実は、入院の受け持ち患者さんが一人になりました。いままで、患者数が少なくなったことはあっても一人は初めてです。
大抵、8人前後の患者さんを受け持ちます。受け持つと24時間すべて責任があり、退院してからもずっとその患者さんの命の責任を負います。大変そうですが、そんなに急変とかはないので想像されるほどはつらくはありません(慣れもありますが)。たまに、受け持ちが10人を越えると患者さんすべては把握できなくなり、重症順に自分のなかで振り分けをし、軽症の人はポイントで対応することになります。患者さんからすれば皆平等に扱われたいと思う人もおられるでしょうが(苦情を言われたことはありません)、公平には診察しますが、病気にもいろいろありますから平等には接することはできません。
受け持ちが2~3人だと気持ちにすごく余裕ができますから随分楽です。気分的に濃厚に診療します。ましてや、一人となると、言い方は変かもしれませんが極楽です。いつまで続くかわかりませんが、しばし、この極楽を楽しませてもらいます(これは、大いなるプレゼントだと思っています)。
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最近、99才のおばあちゃんの手術をしました。腸閉塞(腸が詰まって物が通過しなくなる状態)で、お腹がぱんぱんになってこのままだと破裂してしまうので(風船を膨らませすぎると破れるのと同じ、腸詰めウィンナーの外側を思い出してください)止む終えず手術をしました。過去最高齢の患者さんの手術です。骨盤にある直径3mm位の穴(皆さんにもあります)に小腸が入り込み閉塞していました(閉鎖孔ヘルニア)。同部位の小腸を取り出しその部分を切除し残った部分でつなぎます。手術は成功し、手術後の状態も安定しています。おばあちゃんは、又、ご飯を食べられるようになるでしょう。女性強しです。男はそもそもそんなに生きないし、もし、生きたとしてもとても手術には耐えられないだろうと思います。女性は生命力が強いから長生きするし、逆に長生きするからいろいろ病気になるリスクも増えてきます。病気になったら、手術等痛い思いをされることもあるでしょう。長生きしたがゆえに痛い思いをするというのは、何か可哀想な気がします。是非、長生きした以上、ご褒美に良い思いをして頂きたいと思います。
元気で長寿が一番です。
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少し前までクローン技術を使ってお金持ちが自分の分身を創り、もしもの時にその臓器を使うという空想話(?)がありましたが、バイオテクノロジーの進歩でES細胞(万能細胞)をつかって、目的の臓器をつくる技術が開発中です。最近は皮膚の細胞からも同じようにできる可能性がでてきました。ES細胞はなかなか手に入りにくいですが、皮膚なら簡単に入手できます。そう遠くない将来、自分の皮膚の細胞からいろいろな臓器をつくることができるかもしれません。そうすれば、その臓器は異物ではなく、自己ですから免疫抑制剤は必要ありません。人間の欲望はきりがないですから、そんなに悪くないのに古くなったので新しいものに取り替えるという人もでてくるかもしれません。でも、どんなに頑張っても命は取り替えられません。どこで、自分に満足するか。貪欲でなく知足。生きることに執着せず、死を素直に受け入れる。人の命にどこまで、医療が、国家(法律)が踏み込むのかにかかってくると思います。生にばかり囚われず、絶対避けられない死についてもっと医療現場でも目を背けず正面から対応、再検討する必要があると痛感します。
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最近、肝移植も医療保険が認可されましたが、1000万円近く費用がかかることもあります。心臓は1つしかないので脳死の人からしか移植できませんが、肝臓は再生能力が強く半分近くとっても又再生するので、日本の特殊事情から生体肝移植(健康な人の体にメスをいれて肝臓を部分的に取り出し、それを病気の患者さんに移植する)が日本では主に行われています(脳死の問題、生体移植の問題といろいろありますが、今回は触れません)。移植が今のように可能になったのは、免疫抑制剤が進歩した背景があります(この免疫抑制剤がまたすごく高いのです。サイクロスポリンで1C約5000円で1日10C位必要です)。本来、外敵から自分を守るため人にはすばらしい免疫機能が備わっています。移植された臓器は異物ですから、異物を排除しようと生体は拒否反応を起こします。その人にはその人特有の細胞が備わっています。すべて、60兆以上ある細胞に内臓するDNAは同じです(ロット番号は一緒です)。そこに、別の細胞(DNA)が入ってくれば当然、拒否反応を起こします。同じ番号で統一されたシステムに別の番号のパーツが入ってくるのですから。機械と同じように人に対して医学の進歩と称して部品交換をしてもいいのでしょうか。免疫抑制剤でその人の免疫システムを働かなくして(自己と他人を認識できないよう操作して)、別の臓器を無理矢理押し込んでいるようにも思います。確かに命は助かるかもしれませんが、その命はもはやその人固有の命とよべるのでしょうか?製造番号が一緒ではないのです。命を助けるためには何をしても許されるのか。そこでクローン、万能細胞の問題がでてきます。続きはまた来週。
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