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2010.09.29 06:41 |  診療  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 2

薬で解決

 今日の話も、20世紀の体験をベースにしていますがだいぶ脚色しています。デフォルメしているので「こんな話があるわけない」と思われるかもしれませんが、あくまでベースは実話です。

 外来に小学生をつれてきた親が、ずいぶん熱心に話し始めました。
「この子は算数も国語も苦手で、逆上がりもできません。先生、勉強ができるようになって運動もできるようになる薬はありませんか」
「そんな都合の良いものはありませんよ」
「だったら、算数だけでも良いです」
「だからそれは無理です」
「算数は無理ですか。だったら国語は?」
「それも無理です」
「だったら仕方ない。せめて逆上がりだけでも」
「だから、それは薬では何ともなりません」
「なんだって?  薬で治すのが医者の仕事だろうに、それができないというのか?」
「算数も逆上がりも、ついでですが、算盤も自転車も水泳も、薬を飲んだら突然できるようになる、というものではありませんよ」
「もういい!  あんたには頼まん」

 ……あのう、最初からこの人は「頼」んではいないと思うのですが。無理難題はまくし立てていましたが。
 でも、もしそんな類の「奇跡の薬」があるとしたら、私としてはこの“親”の方に「人をもっと尊重する態度が身につく薬」「子育てができるようになる薬」を処方したいな。子ども本人の目の前で「こいつは無能だ」と他人に堂々と言う親って、人を侮辱する能力は豊かですが子どもの未来を開花させる能力には欠けているように思えるものですから。


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