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2009.11.23 07:34 |  診療  |  仕事 / 職場  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 4

肝心なとき、何をしていたのだろう

 心肺停止の場合、救命士が気管挿管することが認められています。でも、救命士なら誰でも良いのではなくて、麻酔科医の指導のもとに30例の手術患者に気管挿管を成功させて資格を取る必要があります。

 気管挿管は基礎的で簡単な医療行為ではありますが、非常に難しい症例はあります。麻酔科の学会があれば、気管挿管の困難な症例に関するセクションが独立して設けられることは珍しくありません。救命士が挿管に失敗しても、通常は麻酔科医が替わって挿管して何事もないのですが、中には麻酔科医でも難渋する症例はあります。

 そのようなときでも今ではいろいろな道具がありまして、呼吸の出来ない状態が長く続くことは希です。気管挿管が困難だと分かったところから、麻酔科医の腕の見せ所です。

 以下の記事では、救命士が挿管できなかったところからのことが何も書いていないのは何故なのでしょうか。これでは麻酔科医の何が問題だったのか分かりません。記事では相変わらず「麻酔医」と表記されていますが。

気管挿管ミス 男性死亡 業過致死容疑で捜査 大阪・羽曳野の病院
11月21日2時42分配信 産経新聞

 大阪府羽曳野市の医療法人・春秋会城山病院で10月、麻酔医らが男性患者(56)の左手首の手術で全身麻酔した際、気道を確保するためのチューブを誤って食道に挿入し、患者が窒息死していたことが20日、病院関係者らへの取材で分かった。病院側は医療行為に問題があったと判断し、警察に通報。羽曳野署は、医師らが注意義務を怠った可能性があるとして、業務上過失致死の疑いで関係者から事情を聴いている。

 関係者によると、男性は9月上旬、勤務先の羽曳野市内の工場で作業中、包丁で左手親指の付け根部分を誤って切り、屈筋腱(くっきんけん)と神経を断裂。職場近くの病院で皮膚の縫合手術を受けたが、その後指が曲がらなくなり、10月13日に城山病院に転院。病院は同16日に神経の縫合手術を実施した。

 手術は16日午後1時半ごろから始まり、麻酔医や整形外科医、実習中の救命士ら6人が担当。神経縫合に時間がかかることなどから伝達麻酔ではなく、全身麻酔で対応することを決め、患者の同意を得ていた。

 患者の口から気管にチューブを挿入しやすくするため、麻酔医らが筋弛緩(しかん)剤を投与。麻酔医指導のもと、最初は救命士が挿管を試みたが、30秒以上たっても挿管できず、患者に酸素が送れていないことが判明。交代した麻酔医が、のどを切開するなどして応急処置を施したが、体内の酸素濃度が著しく低下し、約3時間後に死亡が確認された。

 病院側は死亡後、遺族に経緯を説明。府警と保健所にも通報した。捜査関係者によると、司法解剖の結果、死因は窒息死で、患者の食道内にはチューブが残り、約25分間無酸素状態になっていたことが分かった。

 担当した麻酔医は羽曳野署の事情聴取に「患者は首が太く、ヘビースモーカーだったこともあり、通常より気管挿管が難しかった」と話したという。羽曳野署は、麻酔医らが十分な注意を怠り、漫然と気管挿管を実施したことが死亡につながったとみている。

 福本仁志院長は産経新聞の取材に「極めて残念なことであり、ご冥福(めいふく)をお祈りする。捜査には全面的に協力し、再発防止に努めたい」とコメントした。

 

 私にも気管挿管が出来ずに悪戦苦闘した経験がありますから、詳細が分からないのに麻酔科医を批判することはやめておきます。何しろ救命士が挿管を断念してから気管切開するまでの経緯が全く分からないのですから。

 一番大事な時間帯のことが分からないまま記事にする神経が私には理解できないのですが、麻酔に関連して患者が死亡したことだけでよいのでしょう。私の症例だったら、私にミスがあったかどうか分かるような記事を書いて欲しいと思いますけどね。

 批判ではありませんが、司法解剖で食道から気管チューブが発見されるのは、かなり格好悪いことのように思います。気管切開から亡くなるまで3時間かかっているのに、何故食道に入れられた気管チューブを抜かなかったのでしょうか。気管切開したのに、気管にチューブが入っていないことに誰も気がつかなかったのでしょうか。あるいは単なる誤報なのでしょうか。

