昨日、ある方の葬儀に出席しました。そこで遺族代表のごあいさつの言葉の中に
「最後に100日間ほど親孝行させられる時間を作ってもらって、ありがたかった。」
とありました。
先日の食育公開サミットでの服部先生の講演でも、ぴんぴん生きて、一ヶ月寝込んで、家族に看護してもらって、ころっと逝きましょう、という話をされていました。
僕も患者さんには、『ぴんぴんころり』でいきましょうね、と常日頃診察中に、あるいは院内広報紙で書いています。ただ、患者さん自身は突然ころっと傷みを感じる間もなく死ぬことを望んでおられますが、それでは家族があまりにびっくりしますから1週間くらいは寝込んで死にましょうね、と話をしています。
それでは、そう上手くいく状況とはどんな経過だったらなるのでしょうか。
現実的な話、一ヶ月寝込んで死ぬ、というのはどういう状態でしょうか。たぶん、末期がん状態で発見されるか、脳梗塞などだったら、でっかい梗塞巣があって、でも救命して、しかし植物状態のまま亡くなられるかだと思います。実際、先日の葬儀の方は、(かいぼー医院の患者さんではありませんでしたが)腹水が溜まり、調べたら膵臓がんだったとのことです。年齢は90歳弱の方でした。
自分のところの患者さんでも1~2ヵ月の経過で亡くなられるのは末期がんの方ですね。私もそのような高齢者でしたら、本人が望まないかぎり、あえてがん発見のための検査は常日頃はしませんからね。
また、たまーに、どこも悪くない元気な90台のお年寄りさんが、ある日突然起きようとしなくなり、食欲・気力が落ちて、1ヶ月くらいで亡くなることがあります。ご自分で死期を選んだかのように。
親が急変し、遠くの子ども達が帰ってきて、でもその後の経過がしばらくかかりそうだと、また仕事に戻ろうかとかばたばたされます。かといってあまりに急だと遺族の受け入れがきついですよね。
診察室で「ぴんぴんころりでいこうね。」とお互いにこにこ笑いながら話していても、家族にしてみれば「かいぼー医院に通院しよんさったとに、何でころって死んだと?」なーんていぶかしがられるのも困るし・・・。だからご家族・あるいは遠くにいる子供さんたちとも、自分の死生観は話し合っておいてくださいと特に独居老人の方には話しています。
死に方はとても大切だと思います。どのように死ぬことが本人の尊厳を守れるか。そして自分は守ってあげられただろうか。そのような場ではいつもそのことを考えます。
あまりにも悲しまれるのはイヤだろうし、かといってあまりに冷めた状態で自分の死を受け入れられるのも悲しいだろうし。また独居の方が孤独死され、検死に立ち会うときは胸が痛みます。検死の現場では事件性があるかどうかの調べがその方の尊厳より重要視されているように感じてしまうのです。つい先日まで笑ってお話していた方だったのに・・・。
さて、みなさんはどのように死にたいですか?日本には安楽死の制度はありませんが、尊厳死はありますし、診察室での会話の中では多くの方が尊厳死を希望されています。
そして、また、本当のその人の死というのは、その人のことを思い出す人がいなくなったとき、と言う人がいます。僕もそう思います。
本題からずれてきましたが、自分が生きていた証を残したい人、あるいは、死んだら自分が生きていた痕跡はきれいさっぱりなくしたい、という人もいます。
みなさんはどちらですか?また生きていた証を残したい人はどのような形で残したいですか?
※昨日、80歳を過ぎた独居のおじいちゃんが来院されました。拡張期圧が100を超える高血圧症がありますが放置。少し了解不十分のこともあり、内服拒否。「もうこの年になって、どがんかあってもよかさ。」とおっしゃっていました。でも自動車を運転されるのです。普段僕は患者さんにきつく言うことはありませんが、その方には、「自分のことはそれでもいいが、運転中にぷつっと血管が切れて、人の列に突っ込んだらどうする。あなたの今までの真面目な人生、台無しですよ。」と言いました。公共機関が十分でない田舎なので、お年寄りさんは、かなり危ない状況でも運転免許を手放しません。視力や判断力の検査だけでなく、認知症や健康診断の結果なども考慮して免許更新はしないといけないでしょうし、また、免許がなくなった方でも不自由しないように、バスが難しければ、乗り合いタクシーなど、安価で利便性のある手段を考慮してあげなければいけないなぁ、と感じています。
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