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2011.11.24 17:15 |  開業 / 病院経営  |  仕事 / 職場  |  生活 / くらし  |  bamboo  | 推薦数 : 0

これも説明責任?

 うちの病院の駐車場は、車高の制限があります。全高2.1m以上の車だと天井にぶつかるおそれがあるため、入り口に「高さ制限2.1m」との表示があり、その下に黒と黄の縞で塗られたバーがかかっています。このバーに触れるような車は高さ制限を超えており、入場できないという意味なのですが、これは理解の難しいことでしょうか。「このバーに当たる車は入場できません」と表示するという手も考えられますが、あまりごちゃごちゃと詳しく書くと読んでもらえないおそれもあり、悩ましいところです。

 どうしてこんな事を書くかというと、先日、「車がこすれてしまうのでバーをもう少し上げて欲しい」という投書があったからです。投書した人はバーがどうしてかかっているのか理解できてないと言うことなのでしょうか。それとも分かっていて安全域を少なくしろと言っているのでしょうか。 

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 子育てをした人ならご存じでしょうが、生後9ヶ月ともなれば、寝返りはもちろん、ハイハイする子も少なくありません。そのような子をうつぶせ寝にしただけで死亡するでしょうか。うつぶせ寝が死につながったのだとすれば、ほかに何らかの原因があったはずです。それを書かずに記事にすれば、誤解を振りまくことになります。

 おそらくはどこかが発表した内容をそのまま垂れ流しただけなのでしょうが、報道するからには自分でも取材し、考え、おかしいところがあれば納得のいくまで調べてから記事にすればいいのにと思います。少なくとも私は、9ヶ月の子が他に何の理由もなく、うつぶせ寝で死亡したという事実認定には納得できません。

乳児うつぶせ死訴訟で和解 都などが両親に解決金
2010年6月18日 提供:共同通信社

 2006年に東京都立豊島病院(現・都保健医療公社豊島病院)で生後9カ月の川村優太(かわむら・ゆうた)ちゃんが死亡したのは保育士がうつぶせに寝かせたのが原因だとして、両親が都などに損害賠償を求めた訴訟は18日、東京地裁(植垣勝裕(うえがき・かつひろ)裁判長)で和解が成立した。両親に解決金4800万円を支払うことなどが条件。

 事故を教訓に、保育施設の指導要綱にある「乳児を寝かせる際はあおむけにする」との規定を双方が確認し、「都などは安全で充実した保育の実現と再発防止を目指して努力する」との文言が和解条項に盛り込まれた。

 優太ちゃんの母親順子(じゅんこ)さん(34)は「これまで子どものことを忘れたことはない。今後は子どもにとって安全な態勢をつくってほしい」と話した。

 両親は07年12月に提訴。植垣裁判長はことし4月「都などに責任があると判断せざるを得ない」との見解を示し、和解を勧告していた。

 訴状によると、豊島病院に勤務していた順子さんが06年7月19日、職員用保育室に優太ちゃんを預けたが、泣いていたところを保育士からうつぶせに寝させられ死亡した。

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2010.03.30 06:03 |  開業 / 病院経営  |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  bamboo  | 推薦数 : 2

誰のせいだと小一時間

 公立病院や公的病院(日赤や済生会)が民間病院と比べて赤字になりやすいのには理由があります。民間病院が手を出さないような不採算部門にも関わらなければならないからです。また、支払い能力がなかったり、支払う意志のない患者も引き受けざるを得ないと言うこともあります。

 実はもう一つ理由があって、民間病院は医師の給与は高くてもそれ以外の職員の給与は低く抑えられていることが多いのですが、公立病院は逆です。つまり、医師の給与は安いのですが、それ以外、特に事務員の給与が高いのです。職員の比率から言えば、医師以外の方が圧倒的に多いのですから、公立病院の方が人件費が高くなります。

 とは言え、日本で病院の経営が苦しいのは、やはり診療報酬が国際レベルより圧倒的に低いからでしょう。国が診療報酬を決め、その国が赤字を作るなと言うのはマッチポンプというものではないでしょうか。

3年連続で70%超が赤字 損失額は2106億円 08年度公立病院決算
2010年3月29日 提供:共同通信社

 地方自治体が運営する932公立病院の70・9%に当たる661病院が、経営不振のため2008年度決算で経常損失を出したことが26日、総務省の集計で分かった。赤字病院が70%を超えるのは3年連続で、損失額の合計は2106億円だった。

 医師不足による診療体制の縮小で患者数が減少し、収入が落ち込んでいることなどが背景。損失を出した病院の割合は07年度比1・3ポイント低下、損失額は5・8%減少しているが、小児科や救急医療などの不採算部門を維持するため自治体が一般会計からの拠出金を増額したのが要因で、同省は「厳しい経営状況は変わらない」としている。

 利益を出した271病院を含めても合計の経常収益は0・9%減の3兆9597億円。このうち柱となる料金収入は、病院数や患者数の減少などで1・9%減の3兆2202億円だった。

