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2007.08.03 20:23 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  bamboo  | 推薦数 : 3

どんな証言になるのかな

「神の手」は どんな証言 するのかな

  トンデモ判決の裏にはトンデモ鑑定がある。そのような事例を何度も見てきた。多くは現場から退いた「偉い人」によるものだと考えている。教科書や文献による、観念だけの医療観で、机上の空論や後出しじゃんけんを乱発しているように見える。

  ところが今回、「東京女子医大事件」を調べていたら、メディアから神の手と褒めそやされている南淵氏が証言をしているという情報を得た。第一審で証言し、今度の第二審でも証言するそうだ。自分では診療をしない教授連とは違い、彼はばりばり現役の心臓外科医だという。期待していいだろうか。

  南淵氏は多くのテレビ番組に出演している。日本の医療に多くの問題があること自体は事実だろうし、彼が専門とする心血管外科の領域では、施設間の技術の差が非常に大きい。メディアに登場して医師養成法などについてあれこれ意見を言うこと自体には賛成したい。でも、私が見たのはごく一部だが、彼の発言態度を見ていると、真摯に日本の医療を改善しようとしているようには見えなかった。メディアに持ち上げられて、舞い上がっているように見えたのだ。

  自分は名医として高いところにいて、並の医者の間抜けぶりを冷笑している。それを視聴者は南淵氏と同じ目線で眺めている。そんな番組が多かったように思う。我々麻酔科医にとっては、「外科医が麻酔をして何が悪い」と言う発言もあって、すこぶる評判が悪い。

  念のために言っておくが、外科医が麻酔をすることが悪いと言っているわけではない。麻酔という医療行為を舐めたりせず、真剣にやってくれるのなら、それなりに安全に麻酔を行うことは可能だろう。でも、麻酔なんて外科医でも出来るというオーラ満開で「外科医が麻酔をして何が悪い」と言えば、たいていの麻酔科医は怒る。そして、麻酔科医が怒ることを承知で南淵氏は言ったのだ。

  どうも私には南淵氏は慢心しているように思える。慢心している医師の証言が、たとえ現場を知っていたとしても、どんな内容になるのか心配である。一審を傍聴した方や、二審を傍聴する方、情報公開をしてもらえないだろうか。大野病院の件のように、ロハス・メディカル・ブログでやってくれないかな。  東京女子医大事件とはこんな事件。

手術で死亡、医師無罪…東京女子医大事件「機器欠陥、予見できず」

 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2001年、心臓手術を受けた平柳明香さん(当時12歳)が死亡した事件で、業務上過失致死罪に問われた同病院元循環器小児外科助手・佐藤一樹被告(42)の判決が30日、東京地裁であった。

  岡田雄一裁判長は「事故は人工心肺の不具合が原因だったが、佐藤被告には危険性を予見できなかった」と述べ、無罪(求刑・禁固1年6月)を言い渡した。

  検察側は、01年3月に行われた明香さんの手術の際、人工心肺を操作していた佐藤被告が、吸引ポンプを高回転にしたため、うまく血液が抜きとれない「脱血不能」状態となり、頭部に血液が集中して脳障害を引き起こし、死亡させたとして起訴した。

  これに対し判決はまず、「ポンプを高回転にしても、脱血不能にはならない」と述べ、検察側の主張を退けた。その上で、「脱血不能となった直接の原因は、人工心肺の回路内のフィルターが水滴で詰まったため」と認定。こうした事態を「同僚の医師も含め、予見できなかった」として、佐藤被告の過失を否定した。  一方、「必要性が乏しいフィルターが取り付けられていた」とも述べ、人工心肺の構造に欠陥があったと認定。「危険な装置を設置していた女子医大の責任は問題になる」と指摘した。

  この事件では、カルテを改ざんした瀬尾和宏・同病院循環器小児外科元講師(49)(医業停止中)が証拠隠滅罪に問われ、懲役1年、執行猶予3年の判決が確定している。

 ◇

  判決後、明香さんの父親で歯科医の平柳利明さん(55)が記者会見し「無罪と聞いた瞬間、頭が真っ白になった。簡単な手術と聞いていたのに娘は亡くなった。その責任が問われないのであれば、どこの病院に行けばいいのか」と、無念の表情を見せた。

  一方、佐藤被告も会見し、「誤った内容の東京女子医大の内部報告書に、警察、検察が依拠したことが明らかになった」と語った。

 [解説]宙に浮いた病院側の責任 判決は、平柳明香さんの死亡の原因となった人工心肺の欠陥は当時の医療界で認識されていなかったとして、医師に過失はなかったとした。専門性の高い医療過誤事件で、刑事責任を追及することの難しさを印象づけた形だ。

  判決は、証人出廷した医師の証言や文献、裁判官も参加した同病院での再現実験をもとに、検察側が描いた「操作ミス」を否定。当時、人工心肺を導入している病院の35%で使用されていたフィルターの構造的欠陥に原因を求めた。

  カルテの改ざんまで明るみに出た今回の事件。遺族は病院側の姿勢に強い疑念を抱き、刑事事件を通じて責任の所在が明らかになることを望んだが、無罪判決で宙に浮いた。中立的な専門家による事故直後の調査の必要性が改めて浮き彫りになった。(木下吏) (2005年12月1日 読売新聞)

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