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2011.02.28 18:45 |  診療  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 1

テレビの威力

 「テレビでこう言っていたが、知っているか?」と聞かれたり「テレビで見た治療法をやってくれ」とか外来などで患者さんから求められることはけっこうあります。
 私は腹の中で思います。「テレビがあなたを診察してくれたの?」「もし悪いことが起きた場合、テレビが責任をとってくれるの?  せめて責任を感じてくれるの?」
 一時期はみのもんた人気がすごかったですが、最近私が肌で感じているのはNHKの影響です。特に「ためしてガッテン」。
 面白いのは「みの」派の人のことばは「○○は××に良い、と聞いた」と文構造がシンプルなのに対して、「ためしてガッテン」派の人は「○○の原因は△△だからそれに対して××が良い、と聞いた」と文の構造がやや複雑になっていることが比較的多いこと。これは番組のツクリが違うからでしょう。(もちろん「ためしてガッテン」派できわめてシンプルなとらえ方をしている人も多くいますが)
 「ためしてガッテン」にはたしかに「科学」がベースとなっている雰囲気を感じます。ただ、やはりテレビ、どうしても「イメージ操作」と「煽りの要素」が鼻につきます(民放の番組での健康情報ほどではありませんが)。先日は「夜間高血圧は、腎臓の働きが弱ったことで体内にナトリウムが貯留してその排泄が間に合わないことがわかったんです」とまるで「最新知見を知らせる」感じの言い方をしていましたが、それは「高血圧ガイドライン2009」で触れられていた記憶が私にはあります。別に「昨日わかったばかりの最新知見」ではないでしょう。もちろん番組中にことばで「昨日わかったばかり」なんてことは言わずに、巧妙にそのイメージだけは伝えようとしていたから、もしその点を突かれても“言い訳”はきっちりできるわけですけれど。
 これはテレビに対してではなくてその視聴者の方に向いて言いますが、「テレビがあなたを診察してくれたわけではない」「もし悪いことが起きた場合、テレビが責任をとってくれるわけではない」「テレビで伝わるのは基本的に“イメージ”である」ことは前世紀から変わっていませんし、来世紀になっても変わらないでしょう。私が健康情報を扱う番組を制作する側だったら、やはり何があっても自分(や局)の責任が問われないように作るでしょう。だから視聴する側も「イメージ操作」と「正確な情報の提供」は意識して分別した方が良いです。

 そういえばテレビで「一見痴呆に見えたが、脳外科で簡単な手術をしたら劇的に改善した」というのをやった直後、やはり来られました。「テレビで見たのだが……」と。内科医に脳外科手術の相談をされても困るのですが、とりあえず私は間口は広く来るものは拒まずですので、話を伺うことにしました。「外からは認知症に見えるが、脳外科で簡単な手術をしたら劇的に改善」と言って私が思いつくのは、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症です(余談ですが、もし私が脳外科に転身したら、しばらく修行したあと最初にやらせてもらえる手術はこの二つのどちらかになる確率が非常に高いはずです)。普通は頭のCTを撮りたくなりますが、この場合には話を聞いただけで見当がつきました。事故でひどい頭部打撲をした直後から、まるで認知症になったようになってしまった、と言うのです。それは脳挫傷かびまん性軸索損傷でしょう。そもそもひどい頭部打撲で脳外科に入院しているのですから、「簡単な手術」どころか「難しい手術」だって簡単に受けられるはず。それをしないということは……相談に来た人が思っている「脳外科医はテレビで言っているような最新知見を知らない」ではなくて「手術をする必要がない(しても無駄、するべき病気ではない)」可能性の方が高い、が私の判断です。
 もちろん頭部打撲のあとにじわりじわりと血腫が、とか、じわりじわりと水頭症が、はありますが、その場合だったらその「認知症」もじわりじわりと進行するはず。頭部打撲後の急激な変化の「責任」は頭部打撲そのものである、と考える方が自然です。「今の姿」がテレビで言ったものに合致しているかどうか、だけではなくて、その「経過」についても注目したら、それだけでいろんなことがわかります(「内科では問診だけでほとんどの診断がつく」と言いますが、それは「症状」だけではなくて「経過」に注目して論理を組み立てるからです)。
 結局私の説明では納得されず、紹介状を持って他の総合病院の脳外科に受診されて、結局また同じことを言われたそうですが、つまり私はテレビに“負けた”わけです。やれやれ。