 一方、経常収益にも含まれる、一般会計から病院への拠出額は4・2%増の5437億円で、自治体は財政難の中にあって地域医療の確保に向けて支援を拡充している。

 職員給与などの経常費用は、病院数や患者数の減少に伴い1・2%減の4兆1442億円。公立病院全体の損益は1845億円の赤字だった。

 こうした厳しい状況を受けて総務省は自治体に対し、赤字の公立病院は09年度から3年間で黒字化するよう要請。廃止や近隣病院との統合、民間譲渡、地方独立行政法人化などの取り組みが各地で進み、08年度末の公立病院数は前年度に比べ21減少。入院と外来を合わせた患者数は5・4%減っている。

※公立病院

 地方自治体が特別会計を設けて運営する地方公営企業の一つ。小児科や産科、救急医療などの不採算部門を抱えている病院が多く、自治体財政を圧迫する要因となっている。2008年度末現在で建設中のものを除き932病院あり、内訳は都道府県が196、政令指定都市が43、市町村が590、一部事務組合が103。

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 つい今し方、県医師会からファクスが入りました。新型インフルエンザのワクチンの在庫が無く、配布を中止するとのお知らせです。既に発注した分はなかったこととし、16日に再発注する予定は一週間繰り延べになり、発注期間は二日間だけとのことです。

 これほど貴重なものであれば、ほんのわずかでも無駄にすることは許されません。少なくとも、常識をわきまえた人ならそう思うはずです。でも、その様な常識はこの国では許されないようです。建て前を守るためなら、貴重なものを無駄にするくらい何でもない人たちによって、少なくとも鳥取県は運営されているのでしょう。そして、メディアは何の疑問もなく、只病院の不始末であるかのように報道するだけです。

余った新型ワクチン職員親族に接種…鳥取・西伯病院
2009年11月12日(木)14:47 YOMIURI ONLINE

 新型インフルエンザワクチンの医療従事者への優先接種を巡り、鳥取県南部町の町国民健康保険西伯病院の医師が、余ったワクチンを病院職員の親族2人に接種していたことがわかった。

 県は「身内優先との誤解を招く」として適切な接種を行うよう注意し、同病院も「余剰分を有効活用したつもりだったが、結果的にまずい判断だった」と陳謝している。

 同病院や県によると、県内でワクチンの医療従事者への優先接種が始まった10月21日、同病院で初回分の医療従事者に接種した際、ワクチンが余った。国は、ワクチンを24時間以内に使わない場合、廃棄するよう指導していることから、担当の男性内科医師は「もったいないから」と、余剰分を看護部長の孫(2)に接種。30日にも余剰が発生したため、薬剤部の職員の娘(11)に接種した。今月上旬、病院が接種対象者を県に報告し、子どもへの接種が表面化した。

 陶山清孝・同病院事務部長(53)は「ワクチンが無駄にならないよう工夫、節約した結果、子どもに使う分量が余った。誤解を与える行為で申し訳ない」と話した。

 岩垣宝祥・県医療指導課長は「余剰分の有効利用は構わないが、あくまで国が示した優先順位に従って行うべきだ」と指摘。県は近く、ワクチン接種を行う県内の全病院に、接種の優先順位を守るよう通知する。

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2009.07.15 05:04 |  開業 / 病院経営  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 9

保険診療は定食

 公立病院・公的病院は営利事業ではありませんが、慈善事業でもありません。大きく儲ける必要はありませんが、かといって、赤字を垂れ流すわけにも行きません。ひとつひとつの医療行為は、やはり黒字になる必要があるのです。
(現状は多くの施設が赤字ですが)

 万全を期して、通常は使わない高価な装置まで用意して手術をしなければならないのであれば、それを前提とした医療費であるべきですが、もちろんそんなわ けはありません。用意した装置のコストは丸々病院の負担となり、当該医療行為自体が赤字となります。もう保険診療では、その医療を行うなと言っているに等 しいと思います。

県に4400万円賠償命令 損賠訴訟:医療ミス認定 --地裁 /香川
2009年7月14日 提供:毎日新聞社

 県立中央病院(高松市番町5)で市内の男性(当時62歳)が腹部の大動脈瘤(りゅう)の手術を受けた際、医師 が適切な処置を怠ったため死亡したとして、遺族が県に計約1億2000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、高松地裁は13日、県に計約4400万円の支 払いを命じた。吉田肇裁判長は「医師の過失と男性の死には因果関係が認められる」とした。

 病院側は「男性の死は手術後の予想外の事態によるもので、手術のミスではない」と主張した。しかし、吉田裁判長は「医師の過失により多臓器不全にまで至らしめた結果、救命できなかった」と遺族側の訴えを認めた。

 判決によると、男性は05年2月、同病院で腹部の大動脈瘤を人工血管に置き換える手術を受けた。医師は、接合部位や方法の判断を誤り、あらかじめ組み立 てておくべき人工心肺装置の準備を怠ったため、手術が長引き、臓器に十分な血液が行き渡らず、6日後に多臓器不全で死亡した。