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2009.11.21 11:35 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  その他(医療関連)  |  bamboo  | 推薦数 : 4

貴方のお好みは

 最近目を引くような記事がないので、どうしても更新が滞っています。今日はアメリカ型・イギリス型・日本型の医療について考えることで、更新不足を補うことにします。なお、リンク先はググって見たら最初の方にヒットしたところであって、吟味して選んだわけではありません。

アメリカ型医療

 何しろ高額な医療であり、お金持ちか大企業に勤めていて十分な保険に加入していないとまともな医療は受けられません。患者の権利意識も強いでしょうが、医療従事者の権利意識も更に強いので、日本の「患者様」のように偉そうにはしていられないでしょう。経済的理由から低アクセスであり、高負担は言わずもがなですね。


イギリス型医療

 税負担が大きいだけあって、公的医療だけに限れば自己負担はゼロ。ただし、自分のプライマリードクターを決め、そこでしか初診を受けられません。プライマリードクターが高度専門医療機関に紹介してくれなければ、専門医療を受けられない制度です。ちょっとした風邪くらいでは(おそらくはインフルエンザでも)家で寝ているように言われるだけで、治療はして貰えません。いよいよ症状が無視できない状況までは放って置かれる可能性が高いのではないでしょうか。低医療費低アクセスの典型と思われます。


日本型医療

 自己負担があるとはいえ、元々の医療費が極端に安く、また、自治体による補助などもあるため、低負担と言って良いでしょう。基本的にはどの医療機関を受診するのも自由ですから、アクセスは抜群です。このような低医療費高アクセスを実現している国はほとんど無いでしょう。新型インフルエンザの死亡率が日本だけ低いのは、このような事情があるからだと見なされています。

 しかしながら、日本型医療のリンク先にもありますように、医療費の低い日本でありながら、医療費を押し上げる日本独特の要因があります。以下に引用します。

B.わが国特有の医療費増加要因
 1.病床数が多い、在院日数が長い
 2.薬剤価格が高い、薬剤使用量が多い
 3.医療材料価格が高い
 4.検査が多い
 5.受診回数が多い
などです。


 元々病床あたりの医師・看護師の数が欧米に比べて桁違い(本当に桁が違う)に少ないのに、少ない診療報酬が薬剤や医療材料に消えてしまい、労働環境の整備には投資できません。医療が高度になり、以前なら助からない患者にも濃厚な医療が施されるようになって人手は必要なのですが、増員のないままに労働だけが強化されています。リンク先ですらあきらめムードで「労働基準法は医師には適用されないのです」等と誤った認識を垂れ流しています。医師自身が要求しなければ誰も助けてくれないと言うだけで、医師にも労働基準法は適用されます。

 海外からは高く評価される日本の医療ですが、団塊の世代が高齢化するに従って黙っていても医療費は高騰します。ところが誰も負担を引き受けようとはしません。医療従事者に奴隷労働を押しつけようにも、もはや限界です。このままでは必ず日本型医療は崩壊します。

 日本型医療が崩壊したとき、どのような方向を模索したらよいでしょうか。今のまま放置すればアメリカ型になりそうです。また、行政はイギリス型を目指すかも知れません。私自身は本当に重大な病気になったときにだけ援助して貰えば良いので、入院患者と(治療が必須の)慢性疾患の外来患者を除いて健康保険を使わないような制度を支持します。

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 つい今し方、県医師会からファクスが入りました。新型インフルエンザのワクチンの在庫が無く、配布を中止するとのお知らせです。既に発注した分はなかったこととし、16日に再発注する予定は一週間繰り延べになり、発注期間は二日間だけとのことです。

 これほど貴重なものであれば、ほんのわずかでも無駄にすることは許されません。少なくとも、常識をわきまえた人ならそう思うはずです。でも、その様な常識はこの国では許されないようです。建て前を守るためなら、貴重なものを無駄にするくらい何でもない人たちによって、少なくとも鳥取県は運営されているのでしょう。そして、メディアは何の疑問もなく、只病院の不始末であるかのように報道するだけです。

余った新型ワクチン職員親族に接種…鳥取・西伯病院
2009年11月12日(木)14:47 YOMIURI ONLINE

 新型インフルエンザワクチンの医療従事者への優先接種を巡り、鳥取県南部町の町国民健康保険西伯病院の医師が、余ったワクチンを病院職員の親族2人に接種していたことがわかった。