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2011.02.28 06:18 |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 1

立場

 二言目には「おれは患者だぞ」とか「お前は医者のくせに」と言う人がいます。こういう人に出会うと私は不思議な気持ちになります。この人にとっては自分の状態(「自分が病気を持っている」ということ)よりも、立場(「おれは患者だ」「お前は医者をやっている」こと)の方が重大事なんだろうか、と。
 もちろん、「おれは医者だぞ」「お前は患者のくせに」なんてことを口走る人にも、まったく同じことが言えます。

 


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2011.02.27 17:51 |  診療  |  その他(医療関連)  |  社会・歴史  |  おかだ  | 推薦数 : 0

遺体確認

 今回のニュージーランドの地震で、遺体確認が難航している、というニュースがありました。現地では関係者も遺族も大変だろうな、と思えます。歯科の治療録や指紋やDNAを使うにしても、対照に使える記録がうまく存在していればいいのですが、すべての人がそういった記録を持って歩いているわけではありませんし、だからといって適当にやって間違いを犯すわけにもいきませんし。
 原形を保たないくらいの遺体の場合はもちろん確認が困難ですが、原形を保った遺体であっても、こんどは別の困難が生じます。面変わりをしてしまって、遺族が確認をミスする可能性が大いにあるのです。あるいは、感情が高まった遺族が、別の死体を自分の家族と勘違いすることも。
 前世紀の思い出話をしましょう(例によって、フィクション化してあります)。
 深夜のバイク同士の交通事故で、両方のライダーが救急室に担ぎ込まれました。一人は足の骨折と全身の打撲傷や擦り傷程度で、命の危険とか緊急手術の必要性はなさそうなのでとりあえず病室に入れて夜が明けるまで経過観察としました。だけどもう一人が……ヘルメットのおかげで首から上はきれいでしたが、首から下はぐじゃぐじゃで即死状態です。若いのに気の毒なことだと思いますが、もう手の施しようがありません。
 そこに、血相を変えた数人が集団で飛び込んできました。警察からの電話で取るものも取りあえず駆けつけたご家族でしょう。遺体は救急室のベッドに寝かせてシーツをかけていたのですが、そのシーツを一挙動で払いのけて顔を見るなり「こんな姿になってしまって!」と全員がすがりついて愁嘆場です。ちょっと声をかけられる雰囲気ではありません。
 その時、どこか(トイレか、入院させた人の病室)に行っていた警察官が顔を出して「えっと、どちらのご家族ですか?」と。「○○です。太郎が、太郎が……」。
 警察官と私と看護婦(当時の呼び名)は一瞬顔を見合わせました。だって、事故の相手、生きていて入院した方が「○○太郎」さんだったのですから。


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2011.02.27 07:29 |  映画 / 音楽 / 読書  |  その他(一般)  |  社会・歴史  |  おかだ  | 推薦数 : 0

