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 多忙を理由に(言い訳に)、しばらく更新をしておりませんでしたが、再開いたします。m3.comは、医療従事者向けのサイトですが、テーマによっては、広く医療従事者以外の皆様にも読んでいただきたい記事があります。

 m3.com「医療維新」のコーナーから、時々、記事を選んでご紹介します。今日は、舛添要一・厚生労働大臣のインタビューです。

―――――――――――――――――――――――――――

◆「医師の計画配置はダメ」と舛添・厚労大臣がくぎ刺す
医師の偏在解消はインセンティブで、「現場の意見聞かずに議論できず」


聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)
 
  「安心と希望の医療確保ビジョン」を受け、来年度は「過去最大」を上回るまでの医学部定員増が決定した。中長期的な医師不足対策が打ち出されたことで、焦点は短期的な対策に移っている。その議論の場の一つが、9月に発足した「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」。本検討会は、厚生労働省と文部科学省の合同である点が特徴だ。先日(10月16日)の検討会では、研修期間の短縮の検討や、医学生へのアンケート実施を求めるなど、活発な議論を求める舛添要一・厚生労働大臣に話を聞いた(2008年10月20日にインタビュー)。

―――――――――――――――――――――――――――

――医師の地域や診療科の偏在が問題になっていますが、その対策の基本的な考え方をお聞かせください。

 医師の偏在解消には、「パニッシュメント(罰)」を与えるようなやり方ではいけない。 「どんなに給料が安くても、僕は東京に行きたい」という人を止めるわけにいかないんです。今のご時勢、「そこまで縛られるなら、医師をやめた」という人が出る恐れもある。

 規制を考える人は、自由な社会の大切さが分かっていない。だから、いつも言っているように、「へき地で勤務したら、その後、すぐに米国に留学できる」「山形で働くなら、奨学金を出す」など、インセンティブを与えるやり方で進めるべきでしょう。

 先日(10月16日)の「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」では、(給与が高い市中病院に研修医が流れる傾向があるため)「研修医の給与を全国一律に」といった案も出た(「舛添大臣が研修期間1年への短縮を提案」を参照)。司法修習生と同じ考え方です。これに必ずしも賛成するわけではないが、地域別に医師数を決めて「お前、あそこに行け」と規制するやり方と比べたら、給与を一律にする方がまだベターだと思う。同じ規制でも、こちらの方が意味はある。

 読売新聞が先日、「医師の計画配置」を打ち出した(編集部注:10月16日に公表した医療改革に関する提言。医師の研修先を自由選択に任せるのではなく、地域・診療科ごとに定員を定め、計画配置するようにすることなどを提案)。

 私のところに読売が取材に来たときに、「いろいろな案があるのはいい」とは言った。しかし、「枠をはめるのはダメ。規制するのではなく、自由なやり方がいい」と言ったのに、この点は新聞に書かれなかった。

 仮に一部を規制するとしても、インセンティブと組ませないとダメ。インセンティブがない規制は成功しない。読売の提言には、奨学金とか、留学させるとか、そうしたことは何も書かれていない。

 ――インセンティブとしてはどんなものが考えられますか。

 山形大学では、卒後に山形に残る医学生(4~6年生)に対する奨学金制度の設置を打ち出しました。

 離島などで地域医療をやりたい人だって、いるはず。産科は敬遠されているが、中には生命の誕生に立ち会いたい、産科医になりたいと考える人は絶対いる。そのときに、「勲章」、あるいは栄位を与えるといった発想があってもいい。戦争のときの勲章がそう。まさに命をかけて戦い、戦功があった人に勲章が与えられた。栄位と栄誉には、ものすごい意味がある。あとは実利。

 離島に行く場合、12カ月勤務ではなくて、10カ月勤務くらいにして、あと夏と冬、1カ月ずつくらいはサバティカル休暇が取れ、他の地域や病院で研修したり、海外に留学できるとか。自分の生活の拠点が別にあるなら、往復の切符代はすべて出すとか。

 やる気のある人たちをプレイアップすることを考えないと。行きたくもないのに、「行け」と言ったら、やる気をなくすだけでしょう。

 ――先日の「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」では、「早急に指導医と医学生にアンケートを行い、その結果を議論のたたき台にすべき」と、調査を指示されました。

 議論を聞いていると、皆、違うことを言っているのに、いずれも正しいようにも聞こえてくる。だから実態調査を指示した。

 例えば、「へき地に行きますか。行くとしたら、どんな条件であれば、行きますか」「給料を2倍にするとか、奨学金を付けるか、インセンティブを付ければへき地に行きますか」「給料が半分でも東京にいたいんですか」「お上が完全に規制して、この地域の医師は何人、と決めるのに賛成ですか」など聞けばいい。地方から東京や大阪に出てきた人、あるいはその逆、さらには地方にずっといる人の声も聞きたい。

