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医療ミス:内臓疾患を「便秘」と誤診、帰宅させ死亡----大津市民病院 /滋賀
記事:毎日新聞社 【2007年11月27日】
◇2010万円支払い、和解成立へ--昨年2月 大津市民病院(同市本宮2、三澤信一院長)で昨年2月、内臓疾患の男性患者を「便秘」と誤診して帰宅させるミスがあり、患者が翌日死亡したと26日、同市が発表した。男性の当直医(38)は誤診の可能性があることや患者の死亡を直後に知ったが、上司に報告しなかった。昨年8月、家族の抗議で発覚。同院は家族に謝罪し、2010万円の損害賠償を支払うことで和解した。12月議会に関連議案を提案する。
市や同院によると、患者は同市内の無職男性(当時71歳)。昨年2月18日、腹痛を訴え、家族と同院の救急外来を受診。家族は「入院させたい」と申し入れたが、担当した消化器科医は、レントゲンとCTスキャンで検査したが、「便秘」と診断、薬を処方し、帰宅させた。男性は翌19日午後9時20分ごろ、おう吐し、救急車で大津赤十字病院(同市長等1)に搬送されたが、死亡した。赤十字病院は「消化管出血性ショックによる死」と診断した。 翌20日、放射線科医がレントゲン写真を見て、「消化管の内容物が腹膜に漏れている」と担当医に指摘。担当医は家族に電話で連絡し、男性の死を知ったが、誤診も男性の死も診療部長に報告しなかった。昨年8月、男性の妻が病院に抗議して誤診が発覚。三澤院長は9月に家族に謝罪した。院内調査で12月、「内臓に穴が空いて内容物が漏れて腹膜炎を起こし、入院は必要だった」と結論付けたが、死亡との因果関係は「不明」とした。
三澤院長は「入院すれば救命の可能性があったのは事実。誠に申し訳ありません」などとコメントした。【鈴木健太郎】
上で述べたように、誤診そのものを医療ミスと決めつけるのは間違いだ。診断とは、あくまでその時点で最も考えられる病名であって、確率は少なくても、他の病気であることは十分に考えられるのだ。まして、時間が経過すれば症状もそろい、別の病気の可能性が高まることもある。そのことをもっと多くの人に知って欲しいと思うのだが、実を言うと、医師でもそのことを知らずに、一つの診断に満足して別の危険を顧みないこともある。
上の記事の事例がどうだったのか知らないので、当事者を安易に批判するつもりはないが、救急患者を帰すときには、診断が間違いである可能性にも言及し、様子が変わったら連絡するように話しておくことは重要だと思う。患者のためでもあるが、自分の身を守るためにも重要だ。
昨日なな先生の痛ましいブログを紹介したばかりなのに、今度は同業者の自殺だ。神戸新聞の記事では麻酔科医かどうかは不明だが、時事通信の方では「麻酔医」と出ている。外科・内科・産婦人科の医師を外医・内医・産婦人医とは言わないように、麻酔科の医師を麻酔医とは言わないのだが、それはともかく、自殺したのは麻酔科の若い女性医師だったようだ。
記事によれば、精神的に不安定なことは周りからも分かる状況だったらしい。最も考えられるのは鬱病だが、鬱病であれば、ストレスのかかる麻酔業務からはずす必要があっただろう。もちろんマンパワーが逼迫している状況で、本人も麻酔科の上司も仕事からはずすという選択肢を取れなかったのだろうとは思う。でも、もう仕事をしなければいけないという強迫観念から解き放たれる時期だ。他人の命を救うことも大事だが、自分の命を救うことをもっと大事にして欲しいと思う。私自身に対しても、じっくりと説く必要がありそうだ。求められると、つい、無理をしてでも働いてしまう習性が医師にはあるからだ。ご冥福をお祈りします。
筋弛緩剤で医師自殺 神戸中央市民病院
神戸新聞 2007年11月21日(水)11:18
神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)に勤務する三十代の女性医師が、毒薬に指定されている筋弛緩(しかん)剤を使って自殺していたことが二十日、分かった。院内の保管場所から無断で持ち出して使用したとみられる。
市などによると、十八日午後一時十分ごろ、同病院内の手術室で点滴をしたまま倒れている女性医師を職員が発見し、神戸水上署に届け出た。既に死亡しており、麻酔薬を服用し筋弛緩剤を投与した形跡があった。同署は自殺の可能性が高いとみている。
