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このブログは匿名ブログです。匿名であることを非難する人もいますが、匿名での発言には良いところも悪いところもあります。匿名故に無責任になることは避けたいものですが、匿名だからこそ言える本音もあります。自分だけの問題ならば身元を明らかにしても構いませんが、勤務先の病院にも迷惑がかかる可能性を考えると、やはり匿名にしておいた方が無難だと思います。
今日は、そんな、匿名でないと言えないような本音を披露してみようと思います。
医療崩壊の原因はいろいろとあるとは思いますが、私は医療機能評価も原因の一つだと思っています。患者本位の医療も医療安全も大切なことだと言うことに異論を挟むつもりはありませんが、どちらにせよ、それなりのコストがかかることに頬被りなのはフェアではないと思っています。
私にはあまり縁のないことですが、ひとりあたり1万円を超えるような会席料理やフランス料理のフルコースであれば、料理を持ってくるたびに食材の説明をすることもあるようです。でも、ファミレスやラーメン屋ではそのようなことはないでしょう。不適切だと言われることを覚悟で言いますが、日本のような低価格な医療費では、きちんとした説明を求めることは贅沢なのではないでしょうか。ましてや、避けられない合併症で補償を受けるなんてとんでもないことだと思います。
よく、GDPに占める医療費が日本では少ないという話がありますが、日本のようなフリーアクセスでは諸外国と比べてひとりの医師が診療する患者の数は圧倒的に多く、医療行為あたりの医療費はもっともっと少ないという現実があります。それなのに、ぼったくりのような医療費を稼ぐ国と同じようなサービスを求めることは無理だと思います。
機能評価に備えて説明に多くの時間を費やし、沢山の書類を埋めることを余儀なくされ、意味があるのか不明な会議に出席しても、病院の収入には全く反映されません。以前と同じ診療報酬を得るためには、医師にその分ただ働きして貰う必要があります。当然のことながら、医師にとっては過重労働となり、もうやっていられないと辞めていく医師が増えるのは明らかです。
病院幹部が行政から様々な圧力を受けていることは十分に分かりますが、今のように行政側だけに阿っていると、医師の逃散は避けられず、経営も破綻するでしょう。もうすでに非常事態なのだと言うことを理解するべき時期だと認識すべきです。と言うようなことを3年ほど前から勤務先で言い続けているのですが、理解を得ることは難しそうです。
本当に充実した医療を受けたいのであれば、それなりの負担をしましょう。受益者負担でも、増税による社会保障の充実でも、好きな方を国民に選んで貰って構いませんが、ラーメン代金でフランス料理のフルコースを求めるのだけはやめてください。
以前にも書いたことがあるけれど、手術の時にガーゼなどを残さないようにするためには、レントゲンで確認する以外に確実な方法はない。うちの病院でも、昔はガーゼのカウントをするだけだった。しかも、初めは術野にガーゼを出すとき、それが間違いなく10枚の束なのか数えていなかった。カウントの結果、時に1枚余ることがあり、10枚の束のはずが、時には11枚あることが分かった。こうなると、カウントが合っていてもガーゼの遺残があり得る。その後はガーゼを出すときにも確認するようになった。
これでガーゼの遺残を防げると思っていたが、それでもガーゼや手術器具のネジの遺残のあった他施設の事例が報道されたことから、開腹手術では全例麻酔覚醒前にレントゲン写真を撮ることにした。
「ガーゼ置き忘れ」でググルと、1150件ヒットする。下書き時点でリンク切れになっていないものの一部を挙げるだけでも、これだけある。
うちの病院で全例レントゲン写真を撮るようになったのは、比較的最近のことで、早くても10年前には撮ってなかった。遅くても5年前には撮っていた。今後は、それ以前の「ガーゼ置き忘れ事件」が発覚するのかも知れない。 でも、5年前の事例はないだろうと思う。以下は5年前の事例の引用。
体内に5年間ガーゼ置き忘れ 滋賀の公立病院
2008.6.9 19:59 産経新聞
滋賀県高島市の公立高島総合病院(青野充院長)は9日、5年前に手術した同市の男性患者(91)の体内にガーゼを置き忘れていたと発表した。
病院によると、男性が8日、診察のため来院。エックス線撮影で鉛製ワイヤが写り発覚、謝罪した。痛みはなく、手術して取るかどうか検討している。