 また、大学病院に残る集団と残らない集団に分ける。残らない人には、「なぜあなたは大学病院に残らずに、市中病院に出たのですか」「今後、どんな条件であれば、大学病院に残りますか」、大学病院に残った人には「なぜ残ったのですか。地域のもっと臨床例の多い病院に行きたいと思いませんか」などと聞く。

 こうした実態調査を行い、その結果を見てみないと、机上の空論になる。

 ――調査は、医学生が中心ですか。指導医などにも行うのでしょうか。

 まずは医学生です。指導医にもできれば話を聞きたいが、一番は医学生。

 ――この検討会は文部科学省と合同で開催している点も特徴ですが、その狙いを改めてお聞かせください。

 卒後臨床研修の見直しのみだったら、文科省と一緒にやる必要はない。卒後臨床研修の2年を1年にするのは、卒前教育の見直しが前提。この見直しは文科省しかできないから、合同でやっている。

 だから、あらゆる問題を議論していい。今まで医師の教育・研修問題について、国民レベルで議論したことは一回もない。ただ、人伝えに、「研修制度がダメだから、医師不足になった」などと言っているだけで、国民が真剣に考えたことはない。

 ――検討会では、卒前教育から見直すということですか。

 卒前教育に限らず、医師の養成、キャリアパス全体を議論したい。国民の立場から見て、医師がどのように養成されるかが分からない。野球で言えば、甲子園に行ってそこで頭角を現して、プロになったり、社会人野球をやる。中には、米国に行ってスーパースターになる選手もいる。法律家だって、一生懸命勉強して司法試験受けて、司法研修を受けて、弁護士になる。それぞれのキャリアパスが見える。

 ――医師養成のプロセスが見えないことの弊害は何でしょうか。

 そのプロセスが見えれば、「卒業してから2年間も研修しないと、使い物にならないのか。そんな育て方をして、いったいどんな医学教育をやっているんだ」といった議論に発展する。しかし、見えなければ、「白い巨搭」の悪いイメージを抱くだけ。知らないことについては物が言えず、国民から議論も、批判もできない。

 他の分野でも、日本の大学がダメなのは、大学を出ても使える人材になっていないから。他の国では、大卒は即戦力。卒業した瞬間に使いものになるようにしてほしい。だからロースクール、メディカルスクールの議論になる。

 さらに言えば、開業して、新しい技術・知識のことを学ぶ機会が少ないのなら、いったん大学に戻ったっていい。あるいは経験を積んだ開業医が大学の教授をやってもいい。法律の分野だって、裁判官が大学教授になったり、外交官経験者が大学で国際関係の講義をしている。

 医師のキャリアパスについて自由に議論をしなくてはいけない時代なのに、「規制、規制」というのは、やはり間違っているんじゃないか。これまで、医学部という土俵の中で議論してきたことが一因。

 最近、医師不足や臨床研修の話は、新聞にも取り上げられるようになったが、この議論は国民全体が知る必要がある。その意味では、医療者も発信力がなさすぎる。もう少し、世の中に対して物を言うべき。毎日投書して、「研修医の生活は、こんなにミゼラブルだ」と訴えるとか。

 ――医療界からの情報発信が少ないと。

 全然、世間に届いていない。去年くらいから、「勤務医は大変だ」とか言われるようになったが、それまで「お医者さんは、お金持ちで優遇されていて…」というイメージが強かったのでは。今でも、私たちの世代の多くは、「白い巨搭」のイメージを抱いている。

 むしろ患者の方が発信能力はあります。福島県立大野病院のときには、医療側と患者側がイーブン、あるいはむしろ医療側の方が強かったけれど。

 その意味では、この臨床研修の検討会はいい場所なんですよ。様々な立場の方が話してくれるから。これを機会に、いろいろなもの部見直した方がいい。“医療崩壊”を救うのはこうした自由な議論。既得権益に胡坐(あぐら)をかいている人は嫌がるでしょうが。

 ――検討会では、一定の結論を得るというより、まず問題点を洗い出すことが目的だと。

 そうです。長期的な目標として、医学部定員増を図っても、医師不足解消までに10年はかかる。だから、短期的な施策として、研修期間を2年から1年に短縮すれば、「8000人医師が誕生する」わけだから、それは効果があります。

 しかし、短縮が可能なら実施するが、別に急いでやる必要もない。研修期間の短縮だけで済む問題でもないから、様々なことを議論することが重要。ただその際、現場の声を聞かないと、医学生、医師が反乱するかもしれない。だから現場がどう考えているか、調査が必要なのです。

