85歳のおばあちゃん、一人暮らしで自炊をしておられます。貧血の精査で来院され、進行胃癌、多発肝転移が見つかりました。家族の方達と内科医が相談し、家族の意向は苦しまずにいかせてあげたいということでした。そこで、外科的な意見を聞きたいということで外科外来に来られました。いろいろな状況がありますが、このおばあちゃんは、このままだと、胃に関しては、また、胃癌から出血するし、段々食事も通り難くなってきます。痛みも出てくるでしょう。本人は胃潰瘍と思っておられますから、食事にもずっと気をつける必要があります。肝に関しては、段々腫瘍が大きくなり肝不全の状態にいずれなります。肝不全は痛みがなく、意識も朦朧として楽な状態です(体は黄色くなりますが)。どちらが、先にくるか誰もわかりません。肝の症状が先ならこのまま様子を見るのが一番です。でも、胃の症状が先に来るのなら手術した方がいいと思います(この場合、おばあちゃんはしっかり自立しているというのが前提条件です)。手術時間は正味1時間で済みます。虫垂炎の手術時間と余り変わりません。悪いところを取ってつなぐだけですから手術侵襲もそんなにないと思います(もちろん、何が起こるかわかりませんが)。自分の親でも同じ状況なら手術を勧めると思います。
このようにお話をして家族の方にどうされるのか決めてもらう事になりました。返事は後日です。
おばあちゃん(本人)不在でおばあちゃんの命に関わるお話をすることがよくあります。本当は御本人が自分の本当の病名を知って、上記お話しをして、一緒に考えながら、最終的には御自分でどうするか判断されるのが一番なのですが、お年寄りの家族の方が沢山おられる場合は、なかなかそういかない事が多いのが現状です。家族にいっぱい心配してもらうという点ではすごく幸せですが、自分の命に関わる病気の事を自分は知らずに旅立つというのは果たして本人にとって幸せなのかどうか、難しい問題です。
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消化器の癌の中で一番やっかいなものの一つが膵臓癌です。いまだに早期発見が困難で、有効な治療法も余りなく、進行が早く、悪性度が高いからです。腰痛、腹痛、黄疸などの症状が出てからでは、ほとんど手遅れです。しかし、症状がないと見つかりません。だから、やっかいなのです。手術ができた場合、消化器外科の中で一番難しい手術です。最低でも5時間以上かかり、摘出できても吻合箇所が3カ所もあります。我々はその手術をPD(pancreatoduodenectomy)膵頭十二指腸切除術と言います。
お父さんを膵臓癌で亡くされ、ご自分も膵臓癌になるのではと心配され半年に一回の頻度で検査に来院される60代の男性の方がおられます。最後に検査を受けたのは今年の6月。結果は異常なしでした。1ヶ月前から腰痛が出現し、鍼灸や整体を受けられたけど痛みが取れないと来院されました。そして、検査をしてみてびっくりです。膵臓に3cmの癌ができており、血管をも浸潤しており手術できるかどうか微妙な状況です。御本人は納得できません。こうなるのが嫌だからずっとこれまで検査をしてきたのに何故見つからなかったのかと。毎月検査をしていれば、この状況は免れたかもしれませんが、現実的には非常に困難ですし、今となっては後の祭りです。これが膵臓癌なのです。現代医学の限界なのです。
とはいっても、その患者さんは納得されません。とにかく手術を希望されています。彼にとって手術不能=死を意味するからです。何とか手術ができればいいのですが、、、
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先週の続きです。
無理をしていると交感神経優位になり顆粒球が増えます。顆粒球は粘膜を侵す作用があるそうです。歯周病、痔、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎など顆粒球が悪さをして起こるそうです(初めて聞きました)。そして、組織破壊の究極が発癌。粘膜が破壊され、修復の調節障害がおこり、本来はリンパ球がその修復をするのですが、リンパ球が減っていて修復できない。癌は頑張り屋さん、几帳面な人に起こりやすいといわれています。これって、交感神経優位の人ですね。のんびりした人で癌で死ぬ人は余りいません。これは、副交感神経優位のひとです。
抗癌剤、放射線照射により顆粒球が増えるそうです。すると、組織破壊がますます進み、その分リンパ球が減り、その割合が30%を切ると癌の増殖が始まり、30%以上あると増殖が止まるのだそうです。また、リンパ球は体温を38~39℃まで暖めると増えるのだそうです。
