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人間は誰でもミスを犯す。現場を知らない評論家やお偉いさんは「有ってはならないミスだ」と簡単に言うが、まともな企業なら、単純なミスで大きな損害が起きるようなシステムを放置したりはしない。何か被害が出たとき、ミスをした個人の責任を問うことで済ませ、改善すべきシステムをそのまま放置するような職場には、たいてい行政が絡んでいる。
航空管制官も国家公務員だ。ちょっとした言い間違いが大きな事故の原因となりかねないので、言い間違いをしないような訓練は必要だ。でも、人間に絶対に間違いを犯さないという能力はない。人間に神のような能力を求めるのは、求める方が間違いだ。いつも「ミスは許されない」と言われ続けている医療人として、言い間違いを咎められている管制官に対しては同情を禁じ得ない。
<日航機ニアミス事故>管制官逆転有罪…個人に責任、衝撃 (毎日新聞)
「納得していないので上告したい」。日航機同士の異常接近(ニアミス)事故で、東京高裁は11日、管制官2人に逆転有罪を言い渡した。閉廷後に会見した管制官の一人は目に涙を浮かべて判決への悔しさをにじませ、同じ管制業務に携わる職員にも衝撃が広がった。管制トラブルが相次ぐ中、判決は空の安全への警鐘となるのか。
ニアミスで初めて管制官個人が受けた有罪判決。会見で現場への影響を問われた籾井(もみい)康子被告(39)は「管制官に全責任があるのであれば、管制を行う人間に不安や緊張を与えて安全にとって有害になるだけ」と主張。「言い間違いがあっても、その後の対応をきちんとするのが管制官の仕事。『ミスをすればおしまい』となると、人間が行う業務としては無理になる」と訴えた。
同席した米倉勉弁護士も「事故はいろいろな危険要因が重なって生じる。個人のエラーだけを問うのは間違いだという発想が芽生えてきたが、(今回の)判決で歴史が10~20年逆戻りした」と指摘した。
蜂谷(はちたに)秀樹被告(33)は会見に出席しなかったが「判決は1審から積み上げてきた証拠を理解していない。まったく納得できない」と話したという。
「全国の管制官に動揺が走ると思う」。管制部門の幹部の一人は判決への感想をこう漏らした。幹部は「管制の現場は、過密による危険を感じながらも黙々と業務を支えているという意識が強い。判決は、管制官に必要以上の心理的なプレッシャーを与え、日々の運航に影響が出るのではないか」と危惧(きぐ)した。
事故では、負傷者を出した907便が航空機衝突防止装置(TCAS)の指示と違う動きをしたり、管制側の異常接近警報(CNF)が、2機の最接近の直前まで作動しなかったことなど、他にも多くの問題点が浮かんでいる。別の管制官は「どんな問題があるかが見過ごされてしまう。何の問題解決にもならない」と憤った。
一方、国土交通省航空局は鈴木久泰航空局長名で「判決を機に改めて航空の安全を守るべき責任の重大さを認識し、二度とこのようなことがないよう万全を期す」とのコメントを出した。【銭場裕司、窪田弘由記】
◇やむを得ない判決 航空評論家の青木謙知さんの話 管制官の便名の言い間違いは決してあってはならない単純なミスだ。上司だった籾井被告も訓練生の間違いを見逃しており、有罪判決もやむを得ない。ただ、航空事故が起きた場合に個人の責任ばかりを追及すると、自分の身を守るためにうその証言をする可能性があり、再発防止の教訓を得にくくなる。欧米のように個人は刑事免責にして正直に証言させれば、かえってシステム改善などにつながる。
[ 2008年4月12日0時35分 ] 強調筆者
管制業務も少ない人員で過酷な業務を強いられているのだろう。それなのにミスをするなと言われ、じっと耐えている姿が目に浮かぶ。身につまされる話だ。
記事の割合として、多くが被告や現場の管制官の言い分を伝えている。彼らの言い分には全面的に賛成だ。ミスを少なくする努力は必要だが、ミスがないことを前提としたシステムは馬鹿げている。無くなるはずのないミスを罰するのであれば、現場が萎縮し、返ってミスは増えるだろう。隠すようになるから記録上は少なくなるかも知れないが。結局、日本という国は、事故を防ぐよりは誰かを悪者にして罰したい国なんだな。「水戸黄門」が長寿番組として延々と続くのと同じメンタリティーなんだろう。
以上、被告や現場の管制官諸兄には大いに共感するが、一つ納得がいかないのは、毎日新聞だ。これが医療事故だったら、こんなに医師の言い分を書くだろうか。患者側の恨み辛みで記事が埋め尽くされるのがオチだろう。
コメント
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何かあれば腹を切って責任を取ってきた国なので、再発防止よりは責任の追及なのでしょう。それも、本来責任を取るべき人である必要はなく、誰かが責任を取ればそれでよしとする風潮があるように思います。何があってもお偉いさんが責任を問われることはなく、詰め腹を切らせることで、ジ・エンド。
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