使われた筋弛緩剤は粉末のバイアル一本(十ミリグラム)で大人一-二人分の致死量にあたるという。同病院では施錠された室内に保管されており、担当する医師のみが鍵を所持していた。
関係者によると、女性医師は情緒不安定な状態が続いていたといい、病院側もそのことを把握していたが、勤務の変更などはなく、筋弛緩剤がある部屋の鍵もそのまま所持させていた。
同市保健福祉局経営管理課は「こんなことになるとは思わなかった。だが、薬の管理上に問題はないと考えている」としている。
麻酔医が筋弛緩剤で自殺=神戸
2007/11/21-12:26 時事通信
神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)に勤務する30代の女性麻酔医が、院内の筋弛緩(しかん)剤を使って自殺していたことが21日、分かった。神戸水上署が詳しい動機などを調べている。
調べによると、麻酔医は18日午後1時10分ごろ、手術室で点滴をした状態で倒れているのを看護師に発見された。既に死亡しており、体内から麻酔薬と筋弛緩剤が検出された。
部下の1人が入院して、老骨に鞭打って月に10回の待機当番をすることになった。でも待機当番なら良い方だ。産婦人科の先生なら、それ以上の当直という名の夜勤が当たり前なのだろう。自分も高血圧症という持病を持っている身としては、彼らの健康状態が気にかかる。そう思っていたら、やはり悲劇は起きていた。
産婦人科医のなな先生のブログに痛ましい出来事が載っていた。気の毒で言葉もない。私に出来ることは、このような現実を少しでも多くの人に知って貰うことだろう。と言うわけで、犠牲から全文を引用させて頂く。
やはり考え方を根本から変えなければいけないのだと思う。仕事に追いかけられながら働くのではなく、マンパワーに応じた仕事量に制限しなければいけない時期なのだろう。それでは需要に追いつかないと言うかも知れないが、不足しているマンパワーを集めるのは病院幹部や行政の仕事だ。現場の医師が死ぬまで働く必要はないのだ。後ろめたく思う気持ちをかなぐり捨てて、労働者としての当然の権利を主張しよう。使命感は尊いけれど、死ねば使命も果たせないのだから。犠牲
身近な医者を、2人亡くしています。
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一人は約10年前。
当時30代の、先輩医師です。
研究に、臨床に、非常に忙しくなさっていました。
たまにご連絡を下さる時は、決まって深夜2時3時のメールでした。
学生時代は体育会でご活躍された先生で、 人間?と思いたくなるようなタフさと、ひょうひょうとした笑顔を併せ持った 爽やかな先生でした。
大学病院勤務時代の夏、当時研修医だった私たちを集めて ナイター見物に連れて行って下さったことがありました。
外野席で、ビールを飲みながらハンバーガーとポテトをほお張って みんなでひゃあひゃあ言っていたら、 先輩だけ眠ってしまったのを、今でも覚えています。
その日も、病院で夜遅くまでお仕事をなさっていました。
術後の患者さんが落ち着くのを見届けた後、 0時過ぎから論文の添削を始めたところまでは、他の医師が見ていました。
翌朝、出勤してきた同僚医師が、医局で倒れている先生を見つけた時には 既にお亡くなりになっていたそうです。
葬儀には、婚約者の女性は出て来ることができなかったと、 後で聞きました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今度は、友人医師を亡くしました。
彼女も、30代です。
同じ職場の上級医師が、過労でその病院に入院中でした。
元々、一人が過労になるような労働環境ですから、 多くをお話しする必要はないでしょう。
一人が入院・休職しても、現在の医療事情では代替要員は派遣されませんので、 残ったドクターたちは、目も当てられない忙しさでした。
緊急opeのある科の医師で、毎日遅くまでopeをした上に、 夜中も容赦なく呼び出されていました。
「過労だけは気をつけようね。
壊れる前に、逃げようね」 と、お互い言い合っていたのに・・・
その日、彼女は当直でした。 翌朝、交代で当直に来た若い先生が当直室に入ると 彼女は机にうつ伏せになった状態で、亡くなっていたそうです。