平成15年1月に泌尿器科の医師(52)がぼうこうがんを手術した際、骨盤付近に7センチ四方の止血用ガーゼを置き忘れたという。
手術後、看護師がガーゼの使用枚数と回収枚数を数えることになっていたが気付かず、医師は翌日のエックス線撮影でも見落とした。
青野院長は「病院の安全管理に不備があった。再度、チェックを徹底したい」としている。
「謝罪」を辞書で引くと「罪やあやまちをわびること」とある。つまり、謝罪するということは罪や過ちを認めることなのだ。でも、「申し訳ない」とか「済みません」と言ったからといって、罪や過ちを認めたとは限らない。たとえば金メダルを期待されているアスリートが敗れたとき、「期待に応えられなくて申し訳ありません」と言ったとしても、何らかの罪や過ちを認めたわけではないだろう。それはただ単に、遺憾の意(残念な気持ち)を表明しているだけなのだ。
医師だって、患者が亡くなれば「亡くなったのは私の責任ではありません」などといきなり言ったりはしない。「お役に立てなくて申し訳ありません」とか「大変残念です」などの遺憾の意を表明する医師が多いだろう。法的責任を問われかねない局面では、謝罪と遺憾の意の表明の区別は重要だと思う。
この「医療事故・真実説明・謝罪マニュアル」の肝は、責任逃れをせずに、過誤があれば素直に認め謝罪するということだろうと思う。当然のことながら、何ら過誤がない場合には謝罪ではなく、遺憾の意を表明するだけだ。その違いを知らないのか、知っていてもミスリードするつもりなのか、こんな記事を書く新聞社がある。医療事故「謝罪マニュアル」 社会保険連52病院で導入へ
全国で52の社会保険病院を運営する「全国社会保険協会連合会」(全社連、伊藤雅治理事長)は、医療事故が起きた際、患者本位の姿勢で対応する方法を示した米国の「医療事故・真実説明・謝罪マニュアル」をグループ病院で実施することを決めた。医療事故の際、患者側に十分な説明をしない病院が少なくない中、大手病院グループが謝罪マニュアルの実施に踏み切るのは初めて。 患者側に十分な説明 「謝罪マニュアル」は米国のハーバード大医学部の関連16施設で用いられており、昨年3月に発刊された。日本では同11月に翻訳されている。
同マニュアルは、医療事故が発生した際は、隠さない、ごまかさない、逃げない姿勢が正しいと強調。〈1〉過失の有無が不明な段階でも、分かる範囲で状況を説明し、責任があることを表明する〈2〉遺憾の意を表す〈3〉過誤が判明した時は謝罪する〈4〉再発防止策を示す――などの対応方法を具体的に示している。
マニュアルに従って行動したことで、米国ミシガン大病院と関連施設では、4年間に訴訟やクレームの件数が56%減少し、訴訟費用も300万ドルから3分の1に削減されたという。訴訟になった場合でも、謝罪したことを法廷で医師に不利な材料としないよう州法で定めた州もある。
読売新聞社が先月、52の社会保険病院にアンケート調査したところ、39病院(75%)が既に「読了」し、いずれも「賛同する」と回答。「既に実施」が9、「今後実施する」が29、無回答が1病院だった。実施した際の効果については、以前から同様の方針で患者に対応してきたという病院を含め12病院が「大変効果がある」、15病院が「少し効果がある」と答えた。全社連は9月の各病院の管理者会議などで実施を徹底する。
全社連の今年3月の統計では、1998~2006年度の9年間で計407件の医療事故などが報告され、28件が係争中、87件で患者側と交渉が続いている。
伊藤雅治理事長の話「医療事故の民事訴訟は、患者、病院側双方が納得のいく解決方法にはなりえない。事実を隠さずに伝え、患者側と対話することで決着を目指す医療を進めたい」
謝罪マニュアル 原題は「When Things Go Wrong:Responding ToAdverseEvent」(トラブルが起きた時~医療事故にどう対応するか)。翻訳した埴岡健一・東大特任准教授らのグループは、原著の趣旨をくみ、邦題を「医療事故・真実説明・謝罪マニュアル」とした。
(2007年8月14日 読売新聞)
医療事故マニュアル:まず患者に謝罪 過誤判明前でも--全社連採用
全国52カ所の社会保険病院を経営する全国社会保険協会連合会(全社連、伊藤雅治理事長)は、医療事故が起きた際に、過失の有無に関係なく患者側にまず謝罪することを柱とした「医療有害事象・対応指針」を策定し、今月から運用を始めた。責任が明らかになるまで謝罪はしない多くの医療機関とは正反対の対応で、病院グループ全体でマニュアル化した例はないという。全社連は「患者本位の医療への一歩」と説明している。
