クモ膜下出血の多くは、脳血管のコブ(脳動脈瘤)が破裂することで起きます。誰かが破裂させたのではなく、コブの部分はもろくなっているので、自然と破裂するのです。頭蓋骨の内部の容積には限りがありますから、出血はいずれ止まります。でも、頭蓋内の圧力が高くなりすぎれば、そのまま亡くなります。亡くならなくても、後遺症が残ることは少なくありません。
1度目の出血で命が助かっても、2度目の出血があれば、また亡くなる危険があります。そして、何時2度目の出血があるか、誰にも分かりません。そのため、次の出血を防ぐため、コブをクリップで留める手術をします。手術中はコブを取り巻いていた組織がよけられ、コブを抑えていたものがなくなりますから、よけいに破裂しやすい状態になります。医師が乱暴に扱うから破裂するわけではありません。でも、破裂しても、頭蓋骨は開けられていますから、今度は頭蓋内圧は上がりません。出血多量で障害が起きることはあり得ますが、たいていは脳外科医と麻酔科医が何とかします。後遺症が残ったとしても、最初の破裂によるものである可能性が高いでしょう。
手術ミス認めず 地裁、原告の請求棄却 群大病院医療裁判
2009年4月27日 提供:毎日新聞社
群馬大付属病院で03年12月、脳手術を受けた渋川市の男性(68)が寝たきりになったのは手術中のミスが原因として、男性の家族が同大を相手取り、慰謝料など約3045万円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁(松丸伸一郎裁判長)は24日、原告の請求を棄却した。
判決によると、男性は03年7月、飲酒中に倒れ、脳の血管内に脳動脈瘤(りゅう)が見つかり、同年12月、同病院で脳手術を受けた。手術中に動脈瘤が破裂し出血。その後、脳梗塞(こうそく)となり、左足まひや認知症などの後遺症が残って寝たきり状態になった。
争点となっていた執刀医の過失について、原告側は「医師が注意義務を怠り、術中に動脈瘤を破裂させた」などと主張したが、松丸裁判長は「執刀医の手術は乱暴なものではなく、不適切とは認められない」などと退けた。【鳥井真平】
飲酒中に倒れたのは、脳動脈瘤が破裂したためです。手術中に再破裂したのは、術者のせいとは限らず、ある程度の確率で必ず起きることです。また、手術中の再破裂による後遺症の発生は、上述のごとくまれです。
実は、クモ膜下出血を起こすと、脳梗塞になりやすいのです。倒れてから3日くらい経つと、脳の血管が攣縮を起こします。つまり、細く縮むのです。そのため、脳の血管が詰まり、脳梗塞となるのです。寝たきりになったのは病気のせいです。医師のせいではありません。原告敗訴は当然の結果です。