大きな悲鳴を聞いて、一番に駆けつけた人が 何と過労で入院中の、彼女の上級医師でした。
その先生は、自分が休職したからだと自分を激しく責め、 入院先も変えた上に、退職されてしまいました。
残った同じ科の先生たちも、全員がご自分を責め続けています。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
二度と犠牲者を出したくありません。
どうしたらいいでしょう。
最近は様々な分野で認定看護師の制度が出来、舌を巻くほど優秀な看護師もいることは事実だ。でも、まだまだ自分の行っている業務の医学的意味も理解できない看護師が居ることもまた事実なのだ。実を言うと、記事からは何を交換したのかよく分からない。でも、気管挿管用の気管チューブを看護師が交換することはないので、気管切開した患者で使われる気管カニューレだろう。このような命に関わるものを交換するのであれば、交換後にきちんと呼吸が出来ているかどうか確認をすべきだ。でも、命に関わるという危機意識がなければ、確認はおろそかになるだろう。問題は、平均以下のレベルの看護師は、そのような危機意識を持っていないと言うことだ。だから同じような事故が続く。上の記事を読んだとき、同じ名古屋での事例と言うこともあり、下の記事と同一の事例だと思ったほどだ。医療ミス?:名古屋の市立病院で患者死亡 呼吸器具取り違え----県警捜査
記事:毎日新聞社【2007年11月16日】
15日午後10時50分ごろ、名古屋市中村区北畑町4の市立城西病院(伊藤寛院長)から「治療器具の交換の後、入院患者が死亡した」と愛知県警中村署に通報があった。同署が調べたところ、患者の死亡直前に行われた呼吸器具の取り違えで死亡した可能性が高いことから、業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。
同署や病院側の説明によると、同日午後6時20分ごろ、入院していた無職、鈴木隆子さん(72)=同区稲葉地町6=の気管に取り付けていた、たん排出用のチューブの呼吸器バルブ(直径約2センチ)を女性看護師(42)が交換。直後に鈴木さんは息ができなくなり、約30分後に心臓停止状態となった。病院側が気付いて蘇生処置を行ったが、午後8時40分に死亡した。
病院側が確認したところ、通常は通気性のあるスポンジ製のバルブを使うのに、看護師が誤って排気できないプラスチック製のものを取り付けてしまった。両タイプとも白色のため、看護師が混同してしまったという。
鈴木さんは手足のふるえなどを特徴とするパーキンソン病で3月から入院。夏ごろ硬膜下血腫で別病院に転院したが、10月中旬から再び城西病院に戻っていた。
16日午前、病院で会見した伊藤院長は「患者さまとご遺族には大変申し訳ないことをした。深くおわび申し上げます」と謝罪した。城西病院では、02年にも手術患者の腹部にガーゼを置き忘れるミスがあり、執刀医や当時の院長が処分された。【井崎憲、桜井平】
やはり直接命に関わるような医療行為は、たとえ医師の指示によるものだとしても、看護師単独ではさせてはならないと思う。業務に追われる医師にとっては大変だが、医師の監視下で行うようにすべきだ。事故が起きればもっと大変なのだから。呼吸管ミス 患者死亡 医療生協病院 術後の89歳女性
名古屋市熱田区の「みなと医療生活協同組合協立総合病院」(尾関俊紀院長)は30日、入院していた愛知県内の女性(89)が呼吸不全に陥り、死亡したと発表した。准看護師が、女性に装着された自発呼吸を助けるための器具(気管カニューレ)の操作を誤ったことが原因で、同病院は県警に医療事故として届け出た。病院によると、女性は先月、結腸がんの除去手術で入院。術後に右の気管支に痰(たん)が詰まって十分な呼吸ができない状態になったため、気管切開手術を受け、その後、気管カニューレを装着された。看護師が今月29日午前10時ごろ、女性が心肺停止状態になっているのを発見、手当てをしたが約10分後に死亡が確認された。
気管カニューレの中にある内筒(ないとう)には、通常品のほか、発声用に横穴が開き、ふたを閉めても呼吸が出来るものがあった。女性は発声用を使っていたが、痰がたまりやすかったことから29日未明、通常用に変更されていた。