指針の基になったのは、米国ハーバード大医学部が06年に刊行した「真実説明・謝罪マニュアル」。東京大の研究者グループが翻訳し、全社連が日本の病院向けに修正したうえで大手病院グループで初めて採用した。 指針は「隠さない、逃げない、ごまかさない」が基本方針。過誤の有無が明らかでない段階でも、患者の期待に反した結果になったことへの「共感表明謝罪」をするとしたのが特徴だ。
具体的には、従来は「院内で十分検討した後、病院の統一見解を患者に説明する。親切心や同情で、安易に責任を認めたり補償を表明するのは慎まねばならない」としていた点を、「何が起こったかを直ちに説明し、遺憾の意を伝える」と改めた。最初の説明役についても、「診療科の責任者や病院管理者が複数で」としていたのを「治療を実行した担当医が適任で、担当看護師の出席も患者の助けになる」と変更した。
同様の対応を04年から実践していた社会保険相模野病院(神奈川県相模原市)では、職員からの有害事象(患者に望ましくない事態が発生すること)の報告が倍増し、透明性が飛躍的に高まったという。指針策定の中心になった沖田極・下関厚生病院長は「医療事故の紛争の多くは、最初のボタンの掛け違いが原因。患者と医師の仲立ちをするメディエーターの養成も進め、新たな医療安全文化を育てたい」と意気込む。
「謝罪マニュアル」の普及を進めている埴岡健一・東京大特任准教授は「患者と医療側が同じ目線に立った画期的な取り組み。国立病院機構なども追随してほしい」と話している。【清水健二】
毎日新聞 2008年6月25日 東京夕刊
読売新聞の記事は10ヶ月前の記事で、まだマニュアルを採用するかどうかの検討段階のものだから、その後最初から謝罪するように変更になったのかと思った。でも、記事を読み進むと、やはり「遺憾の意」と書いてある。見出しは明らかに「遺憾の意」を「謝罪」にすり替えている。おそらくマニュアル自体は以前と大きな変更はないのだろう。そうすると、「遺憾の意」と「謝罪」を番号まで振って区別しているのに混同したことになる。実際には署名記事でありながらマニュアルそのものを読みもせずに記事を書いているのだろう。読んでいてこんな見出しを付けたのだとしたら、よっぽどの間抜けか悪意の持ち主だと思う。
マニュアルはここで読めます。私には「責任を取る」のニュアンスが英語と日本語ではだいぶ違うのではないかと思われました。また、「過誤」の定義にも違和感があります。
WaiWai Notice and Apology
Explanation and Apology Regarding Mainichi Daily News WaiWai
Mainichi Daily News, the Mainichi Newspapers' English language website, contained a corner called WaiWai that attracted criticism for such things as being too vulgar and debauching Japan by sending around the world information that could be misunderstood. In the wake of this criticism, we decided to end this corner. An online news site reported on these developments and inquired with the Mainichi Newspapers about them. The Digital Media Division which operates the information portal Mainichi.jp also includes the Mainichi Daily News and after receiving the criticism of the WaiWai corner, it was taken down from the Mainichi Daily News and a notice stuck in its place.
