昨日、産婦人科医と以下の記事の件で話をしました。
適切処置せず死亡 当直医を書類送検 東京・世田谷 業務上過失致死
2010年3月29日 提供:毎日新聞社
救急搬送された女性に適切な処置を施さず死亡させたとして、警視庁捜査1課と玉川署は29日、東京都世田谷区の病院の当直医だった男性医師(50)を業務上過失致死容疑で書類送検した。同課によると、医師は「適切な処置をしていれば救命できた」と容疑を認めているという。
送検容疑は、町田市在住の女性(当時26歳)が05年4月14日夜に腹痛を訴え搬送された際、子宮外妊娠破裂が疑われたのに触診やレントゲン検査をしただけで、CT検査や超音波検査をするなど適切な処置をせず、翌日午前に腹膜腔(ふくまくくう)多量出血で死亡させたとしている。【神澤龍二】
その産婦人科医は、(産科ではなく)婦人科初診の妊娠をどれだけ診断できているか調べたことがあるそうなんです。そうしたら、かなりの見逃しがあることが分かったとのことです。産婦人科医ですら見逃すのだから外科医が見逃してもしょうがないですね、とのことでした。「発表しても面白くないから没にしていたけれど、こんな事で刑事事件になるのなら発表しようかな」と言っていましたので、一応具体的な数字は出さないでおきます。
ところで記事のほうなんですが、相変わらず毎日新聞の悪意を感じます。当直医の専門を書かないことで、専門外であったことが分からないような記事となっています。読売新聞などは、当直医の専門が消化器外科であることを載せています。
また、「死亡させた」と言う表現は相変わらずですが、いい加減にして欲しいと思います。救命できなかったことと死亡させたことは違います。「死亡させた」と書かれると、まるで当直医に殺意があったようにも受け取れます。
いつものことですが、「適切な処置をしていれば救命できた」と言うのもまたかという表現ですね。適切に診断すること、適切に治療すること、それぞれが簡単ではないのです。そして、適切に処置(治療)していても必ず助かるという保証はなく、助かる可能性が(程度はいろいろですが)あったと言うことだと思います。共同通信の記事では「可能性があった」と言う表現になっています。
日本の救急医療は、ほとんどは救急医でない、専門もいろいろな医師が支えています。専門外の疾患であれば、やはり見逃しは起こります。そのような実態を放置したまま、誤診があれば刑事罰で対応するのであれば、救急医療なんてやめてしまえと言うことになるでしょう。基本的に、救急医療はボランティアなのですから。
コメント
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小生は放射線科医ですから、妊娠可能年齢の女性には単純写真でもCTでもMRIでも被爆(撮影)させる前に必ず詳細な問診をとるようコメディカルに徹底させていますし、急性腹症の画像診断のさいにも、少なくともアタマの中では常に鑑別診断に入れるようにしています。
でも特殊でしょうね。産科医と同様に。
「女性を見たら妊娠を思え」は医学生のときに内科の最初の講義で教授から教わりましたが、なかなか常にそのことを念頭に置くのは難しいと思います。
なんせ外妊なんてめったにあたるケースではないですからね。
20数年勤務医をやって2次や3次の救急病院を長年回ってきた小生でも、5例前後だと思います。画像診断で遭遇したのは。
麻酔科医も、基幹病院にいると結構緊急手術でお目にかかるので、あまり希な疾患とは思わないのですが、消化器外科医だとなじみがないでしょうね。
民事で争うのならともかく、刑事事件になるようだと、おちおち当直のバイトも出来ませんね。
当方は整形外科ですが、外科当直なるものを
行うことがあります。
実際、腹痛を入院させて翌日常勤医に診察という
パターンは多いです、、
今回の外妊で刑事事件では本当に怖くて
当直はできんですね、、
やはりno rescue, no dutyですねえ、、
診なけらば責任もなし
電話応対でお断り、直来も専門外なので診ずですね、、
専門外の疾患は疑うこと自体が難しい面がありますからね。
後から批判するだけのメディアは楽なものです。
腹痛でも、絞扼性イレウスや大腸穿孔などは、結構致命的なこともありますからね。
診断が遅れて死なせたと言われ、捜査の対象となったら堪りませんね。
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