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最近はメディアの論調も以前ほど無神経ではなくなり、医療裁判の判決も以前のような「トンデモ判決」は少なくなったような印象があります。そういう意味ではネタがなくなり、書くことが少なくなったとは言えます。
それなら医療訴訟は減っているのかと言えば、身の回りを見る限り、減っているようには思えません。少なくとも、私の勤務先の抱える訴訟は増えています。(以前はほとんどありませんでした)
他人事であったときにはあれこれ書くのに抵抗はありませんでしたが、当事者になってみると書きにくいものですね。と言っても私自身の事例ではないのですが、対策に関わる立場になってみると、うかつなことは書けないというプレッシャーがあります。
民事ですらそうなのですから、刑事となると身がすくみます。当院では、今までは念のために警察に届け出ても病死であると理解される事が常でしたが、このたび事情聴取を受けることになりました。急死ではありますが、医学的に説明可能な単なる病死で、もちろん届け出ては居ません。これをいちいち警察に弁明しなければならないとすると、当事者となった医師は辞めていきそうです。私も、ますます書きにくくなります。
追伸
個人的な事情でしばらくネットにアクセスできません。
一般高圧ガス保安規則 第六十条の十
可燃性ガス又は酸素の消費に使用する設備(家庭用設備を除く。)から五メートル以内においては、喫煙及び火気(当該設備内のものを除く。)の使用を禁じ、かつ、引火性又は発火性の物を置かないこと。ただし、火気等を使用する場所との間に当該設備から漏えいしたガスに係る流動防止措置又は可燃性ガス若しくは酸素が漏えいしたときに連動装置により直ちに使用中の火気を消すための措置を講じた場合は、この限りでない。
こんにゃくゼリー「事故頻度、アメと同等」 食品安全委
2010年1月13日20時54分 asahi.com
食品の窒息事故の危険性を議論している食品安全委員会のワーキンググループが13日開かれ、子どもや高齢者の死亡事故が相次ぐこんにゃく入りゼリーの窒息死亡事故の確率について、餅に次いで「アメと同程度の事故頻度がある」とする推測値を初めて公表した。
一口あたりの事故頻度を摂取量などに応じて、食品ごとに試算。こんにゃく入りゼリーについては、その生産量と、内閣府が把握する死亡事故数をもとに試算した。
その結果、1億人が一口食べたと仮定して最大で0.33人が窒息死の危険性がある計算になった。また、別の試算による事故頻度の推計では、こんにゃく入り以外も含めたゼリー全体の摂食量などから最大で5.9人となった。
他の食品の試算では、事故頻度が高い順に、いずれも最大で餅7.6人▽アメ2.7人▽パン0.25人▽肉類0.15人などとなった。こんにゃく入りゼリーの事故頻度は、二つの試算から、餅とパンの間にあり、アメと同程度ということになった。
同委は、今回の試算を踏まえ、こんにゃく入りゼリーを含めた窒息事故を引き起こす食品について事故防止策の提言などをまとめることにしている。内閣府によると、こんにゃく入りゼリーが原因の窒息死亡事故は過去13年間に22件報告されている。(小林未来)
この「業務上過失致死」という言葉は最近の医療事故に関わった医師を拘束するのに都合の良い口実として頻繁に使われるようになったが、「業務上過失致死」の拡大解釈は医療を滅ぼすことになりかねない。
医療事故は、その問題をきちんと扱えるだけの専門知識を持った人たちで組織された第3者機関によって落ち度の有無を客観的に検討されるべきであって、医学に暗い警察権力が踏み込むべきではないし、そのような介入がまかりとおっている国は日本だけである。
「過失重大でない」 医師を起訴猶予 岩手医大病院の患者死亡事故
2009年12月26日 提供:毎日新聞社
盛岡地検は25日、業務上過失致死容疑で書類送検された岩手医科大付属病院循環器医療センターの40歳代の男性医師を起訴猶予にしたと発表した。処分は11日付。中川一人次席検事は「過失がないとは言えないが重大ではない」と理由を述べた。