サバイバル

 私は若いタレントの区別がつきません。ジャニーズ系は少年隊からあとはもうわかりませんし、女の子のアイドルとなると、たとえば画面にAKB48が登場したらもう誰が誰だか……
 で、今は各地に「○○○48」ができているんですって?  「NMB」は難波で「SND」は仙台かな、と見当をつけますが、画面で見たらやっぱり誰が誰だか、どのグループがどのグループなんだか、どの歌がどの歌なんだか……
 韓国でも似た現象が起きているのかな。この前、たしかMTVだったと思いますが、K−POP特集をやっていて、「顔は東洋系だが、スタイルとダンスと歌は欧米系」の美人グループが次から次へと出てくる出てくる。あれだけグループの数があったら差別化が大変でしょうね。ダンスの感じや小道具や化粧など、「楽曲だけではなくて、ビジュアル面でもいろいろ工夫してみました」というのがひしひしとこちらに伝わってきます。だけど、本当に気の毒なことですが、彼女たち(彼らたち)の全員が成功することはないはずです。最終的に、一握りの“成功者”と“その他”に残酷に分けられてしまうはず。
 私が思い出すのは、今から40年以上前、ものすごく熱狂的だったGS(グループサウンズ)ブームです。ザ・タイガースとかスパイダース、オックスといった動物系の名前がなぜか多かった印象ですが、ワイルド・ワンズとかヴィレッジ・シンガーズなんてものもありましたっけ。とにかく、右を向いても左を向いても、長髪のグループサウンズとそれに向かって絶叫する女の子、といった感じでした。だけど結局ブームが去って“生き残った”のは……ジュリーとマチャアキ、それと、生き残ったと言えるのかどうか微妙ですが、ショーケン?(「○○が落ちているぞ!」とお怒りのご本人やファンの方には、ごめんなさい) 
 そのあとのフォークソングブームの方が“生き残り率”は高かったですね。吉田拓郎、井上陽水、さだまさし、南こうせつ、イルカ……(「○○が落ちているぞ!」とお怒りのご本人やファンの方には、ごめんなさい)
 30年くらい前には漫才ブームがありましたが、これで生き残ったのは、たけし、伸介、ダウンタウンの松本と浜田……(「○○が落ちているぞ!」とお怒りのご本人やファンの方には、ごめんなさい)
 こうしてみると、今盛んにテレビに露出しているグループで、生き残って長期間活動できるのはせいぜい数グループ、それもその内解散してその中で芸能界で生き残るのは数人、と私は予想します。さて、それは誰でしょう?と思っても、今の若い“タレント”は誰が誰だか私には区別がつかないのですが。


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2011.02.26 17:48 |  生活 / くらし  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 2

住宅の規格

 マンション広告のビラを見ていると、ファミリータイプの主力は3LDKです。一戸建てでも似たような感じですね。で、思うんです。この間取りで、たとえば子育てをしている夫婦が両親との同居ができるだろうか、と。どう考えても核家族用の家ですから。
 小泉改革では「老人の社会的入院はダメ。家庭へ帰せ」でしたが、もし政府が本当に「老人は家族と同居」政策を推進したかったのなら、「それが楽々とできる住宅」普及運動をしないと、言動不一致(あるいはただの言いっぱなし)だったということになりませんか?


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2011.02.26 06:56 |  診療  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 3

治療が不調

 別に盗み聞きをしようとしたわけではありませんが、列車の中で病気のことで大きな声で会話しているのが聞こえました。なんだか繰り返しが不必要に多くてだらだらしたしゃべり方だったので勝手に頭の中で編集すると、「糖尿病で通院している。医者が“顔が腫れる薬”を出した。顔が腫れたらこわいから最初から飲まなかった。すると血糖値が悪くなった。“顔が腫れる薬”を出した上に、血糖値まで悪くするとは、ヤブ医者だ」。
 たぶんその薬はアクトスのことでしょうね。これは最初から30mgを出すと(特に女性や高齢者で)浮腫が出やすいので、最初は15mgでスタートして、それで問題(浮腫の出現)がなければ30mgに増量、がスタンダードとなっています。で、そういった説明を聞いたその人は「浮腫が出ることがある」を「浮腫が必ず出る」と理解したわけ。で「そんな危険な薬が飲めるか!」。
 さらに数分後、さらに興味深い話題が登場しました。その人は焼酎が大好きで毎日ぐびぐびやっているのだそうです。血糖が上がったのは、薬を飲まないで焼酎を飲んでいるからではないか、と思った私はやはり彼女が言うところの「ヤブ医者」の仲間なのかな?


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2011.02.25 18:22 |  医療制度 / 行政  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 3

救急とツイッター

 救急が受け入れ不能になっているかどうかの状況をリアルタイムで救急に知らせるシステムはいくつも提案されています。電話やホームページや専用の通報システムなど。だけどそのどれも「誰がやるんだ」「リアルタイムで更新できるのか」が問われた時点で話がうやむやになる運命にあるようです。
 だったら、ツイッターでやってみたらどうでしょう。「待合室に24人」とか「救急車3台めが到着」とか、別に医療資格がない人間でもこれくらいならつぶやけます。いや、病院の正規職員ではなくてボランティアでも可能でしょう。つまり「病院はなんとかするべきだ」と主張する外部の人でも参加可能。
 どこかの病院で、始めてみませんか?


