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2012.02.02 21:20 |  診療  |  仕事 / 職場  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 1

危険が危ないかも

 前回のエントリの事例について、勤務先の産婦人科医に聞いてみた。記事からは分からないこともあるので、以下のような仮定での話。

腹痛などの症状のない女性が妊娠の有無の確認のため受診。
妊娠反応陽性で、エコー検査で子宮内妊娠が確定できない。
HCG検査で子宮外妊娠の可能性も十分にあることが判明。(受診終了後)

この場合でも、電話で検査結果を知らせることはしない。
検査結果は受診して告げられるもので、電話で知らせる契約があるとは認識していない。
知らせた方が親切であるかも知れないが、親切と法的義務は異なる。

今は辞めた高齢の医師(私より若い)が中心だった頃は、一週間後に来るよう指示していた。
今はさすがにもっと早く受診するように話している。
以上が答えだった。

うちも6700万円賠償するのだろか。

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2012.01.31 17:57 |  診療  |  仕事 / 職場  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 2

後出しじゃんけん勝ち目無し

 腹痛を主訴として病院を受診する患者はいっぱい居ます。たいていはたいした病気ではなく、治療の必要もない患者が大半です。でも、中には命に関わる病気もあります。もちろん腹痛だけではなく、頭痛など、他の症状でも同様です。可能性だけなら、どんな可能性だってあります。

 時に命に関わるからと、何らかの症状がある患者がすべて救急車を呼んだら、日本の医療は崩壊するでしょう。崩壊するようなことを義務と認定する裁判所と言うところは、医療を崩壊させたがっているように見えます。記事からは分からないこともあるのかもしれませんが、以下のような判決を受け入れてまで医療を続ける必要はないのではないでしょうか。

子宮外妊娠の女性死亡 愛知・岡崎市に賠償命令
朝日新聞デジタル

 岡崎市民病院(愛知県岡崎市)での受診直後に子宮外妊娠による出血で死亡した同市の女性(当時36)の遺族が、市と医師に7800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、名古屋地裁であった。堀内照美裁判長は、病院側が子宮外妊娠の可能性を伝えなかったため、処置が遅れて死亡したと認定し、市と医師に約6700万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2007年10月3日、妊娠を疑って同病院で検査を受けた。女性が帰った後の同日夕には検査結果が出て、担当した女性医師は子宮外妊娠の可能性に気づいた。

 翌4日朝に女性から腹痛を訴える電話があり、午前11時に来院することになった。女性が病院に来ないため、病院は何度も女性に電話したが通じず、午後1時に女性から「腹痛で動けない」と電話があった。病院が救急車を呼んだが、女性は自宅で意識を失っていて、5日に出血性ショックで死亡した。

 判決は、最初に腹痛を訴える電話があった時点で、女性は危険な状態だったと指摘。子宮外妊娠の可能性が高いことや危険性を具体的に伝え、できるだけ早く来院するよう勧める責任があったと結論づけた。

 堀内裁判長は「適切に伝えていれば、迅速な手術と治療で救命できた可能性が高かった」と述べた。

 同病院は「判決文を見ていないのでコメントは差し控える」としている。


 最近訴訟に関わることが多くなってきて、科学畑の考え方と法律家の考え方にかなりの隔たりがあることを実感しています。科学畑の人であれば、可能性は確率で考えるのに対し、法律家は、可能性があるか無いかで考えます。

 記事だけから判断すると、そもそもは単に妊娠しているかどうかを調べただけのようです。そして妊娠が分かった訳ですが、その時点で子宮外妊娠を疑うはずはありません。、翌日腹痛があるとの連絡を受けたときにはいろいろな可能性も考えて、受診の予約をしたのでしょう。でも、この時点で手遅れになりそうな子宮外妊娠を強く疑うというのは無理ではないでしょうか。当日に受診するように言ったのであれば、ミスとは言えないと思います。

 妊娠していれば子宮外妊娠の可能性はありますから、可能性を問われれば、産科医は可能性はあると答えてしまいます。そうすると、可能性があり、予見可能だったのに放置したことになってしまうわけです。実際には、妊婦の腹痛の原因は子宮外妊娠以外にもいっぱいあります。ここでは子宮外妊娠のことなど触れても居ません。また、子宮外妊娠だったとしても、いつ破裂して大出血を起こすのかを知ることはできません。

 屁理屈であることを承知で書きますが、妊娠すれば子宮外妊娠に限らず、いろいろな原因で死亡する可能性があります。それを承知で妊娠させたのであれば、死ぬ可能性を予見できたのに漫然と妊娠させたことになります。