 

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 ソネット・エムスリーが、m3.comの会員を対象に、“医療事故調”の試案について調査したところ、「民主党案」の支持が41.5%で、「厚労省案」支持の14.3%を大きく上回ることが明らかになった(図1)。もっとも、「どちらとも言えない」も44.2%で、さらなる検討が必要なことも浮き彫りになりました。

 

 

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◆m3.com「医療維新」のURL
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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.8

 

 ――今、“医療崩壊”といわれる現在、いつがタイムリミットでしょうか。いつまでに「見積書」を作ればいいのでしょうか。

 小松
 現場の医師にとっては、難しい質問ですね。ただ今危ないのは、救急と産科です。特に、救急の方が危機にあると私は思っています。

 ――ではまず産科や救急で「見積書」を作り、そのノウハウを他の分野に応用していくことは可能でしょうか。

 権丈 できると思います。「産科医療を守るためにはこれだけ必要ですから、目的税的に社会保険料を何%、消費税を何%上げてください」と、国民を説得する主張することもできるでしょう。

 小松 救急だったら、幾つかパッケージを作って、国民に選んでもらうこともできるでしょう。「救急車の使用料は高い、だけど税は安い」「救急車は安いけど、税は高い」といったパターンです。

 権丈 政治家も怖いでしょうね。医療費に充てるためにも消費税引き上げの議論をしなければならないと考えているにもかかわらず、その引き上げに反対している医療団体がこれだけ多いのですから。

 小松 医療団体に呼ばれて講演するのですが、消費税引き上げを訴えると叱られます。

 ――結局、これまでのお話を踏まえると、現在、日本は医療だけではなく、教育もはじめ、様々な分野でお金が足りない。そうした中で、医療者が消費税引き上げに断固反対すると、結局は医療にお金が回らず、自分で自分の首を絞めることになりそうです。

  権丈
 勢い余って、日本の民主主義を再建するために負担増は絶対許せないという医療者も見受けられますけど、なぜ、日本の民主主義を再建するために医療を生け贄として捧げられなければならないのかと言いたくもなる。だいたいもって、民主主義なんてものは、どの国も潔癖なはずはなく、かなりだらしのないものです。ムダのモグラ叩きは永遠に続くでしょうけど、そこで言われているムダの額は、医療を再建するのに要する額とは二桁も三桁も違うわけです。

 小松 ムダを完全に排除することはできません。しかし、「ムダ」の部分よりも、「足りない」部分の方がけた違いに大きい。

 権丈 だから「見積書」を作り、計数感覚の備わった議論を行って、政府不信の国民を説得していきましょうとなる。

 小松 それをできるだけ、大きくキャンペーンする。

 権丈 しかし、負担増を口にすると、医療者からものすごい反論が来るわけです。社会保障がやっていることは、市場が貢献度に応じて分配した所得を、政府が租税・社会保険料という形で徴収し、それを家計の必要度に応じて分配し直す、所得の再分配制度なのです。だから、社会保障を充実させるためには負担増、国民が社会保障を利用するための料金の支払いは不可欠なのです。

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 財政再建も重要だが、まずは医療・介護、さらには教育の再建を進め、若い人が便益を受ける形にする。「安心して生活できる社会」を作り、消費税・社会保険料率引き上げなどの負担増に対する理解をいかに得るか。その戦略を立てることが今、求められている――。これが、虎の門病院・小松秀樹氏と慶應大・権丈善一氏の対談の結論だ。 

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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.7

 ――どんな財源を医療費に充てる場合でも、国民の理解を得るためには「見積書」が必要になると。

 権丈
 「公共事業から持ってくるべき」という意見を否定するわけではありません。持ってくることができれば、それに越したことはありません。

 医療費に占める租税の割合は約35%、保険料が約50%。高齢者医療制度では国庫負担の割合が大きいので、高齢化の進展に伴い、租税部分が増えていきます。したがって、租税と社会保険料の両方を増やさざるを得なくなります。

 消費税は社会保障に不向き、医療費も不向きという方もいらっしゃいますが、今の社会保障、医療はかなり消費税に依存しています。まず、消費税5%のうち、1%が地方消費税として地方に行くことが決まっていて、残る4%のうち0.295の割合が地方交付税に使われます。つまり、「1%+4%×0.295=2.18%」は地方に行くことが既に決まっています。

