勤務先の処務規定を読むと、当直者は簡単な業務の他、突発的な事態に対処することになっています。救急病院として救急医療を行っていれば、救急患者の診療をすることは日常業務なので、それは突発的な事態とは言えないでしょう。それでも、当然のことのように、救急医療は当直者が行っています。
医師以外はシフト制なので、当直と言うより16時間の夜勤です。きちんと二日分の休みがあります。
医師は当直開けも通常勤務です。代休はありません。当然キツイので、当直からはずれている科は非難の的です。
当院でも、眼科医にも当直をさせろという意見がありました。そんなことをすれば辞めることは分かっていましたから、何とかなだめていたのですが、当直をしている医師の不満は大きく、当直せよとの圧力は高くなる一方でした。当然眼科医は退職し、新たな眼科医を受け入れるに当たって、当直を免除せざるを得なくなり、何をやっているのか分からない結末となりました。
当直をせずに退職した眼科医は賢明です。眼科医だけでなく、専門領域以外の診療をするのであれば、犯罪者になっても良いくらいの覚悟が必要です。
眼科医を書類送検 福井・敦賀の男性死亡
記事:共同通信社【2009年1月23日】
福井県警は23日までに、2004年に同県敦賀市の市立敦賀病院に搬送された男性患者に適切な治療をせず、この患者が死亡したとして、業務上過失致死容疑で病院の当直だった眼科の男性医師(35)を書類送検した。
調べでは04年6月5日、敦賀市内の暴行事件で負傷した無職石橋勉(いしばし・つとむ)さん=当時(61)=が病院に運ばれた際、骨折した肋骨(ろっこつ)が肺に突き刺さっていたにもかかわらず、男性医師は、エックス線撮影で確認できず、適切な治療をしなかった疑い。石橋さんは2日後に肺挫傷で死亡した。
敦賀病院によると、医師は04年4月から05年6月まで眼科医として勤務。現在は金沢市内の病院に移ったという。
眼科医だったから診断できなかったのか、外科医などでも困難な症例だったのか分かりませんが、一番の問題は、眼科医が胸部外傷を診なければならない診療体制でしょう。もともと救急医療の出来そうにない医師に救急医療を押しつけて、結果が悪ければ医師個人が刑事責任を問われるのは不合理です。
そのような診療体制を取った病院や、それを知りながら放置した行政の責任こそ問われるべきではないでしょうか。
一度救急医療は完全に崩壊した方が良いと思います。今のコストで、何時でも万全の医療が受けられると思われたのでは堪りません。万全のことが出来ないと思った医師は、救急医療から手を引くべきです。退職する必要すらありません。どの病院でも、
処務規定は法に則っているはずです。