< 浅き川も深く渡れ    星野道夫 | メイン
医療の現場において、「自分は取るに足らない存在であり、治療を受ける価値など無い」と本気で信じている人に出会うことがあります。高齢で、身寄りの無い人に多いかと思います。その言葉によって、我々医療人が本当に治療を中止してしまうことはさすがにないでしょうが、時に深く考えさせられます。

 

患者さんの心理としては病気を治したいけれど、そのために払われる社会的、人的資源あるいはそのための犠牲を考えると治療を受けることを躊躇ってしまう、そういう方は、意外に多いのかもしれません。 

そのような場合の医療にどのような価値を見出したらよいのでしょう? その答えが、この格言の中に秘められているように思えます。

 

   あなたが癒されるとき、世界も癒される。

   だから、あなたは癒されるべきなのです。 

 

このクリシュナムルティの深遠なる思想には到達できないにせよ、この自他一体、一如の世界、Onenessの境涯を体得したいものです。

人を裁くのではなく、その人にむしろ心を沿わせていくことが大切です。簡単にできることではありません。世界の調和や平和の実現は、他者を客観視し分析するという問題解決型の手法では不可能な気がします。

心理学の用語に「可能的自我」があります。可能な限り他者の環境や心情を理解し、自らをその他者に重ね合わせて考えてみる、というものです。要するに、思考実験として他者になりきるということです。

 

   あなたは世界であり、世界はあなたである。 

 

そして、このことばの真意を我々が体得できたとき、はじめて真の平和が訪れるように思います。

癒しのあるところに、この世界の癒しも可能となるのです。

人が癒される瞬間は、世界全体も癒されているに違いないのです。

 

   「臨床の現場でのささやかな癒しが、世界全体の癒しに、どこかでつながっている」 

 

そんな気がしてならないのです。

 

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そうですね。患者さんの側に立つということは大切ですよね。分からない未来のことを一緒に考える。単純なようで難しいことですが、それをやり続けることが、医療なんだと思います。
written by Klavia / 2008.01.25 22:25

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