Mainichi Daily News is linked to Mainichi.jp. A detailed explanation of the developments in this case have also been provided in Japanese. The Mainichi Newspapers apologizes for the articles that attracted criticism.
Outline
For several years, WaiWai has taken parts of stories reported in mostly weekly magazines and used these to report on Japanese society and customs. In late May, the Mainichi Daily News editorial department began receiving complaints about the stories in WaiWai being too vulgar and an Internet bulletin board began criticizing the column. The online news site took up this issue and reported on it.
Many of the opinions about WaiWai asked the Mainichi about whether it had thought about what effect reporting to the world these stories in English would have, or that these articles would lead to a spread of misinformation about Japan.
Response
Following criticism of WaiWai in late May, we decided there was a problem with listing the stories on the Mainichi Daily News site, even though they were transcriptions of articles that had appeared in magazines published in Japan. Stories were withdrawn from the site and we halted access to problematic archived stories. We also asked search engines to prevent past WaiWai stories from being displayed.
We then changed WaiWai's editorial policy and drastically altered the standards used in story selection. However, there were problems with how past stories had been presented, so to avoid similar criticism from arising, we decided that we needed to come up with a sound editorial structure. This led to a fundamental re-think about WaiWai and on June 21, the decision was made to cease publishing the corner. On the Mainichi Daily News site, we listed the following notice: Some readers pointed out that various articles published in the WaiWai column were inappropriate content for the Mainichi Daily News. We respond to this criticism by halting publication of this column.