 県は「身内優先との誤解を招く」として適切な接種を行うよう注意し、同病院も「余剰分を有効活用したつもりだったが、結果的にまずい判断だった」と陳謝している。

 同病院や県によると、県内でワクチンの医療従事者への優先接種が始まった10月21日、同病院で初回分の医療従事者に接種した際、ワクチンが余った。国は、ワクチンを24時間以内に使わない場合、廃棄するよう指導していることから、担当の男性内科医師は「もったいないから」と、余剰分を看護部長の孫(2)に接種。30日にも余剰が発生したため、薬剤部の職員の娘(11)に接種した。今月上旬、病院が接種対象者を県に報告し、子どもへの接種が表面化した。

 陶山清孝・同病院事務部長(53)は「ワクチンが無駄にならないよう工夫、節約した結果、子どもに使う分量が余った。誤解を与える行為で申し訳ない」と話した。

 岩垣宝祥・県医療指導課長は「余剰分の有効利用は構わないが、あくまで国が示した優先順位に従って行うべきだ」と指摘。県は近く、ワクチン接種を行う県内の全病院に、接種の優先順位を守るよう通知する。

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2009.11.09 20:55 |  医療事故  |  生活 / くらし  |  その他(医療関連)  |  bamboo  | 推薦数 : 2

タブロイド紙の男の記事

 現場を見ていないので軽々しく批判することは出来ませんが、あくまで一般論としては、カテーテル検査の時にガイドワイヤーの位置を確認しないのは初歩的な過ちです。でも、今回記事をご紹介するのは、内容ではなく、書き方に違和感を感じたからです。タブロイド紙は、今後このような表記が標準となるのでしょうか。

医療過誤で死亡 2医師書類送検 千葉北署
2009年11月6日 提供:毎日新聞社

 心臓の検査時にカテーテルの操作を誤って患者を死亡させたとして、千葉北署は5日、医療法人社団「有相会」最成病院(千葉市花見川区柏井町)に勤務する非常勤医師の女(30)と医師の男(50)を業務上過失致死容疑で書類送検した。

 送検容疑は、08年12月3日、同区の男性会社員(当時50歳)の心臓血管カテーテル検査をした際、本来は心臓付近に到達させるカテーテルのガイドワイヤを誤って脳血管に進め、脳血管損傷によるくも膜下出血を引き起こし、同9日に死亡させたとしている。ともに容疑を認めているという。【神足俊輔】

(該当部分を強調しています)

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2009.11.07 06:04 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 2

過ちて改めざる 是を過ちと謂う

 手術時の遺残物については何度も書いていまして、それを防ぐためには術直後にレントゲン写真を撮る他はないと主張しています。どんなに注意していても遺残をゼロにすることは出来ないので、遺残があれば発見できる体制が必要だというわけです。

 つまり、遺残があり得ることまでは想定内、それを放置すればミスですが、発見して取り除けばミスとは言えない。これが手術に関わる側の認識です。本来なら警察に届け出る必要もない事例だと思いますが、家族が騒いで報告せざるを得なかったのでしょうか。

 誤解をする人がいるといけないから念のために言っておきますが、残しても見つければいいのだと言っているわけではありません。残さないように最大限の努力をするのは当然ですし、残してしまったら、何故そのようなことが起きたのかの検証は必要です。必要なのは再発の防止であって、刑罰では無いと言うことを以前から主張しています。

心臓内にナット残す 患者は死亡、因果関係否定
2009年11月6日 提供:共同通信社
 
 足利赤十字病院(栃木県足利市)は6日、10月に群馬県太田市の60代男性に心臓手術をした際、心臓内に金属製のナットを置き忘れていたことを明らかにした。直後に気付きナットを取り出したが男性は死亡。病院は「ナットを残したのはミスだが、死亡との因果関係はない」としている。

 病院によると、男性は10月5日、心臓の僧帽弁を人工弁に換える手術を受けた。執刀は医師3人が担当。ナットは手術器具の一部で大きさは約1・5センチ、左心房に残された。人工弁を置き換えた際に誤って落ちたとみられる。

 心臓の手術直後、器具の遺留がないかを調べるエックス線撮影でナットを発見。すぐに手術で取り出したが男性は8日に死亡した。男性は心臓疾患で数年前から治療を受けていたという。

 病院は足利署に事故を報告、同署が業務上過失致死の疑いもあるとみて事情を聴いている。

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