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本当に 謝罪させたい 相手誰?
愛する家族が亡くなれば、それも誰かの過失で亡くなったのであれば、恨みに思う気持ちは分かる。でも、元々一定の確率で亡くなることが避けられないのだとしたら、恨まれる方はたまったものじゃない。
日本の医療は、とりわけ産科は、少ない人員でのボランティアのような激務で支えられている。すべてが上手く行っているときは良いが、予定外のことが起きたときの対応が遅れがちになるのは仕方がないだろう。残念ながら、術後の出血はゼロには出来ない。時には亡くなることもある。リンク先 を読んで貰えば、十分な体制をとれなかったことを院長が認めていることが分かる。良心的な対応だと思う。田舎なのだから、十分な体制を取りたくても取れないだろうに。
記事:毎日新聞社【2007年7月14日】 軽井沢病院の医療事故訴訟:和解協議が決裂 遺族側、公の場での謝罪要求 /長野
軽井沢町の町立軽井沢病院で03年10月、同町の鈴木良恵さん(当時32歳)が長男を出産後に死亡した医療事故で、遺族が町と元担当医に損害賠償などを求めた控訴審で13日、東京高裁で和解協議がもたれた。遺族側は「謝罪したことを公の場で報告してほしい」と望んだが、高裁は「前例のないこと」として、合意せず和解が決裂した。
和解条項には遅延損害金を含む8600万円の賠償金を支払うとともに、遺族に謝罪することも含まれており、12日開かれた町議会でも佐藤雅義町長が謝罪し、和解することを説明していた。しかし、協議で両者が謝罪内容で相違があり和解は成立しなかった。
和解協議を終えた良恵さんの母美津子さんは「金額ではなく『すみません』という謝罪だけを望んで、1審から続けてきた。失った娘の命は、長びいた理由を含めて公の場で謝ってもらうだけの重みがある」と涙を流しながら話した。会見には良恵さんの夫田中和幸さん(34)も遺影を抱いて長男鼓太良ちゃん(3)と同席。代理人の有吉真弁護士は最高裁に上告する方針を明らかにした。
この医療事故については05年3月、遺族が「担当医は大量の出血に気づかず輸血などの措置を取らなかった」などとして、元担当医と町に1億8100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。06年7月の判決で、同地裁は医師と町に慰謝料など7250万円の支払いを命じたが、遺族側は「町と医師から謝罪がない」として06年11月、東京高裁に控訴していた。判決は9月20日の予定。
謝罪だけを求めてきたのなら、どうして謝罪を含む和解を拒否するのだろう。謝罪したことを公表して欲しいと言うが、すでに謝罪を含む和解だと言うことは新聞に載っているのだ。すでに公表されているのではないのか。それとも、公衆の面前で土下座させろと言っているのだろうか。そもそも誰を誰に対して謝罪するように求めているのだろうか。
私にはこの事例で医療側が敗訴したこと自体が納得できない。かける金も、医療の実情も、起こりうるリスクに対応できるような体制にはなっていない。何か起きたらあきらめて貰うことを前提に医療を行わせる体制だとしか思えない。それでも医療人の善意でみんな頑張ってやっているのだ。
患者の具合が悪かったらいつでも病院に駆けつけるのは当たり前だと言うけれど、医者にだって私生活はある。今まではこれで通用したけれど、若い人たちが自分の私生活のほとんどを犠牲にするだろうか。時間で区切って、当番制にしなければ、これからの若い医者は納得しないだろう。当番制にするためには、今の何倍もの人員が必要だ。その人員をそろえることを、今までの医療制度が怠ってきたのだ。謝るべきは、そのような医療制度を放置してきた行政だろうと思う。私には、医師も犠牲者のひとりだと思えてならない。
記者会見 オイラにゃ無理だ 見逃して
企業の様々な不祥事の対応から、学ぶことはたくさんある。以前からそう思っていたのだが、先日、詳しく分析した方の講義を聴く機会を得た。不祥事そのもので糾弾されることは仕方がないが、その後の対応が批判されるようでは傷口を広げる。雪印の食中毒の事例から学んでいれば、実際には食中毒を起こしたわけでもない不二家が、あれほど糾弾されることはなかったかも知れない。
大雑把にまとめれば、以下のようなことであろうか。自ら進んで、出来るだけ早く、何事も隠さず公表すること。自分たちの論理や業界用語で説明するのではなく、説明を受ける側に理解されるような論理とわかり安い説明を心がけること。保身に走ってメディアや背後にいる大衆を怒らせないこと。記者会見前にはシミュレーションをしておくこと。記者会見場は出来るだけ広く取って、目の前にカメラが並ぶことの無いようにすること。たとえ原因が明らかになっていなくても、被害があれば、被害そのものに対しては謝罪をすること。見られて困るようなメモは持ち込まないこと。常に誠実で冷静な態度を保ち、挑発に乗らないこと。
大変勉強にはなったが、出来ればその様な体験はしたくない。特に最後の忠告は、私にはとても出来そうにない。
只、少し気になったのは、医療では事情が異なることだ。医療関係者の常識と、一般の人の常識があまりにもかけ離れているという現実がある。医療の世界では、誤診があることは当たり前だし、病気が治らないことがあるのも常識だ。また、死が避けられない状態では、何が直接の死因になるか分からない。癌の末期や、高齢者の重症肺炎で何時亡くなるか分からない状況では、誤嚥で亡くなったとしても医療事故ではないと医師は考える。でも、それが世間に通るとは限らない。
これだけお互いの常識が違うと、何を持って不祥事とするかと言うことに合意が得られない。メディアや大衆を怒らせるなと言っても、こちらは何も悪くないと思っていて、その様な態度を取れば、きっと怒るだろう。
もう一つ気になったのは、大淀病院の件だ。講師は実際にたらい回しがあったと思っているようなのだ。「たらい回し」と言う言葉に医師が過剰に反応していると思っているらしい。他でも同じ講演をするだろうから、質問の時に訂正しようと思っていたのだが、残念ながら時間が無くて、質問も発言も許されないまま終わってしまった。