While explaining the process in both Japanese and English and apologizing, the Mainichi is poised to severely punish the head of the Digital Media Division, which is responsible for overseeing the site, the manager responsible for the corner and the editor involved with the stories.
Mainichi Daily News, and its publisher the Mainichi Newspapers Co., sincerely accepts readers criticism and will work to provide, edit and publish reliable information.
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MDN readers,
Some readers pointed out that various articles published in the WaiWai column were inappropriate content for the Mainichi Daily News. We respond to this criticism by halting publication of this column. We plan to start a column with a new concept to replace WaiWai in the future.
Thank you for your understanding.
Mainichi Daily News
私が昨日の昼に見たのは青い部分だけ。夜になってもう一度見ると、緑の部分が追加されていた。青い部分を要約すれば「不適切だという批判があったので、コラムの配信をやめることで批判に応える」と言うものだろう。そこには自分たちも不適切だと考えたとは書いていないし、当然、謝罪もない。要するに「やめりゃいいんだろ」と言っているに等しい。
こんな対応をすれば火に油を注ぐようなもの。すでにこの「変態ニュース」についてはヤフーニュース でも取り上げられ、多くの人の知るところとなっていた。当然、更に批判の渦は大きくなる。
不祥事があった場合、まず始めに謝罪し、その後の調査を約束するのは鉄則だ。詳しい説明はそれからで良い。いつも不祥事を責め続けている立場なら知っていなければならないことだが、自分たちのことになると別なのだろう。
追加部分の和訳はここで読める。関係者を処分しただけでは収まらないだろうと思う。
3大新聞と言われている新聞社の英語のサイトで、根も葉もないエロ記事が配信されているなどと言うことが信じられるだろうか。でも、本当らしい。今は批判を受けて削除したようだが、何ら責任を感じていないようで、謝罪の言葉はない。
また、悲惨な事件を題材にクイズを出すなど、人間性を疑うようなことを日本語のサイト(これも削除済み)でもやっているようだ。今までにも毎日新聞には色々と言いたいこともあったが、要するにこういう新聞社だったのね。まだまだ買いかぶっていたみたい。詳しくは以下のリンク先をごらんあれ。ちょっとあきれて声も出ない。
いつもは医療に警察が介入することに批判的なのだが、伊賀の点滴による集団感染については筆も鈍る。そのことを非難する某掲示板での書き込みもあるが、要するに、今回の事件は身につまされないのだ。
福島県の大野病院や、奈良県の大淀病院の事例なら、専門は違っても、自分ならもっと酷い対応しかできなかったかも知れないと思う。また、たとえ致命的な失敗だったとしても、ついうっかりすることは自分にもあることなので、当事者を罰してお終いにするのではなく、うっかりミスが重大な事態にならないようなフェイルセーフシステムの構築を望みたい。
詳しい分析はDr. I 先生の点滴作り置きは、「悪」か?でなされているので、興味のある方はご覧ください。リンク先はシリーズの現時点で一番新しいエントリです。出来れば最初からどうぞ。
当ブログでは、さらっと流す予定ですが、最新の情報では、作り置き以外に清潔操作に重大なミスがあった模様です。
残液と消毒綿容器からセラチア菌検出 三重・点滴事故
2008年6月19日13時31分 asahi.com
三重県伊賀市の診療所「谷本整形」(谷本広道院長)で鎮痛薬の点滴を受けた患者が相次いで体調を崩し、1人が死亡した医療事故について、三重県は19日、同診療所で汚染された点滴液による院内感染だったと断定した。15人の患者が出た9日の被害について、患者の血液や使用済みの点滴液の空容器の残液、点滴液の調合の際に使う消毒綿の容器から同じ種類のセラチア菌を検出。消毒綿の汚染と点滴液の長期の室温保管で、点滴液内に菌が増殖したことが原因としている。
