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ソネット・エムスリーが、m3.comの会員を対象に、“医療事故調”の試案について調査したところ、「民主党案」の支持が41.5%で、「厚労省案」支持の14.3%を大きく上回ることが明らかになった(図1)。もっとも、「どちらとも言えない」も44.2%で、さらなる検討が必要なことも浮き彫りになりました。

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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.8
――今、“医療崩壊”といわれる現在、いつがタイムリミットでしょうか。いつまでに「見積書」を作ればいいのでしょうか。
小松 現場の医師にとっては、難しい質問ですね。ただ今危ないのは、救急と産科です。特に、救急の方が危機にあると私は思っています。
――ではまず産科や救急で「見積書」を作り、そのノウハウを他の分野に応用していくことは可能でしょうか。
権丈 できると思います。「産科医療を守るためにはこれだけ必要ですから、目的税的に社会保険料を何%、消費税を何%上げてください」と、国民を説得する主張することもできるでしょう。
小松 救急だったら、幾つかパッケージを作って、国民に選んでもらうこともできるでしょう。「救急車の使用料は高い、だけど税は安い」「救急車は安いけど、税は高い」といったパターンです。
権丈 政治家も怖いでしょうね。医療費に充てるためにも消費税引き上げの議論をしなければならないと考えているにもかかわらず、その引き上げに反対している医療団体がこれだけ多いのですから。
小松 医療団体に呼ばれて講演するのですが、消費税引き上げを訴えると叱られます。
――結局、これまでのお話を踏まえると、現在、日本は医療だけではなく、教育もはじめ、様々な分野でお金が足りない。そうした中で、医療者が消費税引き上げに断固反対すると、結局は医療にお金が回らず、自分で自分の首を絞めることになりそうです。
権丈 勢い余って、日本の民主主義を再建するために負担増は絶対許せないという医療者も見受けられますけど、なぜ、日本の民主主義を再建するために医療を生け贄として捧げられなければならないのかと言いたくもなる。だいたいもって、民主主義なんてものは、どの国も潔癖なはずはなく、かなりだらしのないものです。ムダのモグラ叩きは永遠に続くでしょうけど、そこで言われているムダの額は、医療を再建するのに要する額とは二桁も三桁も違うわけです。
小松 ムダを完全に排除することはできません。しかし、「ムダ」の部分よりも、「足りない」部分の方がけた違いに大きい。
権丈 だから「見積書」を作り、計数感覚の備わった議論を行って、政府不信の国民を説得していきましょうとなる。
小松 それをできるだけ、大きくキャンペーンする。
権丈 しかし、負担増を口にすると、医療者からものすごい反論が来るわけです。社会保障がやっていることは、市場が貢献度に応じて分配した所得を、政府が租税・社会保険料という形で徴収し、それを家計の必要度に応じて分配し直す、所得の再分配制度なのです。だから、社会保障を充実させるためには負担増、国民が社会保障を利用するための料金の支払いは不可欠なのです。
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財政再建も重要だが、まずは医療・介護、さらには教育の再建を進め、若い人が便益を受ける形にする。「安心して生活できる社会」を作り、消費税・社会保険料率引き上げなどの負担増に対する理解をいかに得るか。その戦略を立てることが今、求められている――。これが、虎の門病院・小松秀樹氏と慶應大・権丈善一氏の対談の結論だ。
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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.7
――どんな財源を医療費に充てる場合でも、国民の理解を得るためには「見積書」が必要になると。
権丈 「公共事業から持ってくるべき」という意見を否定するわけではありません。持ってくることができれば、それに越したことはありません。
医療費に占める租税の割合は約35%、保険料が約50%。高齢者医療制度では国庫負担の割合が大きいので、高齢化の進展に伴い、租税部分が増えていきます。したがって、租税と社会保険料の両方を増やさざるを得なくなります。
消費税は社会保障に不向き、医療費も不向きという方もいらっしゃいますが、今の社会保障、医療はかなり消費税に依存しています。まず、消費税5%のうち、1%が地方消費税として地方に行くことが決まっていて、残る4%のうち0.295の割合が地方交付税に使われます。つまり、「1%+4%×0.295=2.18%」は地方に行くことが既に決まっています。
5%の消費税のうち国税分、つまり2.82%(5%―2.18%)は高齢者三経費――介護、高齢者医療、基礎年金――に充てられることが決まっています。要するに消費税の国税分は、今でも社会保障目的税なんですね。高齢者三経費は、2007年度では12.8兆円、2008年度には自然増0.5兆円を上乗せして13.3兆円が見込まれています。しかし、国税分の消費税で三経費を賄っている割合は、6割を下回っています。消費税の国税分は高齢者三経費に使うべしというルールが予算総則に明記された1999年には、高齢者三経費が賄われる率は8割以上ありました。