 結婚すれば、いずれ妊娠する可能性は高いでしょう。それを止めずに漫然と結婚に同意した親族が居たのであれば、やはり死ぬ可能性を予見できたのに漫然と結婚させた落ち度があります。

 記事の判決は、蓋然性に差があることは認めますが、上の屁理屈と同じ種類の判断だと思われてなりません。

2月1日追記
 「記事からは分からないこともあるのかもしれませんが」と書きましたが、Yosyan先生によると、いろいろと記事からは分からない事情がありそうです。事実関係については留保とさせて下さい。それでも、ハイリスク・ローリターンの現状はおかしいと思いますので、高額賠償の判決に同意できないことに変わりはありません。

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2011.11.29 17:52 |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 0

不起訴不当だって

 私はどうしても検察審査会というものを信用できません。人間というのはどうしても結果論で考えるものです。心理学では「後付けバイアス」と言うようです。司法関係者がどれだけいろいろなバイアスに通じているのかは疑問ですが、それでもずぶの素人よりはマシだろうと思います。

 日常では人が死ぬと言うことは大変なことですが、医療の現場では逆に死が日常なのです。そこで結果論で判断され、人が死んだのだから誰かの責任であるかのように思われたら堪りません。

 以上はあくまで一般論で、以下で紹介する記事の事例にも当てはまると言っているわけではありません。いつものように、記事からは何も分かりませんから判断のしようもないのですが、どうやらこの事例のようですね。

虫垂炎症状見逃し患者死亡 医師の不起訴「不当」…検察審議決


 患者の虫垂炎の症状を見逃して死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検され、大阪地検が不起訴(嫌疑不十分)とした40歳代の男性医師について、大阪第3検察審査会が「漫然と診察し、血液検査など最低限の検査を怠った」として、不起訴不当を議決したことがわかった。

 10月26日付の議決などによると、医師は2006年11月、大阪府内の病院で当時43歳の男性患者を診察。風邪と診断したが、患者は翌日死亡した。解剖の結果、死因は虫垂炎による敗血症ショックで、診察時にすでに虫垂炎を発症していたとみられることがわかった。

 遺族は「診察時に腹痛を申告していた」と主張したが、地検は今年7月、カルテに腹痛の記載がないなどとして不起訴にし、遺族が同審査会に申し立てていた。

(2011年11月26日 読売新聞)

 この記事についてはYosyan先生のブログに詳しい事情があります。遺族側の情報はこれである程度分かるのですが、刑事被告人候補の医師の言い分が分からないので、ここでは判断はしません。

 この事例の是非はともかく、日常の診療を、刑事被告人にならないように気を遣いながら行うのはイヤだなあ。

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2011.11.12 19:09 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 2

診た者負け

 今までにも何度か書いたことと思いますが、日本の救急医療は「なんちゃって救急医療」です。第三次救命救急センターの看板を上げていても、夜間休日は救 急専門医ではなく、各科の医師が交代で救急医療を行っているところが大半です。しかも、夜間はシフト制の夜勤ではなく、本来診療を行ってはいけないはずの 宿直医が救急患者を診ているのです。

 こんな状況で理想的な医療を行わなければ保険会社からも訴訟を起こされるとなれば、もう診た者負けですね。おそらく被告の香川大学は、市中病院から見たら、ずっと高度な医療をしたのだと思いますが。

AIU保険、香川大を提訴

 香川大病院(香川県三木町)が適切な措置を怠ったため、交通事故の被害者に重い後遺障害が残ったとして、損害保険大手のAIU保険が同大学を相手取り、被害者らに支払った自動車保険金の半額約1億7500万円の損害賠償を求める訴えを高松地裁に起こしたことがわかった。

 訴状などによると、香川大病院は2003年9月、知人運転の車で事故に遭った20歳代女性の救急搬送を受け入れた。女性は入院後、首の脱臼が原因の手足 のまひを発症。女性は知人に対して損害賠償訴訟を起こし、高松高裁で約2億2600万円の支払いを命じる判決が確定した。AIU保険は判決確定までの医療 費などを含め3億4876万円を被害者らに支払った。

 AIU保険は「搬送時にまひはなかった。香川大病院が速やかに首を固定しなかったため、脊髄損傷が広がった」と主張、2分の1の負担を求めて提訴した。

 AIU保険の広報担当者は「個別の訴訟案件については答えられない」とし、香川大の担当者は「係争中で、具体的なことはコメントできない」と話した。

 医療事故情報センター(名古屋市)理事長の柴田義朗弁護士は「保険会社が医療過誤を問う訴訟は珍しい。同様の訴訟が増える可能性がある」と話している。

(2011年11月7日 読売新聞)