県保健環境研究所による検査で、9日に点滴を受けた患者6人の血液、点滴液の容器7パックの残液、消毒綿の容器から、セラチア菌の一種、「セラチア・リクファシエンス」が検出された。
県によると、同診療所では点滴液を調合する際、点滴容器の注入口を消毒綿でふいていた。消毒綿には、アルコールではなく、本来10~50倍に薄めて使う消毒液「グルコン酸クロルヘキシジン」を千倍にして使っており、県は殺菌効果がなかった可能性が高いとみている。消毒綿は日常的に作り置きされ、看護師らは、素手で脱脂綿をつかんで容器の中に入れて作っていたという。不衛生な環境での点滴液の作り置きが常態化していたとみている。
看護師らは作り置きした点滴液が少なくなると追加で調合。診療終了後の余りは捨てずに、日常的に冷蔵庫でなく机の上で保管して翌診療日に持ち越していた。7日以前に作られ、月曜日の9日に持ち越されたのは20本以上あった。ただ、点滴液に調合日の記載がなく、何日に調合されたものか分からないという。
実を言うと、最初にこの事件を知ったとき、朝作った点滴を夕方使用したのだと思っていた。それで敗血症になることがあるとは信じられないと思っていた。麻酔導入に使用するプロポフォールという静脈麻酔剤はとても腐敗しやすいのだが、それでも注射器に詰めてから8時間までは使用可能となっている。特に感染の危険のある高カロリー輸液であっっても、清潔操作を心がければ24時間くらいかけて輸液しても問題ないはずなのだ。
でも、徐々に情報が出てくるに従い、これはとんでもないことが行われているのかも知れないと思うようになった。その後の院長の弁明を見ても、なんだか胡散臭い。「うちには風呂がないんです」と言うのを聞いて、「何だろうこの人は」と思った。
あくまで上で示した報道が正しいという前提だが、この診療所の衛生観念はあまりにも酷い。セラチア菌は何処に出もいる常在菌で、水たまり=セラチア菌 と言っても間違いではないくらいだ。最近は消毒用アルコール綿は単包装になっているものが多いが、作り置きのアルコール綿によるセラチア菌感染が教訓になっている。それがこともあろうに効果がありそうもない濃度の消毒薬内でセラチア菌を繁殖させ、点滴内容を汚染し、更に数日放置して繁殖するに任せたのが事実なら、あまりにも酷い。
と言うわけで、今回の事例はちっとも身につまされない。自分なら決してしないことだからだ。だからといって、警察に任せるべきだと思っているわけでもない。やはり罰するためではなく、真相を究明し、再発防止に役に立つ調査機関が欲しいことに変わりはない。只、今回は声高に言いにくいだけなのだ。
とにかく消毒まで正しい方に行っていながら、結局間違った方を手術してしまったのですね。どこかで間違えて流れがそうなってしまうと、人間というのは修正が利かないのだろうか。「馬鹿な奴だ」で終わりにすると、また忘れた頃に同じことが起きるのだろう。左右の目、間違え手術 東大病院、緑内障患者に
記事:毎日新聞社 【2008年6月12日】
医療事故:左右の目、間違え手術 東大病院、緑内障患者に
東大医学部付属病院は11日、緑内障の70代男性患者に対し、手術予定の左目ではなく誤って右目の手術をする医療事故があったと発表した。病院は、原因究明のため、調査委員会を設置した。
病院によると、手術は今月6日に実施。手術部位を間違えないよう、手術前、患者の左のこめかみに黒色のペンで丸印をつけていた。その後、30代の男性消毒担当医は左目を消毒。しかし、右目を露出させて布を置いてしまった。40代の男性執刀医は丸印の確認を怠り、消毒していない右目の手術をした。
患者は両目とも末期の緑内障で、右目も手術を検討していた。7日に左目の手術も行い、両目とも問題は起きていない。消毒担当医は「何でそうなったのか分からない」、執刀医は「つい確認を忘れた」と話しているという。手術翌日、眼帯が右目にされているのを不審に思った患者の妻の指摘でミスが判明した。
同病院の服部雄幸総務課長は「医師の肩書などは明かせない。患者には大変申し訳ない」と話している。【奥山智己】
今朝、秋葉原の事件の逮捕の瞬間を目撃した記者のレポートがあった。警察官は警棒は取り落とすし、手が震えて拳銃は抜けないし、見方によっては情けない有様だった。でも、一生に一度あるか無いかのクリティカルな状況に出会えば、人間なんてそんなものだろう。それは医師も同じだ。
滅多にない病態であれ、医師ならば的確に治療せよとの意見がネット上にも見られるが、やはり未経験の重大な局面ではあわてる。後から見ても最善の対応は不可能だ。その時点で出来るだけの対応をすることで勘弁して欲しい。