しかし、同日午前9時半ごろ、准看護師(46)が交換に気づかずに気管カニューレのふたを閉めたため、呼吸ができなくなった。内筒の交換は、カルテに記載されていたが、口頭では引き継がれておらず、内筒の仕組みについての周知徹底も不十分だったという。
尾関院長は30日の記者会見で、「大変、申し訳ありません。ご本人とご遺族の方に深く陳謝します」と謝罪した。今後は第三者による調査機関を設置し、原因究明と再発防止に努めていくという。 (2007年10月31日 読売新聞)
勤務医はあまり経営のことは考えない。職人気質の医師が多いから、利益よりは仕事のできばえを優先する。手術の傷は安い糸で粗く縫っても、とりあえず傷がふさがれば規定の保険診療分の料金は貰える。でも、私立病院で利益をあげることを強制されているような場合を除いて、そんなことはしない。
手術内容によって様々だが、みんな出来るだけ傷が綺麗に付くように努力する。高い糸を使ったり、手間暇かけて埋没縫合にしたり、スキンステープラーというホッチキスのようなものを使ったり、医療用接着剤を使ったりする。これらはみんな病院の持ち出しなのだ。混合診療が全面解禁なら、もう持ち出す必要はない。患者に請求すればよいのだ。
規制改革会議 「混合診療」全面解禁へ意欲 第2次答申案重点項目に
11月16日8時32分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は15日の会合で、年末までにまとめる第2次答申案の最重点項目に保険診療と保険外診療を組みあわせた「混合診療」の全面解禁を盛り込むことで合意した。厚生労働省は原則として混合診療を認めていない。規制改革会議では、医療技術の向上につながると判断。医療改革の柱に据えることにした。
混合診療では、保険外診療部分が全額患者負担になる。欧米で認められた未承認の治療薬の服用などを自己負担で受けるなどの選択肢が広がるが、裕福な人ほどこうした治療を受けやすくなる。しかし、医療の安全性や有効性が十分立証されておらず、医療制度の荒廃につながったり、診療に格差が生まれたりするとの懸念も強く、厚労省は一部の診療を除き、禁止してきた。
しかし、東京地裁は7日、混合診療原則禁止を「違法」と判断。15日の公開ヒアリングでも「患者団体のほか、大学病院や勤務医からも解禁の希望が強い」(松井道夫委員・松井証券社長)との意見が強く、全面解禁を答申に盛り込むことにした。
厚労省や日本医師会では全面解禁に反対姿勢を強めているが、草刈議長は「舛添要一厚労相に直接働きかけていきたい」と語り、全面解禁に強い意欲を示した。
本当に混合診療が解禁されたら、とりあえず傷がふさがるような医療が標準となるだろう。たとえ醜いケロイドになったとしても、追加料金を払わないのなら仕方がない。綺麗な傷跡にしたいのなら、自由診療で追加料金を払うようになる。なぜなら余分な経費がかかるからだ。
今までは混合診療が禁じられていたから、たとえ余分な経費がかかろうとも請求できなかった。経費をケチって醜い傷跡を残すような医療を強制すれば、腕の良い医者は辞めてしまうかも知れないので、病院幹部も口を出さなかった。でも、自由診療として上乗せして請求できるのなら別だ。医者だって、自分の技術に対して正当な評価が下され、その分の金を払って貰うのは誇らしいだろう。こんな時代が、もうすぐやって来る。
保護責任者遺棄:堺の病院、全盲患者を公園に放置 糖尿病で入院、職員が連れ出す
記事:毎日新聞社【2007年11月14日】
堺市北区の新金岡豊川総合病院(豊川元邦院長)の職員4人が9月、糖尿病で入院していた全盲の男性患者(63)を連れ出し、大阪市西成区の公園に放置していたことが分かった。職員らは放置直後に匿名で119番通報し、男性は救急隊に保護された。患者は治療費を滞納していたほか、トラブルも多かったといい、職員らは「退院可能なため知人に引き取らせようとしたが、断られたので放置した」と説明。病院側も事実を認めている。大阪府警西成署は既に保護責任者遺棄容疑で同病院を捜索し、カルテなどを押収している。
同病院や堺市保健所によると、男性は約2年前から入院費用など治療費を滞納。約3年前から退院可能な病状だった上、自宅が判明したため、職員4人が9月21日午後1時ごろ、男性を車に乗せて大阪市住吉区内にある男性の自宅を訪れた。しかし、同居する前妻が本人の持病を理由に引き取りを拒否したことから、同2時20分ごろ、西成区内の公園で男性を降ろして放置した。