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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.6
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――医療は患者やその家族にならないと、現実問題として捉えにくい一方、教育問題は誰でも直面する問題です。
権丈 だから教育の方が、勝つかもしれません。以前、あるインタビューで「5年で1兆円の財源があったら、何に使うべきですか」と聞かれたことがあります。その時は答えなかったのですが、5年で1兆円使えても、医療はどうなるものでもありません。それなら、教育や環境の問題に使い、医療については負担増の必要性を国民に訴えていくべきですし、それを訴える正当性が医療にはあると思っています。
そのためには、「いったい、どのくらい必要なのか」、その「見積書」を出す必要があります。例えば100億円や1000億円といった単位で医療の問題が解決するのならば、今の運動方針を続けられても良いと思う。しかし、日本の医療を再建するには恐らく兆の単位が必要ですね。兆の単位になると、他の支出から持ってくることは難しい。
――「見積書」はどのように作成すればいいのでしょうか。
権丈 前期高齢者については、来年から窓口負担が1割から2割に上げることになっていますが、その見直しが検討されています。では、1割に抑えるためにはいくら財源が必要か、その中で国庫負担をどうするか。救急、産科、小児科医療を再建するには、何をやる必要があり、それには幾らかかるのか。
人件費については、積み上げが必要です。例えば、医師の場合、勤務時間を法廷労働時間内に抑えるためには何人の増加が必要か、夜勤明けに医師が休むことができるようにするには医師が何人必要でそのためにはいくらかかるのかなどの検討を行うことです。何十年も前に決めた医療法標準の医師数すら満たしていない医療機関が多いのですから、これを満たすためには何人必要なのかです。労働条件の改善は急務です。「昔は。少ない人数でこれだけ当直をこなしたんだ」などと言われても、若い人たちはかわいそうです。
目に見える、国民に分かる形で「見積書」を提示することです。「見積書」を作ると、必要な医療費の「単位」が分かります。今までは、こうした計数感覚を踏まえずに議論してきたわけです。
小松 「実は最近、権丈先生から、「医療費を7兆円増やすなら、何に使うか」と聞かれました。
権丈 日本のGDP比の医療費は8%ですが、そのうち公費負担は6.6%です。それをドイツ並みの8.1%に上げるには、7.5兆円必要です。フランスレベルだと10兆円の財源が必要。そこまでは無理でしょうから、7兆円の財源が回るとしたら、何に優先的に使っていくかを小松先生にお聞きしたわけです。「ヨーロッパ標準の医療費を」ということは、医療政策の研究者や医療者が揃って言ってきたことですけど、それが幾らなのかはあまり意識されてこなかった。7兆円の公的医療費の使途を小松先生が知り合いに聞いてくださったところ、本当に詳細な試算が返ってきました。お持ちしたのはその一部です。
小松 この試算が当たっているかどうかは分かりませんが、議論のたたき台にはなるわけです。ただ、「見積書」を作るのは、そう簡単な作業ではありません。例えば、私は急性期病院のことしか知りません。臨床を何年かやって、さらに医療制度や臨床に精通した方が何人か集まって、急性期から慢性期まで幅広い視点から作る必要があります。
権丈 そのようにしてたたき台を作って、議論していくことが必要です。「医療費を増やすべき」という点では、私と小松先生と意見は一致しているのです。
医療は、一つのサービスを購入することでもあります。その負担を上げるためには、「購入できるものは何なのか」をある程度、納税者に見える形にすることが必要なのです。年金だったら、「6万6000円を7万円にします」と言えば、どれくらい恩恵を受けるかは想像できます。一方、医療の場合は、「医療費を、国民1人当たり年間4万4000円増やして約5兆円必要です」と言われても、どんな医療を受けられるようになるかは分かりません。
確かに「見積書」を作るのは簡単ではありませんが、医師や経済学者をはじめとした社会科学者、そして官僚を含めて、何人かの専門家が協力すればできると思います。「見積書」の作成と並行して、医療不信や政府不信をどう払拭するかが課題になってきます。
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「公共事業のムダを削れ」「埋蔵金を医療費」などと、他の分野の歳出を削減し、医療費に充てる議論は、やめた方がいい――。慶應大・権丈善一氏はこう指摘します。虎の門病院・小松秀樹氏もこの意見を支持。ムダがあるのならば、そのムダは徹底的に削りながら、医療費を増やすことは可能だからです。「いったいどのくらい医療費が必要か」、その試算のための「見積書」が不可欠だそうです。