容疑は07年5月12日午後4時ごろ、心臓手術を受けた男性(当時70歳代)に、鼻から胃に挿入すべきチューブを誤って気管に挿入、栄養剤を投与し、多臓器不全で死亡させたとしている。【山中章子】
内科医を起訴猶予 筋弛緩剤誤投与で徳島地検
2009年12月28日 提供:共同通信社
徳島県鳴門市の健康保険鳴門病院で、同市の男性入院患者=当時(70)=が誤って筋弛緩(しかん)剤を投与され死亡した事故で、徳島地検は28日、業務上過失致死容疑で書類送検された女性内科医(38)を起訴猶予処分とした。
地検は処分理由について「示談が成立し、深く反省している」としている。
女性内科医は昨年11月17日、解熱効果のある副腎皮質ホルモン剤「サクシゾン」を患者に投与しようとし、誤って名前のよく似た筋弛緩剤「サクシン」を選んで看護師に200ミリグラムの投与を指示、約4時間後に薬物中毒で窒息死させたとして、今年8月に書類送検されていた。
▽ 「タブー」といえども医療費増加を叫ぶ ▽
もはや限界の医療現場、これ以上の効率化は不可能
武蔵浦和メディカルセンター
ただともひろ胃腸科肛門科
多田 智裕
2009年12月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
「医は仁術」ということで、今まで医者が医療行為に関するお金の話をするのは、タブーに近い雰囲気がありました。でも医療の現場では、医療費の増額が実現されないと、とても立ち行かない状況に追い込まれています。
12月9日、中医協(中央社会保険医療協議会)総会は「2010年度診療報酬改定へ向けた意見書を厚生労働省へ提出しない」という決定をしました。これは、私たち現場の医師からすると、驚くしかない決定です。
健康保険支払い側は、「診療報酬の引き上げを行なう状況になく、限られた財源を効率的かつ効果的に配分するよう見直していくべき」と主張しています。
一方、診療側は、「過去のマイナス改定を回復し、診療報酬の大幅な引き上げによる医療費全体の底上げを行うべき」と主張しています。
両者の主張が全く噛みあわず、意見がまとまらなかったのです。
中医協は、健康保険制度や診療報酬の改定などについて審議する厚生労働省の諮問機関です。諮問機関が意見をまとめられなかったことで、2010年度の診療報酬改定は政治的な決着に委ねられることになったと言ってよいでしょう。
医療は人件費のかたまり、コスト削減には限界がある
民主党は選挙の際に、次のようなマニフェストを掲げていました。「累次の診療報酬マイナス改定が地域医療の崩壊に拍車をかけました。総医療費対 GDP(国内総生産)比を経済協力開発機構(OECD)加盟国平均まで今後引き上げていきます」──。このように大幅な医療費増額を打ち出し、選挙に勝利 したのです。
民主党が政権を取ったにもかかわらず、なぜ、これほどまでに医療費増額が進まないのでしょうか。背景には、「世の中はデフレなんだから、医療だって価格改善の余地があるはずだ」という国民感情が根強いのかもしれません。
しかし、皆さんに知っていただきたいのですが、医療は人件費のかたまりです。いわばバリバリのサービス業です。小売業のように売り上げに占める人 件費率が10%台などということは到底あり得ません。人件費率は実に60%に達します(施設によっては80%を超えます)。ですから、外国から格安の原材 料や製品を仕入れて、患者がびっくりするくらい値下げする、といった戦略はとれません。
この50~60%という人件費率は、業種で言うと美容室やエステとほぼ同じになります。例えば、1000円カットは洗髪やひげ剃りなどのサービスを廃止して価格を下げることに成功しました。
しかし医療ではサービスの廃止や簡略化ができません。「医療の効率化によって医療費増加分を捻出せよ」ということは、「医療に関わる人たちの人件費を下げろ」または「もっと1人当たりの労働量を増やせ」と言っているのとほぼ同じことになります。
つまり、「サービスのレベルを下げない」という前提に立つならば、医療費カットは医療従事者(医者だけでなく看護師、医療事務、看護助手などの「コメディカルスタッフ」も含む)の給料削減、または労働環境改悪に直結するということです。
人件費が安い海外に移転するしか手はない?
