスカウトされ、2004年からJ大学に所属されているとのこと。
先生は、ドクターになってからの前半は、内分泌研究をされ、後半は、糖尿病に興味を持ち、臨床をされていると。

経口薬は処方しているのに、インスリンを常備している施設は、10施設に1施設もない。

インスリン療法の現況
・専門医の職人芸??
・基本は、入院で導入。外来では危険??
・糖尿病治療の最終兵器?1度始めたらやめられない??という誤解
・専門医も、「こんなコントロールなら、インスリンになるぞ!」とおどす。
→医療サイド、患者サイドの何れの側からも、インスリン療法の裾野は広がらない。

これから求められるインスリン療法
・専門医でなくとも始められるシンプルな方法
・生活時間に強い制約を与えない
・低血糖を極力起こさない。
・逆にインスリンにすることで、コントロールが悪くならないこと(やっとの決心で始めたインスリンでコントロール悪くなると、不満は予想以上!)
・食後高血糖まで改善する方法
・注射回数が少ない方法???

AED・EASDの奨励するインスリン導入コンセンサスは、
N or ランタス1回から開始し、だめなら、超速効を追加
2相性は、開始時、用量設定時には、推奨されない。
→はたしてそうだろうか?

JUN-LAN STUDYによると、
SU剤を含み経口血糖降下薬で、2次無効になった人を対象に、ランタスを上乗せすると、6か月で、HbA1cが、平均9.7→7.6%に改善。ランタスは、朝食前投与でも、寝る前投与でも、効果に差はなかった。
結果を解析すると、
HbA1c7%まで改善した人17人
HbA1c7%まで改善しなかった人27人
→患者背景に差はなかった。
改善群のランタス平均使用量は、9.4単位
非改善群のランタス平均使用量は、9.3単位だったので、途中より増量し、平均14単位に。それでも、改善しなかった。
→半年で、HbA1c改善しなければ、ランタス上乗せ療法は、あきらめる。
両群とも、FPGは改善したが、食後血糖値は、HbA1c改善群で、平均140、HbA1c非改善群で、平均191だった。
48週後のHbA1cでみると、HbA1c7%達成率は、わずか25%。
しかも、先生が考えるに、1回打ちを覚えた患者を2回、3回打ちに変更させるのは難しい。

これまでのインスリンのスタンダード治療は、
SU剤2次無効
   ↓
入院で、3,4回の強化療法
   ↓
2回打ちにして退院。以後、外来で。

最も日本で用いられているのは、混合型

LAPTOP Studyによると、
SU剤+ランタス vs 混合型2回打ちで差はなかった。

混合型2回打ちは、入院中(規則正しい食事と暇だから運動もする)は、素晴らしいレシピだが、退院すると、困ったことに。
1.昼食後、夕食後に運動できない
2.昼食を時間通り取れない。→反動により過食してしまう。
(夕食の場合も、夕食前に同様の状態となる。)
深夜の低血糖にも要注意
夕食後、寝る前の血糖値高いので、夕食前のインスリン増
→深夜低血糖に気付かず、さらにインスリン増量すると、深夜重症低血糖を起こす。

混合型2回は、入院に近い一定した食事と運動をされる方(定年後など)に適している。

なぜ、超速効型インスリンを用いるのか?
1.食後高血糖改善
2.低血糖少ない
3.食前30分待つ必要なし。食後も可能。
④.食事時間が少々ずれても、問題なし。

先生は、N病院時代に、インスリン治療専門外来をスタートされ、1年間で82名導入し、一般医でも導入可能なことに気付かれた。

先生は、SU剤を少量残して、インスリン導入

ログ3、ログ3、ログ3から開始。
1,2単位ずつインスリン増量し、それでも、FPG≧180なら、
             ↓
ログ3、ログ3、ログ3 + メトフォルミン500~750
それでも、FPG≧180なら、
             ↓
ログ3、ログ3、ログ3 + NPH or ランタス

超速効型インスリンを用いた外来インスリン導入の成績は、
7,7,7が中央値で、HbA1cは、半年で10.5→7.5に改善

これまでの血糖降下薬はどうするのか?
1.SU薬は内服していたものを朝1回1錠で残す。
2.αーGIは、いったん中止とする
3.メトフォルミンやアクトスは、かなり効果ありと判断される場合以外は、中止
4.できるだけ、インスリン始めるからには、内服薬を整理するという方向で。

SU薬残す理由
1.いくら2次無効とは言え、SU薬はいくらか効いており、中止により、急激な基礎分泌の低下は、空腹時血糖値の上昇につながる。超速効型では、基礎分泌を補充することはできず、いきなり、基礎インスリンの補充も必要となる可能性があるから。
2.もし、初日にインスリン指導したが、うまく出来なかった場合は、薬物治療をすべて中止したのと同様な状態を招く。(そういう場合に備えて、保険をかけておく)