 整形の専門医によると、麻痺の程度は打撃時にほぼ決まっていて、早く固定しても関係がないそうです。たとえ裁判で負けなくても、訴訟につきあうだけでも気が萎えるでしょうね。

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2011.08.19 13:00 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 3

事件にはならないだろうけど

 以下の記事の事例はNATROM先生の「NATROMの日記」で知ったのですが、「ぐり研ブログ」や告発者である本澤氏のブログなどを読む限り、告発された医療関係者が気の毒でなりません。

「医療ミスで次男が死亡」 政治評論家の本澤二郎さんが東芝病院を刑事告訴 
2011.8.15 17:28 産経ニュース

 東京都品川区の東芝病院で昨年4月、入院中の次男が死亡したのは病院側の過失が原因として、政治評論家の本澤二郎さん(69)が15日、同病院の男性院長や女性看護師ら計4人を業務上過失致死罪で警視庁大井署に刑事告訴した。

 東芝病院は「通常の医療の範疇(はんちゅう)で、医療事故ではなかった」とコメントしている。

 告訴状などによると、死亡したのは本澤さんの次男の正文さん=当時(40)。別の病院で脳手術を受けた後、植物状態となっていたが、昨年4月7日、誤嚥性(ごえんせい)肺炎の疑いで東芝病院に入院。午後7時40分ごろ、院内の個室で死亡しているのが見つかった。

 死因は、たんがのどに詰まったことによる窒息死だったが、告訴状では、看護師が約1時間40分にわたって巡回に行かず、異常を知らせる警報装置などを取り付けていなかったことが原因と主張している。


 この記事や本澤氏のブログその他を読んだ私なりの事実経過の理解は以下のごとくです。

他の病院で次男の正文さんが脳膿瘍を脳腫瘍と診断され、対処が遅れた。
結果として、次男の正文さんが植物状態となった。
嚥下障害のために胃管を通して流動食を与える経管栄養を行っていた。
本澤氏が経管栄養を拒否し、退院させ、自宅で口から食べさせていた。
一口ごとにむせる状況で、私から見たら完全に虐待ですが、続けていた。
当然のことながら誤嚥性肺炎となりますが、入院させてくれる病院が見つからない。
そうした中、東芝病院が引き受けてくれた。
最終的に誤嚥性肺炎で死亡。

 どう見ても東芝病院には感謝することはあっても非難することはあり得ないと思うのですが、どうして刑事告発なんかになってしまうのでしょう。誰かが正文さんの死に責任があるのだとしても、それは東芝病院ではないような気がします。

 脳膿瘍を正しく診断できなかったことが本当に初歩的なミスであり、それがもとで植物状態となったのであれば、そのときに関わっていた主治医に責任があると言うことはできるかもしれません。もちろん刑事罰が相当とは思いませんが、民事による賠償責任が問われることはあるでしょう。

 一方、嚥下障害があり、口からの食物摂取が無理だとされている患者に、無理矢理口に食物を押し込み、毎回むせるような状況を繰り返した行為は、誤嚥性肺炎での死亡という現実を見れば、重大な過失と言えるのではないでしょうか。過失を刑事罰で裁くことの是非は置いておくとして、現実に過失致死という罪名がある以上、刑事罰を受けるに値するとしたら、告発者本人ではないかと私は思います。

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2011.07.25 19:04 |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 1

不適切な単語が含まれているらしい

 ここはミラーサイトなのですが、本家のサイトに日記を書き、ここにコピーをしようとしたら、「不適切な単語が含まれているので書き込みできません」と、はねられてしまいました。

 

 よろしければ本家の方においで下さい。

↓ここです。

http://plaza.rakuten.co.jp/tinyant/diary/201107250000/

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2011.06.08 03:45 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 1

医療崩壊待望論復活?

 日本の救急医療は、救命救急センターを含めて、言わば「なんちゃって救急医療」です。本来であれば専門の救急医が24時間対応するか、各科の医師を24時間絶え間なく配備するかして行うことが理想ですが、その様な体制の取れるところはほとんどありません。実態は、休日夜間は各科の医師が交代で日直・宿直をし、労働基準法で禁じられている通常業務の医療を行うことでまかなわれています。当然、専門外の疾患を診ることになります。

 このような体制で、ひとりひとりの高齢者に24時間万全の医療を行うことは不可能だと私などは思うのですが、世間の常識はそうでもないのでしょうか。不可能なことを求められたとき、やめるという選択肢は当然ありますが、まだまだ日本の医師は頑張っています。

