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転がるイシあたま
中山間地・島・三角州……様々な田舎や町や街を転々として様々な経験をしてきた1950年代生まれの内科医の呟きです(最近はリハ科も兼任しています)。昔の思い出・今の思いなどを、アトランダムに語ります。「次に一体何が出てくるか」と楽しみにしてもらえるようなブログを目指します。
「偉い医師」は存在するが「医師だからエライ」ではない、がモットーの一つです。「先生様」でも「患者様」でもなく、お互いに「さん」で呼び合えるような世の中に、が秘かな望みです(書いちゃいましたけど)。
タイトル履歴
2008年4月に「医師アタマ」という本の存在を知り、あまりに似ているので本ブログのタイトルを「いしあたま(医師頭)」から「転がるイシは苔むさず」に変更しました。ただ、前のタイトルへの愛着捨てがたく、同年5月31日に「転がるイシあたま」に再変更しています。
おかだ
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人工栄養
「
人工栄養法、導入しない選択肢も示す 厚労省が指針案
」(朝日新聞)
紙面の見出しを見たとき、私は一瞬赤ちゃんの話かと思いました。これは以前「
母乳とミルク
」で書いたことがありますが、「母乳 vs 人工ミルク(人工栄養)」の激しい論争が日本でかつてありましたので。
人の死に方はいろいろありますが、昔は「食べられなくなったら死ぬとき」でもありました。「食べられないから死ぬ」のか「死ぬような状態だから食べられなくなる」のか、の問題)「食べられない」は「原因」か「結果」か)はありますが、外形的には「体が弱って食欲も落ちさらに衰弱して寝付いて死ぬ」という一つの定型コースがありました。
口から食べられなくなった人の延命手段として、私が医者になった頃には、経鼻経管栄養かIVH(中心静脈栄養法)が使われていました。やがてPEG(胃瘻)ができるようになりましたが、意外に“選択肢”は増えていません。
で、そういった境遇の多くの人は「ただ生きている(生かされている)だけ」なのが「人間の尊厳」の観点からどうか、というのがこの記事の前提となっているはずです。
ただしそれはタテマエでしょう。たしかに寝たきりで栄養物を強制的に胃に送り込まれて生きているだけ、という親の姿を見ることは辛いものですが、そういった感情につけ込んでいる厚労省の本音は「医療費の削減」であるはず。生きているかぎり(「治療」が続くかぎり)医療費が必要ですから、そういった人にはさっさと他界してもらいたい、というホンネが私には見えます。
ただ、厚労省のホンネが嫌いだ、という感情論だけでこの問題を処理するわけにはいかないでしょう。やはり「人間の尊厳」がかかっていますので。
もし「人工栄養法を導入しない」という選択肢がインフォームド・コンセントによって選ばれたら、それはつまり「尊厳死」を実行する、ということになります。その手段は「餓死」です。おっと、おそらくその前に脱水死になるでしょう。もちろん「餓死はよいが脱水死は駄目」ということなら、末梢(手足)からの点滴で水分とミネラルだけ補給すればよいのですが、「餓死はよいが脱水死は駄目」ということに関してもあらかじめきちんと決定しておく必要があるでしょう。(ついでですが、栄養を止めて末梢からの点滴だけでも教科書にある量よりも少し少なめ(体がやや“乾き”め)で維持したら、状態によって違いはありますが大体1箇月は人間は保ちます)
そうそう、この話が“公認”されても、私は医者として“最初の一人”になる気はありません。脳死臓器移植のときのようにマスコミが殺到してきたら病院と患者さんの迷惑ですし、「殺人罪で告発してやる」という人もいるんじゃないかと思えますので。話はきちんと「法律」になってからです。
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