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ロタウィルス下痢症自体は良くある疾患だ。2歳くらいまでにほとんどの子がかかる。ありふれた病気と言えばそうなのだが、脱水を来しやすく、時には死に至る。有効な治療は水分(電解質を含む)の補給が一番。少しずつイオン飲料などを与えればよいのだが、点滴が必要になることもある。
死亡女児の両親が損賠提訴 医師の措置誤りと青森市に07/12/25 記事:共同通信社
青森市の青森市民病院で3月、女児=当時(1)=が死亡したのは医師が適切な措置を怠ったのが原因として、東京都杉並区の両親が25日までに、青森市に慰謝料など約4500万円の損害賠償を求める訴訟を青森地裁に起こした。
訴状によると、青森の実家に帰省中だった母親らは3月24、25日の2回、女児が嘔吐(おうと)や下痢をしたため市民病院で点滴などの治療を受け、帰宅した。26日、女児がぐったりするなどしたため市内の別の医院に行き、危険な状態と診断された。市民病院に救急搬送され、ウイルス性胃腸炎による脱水症状と判明、同日夜、多臓器不全で死亡した。
両親側は「医師が当初からウイルス性胃腸炎などを疑い、適切な措置を取っていれば死亡は避けられた」と主張。市民病院総務課は「訴状を検討中で、弁護士と相談して対応する」としている。
医師は当初からウイルス性胃腸炎を疑っていなかったわけではないだろう。たいていは経口的に水分を補給するだけで十分なのだが、ある程度重症と考えて点滴もしている。その時の症状からは、帰宅させても大丈夫と踏んだのだろう。結果的には重症化して死に至ったわけだが、結果だけから医師を責めても仕方がない。多くの医師が「こんな状態の患者を入院もさせずに帰したのか」とあきれるような状況であったのなら別だが。
この事例には、不幸な状況も重なっていたようだ。地元の報道を読むと、もう少し詳しい状況が分かる。
女児死亡で両親が青森市を提訴
2007年12月22日(土) 東奥日報
今年三月、青森市の青森市民病院で診察を受けた当時一歳の女児が、二日後に容体が急変して死亡していたことが、二十一日分かった。女児の両親は「医師が適切な診断や治療をしなかった」として、同病院を管理する青森市を相手に約四千五百万円の損害賠償を求める訴訟を青森地裁に起こした。市側は「医療過誤ではない」とし、争う姿勢。
訴状によると、女児は母親とともに、同市の母親の実家に帰省していた。三月二十四日夜、嘔吐(おうと)などの症状があるため、母親らが同病院に連れて行った際、診察した小児科医は点滴などをしただけで女児を帰宅させた。母親は翌二十五日も女児を同病院に連れて行ったが、小児科医は点滴や薬を出して帰宅させた。
二十六日、白目がちになるなど女児の様子がおかしくなったため、母親は同病院に連絡したが病院側は多忙を理由に受け入れを拒否。個人病院で危険な状態と診断された女児は、救急搬送された同市民病院で、ロタウイルスによる重い脱水症状を合併したウイルス性胃腸炎と診断され、同日中にショック状態となり、多機能不全で死亡した。
訴訟にまで至った原因は、この「受け入れを拒否」なのかも知れない。実情は他の患者の診療で手一杯で、受け入れ不能だったのだろう。メディアは悪意を込めて「受け入れを拒否」と書くが、満席の飛行機に乗れないからといって「受け入れを拒否」と言うだろうか。
残念ながら、小児救急をいくらでも受け入れられる施設は少ない。まして、医療過疎が問題となっている青森県だ。既に別の救急患者の診療をしている状況では、他の患者を受け入れる余裕はないだろう。一番医療を必要としているときに受け入れられなかった無念は分かるが、それがこの国の実情だ。改善するには、多くの時間と金がかかる。でも、政府は医療費をもっと下げようとしている。状況は悪くなる一方だ。