 一時期、医療崩壊は秒読みだと思っていましたが、最近は持ち直してきました。でも、このような訴訟が増えてくると、医療崩壊待望論が息を吹き返してきそうです。もちろん記事からは詳細が分かりませんので、実際にどのようなレベルの医療が行われたのか不明ですが、このような記事を見ると、医師のやる気が削がれることは間違いありません。本当に訴訟にいたって当然のような低レベルの医療が行われたのだとしたら、その詳細まで書いた方が良いと思います。

損賠訴訟:別府医療センターを提訴 /大分 

 急性心筋こうそくで死亡した別府市内の女性(当時81歳)の遺族が約4100万円の損害賠償を求め、地裁に。訴状によると、女性は1月30日、胸の痛みで受診。専門外の当直医が検査し、異常なしと診断。指示に従って翌日に循環器科を受診したが、急性心筋こうそくと診断され心破裂で死亡した。原告側は「早期に正しく診断されれば命は失わなかった」と主張。センターは「訴状内容を検討し、考えを主張したい」としている。


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2011.05.23 18:09 |  診療  |  仕事 / 職場  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 0

情報の差

 今回は同じ事例を扱ったと思われる二つの記事を比較してみようと思います。最初は読売の記事から。

名大病院で医療事故、手術中に小1児童死亡 
2011年5月17日 提供:読売新聞

 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区)で昨年7月、小学1年の児童(当時6歳)の腹膜内腫瘍摘出手術を行った際、大動脈を傷つけ、児童が出血性ショックで死亡したことが分かった。

 松尾清一病院長は17日、「心からおわび申し上げたい」と謝罪した。

 病院によると、児童は昨年夏、背中から腹部にかけての腫瘍が見つかり、全摘手術を受けた。その際、背中側まで切除を進めたところ、何らかの原因で大動脈を損傷させたという。家族には「2、3時間で終わる」と説明していたが、児童は手術開始の約8時間後に大量出血し、その約4時間後に死亡した。

 事故後、外部識者を中心に設置された事故調査委員会は、スタッフ間の意思疎通や血管損傷などの事故発生に備えた機材の準備、家族への説明が不十分だった--と指摘した。


 腹腔内のある程度癒着した腫瘍を摘出しようとすれば、時には大動脈を損傷させることもあり得ます。でも、そうなったら死亡する恐れが大ですから、その様なことにならないように気をつけることも事実で、滅多に起こることではありません。滅多に起きないことに備えよと言ったら、すべての開腹手術で大動脈損傷に備えなければならなくなります。それは現実的ではないでしょう、と言うような感想になりますね。この記事を読んだ限りでは。

 次は共同通信の記事です。

名大病院でミス、児童死亡 腫瘍摘出手術で大動脈損傷 
2011年5月18日 提供:共同通信社

 名古屋大病院は17日、小児がんの一つ「神経芽腫」で入院していた児童=当時(6)=の腫瘍を全摘出する手術の実施中に大動脈を損傷、出血性ショックで死亡させる医療事故があったと発表した。

 病院によると、児童は膵臓(すいぞう)近くに腫瘍ができ、小児科で昨年7月、悪性腫瘍と診察されたが、後日、小児外科が実施した腫瘍表面の組織を採取する検査手術では良性とされた。

 小児科は再検査するよう小児外科に依頼したが、執刀医は検査結果で腫瘍が良性だったほか、「患者への負担を軽くするため、開腹を1度で済ませるべきだ」と判断、腫瘍の全摘出手術に変更した。

 執刀医は手術前「2~3時間で終わる」と家族に説明しただけだった。手術中、腫瘍とつながるなどし位置が変わっていた大動脈を誤って傷付け、児童は12時間後に死亡したとしている。

 腫瘍は悪性と良性が混在した状態だったことが手術後の病理検査で判明した。

 病院は「医師同士の情報共有が不十分だった」などとする調査結果を公表。松尾清一(まつお・せいいち)院長は「病院の管理体制の不備。家族への治療方針の説明も足りなかった」と謝罪した。


 こちらの記事では手術に至る経過が分かる記載です。腫瘍は膵近くの大動脈を巻き込んだもので、組織診断再検のために小児科の依頼により、試験切除をする予定だったようです。でも、小児外科医は手術を選択したと言うことなのでしょう。このあたりの意志決定の経過まで分かれば更に良かったと思います。

 記事を読んだ感想としては、小児外科医は手術を簡単に考えていたと思われます。膵近くの腫瘍の手術は決して簡単とは思えませんが、おそらく小児科医も同意見で、組織検査で腫瘍の組織学的診断が付けば、手術以外の治療も視野に入っていたのではないでしょうか。

 刑事事件にするのは絶対に反対ですが、この記事を読む限り、民事に関しては病院側は分が悪いと思います。

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2011.02.26 18:18 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 3

湯水のごとく注ぎ込みますか?

