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2008.09.19 14:48 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 2

チーム医療は名目だけか

 最近は、医療を行うのは医師だけではなく、医師を中心としたチームが行うという概念があります。チームの中心として医師の責任が重いことは当然ですが、チームの役割分担上の当事者よりも医師の責任が重いのかどうか、私には疑問です。どうして医師だけが書類送検なんでしょうか。他の人も書類送検しろと言ってるわけではないのですが。

大崎市民病院医療事故:業過致死容疑で執刀医を書類送検 /宮城

 大崎市民病院で昨年6月、当時40歳の女性が脳動脈瘤(りゅう)の破裂を防ぐ手術を受けた後に死亡した問題で、県警捜査1課と古川署は18日、手術を行った男性医師(43)を業務上過失致死容疑で仙台地検に書類送検した。過失があったことを認めているという。

 調べでは、男性医師は昨年6月6日、入院していた同市のパート従業員女性の手術をした際、生理食塩水入りの加圧式点滴パックが空になったことの確認を怠ったため、脳動脈に空気が送り込まれて血流が止まる「空気塞栓(そくせん)症」に陥らせ、同12日に脳循環不全で死亡させた疑い。

 手術は、点滴で広がった血管を通じて動脈瘤に特殊合金コイルを入れ、中に血液が流れ込まないようにして肥大化を防ぐものだった。同病院が死亡直後に「異状死」として古川署に届け出て、県警が捜査していた。

 市は昨年10月、遺族に4513万円の損害賠償を支払うことで示談で合意した。【比嘉洋】

毎日新聞 2008年9月19日 地方版


 非医療者のために解説します。脳に血液を送る脳動脈の一部がふくれてコブになる病気があります。脳動脈瘤と言います。コブの部分はもろいので、破れて出血しやすいのです。出血するとクモ膜下出血となり、命に関わります。そのため、予防的処置が必要になります。

 以前はコブにクリップをかける治療が主流でした。このやり方では頭蓋骨を大きく開くことになります。最近は症例によっては血管内治療が可能となりました。大腿部の動脈から脳動脈のコブの部分まで細い管を入れて、そこにコイルを詰めるという治療です。

 細い管を只入れるだけでは、血液が凝固してすぐに詰まります。それを防ぐために、生理的食塩水にヘパリン(抗凝固剤)を入れたものを加圧して、少しずつ細い管を通して送り続けます。

 医師は治療に夢中ですから、生理的食塩水の交換は、通常は、看護師の役目です。いつもなら簡単に終わっていたようなので、この病院では交換要員は決まっていなかったのかも知れませんが。

 いつも簡単に終わっていたせいでしょうが、実は重大なシステムエラーがあります。加圧して注入する際には、容器内の空気を完全に抜いておかなければなりません。空気さえ抜いておけば、生理的食塩水が無くなっても、空気を注入することはありません。

 ミスはミスですし、重大な結果となったわけですから、賠償責任は当然だと思います。でも、術者である医師個人に刑事罰を求めるのは誤りだと思います。この事例を教訓とし、再発防止に努めることが、犠牲を無駄にしない唯一の方策だと考えます。

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