 病院は「判決文を詳細に確認した上で、今後の対応を検討したい」としている。【松倉佑輔】


 具体的なことは分からないので、ミスの有無については触れません。「あらかじめ組み立てておくべき人工心肺装置の準備を怠ったため」という部分についてだけ述べます。

 通常、腹部大動脈瘤の手術に人工心肺装置は使いません。人工心肺装置を組み立てれば、回路は使い捨てですから、コストが発生します。決してお安くありま せん。使用せずに済めば、その費用はどこからも出ません。本当にあらかじめ組み立てておくべきなのだとしたら、その費用が腹部大動脈瘤手術の費用に組み込 まれているはずですが、もちろんそんなことはありません。

 保険診療には保険診療の常識があります。保険を使うのであれば、その常識の範囲内の医療で我慢すべきです。保険では許されない万全の医療を受けたいのであれば、自費で行えばよいのです。

 定食屋で高級フランス料理が出ないと文句を言うのは、いい加減にやめませんか。

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2009.07.03 05:19 |  診療  |  開業 / 病院経営  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 5

修羅場では経験がものを言う

 しばらく前の話になりますが、秋葉原で無差別殺人事件がありました。その時、警察官と犯人が対峙している様子が何度も放送されました。犯人はナイフを 持っているものの屁っ放り腰で、訓練を受けた警察官なら難なく制圧できそうでした。でも実際は、警察官も足がすくみ、手は震えていました。初めて遭遇する 重大な局面では、人間なんてこんなものです。

 たいていの歯科医は、仕事の中心は虫歯の治療です。通常は命に関わりのない業務です。突然患者の生命の危機に直面しても、蘇生のための訓練も受けていな いでしょうし、何より初めての重大な局面でしょうから、適切な対応など出来るわけがありません。出来たはずだというのは、机上の空論です。

青森の女児ら歯科医提訴 「処置怠り植物状態に」
2009年7月2日 提供:共同通信社

 虫歯治療中の麻酔注射で急性アレルギー症状を起こし植物状態になったのは適切な処置を怠ったのが原因として、青森市の女児=(8)=と母親が1日までに、同市の歯科医院と歯科医に約1億4300万円の損害賠償を求める訴訟を青森地裁に起こした。

 訴状によると、歯科医は昨年8月、女児に麻酔薬を注射。「アナフィラキシーショック」というアレルギー反応でけいれんを起こした女児に同医院は速やかに人工呼吸などを行わず、救急隊への連絡も事故後約30分経過していたことから重大な障害が残ったとしている。

 歯科医の代理人は「直ちに近くの内科医を呼んで心臓マッサージや人工呼吸を行い、適切な薬を投与した。過失はない」と主張している。


 本当にアナフィラキシーショックだったのかどうか分かりませんが、実際にそうだったのであれば、並の歯科医が頑張ろうと、すぐに救急隊を呼ぼうと、障害 を残さずに社会復帰をすることは無理だったであろうと思います。記事の症状だけから判断すると、局麻剤中毒だったのではないかと思いますけどね。

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 昨日のエントリでは、十分な体制を取っていなかったとして高額の賠償金を支払えと言う判決を紹介しました。でも、十分な体制ではないからと診療を行わないと、こんな風に文句を言われます。いったいどうしろと言うのでしょう。

山梨大指導で分娩再開断念 塩山市民病院
「常勤医1人では緊急時対応不十分」
既に予約、市民に不満

2009年06月25日(木)


 医師不足で産婦人科の分娩ぶんべんを中止していた甲州市の塩山市民病院(沢田芳昭院長)が、助産師による正常分娩を始めようとしたところ、同病院に医師 を派遣している山梨大から指導を受け、断念していたことが、24日分かった。市民の要望に応えようと早期再開を目指した同病院だが、同大は「常勤医が1人 しかおらず、緊急時の対応が不十分」と待ったをかけた。医療関係者は「多くの医師派遣を受ける山梨大の方針に従わざるを得なかったのではないか」と病院側 対応に同情するが、市民からは不満の声が上がっている。
 同病院によると、産婦人科は当初、山梨大からの派遣医が3人いたが、同大が「小児科医と麻酔科医が確保できない」として全員を引き揚げたため、2007年10月に分娩を中止した。昨年8月、新たに1人が派遣された。
 同病院は、分娩を求めた市民ら7万7千人の署名が提出されたことを重視、早期の分娩再開を模索。正常分娩に限り助産師5人が主体的に措置する仕組みをつくり、緊急時は山梨市内の診療所の産婦人科医と、系列の山梨厚生病院の麻酔科医に協力してもらうことが決まった。
 今年1月、同病院で検診を受ける妊婦のうち、6月以降の出産予定者を対象に分娩の受け付けを始めた。しかし同大から指導を受けたため、4月に取りやめることを決め、予約者に通知した。
 同病院は「診療所は医師1人でお産を扱う。助産師や看護師は多く、正常分娩なら安全と判断した。ただ山梨厚生病院を含め、同大から多くの医師の派遣を受けていて、再開に慎重にならざるを得ない」と説明する。
 同大は、同病院を指導したことについて「院内助産でも母体や胎児に異常があった場合、助産師から医師にバトンタッチする。分娩再開には少なくとも常勤医3人が必要」などと説明。常勤の小児科医、すぐに駆け付けられる麻酔科医がいないことも理由に挙げている。
 同大が地方病院から医師を引き揚げ、拠点病院に医師の集約を図る背景には医療事故が起きた際の訴訟リスクがあり、「お産に百パーセントの安全を求められる時代。万全な体制で分娩を再開したいが、医師不足で難しい」(同大)という。
 ある医療関係者は、県内の多くの病院が、県内で唯一、医師の派遣機能を持つ山梨大に頼っている現状を指摘。「大学の方針に従わざるを得ない傾向を解消するには、医師を増やすことはもちろん、国や県が積極的に大学側へ働き掛けてほしい」と注文する。
 分娩を予約した山梨市上之割の村松幸恵さん(36)は「地元で産めると思って喜んだのに残念」と肩を落とす。分娩再開の署名活動を進めた「子育てネット こうしゅう」の坂野さおり代表は「再開してもすぐに中止されては困る。一日でも早くお産ができる環境を整えてほしい」と訴えている。

