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多忙を理由に(言い訳に)、しばらく更新をしておりませんでしたが、再開いたします。m3.comは、医療従事者向けのサイトですが、テーマによっては、広く医療従事者以外の皆様にも読んでいただきたい記事があります。
m3.com「医療維新」のコーナーから、時々、記事を選んでご紹介します。今日は、舛添要一・厚生労働大臣のインタビューです。
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◆「医師の計画配置はダメ」と舛添・厚労大臣がくぎ刺す
医師の偏在解消はインセンティブで、「現場の意見聞かずに議論できず」
聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)
「安心と希望の医療確保ビジョン」を受け、来年度は「過去最大」を上回るまでの医学部定員増が決定した。中長期的な医師不足対策が打ち出されたことで、焦点は短期的な対策に移っている。その議論の場の一つが、9月に発足した「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」。本検討会は、厚生労働省と文部科学省の合同である点が特徴だ。先日(10月16日)の検討会では、研修期間の短縮の検討や、医学生へのアンケート実施を求めるなど、活発な議論を求める舛添要一・厚生労働大臣に話を聞いた(2008年10月20日にインタビュー)。
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――医師の地域や診療科の偏在が問題になっていますが、その対策の基本的な考え方をお聞かせください。
医師の偏在解消には、「パニッシュメント(罰)」を与えるようなやり方ではいけない。 「どんなに給料が安くても、僕は東京に行きたい」という人を止めるわけにいかないんです。今のご時勢、「そこまで縛られるなら、医師をやめた」という人が出る恐れもある。
規制を考える人は、自由な社会の大切さが分かっていない。だから、いつも言っているように、「へき地で勤務したら、その後、すぐに米国に留学できる」「山形で働くなら、奨学金を出す」など、インセンティブを与えるやり方で進めるべきでしょう。
先日(10月16日)の「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」では、(給与が高い市中病院に研修医が流れる傾向があるため)「研修医の給与を全国一律に」といった案も出た(「舛添大臣が研修期間1年への短縮を提案」を参照)。司法修習生と同じ考え方です。これに必ずしも賛成するわけではないが、地域別に医師数を決めて「お前、あそこに行け」と規制するやり方と比べたら、給与を一律にする方がまだベターだと思う。同じ規制でも、こちらの方が意味はある。
読売新聞が先日、「医師の計画配置」を打ち出した(編集部注:10月16日に公表した医療改革に関する提言。医師の研修先を自由選択に任せるのではなく、地域・診療科ごとに定員を定め、計画配置するようにすることなどを提案)。
私のところに読売が取材に来たときに、「いろいろな案があるのはいい」とは言った。しかし、「枠をはめるのはダメ。規制するのではなく、自由なやり方がいい」と言ったのに、この点は新聞に書かれなかった。
仮に一部を規制するとしても、インセンティブと組ませないとダメ。インセンティブがない規制は成功しない。読売の提言には、奨学金とか、留学させるとか、そうしたことは何も書かれていない。
――インセンティブとしてはどんなものが考えられますか。
山形大学では、卒後に山形に残る医学生(4~6年生)に対する奨学金制度の設置を打ち出しました。
離島などで地域医療をやりたい人だって、いるはず。産科は敬遠されているが、中には生命の誕生に立ち会いたい、産科医になりたいと考える人は絶対いる。そのときに、「勲章」、あるいは栄位を与えるといった発想があってもいい。戦争のときの勲章がそう。まさに命をかけて戦い、戦功があった人に勲章が与えられた。栄位と栄誉には、ものすごい意味がある。あとは実利。
離島に行く場合、12カ月勤務ではなくて、10カ月勤務くらいにして、あと夏と冬、1カ月ずつくらいはサバティカル休暇が取れ、他の地域や病院で研修したり、海外に留学できるとか。自分の生活の拠点が別にあるなら、往復の切符代はすべて出すとか。
やる気のある人たちをプレイアップすることを考えないと。行きたくもないのに、「行け」と言ったら、やる気をなくすだけでしょう。
――先日の「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」では、「早急に指導医と医学生にアンケートを行い、その結果を議論のたたき台にすべき」と、調査を指示されました。
議論を聞いていると、皆、違うことを言っているのに、いずれも正しいようにも聞こえてくる。だから実態調査を指示した。
