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< 示談で8290万賠償 | メイン | 肌で感じる恐怖は理屈じゃない >
2008.07.11 14:16 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 5

争えない事例なの?

 昨日の日記もそうなのですが、最近税金での和解が多いように感じます。公務員上層部の場合、敗訴の危険を冒すより、さっさと和解した方が保身のためには有利なのでしょうか。どれだけ金を払っても、どうせ自分の金ではないし、責任は現場に取らせて任期が切れるのを待てばよいと言うことなのでしょうか。

  現場には現場の言い分があって、最後まで争って欲しいと思っているかも知れませんし、何より、安易な和解は医療側に不利な見方を広めます。達成不可能な義務を課されたり、賠償額の高騰を招くことは明らかです。国公立病院以外は、賠償金は自前です。もちろん保険には入っていますが、賠償の機会や賠償額が増えれば、保険金も大幅に増えるでしょう。今の医療収益で払える額を超えることは間違いないと、私は思っています。

遺族と病院側が和解 機構が3200万円支払い 滋賀・東近江の医療訴訟

 記事:毎日新聞社【2008年7月10日】

 東近江の医療訴訟:遺族と病院側が和解 機構が3200万円支払い /滋賀

  東近江市五智町の国立病院機構・滋賀病院で06年1月、市内の主婦(当時42)が死亡したのは誤診が原因として、遺族が慰謝料など約7700万円の損害賠償を求めた訴訟は9日、同機構が3200万円を支払うことで和解が成立した。

  訴状によると、主婦は同月20日に気管支炎と診断されて入院。点滴を受けたが、23日に死亡した。病理解剖で、心臓と外側の心膜の間に凝固した血液などがたまる心臓疾患が死因とされた。

  原告側は担当医が▽女性が胸の痛みを訴えたのに十分診察せず、短絡的に気管支炎によるせきが原因とした▽胸部のX線画像を正確に解析しなかった▽放射線医師によるCT画像の所見を見ていなかった--などと主張していた。

  病院側は「結果を真摯(しんし)に受け止め、再発防止に努めたい」としている。【金志尚】

 訴状は原告側の一方的な言い分を書いたものですから、実際に何があったのか、記事を読んでも全く分かりません。とにかく何らかの原因で心タンポナーデになったと言うことのようです。もちろん病死です。医療側が手を下したわけではなく、病死を防げなかったことを責められているのです。健康な人を車ではねた交通事故とは、この点で大きな違いがあります。

  もちろん診断は正しいに越したことはありませんし、防げる死亡が避けられるに越したことはありません。もっと有能な医師であれば助けられたのかも知れませんが、医師の能力にも病院の設備にも格差はあります。有能な医師と設備その他の環境が完璧な病院だけでは日本の医療が成り立ちません。藪医者や劣悪な環境の病院も頑張って日本の医療を支えているのです

  よほどスタンダードから外れていなければ責任を問われないような体制でないと、今のような格安料金での医療は継続できないでしょう。前にも使ったせりふで締めくくります。

ラーメン代金でフランス料理のフルコースを求めるのだけはやめてください。

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コメント

コメント一覧

病院の医師看護師数などは十分であったのか、医師看護師はきちんとした休養をとることができる労働環境であったのか、血圧を含めたバイタルサインはどうであったのか、高価なCT撮影はいつどのような理由で施行されたのか、CTの所見はどうだったのか、所見は放射線科医師がつけたのか、そうならいつつけたのか、本当に主治医はCTの結果をみていなかったのか、あるいはすぐにはみられないような過酷な状況にあったのではないか、などなどわからないことだらけです。少なくとも警察が介入していない以上、少なくともいわゆる事件性は少ないと考えられ、そうなるとなおさら真相解明、再発防止目的のち調査にきっちりと時間をかけ、遺族にも報告する義務があったと思います。安易な示談はなんの解決にも(おそらく遺族にとっても)ならないと思います。事実真相がわからない以上は小生も同じ意見です。この国の医療は医師看護師たちのボランティアともいえる自己犠牲の上に成り立っています。それはいつ医療事故(といえるかどうか)を引き起こしてもおかしくないものです。自分も含め多くの医師看護師たちは毎日医療事故過誤がこんな過酷な労働環境で起きないのはまさに奇跡的だと思いながら、それでもいつ起きて訴訟逮捕されるかわからない危機的状況で働いています。それは生活のためもありますが、やはり人を救うという医療に最後まで崇高なあこがれと自尊心を持っているからです。その気持ちを萎えさせないためにも、国民の生命を守るためにも、今の制度とくに医療費医療保険は安すぎる、これでは十分な医師看護師を確保し、彼らに翌日きちんとした精神肉体で医療行為におよぶだけの休養睡眠をとらせることはできない、これはこの国の医療の最大の問題です。このブログとこの稚拙なコメントを多くの一般国民の方々がみられることを祈ってやみません。
written by Paul Carpenter / 2008.07.11 19:53
Paul Carpenter先生、いつもコメントありがとうございます。

日本の医療のコスト・パフォーマンス比は世界でもトップクラスだと思いますが、それでもコスト自体が低い状況では、パフォーマンスにも限界があります。こんな当たり前なこと、どうして世間は理解してくれないのでしょう。
written by bamboo / 2008.07.12 05:28

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