職員らはその際「60代の男性が公園で倒れている。目が見えないらしい」と119番通報し、男性は保護された。救急隊員が同病院に問い合わせ、職員が放置を認めた。
男性は約7年前に入院。治療費が滞納状況となり、備品を壊すなどトラブルもあったという。豊川院長の次男の泰樹薬局長は「職員の判断でやったことだが、とんでもないことをした。申し訳ない」と話している。 また、同保健所は、院長らが従業員の監督を怠った行為が医療法違反にあたるとして先月、改善策を提出するよう病院を行政指導した。
同病院は83年に開設。病床数183床。【高田房二郎、花牟礼紀仁】 ◇「誰も指示せず」現場の判断強調??病院会見 堺市北区の新金岡豊川総合病院では、体調を崩したという豊川元邦院長に代わり次男の泰樹・薬局長らが会見した。何度も頭を下げたが「なぜ放置したか分からない。誰も指示していない」と、あくまで現場の職員の判断だったと強調した。一方で「放置するくらいなら、自宅に男性を降ろした方がよかった」とも発言し、患者軽視の姿勢も見え隠れした。男性にはまだ謝罪していないという。
確かに放置した職員は悪いと思うけど、「何とかしろ」と言う圧力はあったのではないかと思う。確かに「捨ててこい」とは命令してはいないだろうが、相当の圧力がなければ放置などしないのではないか。4名の職員だけに責任を押しつけることにはもちろん反対だが、病院の窮状を放置して責任だけを押しつけている行政やメディアにも苦言を呈したい。
入院している必要もないのに居座り、料金も払わず、傍若無人な態度で他の患者も居着かないような状況が事実なら、謝罪などしたくないだろう。私は医療関係者だから病院の事情もよく分かるが、毎日新聞の記事だと、患者にも多少問題があったかも知れないが、なんて酷い病院だろうと言う感想を持つ人も多いのではないかと推察する。同じ事例でも、視点が異なるとこれほど違う記事になるものかという実例をお見せしよう。
この記事だと、最終的に行ったことは非難されても仕方のないことだが、病院もまた被害者であることがよく分かる。むしろ、患者や、年金を管理している前妻は善意の被害者などではないことが分かる。黒字の病院でも利益率は微々たるものだ。未収金があればすぐに赤字に転落するだろう。まして、営業妨害まであれば、どうにかして追い出したいのは当然だ。その様な状況を放置しないですむシステムを構築するのが行政の役目ではないのか。自分たちの怠慢を棚に上げて行政指導とは何事だろう。いかん、また血圧が上がってきた。「患者置き去り」の深刻背景 医療費不払い、退院拒否に暴言
jcastニュース 2007/11/14
大阪府堺市の私立新金岡豊川総合病院の職員らが全盲の入院患者男性(63)を公園に置き去りにした「事件」は、入院費用の不払いなどのトラブルが背景にあった。置き去りについては府警が捜査しているが、全国の病院では最近、治療費の不払いが深刻になっている。回収できなければ病院の負担になる。単純な患者虐待事件ではないのだ。
3年前には退院できる状態に
患者男性の公園置き去りがあったのは、2007年9月21日。各紙の報道などによると、豊川総合病院が男性の退院を決めたことを受けて、職員4人が本人の意思に反してこの男性を車に乗せ、大阪市住吉区のマンションの男性宅に連れて行った。が、男性の障害基礎年金などを管理していた前妻(63)がいて、男性の帰宅を断られた。前妻は自らの持病を理由にしたという。そこで、4人は、西成区の公園に連れて行って男性をベンチに座らせ、救急車を呼んだうえで男性を置き去りにした。 不審に思った救急隊員が男性に聞いたところ、置き去りが分かり、連絡を受けた府警西成署が保護責任者遺棄の疑いで捜査している。男性は、その後別の病院に入院しているという。 堺市保健所が病院側から受けた説明などによると、患者の男性は7年前に糖尿病の治療でこの病院に入院したが、3年前には退院できる状態になった。病院側は、退院して自宅から通院するか全盲の入所施設に移るよう促したが、男性は「自分がなぜ動かなければならないのか」と退院を拒否。看護師やヘルパーに対し度々暴言を吐いたり、ベッド近くの備品を壊したりするようになった。あまりに大声を出したり暴れたりするため、病院側が他の患者への迷惑を考えて、6人部屋に移したという。 さらに、男性の前妻が2年前から入院費用を男性の年金で払わなくなった。未収金は、185万円に上っているという。豊川総合病院総務課の鈴木信夫次長は、J-CASTニュースの取材に対し、「前の奥さんとなかなか連絡が取れなかったと聞いています。なぜ払わなくなったか詳しい事情は分かりません。男性本人は、払われていると思っていたようです」と説明する。
