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ソネット・エムスリーが、m3.comの会員を対象に、“医療事故調”の試案について調査したところ、「民主党案」の支持が41.5%で、「厚労省案」支持の14.3%を大きく上回ることが明らかになった(図1)。もっとも、「どちらとも言えない」も44.2%で、さらなる検討が必要なことも浮き彫りになりました。

医療事故が刑事事件化することへの懸念も
この調査は、m3.comの会員を対象にm3.comのサイト上で実施、計1万38人から回答を得た(そのうち医師は6877人)。調査期間は、2008年6月20日から7月13日。
“医療事故調”については、6月13日に、厚労省が「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」を公表している(厚労省のページへ)。一方、民主党は、6月11日に、「患者支援法案(通称)」をまとめている(『民主党が厚労省「大綱案」の対案まとめる』を参照)。“医療事故調”をめぐる今後の議論は、この二つの案を中心に議論が進められると想定されることから、この2案のどちらを支持するかを調査した。
その結果、前述のように「民主党案」支持が「厚労省案」の約3倍に上ることが明らかになった。
医師に限ってみると、回答者全体よりもやや「民主党案」支持の割合が多く、43.1%、「厚労省案」支持が13.2%、「どちらとも言えない」が43.7%となっている。
「民主党案」支持の理由としては、(1)厚労省案は、一定の基準に該当した医療事故死の届け出を義務化し、違反した場合にペナルティーを科すことが問題。これに対して民主党案は、当事者間で問題が解決できない場合に“医療事故調”を利用するとし、紛争解決に主眼を置いている、(2)厚労省案と異なり、医療事故と刑事訴追との関係を切り離して考えている――などの意見が上がった。
また、「どちらとも言えない」の理由としては、(1)それぞれに一長一短があり、どちらがいいか決めにくい、(2)制度の詳細が分からないと、何とも言えない――という趣旨の意見が多かった。
さらに自由意見としては、「悪意がないにもかかわらず、医療事故で業務上過失致死罪を問われるなら、誰も医療をやらなくなる」「医師側の責任にウエイトを置いた議論は、医師を萎縮させ、危険な診療科の回避につながり、現在の医療崩壊を招いている」など、医療事故が刑事事件化することを問題視し、それが“医療崩壊”の一因であるとの指摘が寄せられた。
“医療事故調”の目的の議論が必要
厚労省は現在、「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に対するパブリックコメントを募集している。“医療事故調”については、昨年春の第一次試案、昨年10月の第二次試案(「続出した反対意見を無視した検討会」を参照)、今年4月の第三次試案(『21条改正で前進だが「警察への通知」残る』を参照)、そして6月の大綱と4回も試案を公表している。
これだけ試案の公表とパブリックコメントの募集を繰り返してもなお、医療者の間で「厚労省案」支持が少ないのはなぜか。一連の議論を見ていると、“医療事故調”の目的が関係者の間で一致していないことが一因だろう。
「目的」という根幹が異なれば、制度設計に関していくら議論を重ねても合意は得られない。医療事故死に関する患者との紛争解決、原因究明、再発防止、関係者の責任追及のどれが目的なのか、これらを一貫して行う組織を作るのか、あるいは別組織とするのか――。原点に立ち戻り、この点に関する議論をしない限り、議論の発展性は期待できない。
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