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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.5
――日本では医療に関する満足度は高くはないのに、負担感は強い。それは正しく情報が伝わっていないことが理由ということです。
小松 費用負担について、大学教育にどうしても触れたい。日本では、大学教育のための費用は低く、OECD28カ国中24番目です。しかもその内訳がいびつです。多くの国で公費負担が大半を占めますが、日本は私費が半分以上です。
権丈 私費の負担、つまり親のがんばりで、なんとかこれまである程度の水準を維持してきましたが、それも既に限界に達し、今は教育に歴然とした格差がでてきています。私は、教育は既に混合診療化していると言っているわけです。
小松 このため、親が貧しいと大学に進学できません。貧困の再生産ですね。
権丈 となれば、少子化問題や格差の固定化問題の緩和にかなりの効果が見込まれる。私がよく教育の話を持ち出すのは、「(公費の少なさや費用負担のあり方が問題になっているのは)医療だけじゃない」ことを言うためです。医療は社会保険という手段を持っていますが、教育はそうした手段もありません。
ですから、医療費増の必要性を主張する際、「消費税の引き上げは、絶対反対」という医療者がいますが、それでは教育や少子化対策など、保険財源を持っていない他の分野に、しわ寄せが行くことになります。教育については、高等教育だけではなく、義務教育を含めた教育全体で見ても公費負担の割合は低く、悲惨な状態です。
小松 2007年度の一般会計の歳出を見ると、国債費と社会保障費がそれぞれ約4分の1で、約21兆円。残りのうち、地方交付税が18%。防衛費は5.8%で約5兆円なので、削減できても1兆円程度でしょう。知り合いが自衛隊にいて、先日韓国に行ったのですが、韓国と比べると、日本の自衛隊は、節約に節約を重ねているので、宿舎などの設備はとても貧弱だそうです。
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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.4
――なぜそうした不満になるのでしょうか。
小松 医療制度や医療費のあり方について、あまり考えてこなかったからでしょう。国民負担率はデータがそろうOECD27カ国中、下から5番目と低い(財務省データ)。そんなことも知られていません。
権丈 一般紙が一面で、日本の医療政策を低医療費政策として取り上げたのは2007年1月23日の毎日新聞が初めてです。そこではGDPに占める日本の医療費割合が「先進7カ国(G7)の水準にほど遠く、差が広がるばかり。2003年のG7平均は10.1%で、日本はG7平均に比べて医療費の支出が2割も少なく」、医師数も「OECD平均に達するには、医師を1.5倍に増やす必要があると」と指摘しました。誰もがすぐに入手でき、かつ医療に関心のある人の間では当たり前のデータなのに、それまで一般紙はほとんど取り上げず、国民の多くが知らなかった。
先日、この企画に係わった記者と話をしていたら、医療クライシスの企画が始まるまで彼らの多くも、日本が低医療費政策であることを知らなかったらしいです。これは不思議なことです。私が初めて書いた書評は、『エコノミスト』から頼まれた二木先生の『世界一の医療費抑制政策を見直す時期』なのですが、これが出されたのは1994年ですよ。毎日新聞が2007年の段階で取り上げたのは、前年に上梓された小松先生の『医療崩壊』の影響もあったのでしょう。毎日新聞が医療クライシス特集を開始した直後から、各紙が日本の医療崩壊を取り上げるようになりましたが。
私は、大学の授業や一般人向けの講演会で社会保障について話す際、まず「日本の医療費は、OECD諸国の中でも低い」ことを言わなければなりません。学生はこのくらいで驚きます。そこから始めないと、彼らは日本の医療費は高いと思っていますし、競争市場のおかげでアメリカの医療費は安いと思っていますので。
小松 記者さえも、知らなかった方が多いのでは。
権丈 いまだに「医療は市場原理に任せるべき」と主張される方がいます。医療を市場にゆだねた米国の方が、日本と比べて医療費が安いと思っているのでしょう。医療に関する基本的な情報が伝わっていないのです。
――報道する側の不勉強に加えて、さらにさかのぼって情報を出す行政当局が情報をコントロールしているという事情があるのですか。
権丈 情報操作があるなどと批判する方もいらっしゃいますけど、そういうサスペンス仕立ての問題ではなく、世の中の「常識」が原因だと思います。「常識」が、見るべき「事実」見たい「事実」を選択している結果、正しい「事実」を見てくれないのです。年金も同じですが、普通の人が自信を持って信じ切っている素人の常識と専門家の常識とはあまりにも距離があるんですね。
小松 報道する側、さらにはその受け手の思い込みは、すごく大きいと思います。