例えば、「へき地に行きますか。行くとしたら、どんな条件であれば、行きますか」「給料を2倍にするとか、奨学金を付けるか、インセンティブを付ければへき地に行きますか」「給料が半分でも東京にいたいんですか」「お上が完全に規制して、この地域の医師は何人、と決めるのに賛成ですか」など聞けばいい。地方から東京や大阪に出てきた人、あるいはその逆、さらには地方にずっといる人の声も聞きたい。
また、大学病院に残る集団と残らない集団に分ける。残らない人には、「なぜあなたは大学病院に残らずに、市中病院に出たのですか」「今後、どんな条件であれば、大学病院に残りますか」、大学病院に残った人には「なぜ残ったのですか。地域のもっと臨床例の多い病院に行きたいと思いませんか」などと聞く。
こうした実態調査を行い、その結果を見てみないと、机上の空論になる。
――調査は、医学生が中心ですか。指導医などにも行うのでしょうか。
まずは医学生です。指導医にもできれば話を聞きたいが、一番は医学生。
――この検討会は文部科学省と合同で開催している点も特徴ですが、その狙いを改めてお聞かせください。
卒後臨床研修の見直しのみだったら、文科省と一緒にやる必要はない。卒後臨床研修の2年を1年にするのは、卒前教育の見直しが前提。この見直しは文科省しかできないから、合同でやっている。
だから、あらゆる問題を議論していい。今まで医師の教育・研修問題について、国民レベルで議論したことは一回もない。ただ、人伝えに、「研修制度がダメだから、医師不足になった」などと言っているだけで、国民が真剣に考えたことはない。
――検討会では、卒前教育から見直すということですか。
卒前教育に限らず、医師の養成、キャリアパス全体を議論したい。国民の立場から見て、医師がどのように養成されるかが分からない。野球で言えば、甲子園に行ってそこで頭角を現して、プロになったり、社会人野球をやる。中には、米国に行ってスーパースターになる選手もいる。法律家だって、一生懸命勉強して司法試験受けて、司法研修を受けて、弁護士になる。それぞれのキャリアパスが見える。
――医師養成のプロセスが見えないことの弊害は何でしょうか。
そのプロセスが見えれば、「卒業してから2年間も研修しないと、使い物にならないのか。そんな育て方をして、いったいどんな医学教育をやっているんだ」といった議論に発展する。しかし、見えなければ、「白い巨搭」の悪いイメージを抱くだけ。知らないことについては物が言えず、国民から議論も、批判もできない。
他の分野でも、日本の大学がダメなのは、大学を出ても使える人材になっていないから。他の国では、大卒は即戦力。卒業した瞬間に使いものになるようにしてほしい。だからロースクール、メディカルスクールの議論になる。
さらに言えば、開業して、新しい技術・知識のことを学ぶ機会が少ないのなら、いったん大学に戻ったっていい。あるいは経験を積んだ開業医が大学の教授をやってもいい。法律の分野だって、裁判官が大学教授になったり、外交官経験者が大学で国際関係の講義をしている。
医師のキャリアパスについて自由に議論をしなくてはいけない時代なのに、「規制、規制」というのは、やはり間違っているんじゃないか。これまで、医学部という土俵の中で議論してきたことが一因。
最近、医師不足や臨床研修の話は、新聞にも取り上げられるようになったが、この議論は国民全体が知る必要がある。その意味では、医療者も発信力がなさすぎる。もう少し、世の中に対して物を言うべき。毎日投書して、「研修医の生活は、こんなにミゼラブルだ」と訴えるとか。
――医療界からの情報発信が少ないと。
全然、世間に届いていない。去年くらいから、「勤務医は大変だ」とか言われるようになったが、それまで「お医者さんは、お金持ちで優遇されていて…」というイメージが強かったのでは。今でも、私たちの世代の多くは、「白い巨搭」のイメージを抱いている。
むしろ患者の方が発信能力はあります。福島県立大野病院のときには、医療側と患者側がイーブン、あるいはむしろ医療側の方が強かったけれど。
その意味では、この臨床研修の検討会はいい場所なんですよ。様々な立場の方が話してくれるから。これを機会に、いろいろなもの部見直した方がいい。“医療崩壊”を救うのはこうした自由な議論。既得権益に胡坐(あぐら)をかいている人は嫌がるでしょうが。
――検討会では、一定の結論を得るというより、まず問題点を洗い出すことが目的だと。
そうです。長期的な目標として、医学部定員増を図っても、医師不足解消までに10年はかかる。だから、短期的な施策として、研修期間を2年から1年に短縮すれば、「8000人医師が誕生する」わけだから、それは効果があります。
しかし、短縮が可能なら実施するが、別に急いでやる必要もない。研修期間の短縮だけで済む問題でもないから、様々なことを議論することが重要。ただその際、現場の声を聞かないと、医学生、医師が反乱するかもしれない。だから現場がどう考えているか、調査が必要なのです。
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