  5%の消費税のうち国税分、つまり2.82%(5%―2.18%)は高齢者三経費――介護、高齢者医療、基礎年金――に充てられることが決まっています。要するに消費税の国税分は、今でも社会保障目的税なんですね。高齢者三経費は、2007年度では12.8兆円、2008年度には自然増0.5兆円を上乗せして13.3兆円が見込まれています。しかし、国税分の消費税で三経費を賄っている割合は、6割を下回っています。消費税の国税分は高齢者三経費に使うべしというルールが予算総則に明記された1999年には、高齢者三経費が賄われる率は8割以上ありました。

 

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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.6

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 ――医療は患者やその家族にならないと、現実問題として捉えにくい一方、教育問題は誰でも直面する問題です。

  権丈 だから教育の方が、勝つかもしれません。以前、あるインタビューで「5年で1兆円の財源があったら、何に使うべきですか」と聞かれたことがあります。その時は答えなかったのですが、5年で1兆円使えても、医療はどうなるものでもありません。それなら、教育や環境の問題に使い、医療については負担増の必要性を国民に訴えていくべきですし、それを訴える正当性が医療にはあると思っています。

 そのためには、「いったい、どのくらい必要なのか」、その「見積書」を出す必要があります。例えば100億円や1000億円といった単位で医療の問題が解決するのならば、今の運動方針を続けられても良いと思う。しかし、日本の医療を再建するには恐らく兆の単位が必要ですね。兆の単位になると、他の支出から持ってくることは難しい。

 ――「見積書」はどのように作成すればいいのでしょうか。 

 権丈 前期高齢者については、来年から窓口負担が1割から2割に上げることになっていますが、その見直しが検討されています。では、1割に抑えるためにはいくら財源が必要か、その中で国庫負担をどうするか。救急、産科、小児科医療を再建するには、何をやる必要があり、それには幾らかかるのか。

 人件費については、積み上げが必要です。例えば、医師の場合、勤務時間を法廷労働時間内に抑えるためには何人の増加が必要か、夜勤明けに医師が休むことができるようにするには医師が何人必要でそのためにはいくらかかるのかなどの検討を行うことです。何十年も前に決めた医療法標準の医師数すら満たしていない医療機関が多いのですから、これを満たすためには何人必要なのかです。労働条件の改善は急務です。「昔は。少ない人数でこれだけ当直をこなしたんだ」などと言われても、若い人たちはかわいそうです。

 目に見える、国民に分かる形で「見積書」を提示することです。「見積書」を作ると、必要な医療費の「単位」が分かります。今までは、こうした計数感覚を踏まえずに議論してきたわけです。

 小松 「実は最近、権丈先生から、「医療費を7兆円増やすなら、何に使うか」と聞かれました。

 権丈 日本のGDP比の医療費は8%ですが、そのうち公費負担は6.6%です。それをドイツ並みの8.1%に上げるには、7.5兆円必要です。フランスレベルだと10兆円の財源が必要。そこまでは無理でしょうから、7兆円の財源が回るとしたら、何に優先的に使っていくかを小松先生にお聞きしたわけです。「ヨーロッパ標準の医療費を」ということは、医療政策の研究者や医療者が揃って言ってきたことですけど、それが幾らなのかはあまり意識されてこなかった。7兆円の公的医療費の使途を小松先生が知り合いに聞いてくださったところ、本当に詳細な試算が返ってきました。お持ちしたのはその一部です。

 小松 この試算が当たっているかどうかは分かりませんが、議論のたたき台にはなるわけです。ただ、「見積書」を作るのは、そう簡単な作業ではありません。例えば、私は急性期病院のことしか知りません。臨床を何年かやって、さらに医療制度や臨床に精通した方が何人か集まって、急性期から慢性期まで幅広い視点から作る必要があります。

 権丈 そのようにしてたたき台を作って、議論していくことが必要です。「医療費を増やすべき」という点では、私と小松先生と意見は一致しているのです。

 医療は、一つのサービスを購入することでもあります。その負担を上げるためには、「購入できるものは何なのか」をある程度、納税者に見える形にすることが必要なのです。年金だったら、「6万6000円を7万円にします」と言えば、どれくらい恩恵を受けるかは想像できます。一方、医療の場合は、「医療費を、国民1人当たり年間4万4000円増やして約5兆円必要です」と言われても、どんな医療を受けられるようになるかは分かりません。

 確かに「見積書」を作るのは簡単ではありませんが、医師や経済学者をはじめとした社会科学者、そして官僚を含めて、何人かの専門家が協力すればできると思います。「見積書」の作成と並行して、医療不信や政府不信をどう払拭するかが課題になってきます。

 

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 「公共事業のムダを削れ」「埋蔵金を医療費」などと、他の分野の歳出を削減し、医療費に充てる議論は、やめた方がいい――。慶應大・権丈善一氏はこう指摘します。虎の門病院・小松秀樹氏もこの意見を支持。ムダがあるのならば、そのムダは徹底的に削りながら、医療費を増やすことは可能だからです。「いったいどのくらい医療費が必要か」、その試算のための「見積書」が不可欠だそうです。


