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2012.02.01 18:36 |  その他(一般)  |  おかだ  | 推薦数 : 1

老いても元気な親

 ○あの年まで自分も元気でいられるかもしれない、という希望。
 ×いったいいつになったら遺産が手に入るんだぁ。


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2012.02.01 06:41 |  医療制度 / 行政  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 2

肝心な発想の欠如

 中医協で「回復期リハビリテーション病棟」についての議論がされています。
 議論というか、御前会議というか、単なる手続きというか、はそれこそ「議論」のあるところかもしれませんが。

資料:「個別改定項目について(その2)」(厚生労働省)
47〜49ページ「回復期リハビリテーション病棟入院料の新たな評価」

 で、「回復期リハビリテーション病棟」を現在の2つからあらたに3つにランク分けしよう、というのが今回の“議題”の一つのようです。そのこと自体は別に不思議な話ではありません。腕の良いところと腕の悪いところがあったら、腕の良いところの方への支払いを多くしよう、というだけのことですから。
 問題は「腕の良さ」をどうやって“評価”するか、です。そこで「重症者を多く入院させ、それをより多く改善させるのが、よい病棟(重症者を避けて治療が楽な軽症だけをえり好みする/重症者をきちんと改善させることができない、は悪い病棟)」という「成果主義」が唱えられます。そのこと自体にも私は大きな問題は感じません。
 重要なのは、「重症者」とか「多く」のきちんとした定義です。それが「(医学的に正しい、エビデンスが存在する)まともな定義」であるかどうか。

 「重症」に関して、資料に登場するのは以下の2項目です。(資料の48ページ)
5)新規入院患者のうち3割以上が重症の患者(日常生活機能評価で10点以上の患者)であること。
6)新規入院患者のうち1割5分以上が「一般病棟用の重症度・看護必要度 に係る評価表」のA項目が1点以上の患者であること。

 「日常生活機能評価」は俗に私たちは「看護B」と呼んでいます。その内容についてはかつて「看護Bの怪」で書きました。リハビリテーションの評価に相応しいとはとても言えないシロモノですが、今回もまたそれが使われるようです。

 で「新顔」が「一般病棟用の重症度・看護必要度に係る評価表のA項目」。
 これは入院患者の「重症度」のスケールですが、それを使って「重症者を多く受け入れて、それをせっせと回復させている病棟が“良い病棟”である」としよう、というのです。これも一見ふつうの発想に見えます。「重症の患者を評価するスケールがある。だったらそれを使えばいいだろう」です。たしかにことばとしては整合性がとれています。では、その中身は?
 「一般病棟用の重症度・看護必要度に係る評価表のA項目」の内容は「創傷処置、血圧測定(一日5回以上)、時間尿測定、呼吸ケア、点滴ライン同時3本以上、心電図モニター、シリンジポンプの使用、輸血や輸液製剤の使用、専門的な治療・処置(抗悪性腫瘍剤の使用、麻薬注射薬の使用、放射線治療、免疫抑制剤の使用、昇圧剤(注射)の使用、抗不整脈剤(注射)の使用、ドレナージの管理)」の9項目です。
 ちょっと待ってよ、と私は呟きます。これはどちらかと言えば急性期病棟(あるいはそこから直接患者を受け取る亜急性期病棟)での患者の肉体の状態評価に使うものでしょう。そういった「命にかかわる状態」から離脱できた患者に対しては「回復期リハビリテーション」ができますが、離脱できていない人に対して行なうのは「急性期リハビリテーション」。たとえば、息も絶え絶えでモニターやら点滴ラインやらをつけられている人に、どんな(日常生活あるいは維持期リハビリテーションをゴールとする)「回復期リハビリテーション」を行えると思います?

 突然ですが、これまでの話は一時横に置きます。一見別の話が始まりますが、ついてきてくださいね。

 日本で「医学」の主流は「治療医学」です。疾病が存在していたらその疾病に対して治療をする(その結果患者は治る(治らない))という発想に基づく医学です。わかりやすいですね。
 しかし、その治療医学とは別の視点から世界を眺める医学もあります。たとえば「予防医学」。たとえば「社会医学」。たとえば「緩和医療」。たとえば「リハビリテーション医学」。いずれも「治療」が最優先課題ではなく「治癒」が最終目標ではないものばかりです。
 そういった「治療医学ではない医学」がこの世に存在することが許せない人がいるように私には思えます。「治療医学の論理ですべてを律してやる」と主張しているように見える、たとえば「回復期リハビリテーション病棟の“レベル”を、治療医学の基準で決定する人」。

 「リハビリテーション病棟」の制度を決めるのに、そこに「治療医学」の発想しか持ち込めない、というのには、うら寂しい気分です。リハビリテーション医学はリハビリテーション医学の発想で動くべきではありません?

