よくO型の血液はどの血液型の人にも輸血できると言います。量にも依りますが、基本的には正しいです。でも、同じ血液型の血液があるのに、わざわざ別の血液型を入れることはありませんけどね。(交換輸血はどうなんだと言うつっこみは却下します)
O型の赤血球は他の型の血液中でも凝集反応を起こしません。それ故にどの血液型の人にも輸血できるわけですが、O型の血漿は他の血液型の赤血球を凝集させる作用があります。それでも大丈夫なのは、血漿はすぐに薄められてしまうからです。ですから、血漿の異型輸血はあまり問題になりません。もちろん危機管理の面からは大きな問題なのですが、医学的に見たら危険は少ないのです。以下の記事の事例も、量から見て、患者の死亡と異型輸血の因果関係はないと考えて間違いないと思われます。
輸血ミス 患者死亡…阪大病院、別人用使う
2010年4月8日 提供:読売新聞
大阪大病院(大阪府吹田市)は8日、救急搬送された60歳代の女性に血液型の違う血液成分を投与するミスがあり、患者はその後死亡したと発表した。司法解剖が行われる予定。
病院によると、女性は7日午後、重いけがを負い、意識不明の状態で救急搬送された。大量に出血して血液が固まりにくい状態だったため、搬送から2時間半後に赤血球製剤と、新鮮凍結血漿(けっしょう)を投与した。女性はB型だったが、新鮮凍結血漿の一部は、別の患者に用意していたO型のもの120ミリ・リットルを誤って投与。女性は病院到着から5時間後に死亡した。両方を一緒に解凍し、投与直前の確認を怠っていたという。
O型の血漿には、A型、B型それぞれの赤血球を攻撃する抗体が含まれ、B型の人に投与すると赤血球の一部が固まる。赤血球製剤は投与直前に直接交差試験を行うが、血漿はそうしたマニュアルがないという。
病院側は「治療中、3回の心停止を起こすなど重い症状だった。投与は明らかなエラーだが、投与の前後で状態の変化はなく、死亡との因果関係はないと考えている」としている。
見出しを見ると、異型輸血で死亡したことに断定している様に見えます。新鮮凍結血漿の場合にマニュアルがないのは、それだけ危険性がないからです。そう言うことを全く書かないのはフェアではないと思います。取材したのなら、そのことは分かっているはずです。
当初からかなり重篤な患者だったことは記事からも伺え、外傷自体が死因と言うことで問題のない症例であると考えます。
*一般向けに書いていますので、不正確な表現はご容赦。
コメント
コメント一覧
しかもこの記事、どうしてそういう間違いをおかしたかの考察は全くさなれていませんよね。
無知な人が読めば、ああまた医者が極悪非道なことをやらかしたのか、と思うでしょうね。
医師以外の、準備や実施に携わった人間ではなくて。
メディアが批判的になることは仕方がないのですが、せめて再発防止に役に立つなど、建設的な批判であって欲しいですよね。
コメントを書く