 少子高齢化に伴い、医療費の増大は大きな問題です。本当に必要な医療を確保する一方、切り捨てるべき所は切り捨てないとやっていけないでしょう。高齢者の老化による機能不全に対してまで公費を使って濃厚な治療をしている国は日本以外にはないのではないでしょうか。

 実態がどうであったのかは分かりませんが、このような判決の記事が出ると、高齢者への濃厚な医療をやらざるを得ないのでしょう。

1500万円支払い命じる 地裁判決 熊本・氷川の医療過誤訴訟 
2011年2月24日 提供:毎日新聞社

 症状改善のための措置を取らずに男性(当時85歳)が死亡したとして遺族4人が氷川町の病院を運営する医療法人に慰謝料などを求めた訴訟の判決が23日、熊本地裁であった。長谷川浩二裁判長は「適切な治療がされたとは認められない」として計約1500万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は05年11月、肺に異常があったことから検査のため入院した。血清ナトリウムの濃度が低下したが注意義務に違反し、食塩水を輸液するなどの適切な治療をしなかったという。同年12月に意識を失うなど急変し、06年2月に転院先の病院で死亡した。長谷川裁判長は「病院に注意義務違反があったと認めざるを得ず、症状急変との因果関係もあった」と指摘した。【遠山和宏】


 記事そのものについても一言言っておくと、こんな病名も分からず、低ナトリウム血症の原因も分からないような記事を書かないで欲しいと思います。対処すべきだったのかどうかの判断に全く役に立ちません。

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2011.02.25 06:06 |  診療  |  仕事 / 職場  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 4

口腔内大量出血

 口蓋扁桃の摘出術で怖いのは術後の出血です。手術中の止血法は、電気メスで凝固するか糸で縛る結紮ですが、出血が止まったと思っても、まれには後に出血することもあります。特に結紮の場合、口腔内の操作ではしっかりと縛ったつもりでも、狭さ故の制約からゆるいこともあるでしょう。よほど下手な手術をしたのでないかぎり、術後出血そのもので、術者の責任を問うのは厳しすぎると思います。

 そのような点を勘案したかのような判決と思われる記事があります。問題は、過失を別なところに求めたことが妥当かどうかですね。

損賠訴訟:労災病院過失に賠償命令 術後脳障害、呉の女性側に8660万円 /広島 

 中国労災病院(呉市)で、へんとう摘出手術を受けた後に大量出血で窒息し、重い脳障害が残ったとして、呉市の女性(61)と家族らが、独立行政法人・労働者健康福祉機構に約1億900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、広島地裁であった。野々上友之裁判長は、病院側の過失を認め、約8660万円を支払うよう機構に命じた。

 判決によると、女性は07年2月、へんとう肥大と睡眠時無呼吸症候群の治療のため、へんとう摘出手術を受けた直後に大量出血を起こした。担当医は女性に全身麻酔薬と筋弛緩(しかん)薬を投入し、再挿管による呼吸の確保を図ったが、出血で視野が得られず断念。窒息による低酸素脳症を起こし、障害が残った。

 判決で野々上裁判長は「全身麻酔を導入すれば患者の嚥下(えんげ)機能が消失し、気道閉塞(へいそく)の危険を高めることが容易に想像できる」と指摘。「自発呼吸を温存し意識がある状態で、麻酔導入を試みるべきだった」と過失を認めた。

 同病院は「コメントは差し控えたい」としている。【中里顕】

毎日新聞 2011年2月24日 地方版


 この記事では担当医となっているので、おそらくは耳鼻科医と思われますが、少なくとも私の知っている耳鼻科医で、意識下挿管を難なくこなす者は居ません。まして、大量に出血している状況では無理でしょう。

 例え麻酔科医だとしても、麻酔下で挿管できない症例に意識下で挿管することは困難だと思います。意識下挿管の良いところは、挿管できなくとも自発呼吸があるので安心と言うことですが、この症例は安心だったのでしょうか。

 「再挿管による呼吸の確保を図ったが」との記載から見ると、元々呼吸の出来ない状況を何とかしようとしたのでしょう。大出血を起こしたことが危機的状況なのであり、それに対処できないことを責めても、出来なかったものは仕方がありません。

 きっとどこかのお偉いさんが、自分では何も出来ないくせに、ちゃんとやれば対処できたはずだというような意見書を出したのでしょうね。私だったら、そんなことは言えません。

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