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2009.02.20 15:19 |  診療  |  仕事 / 職場  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 1

死を回避する場合のリスク

 腎臓の機能が障害されて尿が生成できないようになると、血液透析が必要になります。リンク先にもありますが、通常は内シャントを作成して透析を行います。でも、内シャントというのは、良く潰れるのです。特に糖尿病による腎不全患者の場合、血管にも障害がありますので、何度作り直しても潰れてしまって困ることがあります。

 急に透析が必要になっても、内シャントは作成してからすぐには使えません。そのため、最初は太い静脈にバスキャスと呼ばれる管を差し込んで透析を行います。最初だけなのは、留置したままだと感染を起こしやすいからです。それでもバスキャスを継続的に使っていたのだとすれば、それなりの事情があったはずです。

血液透析中に女性患者死亡 琉球大病院で1月下旬
2009年2月19日 提供:共同通信社


 琉球大病院(沖縄県西原町)は18日、慢性腎不全の60代後半の女性患者が1月下旬、血液透析中に大量出血を起こして死亡したと発表した。同病院は外部委員を含む調査委員会を設置。カテーテルや拡張器を挿入した際に静脈の血管を破った可能性もあるとみて、病理解剖して原因を調べている。

 病院によると、女性は県内の他の病院で右内頸(けい)静脈からカテーテルを使って血液透析を受けていたが、感染症のため透析ができなくなり、1月下旬に琉球大病院に転院してきた。同病院の医師が左内頸静脈からカテーテルを挿入した際、抵抗を感じたためコンピューター断層撮影(CT)を行ったが、血管に損傷があるかどうかは分からなかった。

 状態が安定していたため、翌日に血液透析を始めたところ、胸の中で大量に出血。緊急手術を行ったが、転院から4日目に死亡した。

 同病院は女性の家族に経過を説明し、謝罪したほか、文部科学省など関係機関に医療事故として報告したという。


 記事だけからでは推測でしかありませんが、何らかの事情で内シャントを使用できず、右内頚静脈からのバスキャスで透析を維持していたと思われます。バスキャスの長期使用は感染を起こしやすく、この症例でも感染を起こして、抜去せざるを得なかったのでしょう。

 バスキャスの長期使用に感染の危険性があるとしても、透析をしなければ死亡しますので、危険を冒しても使用していたのでしょう。そして、実は、バスキャスを挿入するにも危険はあるのです。静脈は動脈と比べれば極めて薄い壁で出来ていますが、個人差で、特に血管壁のもろい患者も居ます。特に、内シャントがすぐに潰れるような患者では、血管自体がもろい可能性は高いでしょう。その様な患者では、バスキャスを挿入する際に、血管を傷つける確率は高くなります。

 血管が傷ついた状態で透析をすれば、透析中は血液が固まりにくい状態にしますので、大出血が起きる可能性があります。それを恐れてCTでの検査をしたのでしょう。繰り返しますが、透析をしなければ患者は死にます。検査で大丈夫そうだと思えば、透析をしないわけには行かないでしょう。

 確実な死を避けるため、ある程度のリスクを受忍することは合理的です。そのリスクが現実のものとなったとき、当事者がバッシングされるようでは医療は成り立たないでしょう。この事例は、放置すれば死を免れない患者に対しハイリスクな処置をしたところ、不幸にも亡くなったものと思われます。むやみに当事者の責任を問うことの無きよう、冷静な判断が下されることを祈ります。

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