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2011.02.25 07:00 |  その他(一般)  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 0

文字通り(95)心を

「心を奪う」……ルパン三世(カリオストロ)
「心を傾ける」……どこかに接近している
「心を入れ替える」……どこから新しい心を調達したのだろう
「心を動かす」……「感動」の正体
「心を合わせる」……合心!
「心を寄せる」……寒天・ゼラチン・葛のどれにしましょう?
「心を尽くす」……もうすっからかん
「心を引く」……心身−心=身
「心を以って心に伝う」
「心を打つ」……なぜか痛くない
「心を痛める」……打たれた心
「心を汲む」……心は井戸にある
「心を置く」……心は床の間にある
「心を砕く」……心は金敷の上にある
「心を躍らせる」……無理に踊らせるとストレスになる
「心を配る」……略すると「心配」になる
「心を許す」……まあ今度だけは心を勘弁してやろう
「心を鬼にする」……心を甘やかした結果
「心を開く」……特別な鍵が必要


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2011.02.24 18:38 |  診療  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 2

セカンドオピニオン

 日本のあちこちにセカンドオピニオン外来ができている様子ですが、私はちょっと変わったセカンドオピニオン(というか、当時はまだこの言葉は一般的ではなかったので、それに相当する第三者の判断)を求められたことがあります。
 肺炎で入院していたλさんですが、治療で症状も検査データも改善し、普通の生活もできるようになったので「来週あたまにもう一回念のための検査をやって、それが良ければ退院して良いですよ」と言った瞬間、表情が険しくなりました。「自分を追い出すのか」と。私はきょとんとします。良くなったから退院できる、の何が問題なのでしょう?
 すると「入院するときに叔父さんに『2〜3ヶ月は入院してしっかり治してもらえ』と言われた。だから最低2ヶ月は退院する気はない。そもそもおかだ先生の退院して良いという判断にどんな根拠があるんだ。別の医者の客観的な判断を仰ぎたい」。
 これ、λさん本人としては一本スジが通った意見のつもりでしょう。私には了解不能ですが、おそらく、「入院は2ヶ月」→「それに対しておかだが異議を唱えた」→「おかだの主張の妥当性を崩せば、入院2ヶ月は達成できる」、となっているのでしょう。アメリカの裁判映画なんかで、証言の信頼性を崩すために証言そのものとは関係ない話題で「証人は信用ならない人物である」という印象を陪審員に与える戦術と似ています。
 しかし私からは「肺炎が治ったかどうか」「退院が可能な状態か」「入院期間2ヶ月が妥当かどうか」という、本来別の話題が3つ無秩序に混ぜられているだけに見えます。(今回私は「肺炎は治った」→「退院可能」という道筋で話を進めましたが、たとえ治っていなくても退院、ということもあるから「治癒」と「退院」とは別の範疇だと判断します)
 で、λさんが望む「別の医師」の判定ですが……最初の「肺炎が治っているかどうか」についてはたぶん医者の意見が割れることはあまりないでしょう。二番目の「退院できる状態かどうか」についてはいくらか割れることがあるでしょう(さきほどの「完治はしていないけれど、本人の強い希望や病院の事情などで、退院」ということもありますから)。そして、三番目の「(肺炎が治っていても)入院期間は2ヶ月であるべき」というλさん(あるいはその叔父さん)の主張についてはこれは“別の医者の客観的判断”を仰ぐべき事柄でしょうかねえ?


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2011.02.24 07:29 |  生活 / くらし  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 0

根拠

 医学では「EBM」が重要ですが、医学以外でも何かを判断したり主張するのに、「根拠あり」と「根拠無し」の場合、説得力があるのは当然前者です。

 ところで、寒の戻りはまだあるでしょうが、空を満たす光の質は少しずつ春に近づいているように私には見えます。
 では、「今日は温かいなあ」と感じたとき、温度計を見て「ああ、昨日より2度も高い」と言わないと、その“感覚による判断”には「説得力」がない(温度計を見ないと判断できない、数字を示さないと誰も納得しない)のでしょうか。


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