ただでさえ、医師は過労死基準を超える過重労働にあえいでいます。これ以上人的資源の効率化を行なうことは、現実的には不可能でしょう。コメディカルスタッフの業務も似たような状況です。
経済評論家の大前研一さんは著書『最強国家ニッポンの設計図』(小学館http://www.amazon.co.jp/gp/product/4093897166/)の中で、「今後の日本の高齢者問題を国内で解決するのは不可能であり、オーストラリアやフィリピン、タイなどで高齢者タウンや介護タウンを作るしかない」と喝破しています。
要するに、他の産業と同じように人件費の安い海外に移転させれば、コストを下げてよい医療が提供できますよということなのでしょう。でも、逆に言うと、現実的に医療費を抑制しつつサービスも維持する方策は、いくら考えてもこれくらいしかないですよ、ということなのです。
(ただし、高齢になったり介護が必要になってから海外に移住することをみんなが納得するのかどうか、そして、海外旅行に出かけないと親族に会えなくなってしまうという状況がみんなに受け入れられるのか、私には判断できません。)
すでに現場は限界を超えている
以前、このコラムでも書きましたが、現在の日本の医療費は、医療の水準に対して、価格が世界で最も低い水準にあります。(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1337も参照ください)
例えば、私が行なっている大腸内視鏡検査の代金は、日本では1万5500円です。ところが、同じ検査をアメリカで受けると100万円を超える施設も珍しくありません。良心的なところでも30万円くらいです。
テレビで、したり顔で「混合診療は解禁して当然」と解説している経済評論を目にします。混合診療では、健康保険の範囲内の診療費は保険で賄い、範囲外の診療費は、患者が医者に支払うことになります。
この経済評論家は、急増している大腸がんの予防的処置ができる大腸内視鏡検査が、1回30万円以上にまで高騰してもよいと本気で思っているのでしょうか?
「医療費の安いタイなどの国に検査や処置を受けにいくメディカルツーリズムが流行っている」と紹介する記事もあります。ちなみに、大腸内視鏡検査 はタイで受けたとしても7万円くらいかかります。日本で受けた方がはるかに安いんですけど・・・と、私はツッコミを入れたくなります。
もちろん、医療費は安い方がいいのが当たり前です。それでも、ここまで安いのにこれ以上効率化云々ということを言われても、「すでに現場は限界を超えている」というのが、私を含めた医療従事者の正直な実感です。
せめて世界の平均まで引き上げを
医療従事者は、別に7000万円のボーナスが欲しいわけでも、200億円の退職金が欲しいわけでも決してありません。誰もが、安い値段で高水準の医療を提供したいと思っています。
診療側が求めているのは、「医療行為に対する正当な評価と報酬」です。ただそれだけなのです。今、上がっている声は 「医療費があまりにも安すぎて、今の水準をとても維持できません」という悲鳴なのです。
医療崩壊を食い止めるために、何よりも必要なものはマンパワーです。このままでは医療サービスの提供に最低限必要な人手を維持できないところまで来ています。
日本の医療費は世界最低水準です。「せめてOECD加盟諸国の平均にまで上げてほしい」という要求(最終的には今と比べて50%くらいの増額になると思われます)は、まごうことなき正当な要求であると、私は個人的に考えています。
冒頭の中医協総会後、診療側の辺見公雄委員は、会見で「(この内容で同意しては)全国で一生懸命働いている仲間を裏切ることになる」と語りました。現場に立つ者からすると、この一言だけで涙が出てしまうような発言です。
感情論は脇に置いておくとしても、これまでのように、「上げるべきという意見もあれば、上げるべきではないという意見もある」という「両論併記」で、あいまいなまま流せる状況にないことだけは、皆さんに分かってほしいと思います。
医療崩壊を阻止するためにも、そして、250万人の医療従事者たちが希望を持って働けるようにするためにも、最後の政治決着では、可能な限りの医療費増額が決定されることを期待しています。
女児死亡訴訟 島田市などが5300万円支払い和解
12/22 20:33更新 産経新聞
