先日の学会で、エホバ関連の発表がありました。早急に手術をする必要のあった症例ですが、輸血のことですったもんだしているうちに手術の機会を逸し、最終的には亡くなっています。何ともやりきれない事例です。
エホバの証人の信者の輸血拒否は私にとっては深刻な問題で、患者の自己決定権を重視する風潮に抵抗があります。確かに自己決定権も重要ですが、命を救いたいという医師の医療倫理を無視することにも問題があるように思います。ガンの終末期のような状況であればともかく、輸血さえすれば問題なく社会復帰できるような場合でも、患者の選択に任せるべきなのでしょうか。患者の選択であれば死なせても平気な医師になれと言うのでしょうか。そのような医師に生命を尊ぶ医療が出来るでしょうか。
患者の自己決定権とは、治療法の選択により予後が多少変化する場合に考慮されるもので、必ず死亡するような選択は(終末期を除いて)許されるべきではありません。これは自殺と何ら変わりません。輸血を受けずに死ぬのも自己決定権だという医師は、自殺しようとしている人も止めないのでしょうか。
また、今のところ輸血せずに亡くなった場合に刑事訴追を受けた事例はないようですが、これは法的に保護されていることを意味しません。そのような免責事項はないのです。状況次第では、嘱託殺人で訴追を受ける可能性はあります。
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ただ何かのときに、親先祖だけでなく一応宗教の支えがある、宗教に多少なりとも関係していると思うと、多少気が楽になる、救われるようなことはあります。
しかし狂信的な信者というのはまったく別です。
いわゆる原理主義的な信者は、一般の人間には考えられないようなことを平気で考え実行します。
自爆テロがその最たるものです。
その意思に反するようなことを他人がしてしまったら、取り返しのつかない結果を招く恐れもあります。
そういう意味では、嘱託殺人の罪に問われないような法的整備を行ったほうが現実的であると考えます。
国として自己決定権を認めるのであれば、やはり法の整備が必要だと思います。
大目に見るのと法的に守られているのとでは違いますから。
法で認められていても、イヤなものはイヤなんですけどね。
個人的にはエホバの患者に関してはなるべく近い関係の親族の中でエホバの信者ではない方から免責証にサインをいただくようにしています(もちろん親族全てがエホバなら誰でも構いませんが)。法的にはどうかわかりませんが少なくとも万が一の時に遺族とのトラブルは避けられます。
あとは輸血無しで自分の力量と合わせて考えて自信がなければその旨を話してお引取り願うという方法しかないと思います。エホバの方々は診療拒否などと言い出すことはありません。
輸血をしないで結果として死なしてしまったらイヤな気がするのも確かですが、輸血をして助けたことで仮に患者が悲観して自殺でもしたらもっとイヤな気がすると思います。
預言に依れば、もう何度も人類は滅びているはずなんですが、何度裏切られてもとんでもないことを信じているだけで、私にはカルト宗教だと思われます。
私が輸血を強行すると言っているのは、それでエホバの患者が逃げてくれることを期待している面もあります。でも、今まで逃げた患者はいないのですよね。
それから、信者個人が本当に命をかけてまで輸血を拒んでいるのかどうか、少々疑問です。
手術と言うことになると、信者が沢山押しかけます。
励ましと言うより、あれは相互監視なんじゃないかと思います。
最終確認は密室の中で行うべきだろうと思います。
土壇場で思い直した患者の話はよく聞きます。
なまけたろうさん,
少なくとも麻酔科医には多大な負担(精神的な害)を加えています.輸血さえすれば助けられる命をみすみす失うようなことは医師としては堪え難い苦痛なんです.執刀医も同じ気持ちだと思います.
医師と患者が同等であるなら,「輸血して欲しくない」という患者さんの希望と,「担当する患者さんを失いたくない」という医師の希望は同等であるべきです.一方的に「輸血拒否」を押し付けられる現状には違和感を感じています.
実際には術者は麻酔科医ほど深刻に考えていない印象を持っています。
私の回りだけかも知れませんが。
でも、本当は術者の方が深刻なはずだと思います。
手技の巧拙で出血量が違うことは事実です。
無輸血のために失血死した場合、手技の稚拙さのためだという思いは残るでしょう。
理想的に行っても助からないのであれば、手術を断念するでしょうから。
しかし、どうして世間は医師の気持ちは考えてくれないのでしょう。
よほど無神経な人種だと思われているのでしょうか。
みんな麻生総理と同じ考えだったりして。
医師と患者が同等であるなら,「輸血して欲しくない」という患者さんの希望と,「担当する患者さんを失いたくない」という医師の希望は同等であるべきです.一方的に「輸血拒否」を押し付けられる現状には違和感を感じています.
私も麻酔科医で何度もエホバの患者にも関わっています。
エホバの患者は緊急時は別にしても予定手術に関しては前もって「無輸血で手術が可能か否か」を外科医、麻酔科医に問い合わせてくれます。「可能」と言えばそこで手術を受けるし、「不可能」、「可能と断言出来ない」と言えば他院での手術を選択します。決して一方的に「輸血拒否」を押し付けているとは思えないのですがいかがでしょうか?それとも先生の病院では麻酔科医に相談無しでエホバの患者の手術を外科医が決めてしまうのでしょうか。そうであればそれは患者ではなく外科医に問題があると考えるべきです。
良くも悪くもうちの病院では病院の方針として成人に関しては患者さんの希望に沿うように,ということになっています.先生のおっしゃるように予定手術に関しては外科医と麻酔科医と患者さんとで決めることが可能です.場合によっては「手術できない」という選択枝もありです.
問題は緊急(それも院外から飛び込み)の場合です.近隣の病院が大学病院も含めそういった患者さんを取らないため,みんなうちに集まって来ます.
他所が取らないため,うちが取ることになります.好むと好まざるに係らず巻き込まれてしまいます.
先生のおっしゃるように外科側(or病院の方針)その問題と言えばそうなんでしょうけど,現状では如何ともし難いのが事実です.
先生のおっしゃるように外科側(or病院の方針)その問題と言えばそうなんでしょうけど,現状では如何ともし難いのが事実です.
エホバに関しては考え方も様々です。
いずれにしても麻酔科医の立場からすれば、たとえ外科医がやりたがったとしても輸血に関して患者と折り合いがつかねければ「やらない」という選択肢を持たせてもらわないことには厳しいと思います。その場合に患者側もいかなる状況であっても転院して受け入れてくれる病院を捜すなどの努力を行うか、手術そのものを拒否していただかないと難しいですね。
理想的には「エホバ」の病院を作っていただければ・・・、と思ったこともあります。
あとは万が一に備えてしっかりと免責証をいただいておくこと(できればエホバ信者ではない親族から)、エホバにも程度があり血液製剤や回収自己血などが使える人もあるので使えるものは出来る限り使って頑張るしかないと思います。
いずれにしても大変な環境におかれていらっしゃるようですので頑張ってください。
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