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まだ研修医2年目で出張病院で研修していたときの思い出。
その妊婦さんのAさんは検診は部長先生が見ていた人でした。
ベテランの助産師さんは
「まだ本格的じゃないし子宮口も開いていないから一度帰ったら」
と勧めたようですが初めてのお産でもあり緊張と不安で陣痛が始まるとすぐに入院を希望されたようです。
夜間だったので当直だった私は診察とご挨拶をかねて陣痛室に行きました。(当時その病院は陣痛室の隣に控え室兼仮眠室がありました。)
「先生!痛いんです!赤ちゃん大丈夫ですか!!」
こちらが声をかける前につらそうなAさんの声。心音のモニターをつけています。
「あかちゃんもがんばっているようですよ。もうすぐおかあさんですね。がんばりましょうね。今診察させていただきますからね。」
子宮口は3cm開いていましたがまだ赤ちゃんの頭は下がっておらずまだまだ分娩までにはかかりそうでした。モニター上では陣痛の間隔や強さもすぐ分娩になりそうには見えません。
「すこしづづお産も進んでいるようだけどまだかかりそうですね。」
ご主人が眠そうながらも腰を一生懸命さすってくれますが
「ふーっ、ふーっ、ふーっ、ひっひっふーひっひっふー、先生痛いです!痛いです!!」
ベテランの助産師さんの耳打ち。
「先生!先生がずっとここにいると彼女も甘えるからあっちへいってて!」
そう言われてぺいぺいの私は逆らえるわけもなく控え室へ。でも数分ごとに聞こえてくる
「ふーっ、ふーっ、ふーっ、ひっひっふーひっひっふー、もーだめー!おなかが割れちゃう!!」
「ふーっ、ふーっ、ふーっ、ひっひっふーひっひっふー、どうにかしてー!!」
「ふーっ、ふーっ、ふーっ、ひっひっふーひっひっふー、ちっとも気持ちよくない!あっちに行って!!もう帰って!!」
あらら、ご主人にもとばっちりが、、、
ちょっと診に行ってみよう。
「Aさん!診察させてくださいねー。赤ちゃん下がってきたかな。」
「先生!先生!痛いんです!もうだめです!まだですか。もうがんばれない!!!」
うーん、、あまり進行してない、、陣痛の間隔も狭まらないし、、強さも、、、。
「少しずつは進んでいるのだけれどまだかかりそうかな。」
すかさずご主人が
「A,じゃあ一度家に戻って夕飯食べてくるね。いいかな?」
「いいわよ!どうせ居てもしょうがないんだから!!」
ご主人はじゃあまたすぐ戻ります、といって出て行かれました。ちょうど
「ふーっ、ふーっ、ふーっ、ひっひっふーひっひっふー、痛い!!」と始まったのでご主人の代わりに私は腰をさすることにしました。
「先生!!先生がさすってくださるとすごく落ち着きます!ありがとうございます!!」
なんてほめられてしまったものだからすっかり
「一緒にがんばりましょうね!」
時間も忘れて腰をさすり、陣痛の合間にお話し。その日はほかのお産もなく救急外来もめずらしくありませんでした。
「まだ名前考えてないんですよねー男の子だったら主人の一文字を女の子だったら私の一文字を入れようと思うんですけどね。」
「名前考えるの楽しいでしょうね。私も早く考えたいなー。」
「楽しいけどなかなか決まらなくて、、ふーっ、ふーっ、ひっひっふー」
ついに朝を迎えるまで腰をさすり診察をし、、部長先生が出勤するまで続きましたが、勤務に入るころやっとご主人が戻られそばに居るのはバトンタッチ。
午前の外来が終了し気になって陣痛室に顔を出そうと向かうと部長先生から帝王切開にする、と連絡が。
Aさんに会いにいくと
「先生!がんばったけど帝王切開だって。だいじょうぶかな。先生は立ち会ってくださいます?」
「もちろん立ち会いますよ。執刀医は部長先生だけどAさんのかわいい赤ちゃんが生まれてくるの私もちゃんと見たいし。大丈夫ちゃんと麻酔もするし心配ないですよ。」
手術の準備や搬送はもちろん研修医の私の役目。相変わらず痛みの合間にたわいのないおしゃべりをしながら手術室へ。あとは順調に帝王切開は進み無事児の娩出も終わり。
「Aさん!おめでとう!おちんちんついてるよ!!」
「ありがとう先生!!眠たくなっちゃった。寝てもいいですか?」
「もちろんですよ!!」
麻酔の効果も出て疲れもたまっていたAさんは眠りに入りました。お部屋に戻った後も気持ちよさそーに寝ていて、私も眠たくなりました。
後日退院間近のAさんに
「先生名前決めたの!今日提出したんだー」
「本当?なって言う名前?!」
「何だと思う?」
「男の子だから一字はご主人の○でしょう。あとは、、△で○△くんかな。」
「違う違う。一字は主人の○もう一字は□!先生の名前の一文字もらったの!帝王切開の時赤ちゃんみてすぐ決めたの!」
○□。なんと私の名前を一字とって命名したと!うれしいやらびっくりするやら!!
「先生とっても優しかったし励ましてくれたしこの子にも優しくおまけにお医者さんになってくれたらうれしいし!」
じーん。感動。
いまから16年前のお話。○□くん!どんな子になっているかなー。(お母さんの願い通りに育っていますように!)
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お産の思い出のお話、とってもあったかい気持ちになりました。最初のお産って誰でも不安で、未知の世界ですもの傍にいる誰かにすがりたくなるものです。毎日の日常でこなしている医療関係の方々はどうしても事務的になりがちですよね。それは仕方のないこととして、、、その妊婦さんはどんなに心強かったことか、命名の件でもお気持ちが伝わってきますね。毎日いろいろな患者さんと接して、さぞかしたくさんのご苦労があるかと思いますが、研修医時代のピュアな思い出が今の先生を支えているのかなぁと勝手な想像をしたりして。。。頑張ってください。陰ながら応援しています。
やさしいコメントありがとうございました。mizuhoさんに研修医時代のすべてが私の今を支えている事を思い出させていただきました。また今日も一日出来る限り、をします!
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