平成14年に交通事故で静岡県島田市立病院に救急搬送された女児=当時(3)=が死亡したのは、病院の対応が不十分だったためとして、両親が市などに約6500万円の損害賠償を求めた訴訟は22日、静岡地裁(三木勇次裁判長)で、市などが約5300万円を支払うことで和解した。「適切な医療行為ができるよう最善を尽くす」との謝罪条項も盛り込まれた。
訴状などによると、市立島田市民病院は搬送された女児の出血性ショックを見逃し、輸血用の血液の手配を怠ったため、手術の開始が遅れた。女児は術中に出血多量で死亡した。
女児の両親は「二度と同じ悲劇が繰り返されないようにしてほしい」とコメントした。
島田市民病院訴訟:市が300万円支払いなどで和解 /静岡
交通事故に遭った女児(当時3歳)が死亡したのは搬送先の島田市民病院(島田市野田)の緊急対応に問題があったためだとして、両親が島田市と、事故当時、女児を車に乗せていた知人男性に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟は22日、和解した。
原告側の弁護士によると、和解は男性が5000万円、島田市が300万円をそれぞれ支払う内容。
訴状などによると、女児は02年3月30日、県中部の国道で、両親の知人男性の車に同乗していた際、別の車と正面衝突。女児は島田市民病院に運ばれたが、肝臓破裂などによる出血多量で死亡した。
原告側は「病院側が肝臓破裂などを見落とした。血液型の確認も行わなかったため、特殊な血液型だと気付くのが遅れ、手術中に出血多量で死亡した」と主張していた。
病院側は和解を受け「救命救急全般に問題点を十分検証し、救急患者の治療に最善の努力を尽くしたい」とのコメントを出した。【山田毅】
毎日新聞 2009年12月23日 地方版
判決は来年3月1日 奈良の妊婦死亡訴訟
2009年12月22日 提供:共同通信社
奈良県大淀町立大淀病院で出産時に意識不明となり、約20の病院に転院を断られた後に死亡した女性の遺族が大淀町と担当医に約8800万円の損害賠償を求めた訴訟が21日、大阪地裁(大島真一(おおしま・しんいち)裁判長)で結審した。判決は来年3月1日。
この日、死亡した高崎実香(たかさき・みか)さんの夫晋輔(しんすけ)さん(27)が意見陳述し「担当医が適切な指示をせずに妻の異変を放置した。妻を返してください」と述べた。被告側は「医師に手落ちはなく、責任は問えない。搬送の遅れは社会的な救急医療体制の問題だった」などと主張している。
訴状によると、実香さんは2006年8月、分娩(ぶんべん)のため入院していた大淀病院で意識不明となり、約20の病院から受け入れを断られた後、転送先の医療機関で男児を出産したが、その後、脳内出血で死亡した。
延命治療中止、有罪確定へ 医師の免責、要件示さず 最高裁が上告棄却 川崎協同病院事件 【1】
09/12/09 記事:共同通信社
川崎市の川崎協同病院で1998年、昏睡(こんすい)状態の男性患者=当時(58)=が気管内チューブを抜かれ、筋弛緩(しかん)剤を投与され死亡した事件で、殺人罪に問われた医師須田セツ子(すだ・せつこ)被告(55)の上告に対し、最高裁第3小法廷は9日までに「法的に許されない」として棄却する決定をした。懲役1年6月、執行猶予3年とした二審東京高裁判決が確定する。
医師による終末期の延命治療中止の違法性が刑事裁判で争われたのは異例で、最高裁が判断を示したのは初めて。医師の免責要件などへの言及はなかった。
決定は7日付。5人の裁判官全員一致の意見だった。
田原睦夫(たはら・むつお)裁判長は「必要な検査をせず、回復可能性や余命を的確に判断できる状況でなかった。回復をあきらめ、チューブの抜管を要請した家族も病状の適切な情報が伝えられておらず、抜管は男性本人の推定される意思ともいえない。法律上許される治療中止に当たらない」と判断。筋弛緩剤投与と併せて殺人罪の成立を認めた高裁判決を支持した。
被告側は「男性の意思を推定できる家族の強い要請に基づき、チューブを抜いた。法律上許される」と、無罪を主張していた。
決定などによると、男性は98年11月2日、気管支ぜんそくの発作による低酸素性脳損傷で入院。意識不明となり、被告は同16日、家族の要請で気管内チューブを抜いたところ、男性が苦しむ様子を見せたため看護師に筋弛緩剤を注射させ、死亡させた。
一審横浜地裁は「回復可能性があり、本人の意思表示も家族の要請もなかった」と判断、懲役3年、執行猶予5年とし、二審は「家族の要請はあったが男性の意思表示はなく、死期も切迫していなかった」と判断した。