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昔のデパートでは、おもちゃ売り場で通路にひっくり返って「やだやだ、買ってくれなきゃやだ」なんて全身で駄々をこねている子供をときに見かけましたが、いい大人がそれに近い行動をしていることがあります。さすがにデパートではなくて、私がたまにそういった行動や態度を見るのはやはり身近な環境である病院です。
これが、暴力を振るうとか器物損壊とかしてくれたら警察を呼ぶので話は簡単ですが、そこを上手く回避してでもしっかり迷惑行動、というのが対応に困ります。「自分は患者だぞ」を前面に押し出して病院に無理難題を押しつけ、結果として、病棟スタッフの心を傷つけ他の患者さんにまで迷惑が及ぶ(病棟の雰囲気が悪くなる、急な変更などで他の人の治療スケジュールに影響が出る、スタッフが特定個人に張り付けになってしまって他の人に手が回らなくなる)という行為が日常茶飯事の人がたまに存在します。こういった場合の対応にこちらは苦慮することになるのです。
ちょうど具体的な例があったものでいろいろ対応を考え、ついには顧問弁護士の所にも相談に行ってアドバイスをもらうことにしました。具体的なことは内緒ですが、そこで指示されたことの一つが「読む目がなければ、カルテを読んでもその意味がわからない。『ちょっとわがままなだけじゃないか、それくらいは我慢するべきだ』『ちょっと無礼なだけなのは、我慢するべきだ』とか思われる可能性もある。だから何が病院にとって問題だったのかが、まったくの他人にも説得力を持ってわかるように、カルテの内容をまとめておくこと」でした。「まあ、これを読んでみてくださいな」で簡単に「ああ、これはひどい」とわかるようにしろ、とのことです。ただしその過程で新聞が得意の「高度の創作性」などを発揮してはいけません。あくまで事実に立脚したものでないといけない、だから日常的なカルテの記載(まとめのもとになる生データ)が重要になる、というありがたい教えでした。
そこで分厚いカルテを机に置いて、じっくりまとめることにしました。いつ・どこで・誰が・誰に向かって・何を・どう・なぜ、行なったか。そしてその結果何が起きたか。しこしこ書きだしている内にそれらの行為の裏側になにか共通の要素が見えてきました。たとえば……「特権意識」「自分にだけ特別な対応を求める」「共感の欠如」「病院側の人間を“ツール”としてだけ利用する」……あれれ、これってどこかで見た覚えが……しばらく手を休めて沈思黙考……DSM-IVの「自己愛性人格障害の定義」とそっくりじゃないですか。(この障害については以前「自己愛」で書きましたので、定義をここに再掲載はしません) 自己愛性人格障害によく伴う「誇大な感覚」「限りない空想」が表にでていなかったので、すぐには思いつきませんでした。
まとめは簡潔にしました。(以下の例文は、架空のものです)
【行動の分類】1)自分にだけ特別な対応を求める 2)スタッフの指示に従わない 3)共感の欠如 4)病院スタッフを道具として扱う 5)暴言 6)……
【その結果】A)病院の業務が滞る(スタッフが張り付けになって他の患者への対応が遅れる) B)病棟の雰囲気が悪くなる(大声などで同室の患者さんが萎縮した) C)スタッフの心が傷つく D)……
などとまとめ、次に行動を具体的にカルテから書き出してその直後に【行動の分類】【その結果】をくっつけてみました。
こんな感じです。
・○月○日朝食後。「朝食のサラダの味付けが気に入らない」と管理栄養士を呼び出し、「味付けを変更しろ」と大声で10分以上言い続ける。主治医が止めても言うことを聞かず、こんどは主治医に「患者が不健康になってもいいのか」と食ってかかる。(1)2)4)/A)B)C))
・○月×日栄養指導で。「塩味が好きな俺に減塩をしろと言うことは、俺に死ねと言うのか。俺は傷ついた。患者を傷つけるとは、お前ら、プロ失格だ」。(4)5)/C))
……まあ、こんな感じで毎日の言動をカルテからまとめていくわけです。(繰り返しますが、上の例文は適当に思いついたままの架空のものです。なんで食事関係ばかりかと言ったら、たぶん私が現在空腹だからでしょう。で、もし日本のどこかでこれとそっくりな現実があるとしたら……それは不愉快でしょうね。現場のスタッフに同情します)
病院の顧問弁護士には「これは良いまとめ方だ」と褒めてもらえました。他の病院からの相談の時にフォーマットとして使って良いか、と言われたので、快諾。
さて、これでいつ民事訴訟を起こされてもよい……というか、まとめをよくよく見たら明らかに“営業妨害”をされていますね(私自身、カルテをまとめるために休日を半日潰しましたし)。これはこちらから患者を相手に営業妨害を理由に民事訴訟を起こすことだって可能かもしれません(“休日出勤”の分は無理でしょうが)。営業上のメリットがなければたぶんやらないでしょうけれど。たぶん。ただ、先方が法的処置に出たら対抗としてこの文書は使えそうです。使うことはないでしょうけれど。たぶん。でも、もしかしたら……
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「植物性だからヘルシー」が流行ったのは何年前(何十年前)でしたっけ。「コレステロールが高いと動脈硬化が進行する」→「コレステロールはヘルシーではない」/「植物性オイルだとコレステロールと同じことは起きない」→「植物性だとヘルシー」、という論理構成から「植物性」を売り込もうというイメージ戦略でした。単純にカロリーを見たら動物性だろうと植物性だろうと差はありませんし、コレステロールは体内で合成されるし、最近だったらトランス脂肪酸の“危険性”も言われるようになったりしていますが。