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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.5

――日本では医療に関する満足度は高くはないのに、負担感は強い。それは正しく情報が伝わっていないことが理由ということです。


 小松 費用負担について、大学教育にどうしても触れたい。日本では、大学教育のための費用は低く、OECD28カ国中24番目です。しかもその内訳がいびつです。多くの国で公費負担が大半を占めますが、日本は私費が半分以上です。

 権丈 私費の負担、つまり親のがんばりで、なんとかこれまである程度の水準を維持してきましたが、それも既に限界に達し、今は教育に歴然とした格差がでてきています。私は、教育は既に混合診療化していると言っているわけです。

 小松 このため、親が貧しいと大学に進学できません。貧困の再生産ですね。

 権丈 となれば、少子化問題や格差の固定化問題の緩和にかなりの効果が見込まれる。私がよく教育の話を持ち出すのは、「(公費の少なさや費用負担のあり方が問題になっているのは)医療だけじゃない」ことを言うためです。医療は社会保険という手段を持っていますが、教育はそうした手段もありません。

 ですから、医療費増の必要性を主張する際、「消費税の引き上げは、絶対反対」という医療者がいますが、それでは教育や少子化対策など、保険財源を持っていない他の分野に、しわ寄せが行くことになります。教育については、高等教育だけではなく、義務教育を含めた教育全体で見ても公費負担の割合は低く、悲惨な状態です。

 小松 2007年度の一般会計の歳出を見ると、国債費と社会保障費がそれぞれ約4分の1で、約21兆円。残りのうち、地方交付税が18%。防衛費は5.8%で約5兆円なので、削減できても1兆円程度でしょう。知り合いが自衛隊にいて、先日韓国に行ったのですが、韓国と比べると、日本の自衛隊は、節約に節約を重ねているので、宿舎などの設備はとても貧弱だそうです。

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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.4

――なぜそうした不満になるのでしょうか。

 小松 医療制度や医療費のあり方について、あまり考えてこなかったからでしょう。国民負担率はデータがそろうOECD27カ国中、下から5番目と低い(財務省データ)。そんなことも知られていません。

 権丈 一般紙が一面で、日本の医療政策を低医療費政策として取り上げたのは2007年1月23日の毎日新聞が初めてです。そこではGDPに占める日本の医療費割合が「先進7カ国(G7)の水準にほど遠く、差が広がるばかり。2003年のG7平均は10.1%で、日本はG7平均に比べて医療費の支出が2割も少なく」、医師数も「OECD平均に達するには、医師を1.5倍に増やす必要があると」と指摘しました。誰もがすぐに入手でき、かつ医療に関心のある人の間では当たり前のデータなのに、それまで一般紙はほとんど取り上げず、国民の多くが知らなかった。
 
 先日、この企画に係わった記者と話をしていたら、医療クライシスの企画が始まるまで彼らの多くも、日本が低医療費政策であることを知らなかったらしいです。これは不思議なことです。私が初めて書いた書評は、『エコノミスト』から頼まれた二木先生の『世界一の医療費抑制政策を見直す時期』なのですが、これが出されたのは1994年ですよ。毎日新聞が2007年の段階で取り上げたのは、前年に上梓された小松先生の『医療崩壊』の影響もあったのでしょう。毎日新聞が医療クライシス特集を開始した直後から、各紙が日本の医療崩壊を取り上げるようになりましたが。

 私は、大学の授業や一般人向けの講演会で社会保障について話す際、まず「日本の医療費は、OECD諸国の中でも低い」ことを言わなければなりません。学生はこのくらいで驚きます。そこから始めないと、彼らは日本の医療費は高いと思っていますし、競争市場のおかげでアメリカの医療費は安いと思っていますので。

 小松 記者さえも、知らなかった方が多いのでは。

 権丈 いまだに「医療は市場原理に任せるべき」と主張される方がいます。医療を市場にゆだねた米国の方が、日本と比べて医療費が安いと思っているのでしょう。医療に関する基本的な情報が伝わっていないのです。

――報道する側の不勉強に加えて、さらにさかのぼって情報を出す行政当局が情報をコントロールしているという事情があるのですか。

 権丈 情報操作があるなどと批判する方もいらっしゃいますけど、そういうサスペンス仕立ての問題ではなく、世の中の「常識」が原因だと思います。「常識」が、見るべき「事実」見たい「事実」を選択している結果、正しい「事実」を見てくれないのです。年金も同じですが、普通の人が自信を持って信じ切っている素人の常識と専門家の常識とはあまりにも距離があるんですね。

