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2012.02.03 18:24 |  生活 / くらし  |  社会・歴史  |  おかだ  | 推薦数 : 2

賞味期限

大雪で停車の特急乗客に賞味期限切れ非常食配る 大阪行きサンダーバード 福井」(MSN産経)
 で、この記事でなにが「問題」にされているのか、どなたかご教示くださいません?
 配られたのは(朝日新聞によると)カロリーメイトです。ふつうの状態で保存されていたら賞味期限は1年間。で、1年と1週間前のカロリーメイトを食べたら、どんな健康被害が起きるのでしょう?  もちろん、そのカロリーメイトを食った人が、もしも腹痛・嘔吐・下痢などに次々見舞われた、というのだったら、それは大問題。だけどそれは賞味期限内であっても大問題にするべきことです。

 ちなみに「賞味期限」は、wikipediaでは「製造者が安全性や味・風味等の全ての品質が維持されると保証する期限」と定義されています。そして、落ちるのはまず風味、それから味、それから安全性の順番でしょう。当然そのすべてを保証する期限の決定には“安全係数”がかかっている、と私は判断しています。それがどのくらいかはメーカーごとに差があるでしょうが、1%や2%ではないはず(だから「1年の賞味期限の加工食品」の賞味期限切れが1週間なら(保管状況にもよりますが)まず安全、と私は判断します)。私は「消費期限」は重視しますが、「賞味期限」は一応の目安にしかしません。

 もちろん私も「賞味期限切れ」を“奨励”するつもりはありません。たしかにJR西のチョンボ、とは言えます。備品の在庫管理(と在庫の更新)がきちんとできていなかった、ということがばれてしまったわけですから。だけど、JR西日本をかばう気はありませんが(というか、あまり好感を持っている企業ではありませんが)、私だったらこのカロリーメイト、平気で食いますよ。「1日過ぎていても絶対ダメ」と主張して配布の受け取りを拒否する人は、その分を私にください。それと、そんな場合に鉄道員は、非常食品の賞味期限を配布前に一々ダブルチェック、なんてことをしている暇があったら、列車の復旧や情報収集や安全な避難場所の確保などの方に注力してください。

 なお、カロリーメイトは先ほど書いたように賞味期限は1年ですが、「カロリーメイト ロングライフ」という非常食用のものがあって、それは賞味期限が3年です。で、これをまた配ったときに賞味期限がもし1週間切れていたら、またマスコミは大騒ぎするんですよねえ。だけど、この問題に限定したとしても、「賞味期限が一週間切れた」を問題にし「雪が降ったらダイヤが乱れる」のを当然視するのではなくて、「それをナントカできないか」を考えるほうに「知性」を使った方が良いんじゃないかなあ。
 ……もしかして「知性」にも「賞味期限」があります?


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2012.02.03 07:14 |  グルメ / お酒  |  映画 / 音楽 / 読書  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 0

砂糖の次は塩

 上杉謙信が武田信玄に塩を送った、というエピソードを持ち出すまでもなく、日本では塩は人に必須のものとして扱われていました。日本中に「塩」がついた地名がありますが、海岸沿いのものはともかく山の中のものはおそらく塩の輸送に関連したものではないか、と私は想像しています。たとえば「塩尻」は「塩を大規模輸送する終点」の意味ではないか、とか。
 体の中でも塩は輸送されています。たとえば腎臓では、血液から濾された体液をそのまま尿として排出したら大切なものが大量に失われてしまいますから、尿細管で「再吸収」という回収作業が行なわれます。そこで回収される代表的なものが、ブドウ糖や水分、そしてミネラル(つまりは塩分)です。体内環境を維持するために、塩分はせっせと輸送されているのです。
 ナトリウムイオンの再吸収に関与するホルモンとしては、副腎皮質から分泌されるアルドステロンが有名です。これは、レニン→アンジオテンシン→アルドステロンの順番でホルモンが連鎖反応をして、尿細管でのナトリウムイオン再吸収が活発になり、最終的に体内にナトリウムを貯留させる方向に動きます。塩分は水を引きますから結果として起きるのが高血圧。そこでその“連鎖反応”をブロックさせる薬として、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)やアンジオテンシン受容体ブロッカー(ARB)が高血圧に対して使われています。
 さて、「ナトリウムイオンの再吸収」と言いましたが、得るものがあれば失うものもあります。尿細管でナトリウムイオンの再吸収を担当しているのは「ナトリウムチャンネル」ですが、ナトリウムを輸送するときにその“身代わり”として、カリウムイオンを反対方向に輸送しています。ということは、ナトリウムイオンの体内への輸送量が増えれば増えるほど体内のカリウムイオンが減少することになります。細胞内にはカリウムイオンがたっぷり含まれているので、血液中のカリウムイオンが減少しても細胞内から補給することは可能ですが、あまり補給しすぎて細胞内のカリウムが減ってしまうと、簡単に言えば細胞の電気活動が落ちてしまいます(細胞内外のイオンの不均衡が、細胞の電気活動のエネルギー源となっています)。それは困るのである程度で細胞内からの供給が途絶え、血液中のカリウムが減ってしまうことになります。低カリウム血症と呼びますが、その症状としては、不整脈・筋力低下・神経機能の低下・精神症状など。「周期性四肢麻痺」という病気がありますが、これもカリウムイオンが突然低下することによって全身の脱力が起きる病気です(こちらの原因は、アルドステロン系ではなくて甲状腺が多いそうです)。
 「偽アルドステロン症」というけったいな名前の病気もあります。これは、いかにもアルドステロンが悪さをしているように見えるのにいくら調べてもアルドステロンの値には異常が見つからない病態です。その原因の代表が「漢方薬」。日本で売られている漢方薬の多くに含まれている「甘草」を大量・長期に摂取を続けると、低カリウム血症が起きます。漢方薬が一種類の単独処方だったらまず心配ありませんが、複数の漢方薬をいっぺんに服用してそのそれぞれに甘草が含まれていたら、容量オーバーになる確率が高くなります。おっと、単独の漢方薬でも「甘草湯」は注意が必要です。激しい喉の痛みには大変よい薬ですが、なにせ「甘草だけ」で構成されている漢方薬ですから、普通では入らない量の甘草が体内に入ってしまいます。名前は「甘」なのに塩分に関与するとは、まったくけったいな生薬ですね。味はちょっと甘くてそれなりに美味しいのですが(ですから甘草は昔は(というか今も)甘味料としても用いられています)。

参考図書、というか、サイドメニューとして……
塩の事典』橋本壽夫 著、 東京堂出版、2009年、2500円(税別)

 

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