権丈 医療に限らず、税金の問題をはじめ、どの分野でもそうですね。素人の常識と専門家の常識の乖離は、いずこも甚だしい。最近の動きを見ると、新聞よりテレビの方が強いですね。例えば、日銀総裁問題、道路特定財源問題、そして後期高齢者医療制度の問題は、新聞は比較的冷静に論じようとしていましたが、テレビに「3連敗」してしまった感があります。
小松 テレビは悲惨な一部の状況だけを報道しており、後期高齢者医療制度の全体像などは全然伝えていません。
権丈 医療について正しく理解してもらうためには、人々の「思い込み」をなくす必要があり、突き詰めれば教育から見直すことが重要です。これは昔から長年言われていることであり、医療だけでなく、税や年金、社会保障全般についても同様で、教育段階、つまりメディアの影響をあまり受けない子どもの頃からきちんと教えなければなりません。
ところがそれをやってこなかったので、「日本が低医療費政策を取っている」「医師の給与もさほど高くはない」「医師は大変な状況で働いている」などという「事実」が伝っていないのです。税にしろ社会保障にしろ、義務教育段階での教育が重要というのは、結局のところ、大人に情報を提供する今日のメディアは商業主義に走る傾向が強すぎてあまり信頼できなというはなしと裏返しのことなのですけどね。
――医療者の間では、「日本の医療費は諸外国と比べて安い」というのは常識なのに、医療界以外の方の多くはそう考えていない。それは認識の違いではなく、そもそも情報を知らない。医療のあり方を議論する前に、情報を正しく伝えることが重要だという結論です。
小松 私は様々な場で話をしています。新聞やテレビの興味を引く「言説」を出すと、彼らはそれを取り上げるようになります。とにかく、医療者側から語り、情報を出し続けることが重要だと思います。
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『医療提供体制は「今日的医師不足」』では、医療提供体制から見た現状認識を語っていただきましたが、では患者側はどう見ているのでしょうか。「いい医療を受けたいが、お金は出したくない」という認識の人が多いという結論です。「それは子供が、おもちゃが欲しい、と駄々をこねるのと同じ」と虎の門病院・小松秀樹氏は手厳しく指摘されます。個々人の価値観の問題などではなく、正しい情報が伝わっておらず、「事実」を的確に認識していないことが理由だそうです。
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医療再生にはなぜ負担増が必要か◆Vol.3
――では患者さんは医療の現状をどう見ているのでしょうか。各種調査を見ても、患者さんの医療への満足度は必ずしも高くはありません。その上、「医療費は高い」という意識です。
権丈 二木立先生(日本福祉大学教授・大学院委員長)が、医療制度に関する満足度を国際比較しています(『社会保険旬報』2007年1月1日号)。医療の満足度は、医療費水準(一人当たりの医療費)と生活満足度、この二つの要因で説明できるという結果でした。一人当たりの医療費が低いほど、また生活満足度が低いほど、医療に対する満足度も低い傾向にあります。
つまり、日本人は何に対しても不満を訴えやすい国民性を持っているようで、生活満足度そのものが低いので、この点を割り引いて考える必要もあります。
小松 満足度を調査する場合の調査票の作り方も問題ですね。
権丈 二木先生が紹介されている国際比較は、各国とも同じ質問票を使っているので、この点は問題ありませんが。
小松 日本の大半の調査は、「文句を言いなさい」と促すための質問票です。「いい医療を受けるためには、お金を払ってもいい」と「最低限の医療でいいから、お金は払いたくない」といった質問票ならいいのです。しかし、現状で実施されている多くの調査は、例えば、「わが国の国民医療費について」や「医療費に係る国民の負担」について尋ね、「非常に高いと感じる」「やや高いと感じる」「やや低いと感じる」「非常に低いと感じる」という選択肢から選んでもらうやり方です。
この前、内田樹先生(神戸女学院大学文学部総合文化学科教授)と対談したのですが、その際、「庶民社会の無責任」という言葉が出てきました。日本の報道は「市民社会」を前提としていない、「庶民社会」を前提にしていると。「庶民社会」では、堅牢な社会システムが作られており、それが世の中を抑圧的に支配しています。その社会システムが機能不全に陥った際は、文句を言うのが庶民の役割で、「不満のリスト」を長くするほど、社会にとっていいことだとされます。それを前提に新聞も作られている。
「文句を言いなさい」と言っている社会システムで調査しても、限界があります。
――「文句を言う社会」だと、医療の現状に不満を抱いていても、「ではお金を出して、いいシステムを作りましょう」という話には展開しにくい。
小松 「いい医療を受けたいが、お金は出したくない」と言うのは、子供が「おもちゃが欲しい」と駄々をこねるのと、ほとんど同じです。この要求に応えるのは無理です。この矛盾に全然気付かせずに、満足度調査を実施しても意味はありません。
権丈 「おもちゃが欲しいけど、お金は出さない」という意識を持っていればまだいいのですが、「お金を出しているのに、なぜおもちゃをくれないのか」と思っている方が多いのも問題ですね。
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