山梨県内のニュース(山梨日日新聞から)
強調はbambooによる


 病院の説明では、山梨大学のごり押しに従わざるを得ないかのような印象を与えますが、本当にその様な説明をしたのなら、今いる医師も引き上げた方が良いのではないでしょうか。 

 正常分娩かどうかはお産が終わってから分かることです。昨日紹介した事例でも、正常分娩だと思ったから准看護師が見ていたのでしょう。胎児仮死などで急 に帝王切開術が必要になったとき、たった1人の産科医でどうするのでしょう。奴隷のように、一年365日24時間拘束しますか。また、小児科医や麻酔科医 もすぐには来られないでしょう。手術開始までに時間がかかれば、状況次第で、一億円以上の賠償金です。

 万全を求めて無に帰するか、現状を認めて我慢するか、地域ごとに決めるのはいかがでしょう。条例で、故意や初歩的なミスによる重大な結果以外は訴訟を制限し、死亡や重い後遺症に備えて患者が保険に入るような体制を取る地域が出来れば、多くの医師がやってくるでしょう。

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2009.05.01 12:36 |  開業 / 病院経営  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 5

医療政策の貧困その2

つづきです
          東京大学医科学研究所
         先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門
          上 昌広


 医療を安全にするためにはお金がかかりますが、わが国の医療安全対策への投資が極度に不足していることがわかります。では、どうやって資金を確保すべきでしょうか?どの程度の金額を、誰が負担するか、まさにこれが問題です。ところが、この問題は、これまで議論されてきませんでした。

 ところで、わが国の医療は、「プラスアルファの医療費を払いたい人も払ってはいけない」という不思議なルールを採用しているのはご存じでしょうか。もちろん社会保障として、政府が保障する医療保険は必要ですが、それに上乗せして払う一部の人がいれば、安全性向上という恩恵を全員が受けることができるでしょう。飛行機のビジネス・クラスをモデルに説明した社会システムデザイナー 横山禎徳氏の文章がわかりやすいのでご紹介します。(横山禎徳 現場からの医療改革推進協議会:「社会システム・デザイン・アプローチによる医療システム・デザイン」2)


(以下、引用)
 「システムにお金が入ってくるとどのような良循環が生まれるかということを考えるために、航空業界を例に取ってみましょう。「ビジネス・クラス」の発明が良循環を生んだのです。1970年代初頭の航空業界というのは最悪の状況でした。747などのジャンボ機が導入されましたが、集客に自信がなく、ディスカウントをすることに走り、各社ほとんど赤字の状況で、機材更新のための投資が出来そうにありませんでした。従って、飛んでいる飛行機の寿命が30年を超えるという状況になりそうでした。数年前、某航空会社の30年物の747が空中分解したように、やはり、30年を超えると安全性に問題があります。70年代の航空業界は大変
なことになるという予測でした。ところが、70年代の半ばから後半にかけて航空業界は「ビジネス・クラス」という画期的なサービスを発明しました。

 これは、フル・フェアを払ってくれる企業が相手です。個人のように安く飛びたいから「ちょっとまけてよ」とはあまり言いません。料金をサービスの質に応じて定価どおり払ってくれます。航空業はお客が定価どおりに払ってくれれば儲かります。個人客の多いエコノミー・クラスはほとんどディスカウントしているから儲からないのです。企業相手であればフル・フェアであるということです。そこがミソであって、だから「ビジネス・クラス」と言ったわけです。

 これは、予想以上に当たって、急速に航空業界は潤いました。そのおかげで最新鋭機の開発が進みました。すなわち、第四世代の機材と言っていますが、767、777、747-400、737-700、737-800と続々ボーイング社から出てきました。エアバスも最初のA300というのはそうではないのですが、エアバス320、319、330、340を含めて全部が第四世代の機材です。