未収金が増え、病院によっては経営に影響
この置き去り問題は、話をまとめると、退院拒否や入院費未納、暴言などのトラブルに困った病院職員らがなんとか自宅に帰そうとして失敗。苦肉の策として、救急車を使って他の病院に移ってもらおうとしたらしい。
全国の病院では最近、暴言など患者のモラル低下のほか、治療費の不払いが問題になっている。特に、未収金の問題は、病院を悩ませているようだ。不払い分を回収できなければ病院が負担することになるだけに、日本医療法人協会などからなる四病院団体協議会が06年12月、保険者である自治体などの肩代わり請求を求めて集団訴訟を起こす動きを見せたほどだ。協議会関係者は、「推計では、ここ3年間で未収金が増える傾向になっています。病院によっては経営に影響が出るほど、かなり深刻と言えます。なんとか対策を考えなければ」と話す。
厚生労働省でも07年6月、こうした動きを受けて、未収金問題に関する検討会をスタートさせ、対策を練り始めている。 豊川総合病院でも、未収金の問題はやはり深刻なのか。総務課の鈴木次長は、患者男性のケースについて、「(前妻との)交渉が甘かった」と反省したうえで、「一般的な話ですが、医療保険の個人負担分が増えたこともあって、未払いのケースが出ているようです。未集金に悩んでいるのはうちだけではありません」と明かした。
ただ、患者男性を置き去りにしたことに対しては、鈴木次長は、「起こしてはならないことで、お詫びしたい。前の奥さんと自宅で十分に話し合いをして、理解されるようにもっと努力すべきだった」と話している。
堺市保健所でも10月末、医療法に定められた職員の監督を怠ったとして、文書で病院を行政指導している。
医師不足:へき地に外国人医師 日本での研修経験者活用 県が構造改革特区案 /新潟
記事:毎日新聞社【2007年11月9日】
県は8日、へき地で外国人医師を活用できるよう規制緩和する構造改革特区案を内閣官房構造改革特区推進室に提出した。深刻化している医師不足問題について、日本での研修経験のある外国人医師を受け入れることで解決しようという提案だ。医師法や出入国管理法にかかわるため、法務省や厚生労働省などと協議の上、来年2月までに結論が出る見通しだ。
構造改革特区は地域を限定して規制緩和の特例措置を設ける活性化策。提案の中で県は「日本は毎年多くの外国人留学生、研修生を受け入れており、これらの経験のある医師は日本の医療環境にも適応できる」と説明している。
泉田裕彦知事はこれまで「新潟大医学部には毎年2人平均で留学されていた(中国)黒竜江省の方もいる。中国では医師が余っており、そういう方々に来ていただける環境整備がいると思う」と、規制緩和の必要性をアピールしてきた。
現行の医師法では、日本の医師免許を持たない人間は国内で医療行為をできない。しかし、県は医師免許を付与する代わりに、日本の医療関係者が外国人医師を評価することで、医療行為の技術を保証できるとしている。
県医薬国保課勤務医確保対策室によると、県内の人口10万人当たりの医師数は179・4人(04年末現在)で全国38番目、全国平均の211・7人を大きく下回っている。【渡辺暢】
いわゆる先進国の中で、日本より医師の待遇の悪いところはないだろう。当然、日本で働きたい医師はいない。それでは後進国の医師なら日本に来るかと言えば、それも無理だろうと思う。そのような国では医師は数少ないエリートの一員だからだ。好き好んで重労働・低賃金・訴訟リスクいっぱいの日本で働く必要はない。中国から留学生が来るのは、日本の医療が中国より優れているからで、あくまで学ぶため。その後は母国に帰り、エリートとしての待遇を享受する。
どちらかと言えば、日本に見切りを付けて外国で働きたいと思っている医師の方が多いと思う。そうしない原因は語学力と治安だろう。日本の多くの医師は、英語を読めても話せない。でも、これからの若い医師は違うだろう。留学も以前より簡単に行けるようになった。言葉の壁がなければ、劣悪な労働環境を嫌って海外に出て行く医師も増えるだろう。外国から医師を呼んでくるどころではなく、今後は日本から医師が流出するようになるのだ。