 小松 報道する側、さらにはその受け手の思い込みは、すごく大きいと思います。

 権丈 医療に限らず、税金の問題をはじめ、どの分野でもそうですね。素人の常識と専門家の常識の乖離は、いずこも甚だしい。最近の動きを見ると、新聞よりテレビの方が強いですね。例えば、日銀総裁問題、道路特定財源問題、そして後期高齢者医療制度の問題は、新聞は比較的冷静に論じようとしていましたが、テレビに「3連敗」してしまった感があります。

 小松 テレビは悲惨な一部の状況だけを報道しており、後期高齢者医療制度の全体像などは全然伝えていません。

 権丈 医療について正しく理解してもらうためには、人々の「思い込み」をなくす必要があり、突き詰めれば教育から見直すことが重要です。これは昔から長年言われていることであり、医療だけでなく、税や年金、社会保障全般についても同様で、教育段階、つまりメディアの影響をあまり受けない子どもの頃からきちんと教えなければなりません。

 ところがそれをやってこなかったので、「日本が低医療費政策を取っている」「医師の給与もさほど高くはない」「医師は大変な状況で働いている」などという「事実」が伝っていないのです。税にしろ社会保障にしろ、義務教育段階での教育が重要というのは、結局のところ、大人に情報を提供する今日のメディアは商業主義に走る傾向が強すぎてあまり信頼できなというはなしと裏返しのことなのですけどね。

――医療者の間では、「日本の医療費は諸外国と比べて安い」というのは常識なのに、医療界以外の方の多くはそう考えていない。それは認識の違いではなく、そもそも情報を知らない。医療のあり方を議論する前に、情報を正しく伝えることが重要だという結論です。

 小松 私は様々な場で話をしています。新聞やテレビの興味を引く「言説」を出すと、彼らはそれを取り上げるようになります。とにかく、医療者側から語り、情報を出し続けることが重要だと思います。

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 『医療提供体制は「今日的医師不足」』では、医療提供体制から見た現状認識を語っていただきましたが、では患者側はどう見ているのでしょうか。「いい医療を受けたいが、お金は出したくない」という認識の人が多いという結論です。「それは子供が、おもちゃが欲しい、と駄々をこねるのと同じ」と虎の門病院・小松秀樹氏は手厳しく指摘されます。個々人の価値観の問題などではなく、正しい情報が伝わっておらず、「事実」を的確に認識していないことが理由だそうです。

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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.3

――では患者さんは医療の現状をどう見ているのでしょうか。各種調査を見ても、患者さんの医療への満足度は必ずしも高くはありません。その上、「医療費は高い」という意識です。

 権丈 二木立先生(日本福祉大学教授・大学院委員長)が、医療制度に関する満足度を国際比較しています(『社会保険旬報』2007年1月1日号)。医療の満足度は、医療費水準(一人当たりの医療費)と生活満足度、この二つの要因で説明できるという結果でした。一人当たりの医療費が低いほど、また生活満足度が低いほど、医療に対する満足度も低い傾向にあります。

 つまり、日本人は何に対しても不満を訴えやすい国民性を持っているようで、生活満足度そのものが低いので、この点を割り引いて考える必要もあります。

 小松 満足度を調査する場合の調査票の作り方も問題ですね。

 権丈 二木先生が紹介されている国際比較は、各国とも同じ質問票を使っているので、この点は問題ありませんが。

 小松 日本の大半の調査は、「文句を言いなさい」と促すための質問票です。「いい医療を受けるためには、お金を払ってもいい」と「最低限の医療でいいから、お金は払いたくない」といった質問票ならいいのです。しかし、現状で実施されている多くの調査は、例えば、「わが国の国民医療費について」や「医療費に係る国民の負担」について尋ね、「非常に高いと感じる」「やや高いと感じる」「やや低いと感じる」「非常に低いと感じる」という選択肢から選んでもらうやり方です。

 この前、内田樹先生(神戸女学院大学文学部総合文化学科教授)と対談したのですが、その際、「庶民社会の無責任」という言葉が出てきました。日本の報道は「市民社会」を前提としていない、「庶民社会」を前提にしていると。「庶民社会」では、堅牢な社会システムが作られており、それが世の中を抑圧的に支配しています。その社会システムが機能不全に陥った際は、文句を言うのが庶民の役割で、「不満のリスト」を長くするほど、社会にとっていいことだとされます。それを前提に新聞も作られている。

