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2007.05.29 08:21 |  診療  |  Dr.K  | 推薦数 : 0

ある患者さん

  85歳のおばあちゃん、一人暮らしで自炊をしておられます。貧血の精査で来院され、進行胃癌、多発肝転移が見つかりました。家族の方達と内科医が相談し、家族の意向は苦しまずにいかせてあげたいということでした。そこで、外科的な意見を聞きたいということで外科外来に来られました。いろいろな状況がありますが、このおばあちゃんは、このままだと、胃に関しては、また、胃癌から出血するし、段々食事も通り難くなってきます。痛みも出てくるでしょう。本人は胃潰瘍と思っておられますから、食事にもずっと気をつける必要があります。肝に関しては、段々腫瘍が大きくなり肝不全の状態にいずれなります。肝不全は痛みがなく、意識も朦朧として楽な状態です(体は黄色くなりますが)。どちらが、先にくるか誰もわかりません。肝の症状が先ならこのまま様子を見るのが一番です。でも、胃の症状が先に来るのなら手術した方がいいと思います(この場合、おばあちゃんはしっかり自立しているというのが前提条件です)。手術時間は正味1時間で済みます。虫垂炎の手術時間と余り変わりません。悪いところを取ってつなぐだけですから手術侵襲もそんなにないと思います(もちろん、何が起こるかわかりませんが)。自分の親でも同じ状況なら手術を勧めると思います。
  このようにお話をして家族の方にどうされるのか決めてもらう事になりました。返事は後日です。
 おばあちゃん(本人)不在でおばあちゃんの命に関わるお話をすることがよくあります。本当は御本人が自分の本当の病名を知って、上記お話しをして、一緒に考えながら、最終的には御自分でどうするか判断されるのが一番なのですが、お年寄りの家族の方が沢山おられる場合は、なかなかそういかない事が多いのが現状です。家族にいっぱい心配してもらうという点ではすごく幸せですが、自分の命に関わる病気の事を自分は知らずに旅立つというのは果たして本人にとって幸せなのかどうか、難しい問題です。

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