SU薬を少量残すことにより、外来通院中の急激な血糖コントロールの悪化を防ぐ。
→それでも、空腹時血糖改善しなければ、
→メトフォルミン併用する。

・SU薬中止し、インスリンのみにした場合は、
3回打ち33%、4回打ち(基礎インスリン必要)67%に
・SU薬少量継続し、メトフォルミンを積極的に用いた場合は、
3回打ち40%、3回打ち+メトフォルミン38%、4回打ち22%
→SU薬とメトフォルミンの併用をすることにより、基礎インスリンを必要とする確率が低下。

インスリン導入を勧める第一日
美辞麗句(インスリンの効能)や、おどし(合併症の恐怖)を並べても、相手は頭からやる気はない。

インスリンを説得するには、
まず、インスリンを自分の腕に刺してみせる。(これで打率5割)
あるいは、診察室で、患者さんのおなかに実際に注射してあげる。(これで打率9割)→意外と痛くないことがわかるから。

インスリンについて全く知らなかった人、バイアル式だと思っていた人が多い。

インスリン開始前に低血糖に対する患者の不安は、ほとんどなし。
超速効型3回打ちで、低血糖が起こることもほとんどなし。

血糖自己測定(以下、SMBG)
導入初日には、始めないし、勧めない。
先生は、10人中、9.8人には勧めない。
(0.2人は、患者が自ら希望)
→SMBGは、インスリン注射よりず~っと痛いから。
患者は、強制されるとだめ。患者さん自らが希望するのを待つ。
例えば、SMBG測定して、食後血糖が250だったとすると、患者は良くなってないと思う。(実際は、測定してなかったときは、300台くらいで、まだ高かった可能性あるのだが。)→逆に知らない方がいいこともある。
血糖値が100くらいになった頃に勧める。
積極的な人は翌週からSMBGを開始するが、必須ではない。
少量(1回2~4単位)をしばらく継続し、HbA1cや、1,5-A,Gの推移をみて、インスリンをゆっくり1単位ずつ増やす。急激にコントロールする必要なし。
早朝空腹時血糖が高ければ、メトフォルミン併用し、無効なら、NPH or ランタス4単位から開始。

強化療法群 vs SU剤+ランタスでは、HbA1cの平均値には差がなかったが、強化療法群の方が、HbA1c達成率が良かった。(強化療法群では、HbA1c6%台が、4割以上)

どうしても、基礎インスリンの併用を必要とする患者も少なくない。
→mix50の勧め。CSIIにおけるbasal/bolus比に等しい。

新しいレシピ
mix50の3回注射

対象と方法
1.未治療群11名
2.インスリン2種類以上、1日3回以上注射群11名
3.SU剤2次向こう10名
→外来にて、mix503回打ちを開始し、3,3,3や4,4,4で。
HbA1cの改善は、
1群:10.9→6.7 自覚症状が翌日より改善。
2群:8.6→8.2
3群:8.9→7.3
最終的な平均インスリン使用量は、
1群:6.9 5.4 7.6
2群:8.8 3.5 7.8
3群:17.3 9.1 16.2

mix50 3回注射
1.基礎分泌を補うことにより高血糖症状が素早く改善
2.比較的少量のインスリンで、素早い血糖コントロール可能
3.SU剤2次向こうで、SU剤中止しても、急激な血糖上昇少ない
4.基礎インスリン必要とする患者でも、1種類の注射剤でよい
5.低血糖あまりない
6.容量設定のアルゴリズムは、超速効型と同じでいけそう。

3回打ちが良いのはわかっているが、2回打ちの患者に、3回打ちに変更を納得してもらうのは、至難のワザ!

円滑な1日3回打ち移行のための㊙テクニック

現在の混合2回注射
    ↓
mix50 2回打ちに変更
(良くなるか、少なくとも悪くはならない。)
    ↓
mix50 3回打ちに変更
(最初は、3回打つのは土日だけでもいいと説明。)
SMBGにより血糖値良くなるのがわかり納得される。

QOLを考えると、何回打ちがベストか?

安易な混合2回注射を考え直す時代

最後に、先生のご著書の紹介。
「今すぐできる外来インスリン導入」

ということで、とても有意義な講演でした。
そういうわけで、奇術クラブ例会は休みました。

参考:過去のインスリン関連講演会(さるさる日記より)
http://www2.diary.ne.jp/search.cgi?user=72095&cmd=search&word=%83C%83%93%83X%83%8A%83%93

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