手術の際にどれだけ輸血の準備をするのかは頭の痛い問題だ。使わなければ捨てることになり、無駄になるし、足りなければ命に関わる。命が大事なのは間違いないので、無駄になっても念のためにたくさん用意すべきという意見もあろうが、血液は善意で支えられた有限の資源である。お金だけの問題じゃないのだ。あるところでたくさんの血液を抱え込めば、他のところが足りなくなる。
最近は消化管の手術で輸血することはあまりない。だから、輸血の準備も少なめになる。でも、予想外に大量の出血を見ることもある。そのようなとき、麻酔科医は大変なのだ。足りない分の血液を取り寄せ、交叉試験や、輸血後の合併症を防ぐための血液への放射線照射などに時間がかかる。実際に血液が手元に届くまで、麻酔科医は血液無しで患者の命をつながなくてはならない。
輸血準備不足で死亡と提訴 前橋地裁高崎支部
記事:共同通信社 【2007年11月2日】
群馬県高崎市の黒沢病院で手術を受けた際に輸血用血液の準備が不十分だったため措置が遅れ死亡したとして、市内の女性=当時(58)=の夫(62)が病院を運営する医療法人社団美心会(同市)に対し、慰謝料など計約5700万円の損害賠償を求める訴訟を前橋地裁高崎支部に起こしたことが1日、分かった。
訴状によると、女性は2005年7月20日、黒沢病院で直腸の腫瘍(しゅよう)摘出手術を受けた。手術は午後2時半から始まり、午後8時10分ごろ、大量出血による心不全で女性は死亡した。
原告側は、病院は手術中に計2400cc輸血したが、手術前には輸血用血液を400?800cc*しか用意していなかったと指摘。病院外から追加分を持ち込むのに時間がかかって輸血が遅れ、女性の心臓などに大きな負担が生じ死亡したと訴えている。
病院は「訴状がまだ届いていないが、もともと心臓が悪かった患者で危険性が高かった」としている。
*400ないし800ccと判断した
直腸の周りには静脈叢があり、直腸癌の手術の際には時に大出血する。だからといって、常に大量の血液を用意するわけには行かない。そんな贅沢が許されるほど、日本の血液が余っているわけではないからだ。実際に出血して血液が足りなくなってから血液センターに注文するのだ。
注文してから実際に輸血可能になるまで、結構な時間がかかる。その間は麻酔科医が必死に全身管理をしているのだが、もちろん患者の体にも負担がかかっている。記事によれば、患者は心臓が悪かったようなので、その間の変動に耐えられなかったのだろう。気の毒ではあるが、誰のせいでもない。社会全体を含めた医療環境の限界というものはあるのだ。この裁判で、一医療機関だけが責任を問われて敗訴することのないよう望みたい。
医療過誤:患者死亡、不起訴不当 小倉検察審査会「病院にミス」
記事:毎日新聞社【2007年11月1日】
北九州市小倉南区の病院に入院した女性(当時76歳)が死亡したのは不必要な治療が原因だったとして、遺族が院長を業務上過失致死容疑で福岡地検小倉支部に告訴し、不起訴処分となったことについて、小倉検察審査会は10月25日付で不起訴不当の議決をした。
議決書によると、院長は04年2月、肺塞栓(そくせん)症の疑いで市内の総合病院から転院してきた女性に、複数の血栓溶解剤などを投与する治療を施した。治療を続けた結果女性は翌月6日、昏睡(こんすい)状態となり、その後転院した元の病院で脳内出血で死亡した。
遺族の告訴を受けた地検支部が昨年12月、嫌疑不十分で不起訴処分としたが、遺族は検察審に不服を申し立てていた。検察審は議決で(1)転院元の医師の意見を聞いていれば副作用を伴う血栓治療は行わなかったと考えられる(2)意識障害が生じてからCT(コンピューター断層撮影)検査をせずに7時間余り放置した(3)女性や親族に説明していない--と指摘した。
遺族が病院を運営する医療法人を相手取った民事訴訟では、福岡地裁小倉支部(岡田健裁判長)が今年8月、医療ミスを認めて法人に約2500万円の支払いを命じた。院長は判決後、「重大な医療過誤はなかった」と話し、福岡高裁に控訴している。【太田誠一、石川淳一】