 皆さんご承知ではないと思いますが、驚くべきことに2000年から今日(2007年11月)まで先進国のエアラインにおいて第四世代の飛行機での死亡事故はテロ以外、今の所ゼロです。その位安全性が保たれています。確かに機材破損事故は結構あります。この間も、先進国かどうかの定義の問題はありますが、台湾の中華航空の737-800が燃えましたが、あれも死亡者ゼロです。だから、やはりお金がシステムに入ってくると安全性が高まるのだということです。

 貧乏人は古い飛行機に乗りなさい、「ビジネス・クラス」の客以上は最新鋭の飛行機に乗せますということはありません。当たり前のことですが、そういう差別はできないし、ないのです。747-400というのは非常に安全性の高い機材なのですが、ファースト・クラスやビジネス・クラスの客だけではなくエコノミー・クラスの客も、安売りチケットの客も含めてどんなタイプの客でも皆乗っています。全く同じような意味で、医療システムの中にお金が入って来て、みんなが潤うという良循環を作り出すことが大事なのです。

 医療システムにお金が入るということは結局、年寄りも若者も、貧乏人もお金
持ちも全部含めて皆が得をするのだと発想すべきです。」
(引用終わる)


 では、なぜ厚労省は、プラスアルファの医療費を払いたい人までも、払うことを禁止するのでしょうか。それは、病院が自らの努力で収入を得る道を閉ざして、赤字ぎりぎりの状態にしておいたほうが、厚労省にとって有利だからです。病院は生き残るために必死で補助金収入を得ようとしますから、厚労官僚が作る補助金事業に無批判に従ってくれます。補助金は規制と表裏一体ですから、官僚はたやすく権限を拡大することができます。まるで、官僚が権限拡大するために、国民・患者を危険にさらしているかのような構造です。官僚が、この構造を意識しているか否かは別として、彼らの置かれた立場を考えれば合理的な対応です。国民への情報公開が不十分な官僚統制では、しばしば起こる事態のようです。おそらく旧ソ連や東欧の末期は同じような状況だったのでしょう。

 厚労省は、さらに不可解なことに、医療機関が自らの努力で、患者が払う金額を軽減することも禁止しています。4月15日、札幌のNPO法人と歯科医院が連携し、患者の診療費の窓口負担分を実質無料にしていることは、患者本人にも医療費を負担するよう求めている健康保険法に違反しているとして、厚労省が監査に入ったと報じられました(共同通信)。今後、保険医療機関の指定取り消しなどに踏み切る可能性もある(読売新聞)とのことですが、そうなれば保険を使うことができなくなり、患者にとっても医院にとっても致命的な打撃を受けます。
なぜ厚労省は、患者負担分の割引を禁止するのでしょうか。周囲の医療機関の経営を圧迫するからでしょうか。

 ちなみに、厚労省は民間病院には税金投入しませんが、厚労省管轄の国立病院・ナショナルセンターには、税金によって赤字補てんすることが当然のように行われています。ちなみに、このような施設には役人が出向したり、天下ります。

 厚労官僚の権限拡大のために医療費本体を削減しているという構造が見えてきましたが、厚労省へ予算を配分している財務官僚は何をしているのでしょうか。財務官僚は、現場の意見を聞くのではなく、厚労官僚の説明だけを長年聞いてきたため、「医療費亡国論」の考え方に騙されてしまっているのでしょう。医療費はコストでしかないから削減すべきだという考えに染められてしまい、医療に付加価値を見出し付加的に支払いたい人もいることや、それによって患者全員が恩恵を受けるという発想は、思いもよらないことなのでしょうか。


【 患者の安全性向上のため病院の人件費増加が必要 】

 危険にさらされている患者の安全性を向上させるためには、病院コメディカルの雇用を大幅に増やす必要があることは明白です。

 4月2日、政府・与党が「地域医療再生計画」を策定し、1兆円規模の基金を創設すると報じられました(共同通信)。もし、この1兆円を基金としてではなく、医療者が患者を診療することへの対価として、つまり診療報酬として支払えば、年収400万円としてのべ25万人・年のコメディカルの雇用を増やすことができます。しかし厚労省は、なぜこの予算を診療報酬ではなく基金にしようとするのでしょうか。基金を作っても、これまで通り「給与は雇用関係にある医療機関が払うべきものであり、国が払うべきではない」という理屈を貫くでしょうから、病院のコメディカル雇用は全く増えないでしょう。そのかわり、あまり役に立たなそうなプロジェクトが立ち上がり、天下りポストが増えるでしょう。これは、過去に何回も繰り返し、そのたびに失敗してきたことです。

 患者の安全を守るためには、与党が厚労官僚に絵を描いてもらうばかりではな
く、民主主義に基づく政治主導のリーダーシップが必要な時が来ているのかもし
れません。

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2009.05.01 12:34 |  開業 / 病院経営  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 4