これまで、近代医学は病気について、その局所の部分をクローズアップして見てきました。しかし、病気はいままでの生き方のかたよりを教えてくれているのだとしたら、もっと全体に目を向け、その偏った生き方を改め、バランスの取れた生活を送れば病気は例え癌でさえも治るのかもしれません。実際、病気になって自分の真のあるべき姿に気付き、病気になってよかったとその現実を受け入れ感謝し、ゆっくり焦らず生き方を改められて癌が治った患者さんがおられます。
我々は、病気の症状を悪者として止める、排除する世界(医療)に生きてきました。症状を生き方のかたよりを知らせるサインと気付けば別の対応ができます。まだまだ、意識レベルが未熟なのかも知れません。
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安保 徹さんの一般者向けの講演を聞いてきました。安保さんは新潟大学の国際感染医学の教授です。リンパ球の専門家です。
血液は主に血管の中を流れていますがただ流れているわけじゃありません。何かに制御されているはずです。ずばり、神経!白血球には大きくわけて、顆粒球、リンパ球、単球とあります。単球は、マクロファージに似ていて異物を貪食(どんしょく)します。単細胞生物(マクロファージ)の生き残りが多細胞生物(人間)の中に住み着いて太古の昔からと同じ方法で現代の人間の体を外敵から守ってくれていると思うと単球に何か懐かしい愛情を感じてしまいます。単球、顆粒球はアメーバ運動を行い、細菌や異物を細胞内に取り入れて殺し、消化する食作用を持ち、リンパ球は免疫抗体の産生、免疫機能の調節をあずかります。安保教授のおっしゃるには、顆粒球は交感神経支配、リンパ球は副交感神経支配なのだそうです(恥ずかしながら知りませんでした)。交感神経、副交感神経は自律神経といって意思とは無関係に内臓を支配しその働きを調節し、中枢は脊髄と脳幹にある植物性神経です。簡単に言うと、交感神経は戦闘状態のとき優位に働き、副交感神経はリラックスしたときに働き両者は拮抗的に働きます。心臓がバクバクするときは交感神経が働いています。ゆったりと落ち着いているときは副交感神経が働き、その時は胃腸運動が促進されます。従って、心身が本当にリラックスしているかどうか、無理して生きていないかどうか、楽しく生きているかどうかは血液検査をして白血球分類をすれば(3分位で結果がでます)、もし顆粒球が増えていれば緊張しており、リラックスしていればリンパ球が増えているんですぐにわかるそうです。
自我意識が入らない無意識レベルでの心身の頑張り具合、緊張度が血液を3ml採り、3分間待つだけでわかるなんてすごいと思いませんか!?
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これまでいろいろと外来で患者さんとお話をしてきました。先日、胆道系の炎症のためにちょっと無理をするとすぐに酵素の値が異常値まで上がる30代後半の男性のがっしりとした患者さんとお話をしていた時のことです。患者さんも無理をすると酵素があがることを十分良くご存じなのですが、つい無理をされたのでしょう。思い当たることがあったらしく無理をしないようにお話をしていると、突然急に意識が朦朧となり明らかにこころが崩れていきました。ほんの1~2分の出来事です。お話を止めて出ていかれようとしても足がおぼつきません。かかえられるようにしてやっとのことでベッドに横になって頂き、家族の方に連絡して迎えにきてもらい約2時間ほど横になったあとようやく普通の状態に戻られ帰られました(家族の方のお話では色々悩みがあったそうです。大抵の患者さんは医者の前では何故か元気に振る舞おうとされます。病気だから病院に受診されるのに本当の悩みを話せない方が多いようです。もちろん、医療者サイドにも問題があるのでしょうが。自省を込めて)。もし、外で同様の事が起こったら間違いなく車に轢かれるか何かにぶつかるかで大事故を起こしていたところです。こういう体験は初めてでした。人は一瞬で壊れる事もあるのです。自分を基準に考えるとそういう事はありえないと思ってましたが、現実に目の当たりに見ると信じざるをえません。ほんとに一瞬です。人にはそれ程脆い部分もある事を実体験できました。その患者さんには申し訳ないですが感謝しています。
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