ある剣術の師匠が弟子にこう教えました。(※)
「心は嘘をつき、頭はわれわれをたぶらかす。だが、目は真実を見る。きみの目で見なさい。きみの耳で聞きなさい。きみの口で味わいなさい。きみの鼻で嗅ぎなさい。きみの肌で感じなさい。それから、思考がやってくる。後からだ。そして、そのようにして真実を知るのだ。」
なるほど、と私は呟きます。医学だって同じじゃないか、と。
もしも観察が理論に全面的に依拠したら(「自分は○○を見ているはずだ」と自分に言いきかせながら見つめていたら)、それは藪医者の循環論法(この患者は風邪に違いない。だから風邪だ)でしかありません。だけど「極意」を身につけるためには、「師匠」の正しい教えとともに“現実”の中での本人の長い長い努力が必要なのです(この弟子も、性悪な猫を捕まえさせられたりしています)。極意は、話を聞いたり本を読んだ程度で“身”につくようなものではないんですよねえ。
※)『七王国の玉座(下) 氷と炎の歌1』ジョージ・R・R・マーティン 著、 岡部宏之 訳、 早川書房
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かつて日本の新生児死亡率は悲惨なものでした。厚労省の「新生児及び周産期死亡及び死亡率の推移(1920〜2008)」を見たら、目を覆いたくなります。新生児死亡率が1920年には6.9%もあるのです。(2008年は0.12%)
クリミア戦争は悲惨な戦争でした。私が見たある本では、ナイチンゲールが行く前、野戦病院の死亡率は約40%だったそうです。ところがナイチンゲール到着後数ヶ月で1/10以下に死亡率は減少しました。
現在の日本で産科医をつかまえて「出産時の死亡率がゼロにならない。それは産科医の責任だ」と責める人は、ナイチンゲールもつかまえて「死亡率が2%もある。それはお前の失敗だ」と責めるのでしょうか。
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