医療施策の貧困その1

 MRICの記事はいつも参考にさせて頂いていますが、たいてい転載が許可されているので、特に重要と思われる記事は、全文を引用して紹介させて頂くことにしています。今回も日本の医療を理解する上で重要と思われますので、ご紹介します。強調や文字色は私の選択です。


▽ 医療費削減政策を考える ▽
第2回 危険にさらされる患者たち

東京大学医科学研究所
先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門
       上 昌広

2009年5月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行

【 Libby Zion事件:ニューヨークにおける患者安全対策の歴史的転換点 】

 1984年、ニューヨークの病院で、Libby Zionという18歳の女子大生が医療事故で亡くなりました。彼女はフェネルジンという抗うつ剤を飲んでいましたが、発熱、ふるえ、脱水などのために両親に連れられ、救急外来を受診しました。担当した医師達はウイルス症候群と考えましたが、熱と強い興奮状態で暴れていたため、複数の治療薬とともにメペリジンも処方しました。メペリジンは鎮痛薬で、鎮静作用もあります。当初は治療が効いたようでしたが、早朝6:30に心肺停止となり死亡しました。

 はっきりした事実がわからず議論となったのは、Libbyがフェネルジンを飲んでいることや不法な薬物(特にコカイン)を使用したことを、担当となった研修医に告げなかったのではないかという点と、研修医がこれらの薬の相互作用を知っていたか否かという点です。実は、フェネルジンは、コカインとも、メペリジンとも相互作用が起きるため、併用してはいけないとされています。

 父親のSidney Zion氏は元検察官で、ニューヨーク市の有名な新聞コラムニストでした。彼は、病院に対して民事訴訟を起こし、大陪審に刑事事件として起訴するか検討するよう働きかけました。1986年、大陪審は様々な議論の末、不起訴を決定したものの、薬のレファレンスシステム(現在は、薬剤師が夜間・休日も病棟ごとに交代制で常駐し、薬の量や併用などに関する医師からの質問に答える体制となっています)、コメディカルの人数、研修医の勤務時間などについて、病院体制に問題があると報告しました。Libbyが入院した際の担当医は、そ
のとき既に18時間以上、働きっぱなしの状態だったのです。1995年、民事訴訟では、コカインによる死亡という主張も、誤投薬による死亡という主張も受け入れられず、Libbyが医師にコカインや処方薬(フェネルジン)を飲んでいることを告げなかったことと、医師達がメペリジンを処方したことについて、 Shared Blameとなりました。解剖結果は急性肺炎で、検死局(MedicalExaminer)は、死因は両側の気管支肺炎であると報告しています。

 Libbyの死亡から5年後の1989年、ニューヨーク州は、患者の安全のために(医師の労働環境改善のためではありません)研修医の勤務時間を制限することを決めました。2億ドルの予算を投入し、患者安全のため、研修医の代わりに採血、点滴ルート確保、患者搬送などを行うコメディカルを増員し、医師の勤務時間を減らすことを病院に求めました。2001年には、この考え方が全米に受け入れられました(the Patient and Physician Safety and Protection Act)。

 しかし、このルールがあまり守られていないことが、長い間、議論されてきました。実は医師の勤務時間削減には、コメディカル増員のため経費が増える、夜中も同じ研修医が同じ患者を診なくなる、といった反対意見も多かったのですが、それでも「患者を危険にさらしている(Public Advocate for the City of NewYork)」「市民の命でルーレットゲームをしている(New York Daily News)」といった声のほうが強く、睡眠不足の医師に診療される患者の恐怖物語が相次いで報道されました。1999年、当直明けの医師が運転中に交通事故で亡くなる事件が起き、患者の安全のために医師の勤務時間短縮を求める声はさらに高まり、New York PostやNewsdayなどの紙面を飾りました。

 これは米国の話ですが、日本の状況はもっと深刻です。米国では若い研修医が問題になりましたが、日本では、すべての年齢層の医師が同じ問題を抱えています。40歳代では20歳代よりも注意力は落ちており、睡眠不足の状態での注意力は更に低下します。さらに驚くべきことに、25年前にLibbyの担当医が18時間以上起きていた状態で診療していたことが問題視されましたが、現在の日本では当直のたびに約36時間、睡眠をとらずに連続勤務することが常態化しています

 日本の病院は「雑用が多い」と揶揄されています。厚労省までもが「病院に勤務する若年・中堅層の医師を中心に極めて厳しい勤務環境に置かれているが、その要因の一つとして、医師でなくても対応可能な業務までも医師が行っている現状がある」と通知を出しています。厚労省に当事者意識のかけらも感じないのは毎度のことですが、この問題については、まだまだ国民的な議論が足りないと感じます。患者にとって、医師でなくてもできる業務を医師にさせるのがよいのか、コメディカルに任せるのがよいのか。医師を増員するのがよいか、コメディカルを増員するのがよいか、両方増員する必要があるのか。現状では、他に任せられる人がほとんどいないので、医師が残業しながらこなしているのです。

