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2008.05.17 11:51 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  bamboo  | 推薦数 : 5

私がマスメディアを信用しない理由

 Yosyan先生の書く「新小児科医のつぶやき」というブログの「団藤保晴氏の主張」というエントリのリンクから団藤保晴氏の「医療崩壊と医師ブログ林立、勢いと隘路」というエントリにアクセスしてみた。名だたる医師ブログが紹介されているのであろうとは思っていたが、なんとこのブログも出ていてビックリした。ただ単にブログの名称が気になっただけのようだが。

  そのエントリでも触れられていたのだが、医療問題に関するブログを書いている医師の多くはメディアを信用していない。もちろんブログの名称を見て貰えば分かるように、私もメディアを全く信用していない。その理由を一言で言えば、取材不足だ。記者クラブなどで与えられた情報を垂れ流すことに慣れてしまって、自分で取材しようと言う気概が無くなってしまったのだろうと、私は思っている。考えてみれば分かることだが、記者クラブの情報源は、警察や政治家、業界団体などの、本来ジャーナリストが批判的に監視すべき対象なのだ。こんな制度は何処の国にもないだろう。

  こんな体たらくなのは、そもそも報道の影響力と責任への自覚がないからだろう。正確な記事を書くためには緻密な取材が欠かせないし、たとえ正確であっても、報道の影響を考えること無しには、社会に害悪をまき散らしかねない。無思慮な報道により、模倣犯罪を誘発したり、特定の手段による自殺を助長しているのはご承知の通りだ。

  単なる発表の書き写しや無配慮な報道は医療記事でも同様だ。我々から見たら単なる病死や避けられない合併症でも、報道では「ミスで死なせる」と表現される。本当にミスかどうか、本気で取材する気があるようには思えない。医療現場では日常的な出来事で故無きバッシングを受けた医師は、それまでと同様のモチベーションを保てないだろう。

  まあそれでも、医学的知識がない故の過ちだとして少しは情状酌量の余地も残すことにしよう。もっと許せないのは、少し調べれば簡単に分かることを調べないこと、あるいは、意図的に書かないことだ。たとえ医学的なことは分からなくても、報道陣は調査はプロのはずだ。諸外国と比べ、医療費・医師数・周産期死亡率・妊産婦死亡率・医師の労働時間・医師の勤務態勢・患者のアクセス・税金などの社会保障費の国民負担などがどうなのか、少なくとも医師よりは調べられるだろう。

  諸外国と比べたら、おそらく日本の医療はとてつもなく国民にとって恵まれたものであることが分かるはずだ。医療を受けたければ好きな医療機関に自由にかかれる。税金は自己責任の国アメリカに次いで安い。救急車は無料で、タクシー代わりに使っても罰則はない。医療の質も、一部の金持ちだけではなく、国民全体が受けられることを考慮すれば世界でもトップクラスだろう。

  このような医療が、今崩壊しようとしている。諸外国と比べて死亡率が低くても、まだ死ぬ人がいるのはけしからんといって糾弾される。既に救急患者の診療をしているのに、他の患者を断るとは何事だと叱られる。罵られるだけでなく、高額の賠償金を課せられたり、逮捕されたりすることもある。労働者の権利を少しでも主張すれば、医師という職業を選んだくせになんだと言われ、過労死レベルの労働が放置されてもたしなめる者はいない。耐えられなくなった者から、徐々に職場を離れていく。辞めない者も、危険な医療から手を引く傾向がある。以前なら頑張って助けられた症例でも、今なら、手に負えないと断ることもあるだろう。

  報道を志す者なら、どうしてこのような実情を報道しないのだろう。

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