今日はいつもと違ってスポーツ記事について書いてみる。とは言っても、医療報道と言えないこともない。
一昨日の朝日新聞で陸上競技の絹川選手が原因不明のウィルス感染症にかかっているという記事を読んだ。いつも楽しいコメントをするので好きな選手なのだが、気の毒なことだ。でも、血液検査でウィルス感染症だと分かったらしいのだが、だったらどうして原因不明なのだろう。感染症には詳しくないのだが、ウィルス感染であることは間違いないが、どんなウィルスだか分からないと言う血液検査とは何だろう。そもそも未知のウィルスによる感染症なら、防疫体制も取らずに放置して良いものなのだろうか。
なんて言う疑問を持っていたら、読売新聞のトンデモ記事が見事に爆釣な件(幻影随想)と言うブログや真夜中は別の人と言うブログを見つけた。医療関係者によると思われる「未知のウィルス感染症」のことと言うブログもあった。主治医とおぼしき松元整形外科内科クリニックのサイトにも行ってみた。主治医の松元氏は確かに医師免許を持つ本物の医師のようだが、その主張は普通の医師の受け入れられるようなものではないようだ。有り体に言えばトンデモ。
最初に読んだのが朝日新聞なので、 asahi.com 内で検索してみた。でも、トンデモと気がついたのか、ヒットしない。毎日新聞のサイトではスポニチの記事が載っていた。
読売新聞はこんな感じ。絹川愛:18歳の女子長距離ホープが謎のウイルスで五輪断念
陸上女子長距離のホープで昨年の大阪世界選手権一万メートル代表の絹川愛=めぐみ=(18=ミズノ)が、北京五輪を断念することになった。原因不明のウイルス感染症のため、選考会を兼ねた日本選手権(26日開幕、等々力競技場)の欠場が決定。宮城・仙台育英高時代から指導する渡辺高夫氏は6日「回避します。回復はしてきたけど、戦えない」と明言した。
2月ごろに左ひざに痛みを訴えた絹川は、通常の外的治療では治らず、痛みの部位も転移。血液検査などでウイルス感染症と診断された。当初は歩くのも困難だった。血清治療を受けて現在は簡単なトレーニングができるまで回復したが、試合出場は厳しい状況だ。絹川はこの日更新した自身のブログで「私としてはやはり戦わずして負けるのは悔しいです」と苦しい胸の内を明かした。(スポニチ)2008年6月7日
絹川選手本人は何と言ってもまだ子供だ。大人であるコーチ陣がしっかりしなくてはいけないと思う。もちろん報道陣も、トンデモさんの言うことを真に受けて記事にするようじゃ情けない。陸上長距離・絹川、五輪出場厳しく…謎の感染症完治せず
昨年の大阪世界陸上女子一万メートル代表の絹川愛(ミズノ)が、今月末に行われる日本選手権を欠場する可能性が高いことが5日、明らかになった。
原因不明の感染症が完治しなかったため。同選手権は北京五輪代表選考会を兼ねており、絹川の五輪出場は厳しくなった。
指導する渡辺高夫監督によると、絹川は昨年12月から今年2月にかけ、右と左の骨盤を疲労骨折。その後、左ひざに痛みが出た。通常の治療で治癒せず、痛みの部位が次々転移したため、4月に放射性同位元素診療と特別な血液検査を実施。通常の血液検査で正常値だった血液に異常が見つかり、ウイルス感染と診断された。
担当医の松元司医師は、「未知のウイルス感染で赤血球と白血球が変形していた。国内では報告のない症例。中国の昆明合宿での感染が疑われる」として、昨年3月の昆明合宿中に感染、潜伏期間を経て発症した疑いを指摘する。7月に英国で開かれる学会で、症例の発表を予定しているという。 (2008年6月6日03時07分 読売新聞)
昨日、全国医師連盟設立集会に行ってきた。これで正式に発足したわけだが、関わったスタッフの皆様には本当に感謝したい。大変なご苦労があったと思う。でも、実際には、立ち上げることよりも継続する方がもっと大変なのだろう。元々医師は自我が強く、群れて戦うことは得意ではない。まとめていくには大変な忍耐がいることだろう。屁の突っ張りほどにしかならないだろうが、協力していこうと思う。
さて、設立集会だが、講演会としても大変面白いものだった。昨日は寝不足だったので、学会の時のように暗くなった瞬間に寝てしまうのではないかと思ったが、結局最後まで興味深く聴いてしまった。
来賓祝辞の 上 昌広氏 はいつもメールマガジンでおなじみだが、実際にお会いするのはこれが初めて。こんなに若い方だとは思わなかったが、話が上手い。途中でプロジェクターの画像が出なくなるというハプニングがあったが、よどみなく話を続けていた。
記念公演の演者は以下の6名。リンク先は関連サイト。
それぞれに「渦中の人」なので、興味ある話を聴けた。
終了後は懇親会に出席し、いろいろな方とお話しすることが出来た。みなさん、ありがとうございました。酔っぱらって眼鏡を忘れてきたのはご愛敬。そろそろ買い換える時期だし、ま、いいか。