 日本の病院で、医師でなくてもできる業務を医師が行っているのは、医師をサポートするコメディカルの人数が極端に少ないからです。100床あたり病院従事者数は、日本では101人ですが、アメリカでは504人。これでは、同じ医療を提供する場とは言えません。政府による医療費削減政策によって、病院は必要な数の職員を雇用することができず、慢性的に人手不足の状態にあり、患者は危険な環境に置かれています。


【 看護師数・薬剤師数が多いほうが患者の安全性は高い 】

 看護師や薬剤師の人数が多いほうが、患者の安全性が高いことは世界の常識です。例えば、入院患者1日当たり看護師が1人増えるごとに患者の病院死亡率は、集中治療室で9%下がり、内科病棟で6%下がり、外科病棟で16%下がります。100床あたりの看護師数は、イギリス200人、アメリカ141人、イタリア136人、ドイツ75人(OECD Health Data 2007)。ところが日本は100床あたり34人、平均すると日本の看護師数は欧米のわずか約4分の1です。

 病院薬剤師についても、人数が多いほうが患者の安全性は高いことが知られています。病院薬剤師数と患者死亡率の相関関係には、統計学的有意差が示されているのです。ところが、100床当たり病院薬剤師数は、米国で9.77人に対し、日本は2.46人と、こちらも約4分の1です。

 従って、データの上では、日本の患者は、欧米の患者の4倍の危険にさらされている、あるいは、看護師・薬剤師の4倍の働きと注意力によって支えられていると言ってもよいかもしれません。


【 日本では「チーム医療」を行うだけのスタッフがいない 】

 何度か病院にかかった経験のある友人に、こう聞かれたことがあります。「米国では何人ものスタッフがチームで患者を診るのに、なぜ日本ではそうしないのですか?」答えは簡単です。「チーム医療」をしている(したい)のですが、米国ほどの人数がいないので、患者さんには「チーム」に見えないのです。

 前回ご紹介したとおり、愛知県がんセンター(473床)とテキサスのMDAnderson がんセンター(米国、456床)の100床あたり職員数は、それぞれ186人、3,125人と、実に17倍の違いがあります。1人のがん患者に対して、米国では17人の「チーム」が行う診療も、日本では1人の「チーム」で行わざるを得ません。日本の医療者は、1人で17人分の知識、技術、体力、注意力などを要求される環境に置かれているのです。たとえ17人分を要求されても、1人の人間には限界があります。このような環境で、危険にさらされているのは、患者なのです。

 米国で診療していた日本人医師は、「米国では看護師と薬剤師が投薬チェックをするため、薬の誤投与が患者にまで至った経験は幸運なことになかった。しかし日本では、互いに投薬チェックするような看護師や薬剤師は存在しないため、薬の誤投与は日常茶飯事だ」と言います。ほとんどの場合は、便秘の薬など生命に関わらない薬ですが、看護師・薬剤師などのコメディカルが手薄な環境に入院しているということが、患者にとってどれほど危険なことか、おわかりいただけるでしょうか。

【 医療事故の原因究明と安全対策のために 】

 医療事故を減らすには、実際に起こった医療事故の原因調査と再発予防が重要です。このため、厚労省は医療事故調査委員会(医療事故調)の設立を目指しています。このことは様々なメディアで報道されているため、ご存じの方が多いでしょう。私も、この問題に関心をもっていますが、この件ほど、厚労省が駄目だと感じたことはありません。厚労省が考えている案は、世界標準とはかけ離れ、役人の利権拡大が見え隠れします。

 「医療事故の真相を究明し、再発防止をはかる」という厚労省が掲げる目的には、私は心から賛同します。ところが、厚労省は解決すべき問題の優先順位を間違えています。患者の安全性向上を本当に考えるなら、真っ先にやるべきことは病院コメディカルの雇用人数を増やすことです。これは冒頭にご紹介した米国が長い議論の末、落ち着いた結論と同じです。

 また、厚労省が提案している医療事故調の制度設計は不適切です。現在、厚労省は、医療事故の厚労省への強制届け出、同委員会での真相究明(委員の人選は厚労省)、行政処分・刑事処分への転用を目指しています。しかしながら、こんなことをしてもわが国の医療は安全にはなりません。既に1人17人分の注意力を要求されている医療者に、「あなたの注意が足りなかった」「注意義務違反で処分する」といった責任追及システムを作ったところで、今まで以上に「注意する」ことは不可能です。むしろ、責任追及をおそれる医療者が隠蔽に走るという弊害ばかり大きくなる可能性が大です。そうなれば、医療事故の原因究明は遠ざかります。ちなみに、鉄道であれ、航空機であれ、事故調査と責任追及を連動させる国は、わが国以外に例を見ません。

 また、患者・遺族が真相を知る権利と行政の介入は分けて議論すべきです。医療事故調査の結果を患者・遺族に正直に伝えることを義務化し、刑事告発、民事訴訟、あるいは行政処分申請は彼らの判断に任されるという制度設計もありえます。むしろ、この制度の方が世界標準であり、厚労省ではなく、市民の権限を強化することが出来ます。


