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2007.09.05 10:52 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  仕事 / 職場  |  bamboo  | 推薦数 : 4

ドレ医

人命は トラック以下か この国じゃ

  奈良県で死産の妊婦をいくつもの病院が受け入れられなかったことについて、奈良県立医大附属病院がホームページで「今般の妊婦救急搬送事案について」と言う説明をしている。それを読むと、当直医は一睡もしないで次から次へと仕事をしていたことが分かる。もちろん次の日も引き続き通常勤務をしているのだ。その働きぶりを引用する。

平成19年8月28日の当直日誌記録より

 (産婦人科当直者 2名)

 対応内容

8月28日(火)

19:06 前回帝王切開した患者A(妊娠36週)が出血のため来院 診察終了後、患者A帰宅

19:45 重症患者B(妊娠32週) 妊娠高血圧のため搬送入院、病状管理に努める

23:00 重症患者Cの手術終了(9:00~手術開始) 医師一人が術後の経過観察を実施

23:30 患者B 早剥のため手術室へ搬送、緊急帝王切開実施(00:08終了)

8月29日(水)

00:32 患者Bが病室に帰室重症であったため、医師一人が朝まで術後の処置等におわれながら、他の患者への処置等を応援、当直外の医師1名も、重症患者の処置応援にあたり2:30頃まで勤務

02:54 患者D(妊娠39週) 陣痛のため緊急入院、処置

02:55 救急隊から1回目の入電(医大事務当直より連絡があり、当直医一人が事務に返答)「お産の診察中で、後にしてほしい」

03:32 患者E(妊娠40週) 破水のため緊急入院、処置(患者Eの入院により、産科病棟満床となる)

04:00 開業医から、分娩後に大量出血の患者Fに関する入電があり、搬送依頼あるが、部屋がないため他の病棟に交渉を開始

04:00頃上記の直後に救急隊から2回目の入電(医大事務が説明したところ電話が切れる)「今、医師が、急患搬送を希望している他医療機関医師と話をしているので後で電話をしてほしい」

05:30 産科満床のため、患者Fを他病棟に緊急収容

05:55 患者Dの出産に立ち会う その後も、患者Fの対応におわれる

08:30 当直者2名は一睡もしないまま、1名は外来など通常業務につき、他1名は代務先の医療機関において24時間勤務に従事

 トラック業界でこのような勤務体制をしいたら、経営者は処罰されるだろう。でも、人命を預かる医師をこのような勤務に従事させ、堂々と公表しても院長は処罰されることはない。トラックの運転手が過労で事故を起こすことは許されないが、医師が過労で事故を起こそうがかまわないと言うことなのだろう。

  これほどの激務をこなしていたというのに、今回の件で奈良県立医大には多くの抗議の電話があったという。考えてみれば分かることだが、今回の事例でも、搬送先を探していた救急隊は他の救急要請には対処出来なかったはずだ。他の患者にかかりきりになっているときには、新たな患者の診療は出来ないと言う、当たり前のことがどうして理解出来ないのだろう。

  そもそもこれらの当直医の勤務状況は当直ではない。当直というのはちょっとした雑用や、滅多にない緊急事態に備える勤務を言うのだ。毎度毎度診療に追われるのは立派な夜勤だ。交代性で行われなければならないのだ。

  たとえば救急隊と比べてみよう。地域によって違いはあるかも知れないが、私の居住地では、救急隊の勤務は24時間連続勤務だ。出動しなければ仮眠も可能だが、それでも24時間全てが勤務時間だ。だから、三日に一日だけ働けばよい。一方医師は、たとえ一睡もしなくても当直なので勤務ではないと見なされる。だから連続30時間以上の勤務が放置され、その前後にも休日はない。

  既に人間の限界を超えるような勤務態勢を放置して、それでも不十分だとしたら、体制そのものを抜本的に変えなければ立ちゆかないことくらい、行政も、メディアも、国民も、理解しよう。一度完全に崩壊しなければ理解出来ないのだろうが。

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