よくテレビのドラマで手術が終わったら、執刀医が手術は成功しましたという場面があります。実際の医療現場では手術は無事終わりましたといいますが、成功しましたとは言わないと思います。時々、患者さんから手術は成功しましたか?と聞かれることはありますが。
そもそも、手術が成功するとはどういうことでしょうか?悪い部分を取りきって二度とその病気にならないと確信できれば本当の意味で成功かもしれません。しかし、特に癌の手術では絶対はありません。どんなに早期の癌でも再発の可能性はゼロではありません。目で見て悪い場所を含めて取っているのが現状です。目にみえないミクロな部位があっても現代の西洋医学ではそこは認識しようがありません。従って無事に手術が終わることが手術が成功したというんだと思います。そうならば、手術が失敗することはまずありません。ほとんどすべてが成功です。癌が予想より進み過ぎて取れないことがあっても(インオペといいます)無事手術が終われば、手術は成功です。取るリスクより取らないリスクの方が良いこともあります。
以前アナウンサーの逸見さんの胃癌の再手術を某有名教授が執刀され、逸見さんは術後まもなく亡くなられました。私の回りの外科医の間ではあれは無謀な手術だという意見ばかりでした。あの手術は、目に見える部分だけに囚われて目に見えない病気全体を見失っていたと思います(上記の定義なら手術は成功していますが)。
手術に限らず、物事に対峙するときは目(五感)だけに頼らず目に見えない部分も大切にして全体を意識しながら対応していければと実感します。
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