先日(2/6のブログ)に続き、宇沢弘文氏の講演の一部をご紹介します。 

ベトナム戦争後のアメリカは経常赤字、財政赤字、インフレーションの三重苦の状況にあった。そこでとくに対日貿易赤字に焦点を当て、円安ドル高是正を迫ったのが1985年のプラザ合意。その後も赤字は膨らむ一方だったので、アメリカ議会は「新貿易法・ス-パー301条」を制定し、日本に対して強力な保護政策をとる。それを受け1987年宇野首相のときに「日米構造協議」が開催される。そこで何が決まったのか。それは「日本にGDPの10%を公共投資に当てること。しかもその公共投資は決して日本経済の生産性を上げるためのものであってはならない。全く無駄なことに使うこと。」という要求だった。それを受け海部政権下で10年間で430兆円の公共投資を、日本経済の生産性を高めないようなかたちで実効された。その後アメリカからさらに強い要求が出て、1994年にはさらに200兆円追加して、最終的には630兆円の公共投資を、経済生産性を高めないように使った。そしてまたこのことを国は、財政節度を守るという理由の下に地方自治体にすべて押しつける。地方自治体は地方独自で、レジャーランド建設のようなかたちで、生産性を上げない方法で計630兆円を使う。そのために地方債を発行し、その利息の返済は地方交付税でカバーする。ところが小泉政権になって地方交付税が大幅に削減されたため、地方自治体が第三セクターでつくったものの多くは不良債権化し、それが自治体の負債として残ったのです。これが地方自治体がきびしい財政状況に現在置かれている最大の原因です。

今日の地方財政危機は、中曽根政権期の市場原理主義に基づく「行革」「民営化」「民活」といった政策のあり方に起源をもつ。また2004年、小泉政権による「三位一体改革」が地方自治体の窮乏にさらに拍車をかけた。

国民の多くが望んでいるのは、市場原理主義的な改革ではなく、一人一人の心と命を大切にして、すべての人々が人間らしい生活を営むことができるような、真の意味におけるゆたかな社会だということをはっきり示したいものである。

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