「天然だから安心」が流行ったのは何年前でしたっけ。「人工保存料や人工甘味料などは不自然」→「天然のものだったら安心」、ということでしょう。これまた単なるイメージ戦略です。腐るものから保存料を抜けば、食中毒が増えるだけですし、天然の保存料(たとえば塩)が“安全”とか“ヘルシー”かと言えば、私には断言ができません。そもそも「天然」の毒物だっていくらでもあります。
最近よく見るのが、「無添加だから安心」です。これも上記の二つと同じイメージ戦略から出現したことばでしょう。たとえ製造工程での添加物が一切無いとしても、製品の主成分そのものに何らかの有害な作用があったらどうするんだ、と思いますが、あまりそんなことを言い立てる人はこの世間にはいないようです。温かい世の中ですね。
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「落とし穴に落ち夫婦窒息死 妻と友人、夫驚かそうと掘る」(朝日新聞)
妻と友人たちが、夫の誕生日の“サプライズ”のために掘った落とし穴に夫婦ではまって砂で窒息死、というのには驚きましたが、あれ、落とし穴は完成した後しばらく放置されていたわけですよね。夫婦が落ちる前にもしもまったく無関係な人が落ちて死んでいたら、「殺人を目的とした、あるいは、未必の故意による殺人を狙った悪意のある悪戯」と報道されていたのでしょうか。そもそも深さ2メートル半の落とし穴って、ヴェトコンがやっていたようなゲリラ戦用に掘ったわけじゃないですよね、たとえ砂が崩れなくても落ちたらタダでは済まないとは掘った人たちは思わなかったのかな。底にマットが敷いてあるから、どんな落ち方をしても大丈夫という判断?(もしもそう主張する人がいたら、砂場にマットを敷いて高鉄棒の上からいろんな落ち方をして「ほら、まったく大丈夫」とむくりむくりと起き上がって見せてください。あ、闇夜と同じ条件にするために、目隠しをしてね。ちなみに私は、足から落ちたら足を挫くし、頭から落ちたら首の骨を折る、という判断です)
こういった“型破り”なニュースだけではなくて、夏の休日あるいは休日明けには“定番”の水難ニュースが必ず並びます。これはもう「事故」だから仕方ないのでしょうが、私が気になるのは、「水難事故報道で、マスコミの“口調”が過去からずっと同じこと」です。
WHOの自殺報道ガイドラインで「してはならないこと」と明記されている、「写真や遺書の公表」「手口を詳細に報道」「センセーショナルに報じる」を、平気でずっとやり続けている日本のマスコミですから、それと同様に「水難事故報道にずっと報道姿勢の変化がないこと」は、「後追い自殺の防止」に興味がないのと同様に「水難事故再発予防」にも興味がないことを示している、と私は推定しています。まあ「興味を持つべきである」と法律で決まっているわけではありませんから、「そんなことに興味はない。事故の報道だけ繰り返すのだ」と言われたら、それまでですけれど。
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たとえば「成功率30%の手術」を、詳細を一切説明せずに「大丈夫大丈夫、私に任せなさい」と言ったり、あるいは「30%」は言っても「世間一般ではそうだが、あなたの場合には大丈夫。太鼓判を押します」と“説明”する医者がいたら、それは“有罪”です。インフォームド・コンセントに反している、という以前に、人としていい加減な点が倫理的に許されないでしょう。
医者の場合にはそれで話が終わってしまいますが、では、弁護士の場合にはどうでしょう。医療訴訟の相談に来た人に「医療訴訟の認容率(原告が勝つ率)が他の民事訴訟に比べて異常に低いこと」をちゃんと説明しなかったり、あるいは「あなたの場合は大丈夫大丈夫」と安請け合いして結局裁判で負ける弁護士……の話は「口車訴訟」で書きましたが、あれからもう一歩先を考えています。もし「世間一般では医療訴訟の認容率が低く、それが最近さらに低下していること」を説明していなかったり、あるいは「他の弁護士と比較して、自分が原告を勝たせる率が低いこと」をきちんと説明していない(そして多くの裁判に負けてしまう)弁護士の場合、「説明義務違反」を問うことができる(着手金を返せ、賠償を払え)のではないか、と思うようになっているのです。医療訴訟の場合「説明義務」は重たいものですよね?
さらにそういった弁護士は、社会資源の濫費(司法を無駄に忙しくする)と本来なら平穏な社会生活を送れていたはずの人たちを訴訟に巻き込むことで苦痛を与えエネルギーと時間と金を浪費させた、ということで「社会正義に反する活動」をしている、と言ってもよい、とまで私は思っています。
もちろん「悪いことが起きる可能性もきちんと説明をしている弁護士」「たとえ裁判に勝っても満足感を得られる可能性は低いこともきちんと説明している弁護士」「裁判に負けない腕の良い弁護士」だったら、上記は無関係な話です。
※医療訴訟で医者が一方的に求められる「説明義務」を、ちょいとひっくり返してみました。
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