肺塞栓症はそれだけで死ぬこともある病気だ。救命のために血栓溶解剤を使うことには合理的な理由がある。血栓溶解剤を使えば脳出血だって起こることもあるだろう。でも、危険性と治療効果を秤にかけて、可能性として治療効果の方が勝ると考えて使用するのだ。結果として危険が現実のものになったとしても、それは誰のせいでもない。
転院元の医師の意見がどのようなものであったか知らないが、危険のある治療をする必要がないなら、そもそも転院する必要すらなかったのではないだろうか。CTについては事情が分からないので私はコメントを控える。最期の説明については何が言いたいのか全く分からない。救命のためには迅速に治療を開始した方が良い。十分な説明が出来ないこともあるだろう。そんな状況で、説明が不十分であったら犯罪なのか。民事での賠償責任が問われることはあっても、刑事罰が問われることなのか。
いくらクジで選ばれた立場だからと言って、あまりに杜撰な考えで刑事罰をばらまくようなことは、それ自体犯罪的だと思う。実際の不起訴不当の理由が記事の通りでないのであれば、私の批判は的はずれなものになるが、その場合の責任は、もちろん報道した側にある。
医療ミス2審も小牧市敗訴 約1億3000万円賠償命令
記事:共同通信社 【2007年11月1日】
愛知県の小牧市民病院で1999年、当時12歳だった女性が心肺停止状態に陥った際、救命措置のミスで後遺障害が残ったとして、女性と両親が市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は31日、市に1億3390万円の支払いを命じた1審判決を支持し、市側の控訴を棄却した。
判決理由で青山邦夫(あおやま・くにお)裁判長は「救命措置で投与された輸液の量は明らかに少なく、時期も遅すぎた」と過失を指摘。1審判決と同じく後遺症との因果関係を認めた。
判決によると、女性は99年11月、急性肺炎で入院。抗生剤の投与などの後、ショック状態を起こして心肺停止状態に陥り、救命措置を受けたが、後遺障害が残った。
病院は「今後の対応は判決文をよく検討して考えたい」としている。
いつものように情報が少ないので具体的なことは分からないが、肺炎の治療のために抗生剤を投与したら、重症のアレルギー反応であるアナフィラキシーショックを起こし、心肺停止になったらしい。私もアナフィラキシーの症例は何度も経験したが、心肺停止にまでなった症例はなかった。
私の経験した症例のほとんどは麻酔中に目の前で起きたアナフィラキシーなので、迅速な対応が可能だった。そのため、全例後遺障害もなく回復した。対応が遅れて心肺停止に至った場合、後遺障害を残すことなく回復したかと言えば自信がない。それどころか、死亡を防げた自信すらない。
記事から判断する限り、心肺停止になったことが問題になっているのではなく、心肺停止後の蘇生法が問題になっているようだ。蘇生に際し、輸液の時期が遅れ、量も少なかったことが後遺障害の原因として認定されているという。具体的にどの時点でどの程度の輸液量だったのか分からないので、この点については何とも言えない。でも、出血性ショックなどと違い、アナフィラキシーショックの場合、輸液量がそれ程問題になるとも思えない。いずれにしろ、心肺停止に至る間に問題がないのであれば、後遺障害についても無責であるべきだと思う。心肺停止になってしまえば、後遺障害無しに回復することは困難だからだ。
治療の当否を後から判断することにも注文がある。アナフィラキシーショックだけでも大変なことなのに、心肺停止に至っては、現場は騒然としただろう。そのような状況で、あわてるなと言っても無理で、後から考えれば反省すべき点は多々あることと思う。それを指摘して今後の事例に備えるのは良いことだが、断罪することには反対だ。滅多に経験しない事例に的確に対応することは、簡単にできることではない。出来たはずだと言うのは傲慢にすぎる。
トンデモ判決は医療に対してだけではないらしい。だからといって嬉しくもないが、高知白バイ事件という事例がある。これも一審をそのまま追認した事例だ。およそあり得そうもないブレーキ痕という「証拠」だけで実刑判決を下し、反論はすべて却下という暴挙ぶりらしい。事実関係について争うことを「反省無し」と決めつけ、抗弁権すら認めないとも言われている。この件もあちこちのブログで取り上げられ、読んでいると血圧が上がる。