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2007.09.15 17:51 |  診療  |  仕事 / 職場  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 1

解答付き試験?

意味あるの? 答えを知ってる 鑑定医

  高学歴で賢いと思われている人の間抜けな行為を見ているのは楽しい。それにピッタリのマジックがあって、私は同じマジックを別の番組で3回見た。トリックは簡単で、と言うよりも、トリックなどは無いも同然。私が見た被験者(被害者)は全員アナウンサーだった。アナウンサーは高学歴だし、いかにも賢そうだし、罪のないトリックで笑いものにするにはうってつけなのだろう。

  マジシャンは被験者の左側に立ち、左手の手の平を被験者の目の前に差し出す。右手でティッシュペーパーを丸めた程度の大きさのもの(何でも良い)をつまみ、手の平に軽く打ち付けるように数回動かす。するとあら不思議、いつの間にか右手に持っていたものは消えている。

 消えたと思っているのは被験者だけで、周りで見ている人たち(テレビの視聴者も)には何が起きたかよく分かる。マジシャンは被験者の肩越しに投げ捨てただけなのだ。(音のするものは助手が受け取る)でも、何度やっても被験者には分からない。だんだんものを大きくしても、リンゴやトイレットペーパーのロールくらいでは分からない。さすがにティッシュの箱くらいになると分かる。そして後ろを振り返って愕然とする。

  周りで見ていると、被験者は本当に間抜けに見える。でも、人間の注意力なんてそんなものなのだ。答えを知っていれば簡単なことでも、答えを知らない状況では困難なことなどいくらでもある。私には、そんなことすら考慮しない裁判のあり方がとても不合理に思える。 

名張市立病院:がん診断ミス、伊賀の男性死亡 2305万円賠償で示談へ /三重

記事:毎日新聞社 【2007年9月14日】

  ◇伊賀の70代男性が診断ミスで死亡

  伊賀地域の70歳代の男性が、名張市立病院(同市百合が丘西1)で腹部の造影MRI(磁気共鳴画像化装置)検査を受けた際、がんだったにもかかわらず、良性の腫瘍(しゅよう)と診断され、その後、死亡していたことが分かった。病院側はミスを認め、損害賠償金2305万円を支払うことで患者の遺族と示談する方針。

  竹内謙二院長が13日、同市役所で記者会見して明らかにした。

  同病院によると、男性は、すい炎の病歴があるため、03年10月から04年11月にかけ、腹部のCT(コンピューター断層撮影)検査やMRI検査を受けた。その際、主治医の内科医と放射線科医は、良性である肝血管腫の疑いと診断した。

  ところが、男性が県外の別の病院で検査を受けたところ、肝臓やリンパ節への転移を伴う肝内胆管細胞がんと判明。男性は昨年5月に死亡した。

  遺族の求めを受け、市立病院がMRIの画像を院外の4人の専門医に分析してもらったところ、「がんを疑うべきだった」との所見が示された。示談については今月12日、遺族の内諾を得たという。

  会見で竹内院長は「診断はかなり難しいケースだったが、今後は継続的な検査による注意深い診断に努め、患者に院外の専門医も紹介する」などと話した。【渕脇直樹】

 記事では良性の腫瘍と判断された時期と、他施設で転移を伴ったガンと診断された時期との経過が分からない。両者の時期がほとんど同時であったのなら、名張市立病院の診断能力に問題があったとも言えるだろうが、すでに転移があったのであるから、結局は助からなかっただろう。とすれば、実害はなかったと言うことになり、賠償責任はないと思われる。

  あるいは、良性の判断からガンの診断まで時間がかかっていたのであれば、それだけガンの診断が容易になっていたはずであり、名張市立病院の診断能力を問題にするのはおかしいと言うことになる。どちらにしても、賠償責任はないと思われる。

  それでも、4人の専門医が名張市立病院のMRIを見て、「がんを疑うべきだった」との所見が示されたのだから、賠償責任はあると判断したのだろう。でも、前述したマジックを思い出して欲しい。トリックを知っていればマジックには引っかからない。答えを知っている人が、知らない人の判断について評価するのは誤りなのだ。

  今回の事例で「がんを疑うべきだった」と正確に判断するためにはどうしたらよいだろう。刑事事件の面通しが参考になるかも知れない。似たような画像ではあるが、良性のMRIを数枚、ガンのMRIを数枚用意し、その中に鑑定すべきMRIを紛れ込ませて、全体を鑑定してもらう。鑑定医の全員が良性の画像を良性と判断し、ガンをガンと判断し、問題の画像もガンと判断したのであれば、名張市立病院の診断能力に問題があることは明白であり、賠償責任を問われることは避けられないかも知れない。でも、こんな作業が行われたとは思えない。

  そして最後にもう一つ、最初から正しく診断したら必ず助かったという根拠は何だろう。「伊賀の70代男性が診断ミスで死亡」と言うからには、診断ミスがなければ必ず助かったのでなければならない。医学常識からすれば、この表現は明らかな虚偽と言わざるを得ないと思うがどうだろう。

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