 「文句を言いなさい」と言っている社会システムで調査しても、限界があります。

――「文句を言う社会」だと、医療の現状に不満を抱いていても、「ではお金を出して、いいシステムを作りましょう」という話には展開しにくい。

 小松 「いい医療を受けたいが、お金は出したくない」と言うのは、子供が「おもちゃが欲しい」と駄々をこねるのと、ほとんど同じです。この要求に応えるのは無理です。この矛盾に全然気付かせずに、満足度調査を実施しても意味はありません。

 権丈 「おもちゃが欲しいけど、お金は出さない」という意識を持っていればまだいいのですが、「お金を出しているのに、なぜおもちゃをくれないのか」と思っている方が多いのも問題ですね。

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◆医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.2

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 小松 女性医師の問題もあります。医局制度が維持されてきた背景には、「幻想」があると思うのです。「基礎研究の実績のない臨床医は三流だ、大学教授は、すごい権威のあるポストなんだ、医局あってこその自分だ」などと皆が思っているから、教授に従うわけです。しかし、これはあまり言うと叱られそうですが、女性医師にはこの辺りには関心がない方が多いのではないでしょうか。

 だから、生活を犠牲にした「クソ働き」をあまりしない。これは別に悪いことではありませんが、「クソ働き」で維持できていた部分が、女性医師の比率が増えるとなくなるわけです。

 ――そうした「今日的医師不足」が生じた、つまり医療の環境が変わってきたのは、1990年代後半くらいからでしょうか。

 権丈 先ほど触れましたが、1999年の横浜市立大学の「患者取り違え事件」以降、「医療事故」に関する報道が増えました。それに伴い、利用者側の要求水準が高まってきたようです。

 医療もわれわれの教育も、「サービス産業」です。サービス産業においては、生産者と利用者の信頼関係で、かなりの仕事が「節約」できます。「先生」と呼ばれていた信頼関係が崩れ、一つひとつについて説明責任を負わされてしまうと、仕事量はいくらでも増えていきます。

 小松 報道の影響は大きいのですが、それは医療に限ったことではないと思います。報道全体のあり方が変わってきており、被害者の声を重視するようになった。昔とは違い、被害者が直接テレビに出るようになり、今は生の感情がそのまま映像で流れるようになっています。商売上の理由だと思います。10年前とまるで変わりました。知人のジャーナリストは、これを日本のメディアの「病気」だと言っていました。私は、新聞記者を対象にした講演で「ポルノグラフィー」と口を滑らせました。劣情を刺激する。論理的根拠なしに、憎しみを刷り込みます。

 権丈 さらに、供給要因としては、先ほどもお話しましたが、男性医師そのもののライフスタイルの変化、そして女性医師の増加などが挙げられます。利用者側と供給側、この両者の要因が相まって「今日的医師不足」が生じているわけです。

 医師は、免許取得までに、時間もコストもかかる専門職です。そうではなく、他の職種に転職するハードルが低かったら、こんな労働条件では誰も働かないでしょう。普通の労働市場では考えられないことです。

 小松 「幻想」でやってきたので、仕事が厳しい病院の方が給与は安いという現状もあります。

 権丈 他の産業では、一般的に、中小企業の方が大企業よりも給与は安いのですが、医療界は反対で、規模が大きくなるほど給与が安くなる傾向があります。大学病院の給与は最低水準です。

 医師は、技術者として養成されている面があるので、スキルを発揮できる施設を希望します。規模が大きく設備が充実し、症例数が多い病院には、給与が安くても医師は集まる。反対にスキルが発揮できる状況にない病院では、給与を高くしないと医師は来ません。専門的なスキルが発揮できる職場ほど給与が低くなるのは、専門職市場で見られる現象です。

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 「医療再生のためには、税や保険料の引き上げなどの負担増が必要」。これは、虎の門病院・小松秀樹氏、慶應大・権丈善一氏の一致した意見です。しかし、医療界では、医療費増の必要性は認めながらも、負担増に対する反対論が根強いのが現状です。そこで、両氏に、現状の医療に対する認識から、医療費の水準や財源論に至るまで対談していただきました。第1回のテーマは、医療の提供体制から見た現状認識。「今日的医師不足」に陥っているという結論です。(対談は、2008年5月28日に実施。計8回に分けて連載)。

◆m3.com「医療維新」のURL

http://www.m3.com/tools/IryoIshin/080616_1.html 
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◆医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.1

――医療費の水準やその負担のあり方を考える際には、現状の医療提供体制がどうなのか、質量ともに十分なのかを踏まえる必要があります。その辺りからお伺いします。

 小松 これまではぎりぎりで医療提供体制が維持できていましたが、危なくなってきているという認識です。その一因は、「フリーアクセス」という、非常に「贅沢」なシステムにあると思っています。現状のようなフリーアクセス、国民皆保険制度、少ない医療従事者でやっていたら、もはや持ちません。

