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言って良いこと悪いこと

junjun / 2006.12.25 11:31 / 推薦数 : 3

年末・・・クリスマス前の先週の話・・・

 

いつもお世話になっている救急病院の院長直々にお電話を頂いてしまった。

先日、統合失調症で肝機能が急激に悪化した方をお願いしたので、その方に何かあったのかと慌てて電話にでました。

(この病院、いつもは事務方が電話をしてきて、私が出てから院長に代わるので、直々の電話は「特別な事」なのです。)

 

ご用件は・・・

「大量服薬して救急搬送された人格障害の患者さんを取って欲しい」とのことでした。

今は他の精神病院に通院中だけれど、そちらの病院には入院を断られたそうで・・・当院にも数年前に入院歴があるという。。。誤嚥性肺炎でまだ身体的な治療も必要な状態だけれど、ICUにはこれ以上おいておけないと。。。

まぁ、いつもいつも、こちらが困ったときにはお世話になっている院長先生様がお困りの様子なので、「家族同伴で来られるなら。。。」とお受けした。。。

 

数時間後、両親同伴で来院したのは、以前、病棟内で次々と男性患者と関係を持とうとしたり、アクティング・アウトを繰り返し、とても手を焼いていた患者さんだった。。。

「何年経っても、同じようなことを繰り返しているのか。。。」と思いつつ、カルテを準備していると、待合いでなにやらもめている。

だんだんと声が大きくなってきて、会話の内容までよ~く聞こえるようになってきた。別に聞くつもりはないが、大声で揉めだしたので聞こえてしまう。

どうやら本人が「入院したくない」と言い出したようだ。

基本的には、本人と治療契約が結べないと治療は始まらないが、精神科の場合、「保護者」と治療契約を結ぶことができる。しかし、配偶者は同伴してきていないよう。。。

どうするかなぁ・・・と思いつつ、紹介状を読んでいると、母親が患者さんよりも大きな声で「私だって、こんな病院にあんたを入れたくはないわよ!でも、普通の病院ではおれんでしょ!」・・・

・・・・・こんな病院・・・・・

その、「こんな病院」の待合いで大声で、

入院を頼まれたから、病棟の職員も外来に来ているし、私も診察室にいるのよ。さっき顔を合わせたはず~ 私が診察室に入るのをみてたはず~ おまけに診察室のドアは開いてるの。。。

 

どう手を貸して病棟に入って貰おうかを考えていた私達スタッフでしたが、この母親の一言で、静観することにしました。

別に、無理に「こんな病院」に入院していただかなくてもいいわけで。

「こんな病院」がイヤなら、お気に召した病院に行っていただいていいわけで。

 

結局、父親が逃げるようにトイレに行き、母親が飲み物を買っている間に患者さんは病院を出て行き、入院にはなりませんでした。

 

その場、その時、その相手に対して「言って良いことと悪いこと」を全く考えていないような母親・・・患者さんとの口論の中でもとても酷い言葉をいくつも浴びせていました。

以前、他の精神科医から、「家族の中で一番弱い人が発病する」と聞いたことがあります。今回の家族のなかで、あの患者さんが一番真っ直ぐで一番弱いのかもしれません。

自分の発した言葉で他人がどう感じるかを考えずに(若しくは、考えているけれど自分はその言葉では傷つかないのかもしれませんが)暴言をまき散らす母親。その暴言から適当に距離を置いて我関せずの父親。傷つきやすいにもかかわらず、他人と真っ直ぐに向き合ってしまい上手に距離をとれず、暴言をまともに被ってしまう子供。。。

 

「人格障害は発達障害である」と言った精神科医もいます。

そうなのかもしれません。この患者さんも人との関係の持ち方が非常に稚拙な感じがします。

あんなに暴言を浴びせる母親と正面から向き合うことはないのに・・・父親のように適当に距離をとって付き合えば良いのに・・・それができない。

そして、問題行動を起こすことでしか他人の注意を自分に向ける術を知らない。。。

 

患者さんなのだろうけれど、医学的には治療の対象なのだろうけれど、現実的には治療ができない症例ですね。

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