 「回復期リハビリテーション」と一言で言っても、脳卒中後遺症・整形外科(大腿骨の骨折手術後など)・廃用症候群・心臓・呼吸器など、簡単にまとめることはできません。その中でたとえば、脳卒中後遺症のリハビリテーションに重点を置くなら、「SIAS(Stroke Impairment Assessment Set(脳卒中機能障害評価法))」、あるいは最近評価が高まっていると評判の「HUI3(Health Utilities Index Mark3)」といった“評価基準”を用いる手があります。共通しているのは、どちらも治療医学ではなくて「リハビリテーション医学の視点」を持った評価法であることです。
 もちろん現在広く使われている(もとの疾患にかかわらず「回復期リハビリテーション」全般で用いることができる)「FIM」(機能的自立度評価法(Functional Independence Measure))も使うことができます。
 FIMの場合、リハビリテーション医学の見地から「重症の人」は「FIM点数の低い人」となります(最低(どの項目もすべて全介助)が18点、満点(すべての項目が自立)が126点)。そしてその人がリハビリテーションによって機能が回復していくと「FIM点数が伸びる」という形で表現できます。つまり「重症ほど点数が低い、リハビリの観点からの“症状”が軽快していけば点数は上がる」と、とってもわかりやすいものです(小学校のテストの点数と同じ扱いができるわけですから。「テストの点」だったら小学生でも理解できますよね?)。もちろん歩行やADL(日常生活動作)などの18項目を規定通りにきちんと判定するのは手間ではありますが、FIMの判定さえきちんとできないところが「われわれは、いちりゅうのかいふくきりはびりびょうとうだ」なんて名乗ったら笑止千万でしょう。
 それが今回の中医協の“議論”では、「息も絶え絶えであっぷあっぷしているかどうか」が「リハビリの観点からの重症の定義である」だってさ。こちらも笑止千万。

 「リハビリテーション医学の領域での“重症度”」は「リハビリテーション医学の視点を持った評価法」でないと、正しい「リハビリテーション医学的判断」ができないのではないです?  それとも、「小学校の教師の評価法」で大学の教師を、あるいは「大学教師の評価法」で小学校の教師を評価するのが、皆さん、お好きなんです?  まあ、他人の好みをとやかく言いたくはありませんが、「個人の好み」を主張するのは趣味の領域に留めて置いて欲しいものだ、とも思います。最低限「医学には何種類もある」ことさえ知らない(「治療医学」の発想しか持たない)人間に「医学に関する政策決定」をして欲しくはありません。

 言いたいことはこれで大体言いましたが、オマケを一つ。
 ついでですが、人員配置についてもこの資料では不思議な主張が行なわれています。
 回復期リハビリテーションで重要なスタッフは、もちろんリハビリテーションの療法士ですが、病棟のスタッフ(看護や介護など)もまた「回復期リハビリテーション」では重要な役割を果たしています。回復期リハビリテーションがその回復目標の一つとして「日常生活」を念頭に置いていることを思えば、その役割の大切さが理解できるでしょう。トイレに行ったり食事をしたり着替えたり、日常生活の動作すべてがリハビリとなるのです。ですから「高度なリハビリテーションを行なうリハビリテーション病院」にするために増やすべきはリハビリテーションに関与するすべてのスタッフの質と量です。(たとえば「医者さえ増やせば医療の質が上がる」というのは、治療医学の、それも前世紀の治療医学の発想でしかありません。もちろん「医者さえ配置したらあとはなんとかなる」信者はまだ日本のあちこちに残っていますが、私は「時代遅れ/現実離れ」と呼んでさしあげます。)  その点で、この資料にある人員配置は、「本当にリハビリを本気でやる気があるのか?」と言いたくなる配置基準です。

 もう少し「医学」に詳しい人が、医学に関する案を練った方が良いんじゃないですかねえ。もう少し「リハビリテーション医学」に詳しい人が、リハビリテーション医学に関する案を練った方が良いんじゃないですかねえ。治療医学の発想から抜けられない人は、リハビリなんぞに口を出さないで、治療医学のことだけ論じていてくださいな。

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