 ――OECD諸国と比べると、人口当たりの数は、医師だけでなく、看護師なども少ない状況にあります。

 小松 そうですね。この前、東京地検から4人の検察が虎の門病院に視察に来て、医療事故が起こりそうな現場を中心に見ていきました。投薬の準備作業の際、間違えないように患者さんに渡すためにどんな努力をしているかを見て、ため息をついていましたね。

 例えば、合計して7~8種類の薬を服用している患者がいるとします。そのうち何を投与すべきかを医師の指示と照らし合わせて毎回チェックするわけです。こうした確認作業を各患者に実施しますが、そんなとき、電話がかかってくると作業が中断される。これは事故の元です。また、血液内科をはじめ、投与指示が頻繁に変わる科も少なくありません。本人確認しようとしても、本人の具合が悪ければ、それもままならない。

 ICUも視察していきましたが、1人の患者に人工呼吸器が付き、輸液ポンプとシリンジポンプが合計7台付いている。モニターがたくさんあり、頻繁にアラームが鳴る。そんな状況を見て、彼らは唖然(あぜん)としていました。

 権丈 つまり、医療従事者は充足していないのでしょう。欧米諸国と比べて、「日本の医師数は少ない、医療費は安い」という状況でいい理由は、別にないと思います。

 ――小松先生が医師になられた当時との比較ではどうでしょうか。今の仕事の質や内容はかなり違いますか。

 小松 相当違いますね。私が医師になったのは1974年です。その当時、東大泌尿器科では、医師が十数人いましたが、手術件数は年間350件程度でした。一方、今の虎の門病院の泌尿器科医は7人で、年間700件の手術を手がけています。

 ただし、私は全国の病院を知っているわけではありません。今は特別、忙しい病院に勤めていると言えるでしょう。現在、普通の病院、さらには大学病院などですら、医療訴訟を恐れるためか、難しい手術を敬遠する傾向が明らかにあります。理由はどうあれ、私のところには難しい手術が集中する傾向があります。これも忙しくなる理由の一つです。

 手術件数が格段に増えたほか、説明にかける時間も違います。以前はあまり説明に時間をかけませんでしたが、今は患者さん1人当たり1時間程度です。同意書や各種書類の作成にも時間を要します。

 さらに患者さんの要求レベルも高くなっているので、日曜日の朝9時に病棟に行くと、医師が皆、そろっている状況です。

  ――「日曜日に朝、医師が全員そろっている」と。それは全員、勤務時間外であり、時間外手当などは付かない仕事でしょうか。

 小松 虎の門病院には医師の時間外手当はありません。

 ――虎の門病院では、医師の献身的な働きによって成り立っている。

 小松 ただ医師の「クソ働き」は以前からあって、私自身は、1カ月に最大で16~17日間病院に泊まったこともありました。もっとも、若いころはそれで持ちましたが、健全ではありません。

 権丈 今の若い女性は、経済力を持つようになっていますから、男性医師がそんな多忙な生活をしていると帰宅したら奥さんがいなかったということも起こり得るでしょう。医師を含めて若い人たちのライフスタイルそのものが変わってきていると思います。

 つまり、昔と状況が違うところが相当あり、医師が献身的に支えてきた医療が崩れつつあるわけです。同時に、小松先生が2006年に上梓された著書『医療崩壊』で指摘されている通り、1999年の横浜市立大学の「患者取り違え事件」以降、医療に対するバッシングが始まり、患者の意識に変化が起こり彼らの要求水準が高まって、ペーパーワークや説明などにかかる時間が増えています。一人の患者を診る時間と労力が、以前とは変わってきているのです。

 小松 その上、医療安全をはじめ、院内で開催される各種委員会がものすごく増えました。人数的にギリギリでやってきたところに患者さんの要求の高まりなども重なり、医師の不満が噴出しているのが現状です。

 権丈 私は、それを「今日的医師不足」と表現しています。

【小松秀樹氏プロフィール】
1974年東京大学医学部卒。山梨医科大学(現山梨大学)助教授などを経て、99年より現職。2006年に上梓した『医療崩壊』(朝日新聞社)が話題に。臨床医の視点から、医療の現状に問題提起を続ける。最新刊に『医療の限界』(新潮新書)。

【権丈善一氏プロフィール】
1985年慶應義塾大学商学部卒業、90年同大商学部助手、94年助教授、2002年から現職。96~98年と2006年~2007年英ケンブリッジ大留学。2006年12月~2007年3月「医療費の将来見通しに関する検討会」委員、2008年1月から社会保障国民会議委員。

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