【 どうやって医療の安全コストを調達するか 】
 ところで、厚労省が決めた、患者の安全のための医療費の値段はいくらだと思われるでしょうか?「厚生労働省は、一体医療安全にいくらお金をつけているか。1患者1入院当たり500円ですよ。平均在院日数14日とすると1日37円」。これでは、患者の安全のために必要な病院スタッフの人件費には到底足りません。「(院内の事故調査を)やりますけど、もうちょっと考えていただいたほうが良いのではないか」と、埼玉医科大学総合医療センターの堤晴彦氏が、厚労省の第15回「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」(平成20年10月31日)で述べています。



つづく

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2009.03.30 12:33 |  開業 / 病院経営  |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  bamboo  | 推薦数 : 3

残業代を払うのも大変だ

 医師の給与は高いとよく言われますが、事実とも言えるし、事実ではないとも言えます。教育施設を除けば、勤務医の場合、確かに他の職種と比べたら月給を多く貰います。でも、本給が高いのではなく「初任給調整手当」とか「医師確保手当」と呼ばれるものを上乗せしているのです。本給を安く抑えることにより、退職金・年金・ボーナスなどの高騰を防いでいます。医師の生涯所得が少ないのは、職場を転々とすること以外に、このような事情があります。

 時間外手当も、本給や役職手当を考慮することはあっても、「初任給調整手当」とか「医師確保手当」を考慮することはないと思っていました。多くの病院ではそれらを時給に含めずに残業代を算出していると思います。これが違法だとは、初めて知りました。

滋賀県病院事業庁を送検 残業代一部未払いの疑い

 滋賀県立成人病センター(守山市)の医師の残業代を規定より少なく算定したとして、大津労働基準監督署が労働基準法違反の疑いで、同センターを運営する県病院事業庁と幹部らを書類送検していたことが28日、大津労基署への取材で分かった。

 厚生労働省によると、残業代に関し公立病院が捜査を受けたのは異例。

 大津労基署によると、2008年4月、管理職とされながら権限がなく、残業代が支払われない同センターの医師が「名ばかり管理職」だとして、事業庁に是正勧告した。

 事業庁は同センターなど県立3病院の管理職約40人を含む医師約100人の残業代などを、06年4月にさかのぼって算出。今年1月までに総額2億4000万円を支払った。また各院長ら約10人をあらためて管理職にした。

 しかし、労基署が病院関係者から刑事告訴を受けて調べた結果、残業代の算定基礎から医師に毎月支払われる「初任給調整手当」を除外して計算していた疑いが強まった。不払い分は約3億5000万円に上るとみられる。
【共同通信】


 医療費が抑えられている中、不採算部門を斬り捨てるわけにも行かない公立病院は何処も赤字です。医師の時間外手当を無視していても、今まで赤字だったのです。さすがにそれでは通らなくなったので、時間外手当を支払うことにしたのですが、「初任給調整手当」を除外して計算していたのは違法との指摘です。違法行為を放置するわけには行かないので支払うのは当然なのですが、赤字は更に大きくなり、病院を維持することは無理なのではないでしょうか。

 病院を存続させるべきとの意見の持ち主は、以上のような事実を認めた上で発言すべきと考えます。他のサービスのほとんどを犠牲にしても医療の存続を優先すべしと考えるのでない限り、小さな自治体の病院の存続は難しい時代だと思った方が良いのではないでしょうか。

 以下の記事を読むと、銚子市民のみなさんの今後が心配です。
 
千葉県銚子市長のリコール成立 市立総合病院診療休止問題
2009.3.30 00:40 産経新聞

 千葉県銚子市の市立総合病院の診療休止をめぐり、住民らが起こした岡野俊昭市長(63)のリコール(解職請求)の賛否を問う住民投票が29日、投開票された。市長の解職に賛成する票が2万958票、解職に反対する票は1万1590票と、賛成票が過半数に達し、岡野市長の失職が決まった。50日以内に出直し市長選が行われる。当日有権者数は5万9804人、投票率は56・32%だった。

 失職が決まった岡野氏は「一刻も早く病院を再開し、市民に医療を提供したい」とし、出直し市長選への出馬を支援者らと検討することを表明した。

 リコール運動を起こした住民団体「『何とかしよう銚子市政』市民の会」(茂木薫代表)も「市民の声を聞かずに病院休止を強行した岡野氏の下では地域医療の再生は不可能」と訴え、組織内からの候補擁立を模索している。

 市民の会は、市立総合病院の充実などを訴えて平成18年に当選した岡野市長が病院を休止したことが公約違反だとして、有権者2万3405人分の署名を集め、2月に市選挙管理委員会に解職請求していた。

 同病院事業の再開に向けては、有識者らでつくる指定管理者選定委員会(伊藤恒敏委員長、委員10人)が、公募に名乗りを上げた千葉市美浜区の医療法人社団「郁栄会」(川島孝治理事長)の事業内容を審査中だという。

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